- 更新日 : 2026年2月25日
外国人は日本で個人事業主になれる?在留資格や条件をわかりやすく解説
外国人も適切な在留資格があれば個人事業主になれますが、活動内容がビザの許可範囲内である必要があります。
- ビザ別の制限: 永住者等は制限なし。就労ビザの種類に合う事業のみ可
- 生計維持能力: 更新には独立して生計が立てられる安定収入が必須
- 独自のリスク管理: 単純労働(配達等)への従事はビザ取消・強制退去の対象
会社を辞めてフリーランスになる場合、技術・人文知識・国際業務等のビザでも、業務委託契約の内容が専門職の範囲内であれば活動可能です。ただし、契約書等の書面による活動実態の証明を残しましょう。
外国人が日本で個人事業主になることは、適切な在留資格を持っていれば十分に可能です。ただし、日本人と異なり、税務署への手続きだけでなく、ビザに関する活動範囲や収入条件をクリアしなければなりません。
この記事では、外国人が個人事業主として独立するための在留資格の条件、認められる職種、開業届の出し方から、ビザ更新で失敗しないための注意点までをわかりやすく解説します。
目次
外国人は日本で個人事業主になれる?
外国人が日本で個人事業主として活動することは、適切な在留資格を持っていることを条件に可能です。ただし、日本人と異なり、税務署への手続きだけで済むわけではありません。
法務省・出入国在留管理局が定める在留資格の活動範囲に、その事業内容が合致しているかどうかが最も重要な判断基準となります。
外国人が個人事業主として認められる条件は?
外国人が個人事業主として認められるための絶対的な条件は、現在持っている在留資格の範囲内で活動すること、あるいは事業運営が可能な在留資格へ変更することです。日本の法律では、外国人が日本で行える活動を細かく分類しています。
例えば、会社員として「技術・人文知識・国際業務」のビザを持っている人が、会社を辞めてフリーランスになる場合、その活動内容が引き続きITエンジニアや通訳など、そのビザの許可範囲内である必要があります。
もし、全く異なる業種で開業したい場合は異なるビザへの切り替えなどを検討しなければなりません。
会社設立と個人事業主の違い
外国人が日本で起業を考える際、個人事業主でいくか、法人を設立するかで迷うケースが見られます。個人事業主は、設立費用が0円で済み、ビザの手続きを除けば税務署に書類を1種類出すだけで始められる手軽さが魅力です。小規模なコンサルティングやフリーランスのエンジニアであれば、まずは個人事業主からスタートするのがいいでしょう。
一方で、法人は設立に数十万円の費用がかかりますが、社会的な信用力が高く、取引先が企業の場合などに有利に働きます。
ご自身のビジネスプランと、将来的にどの程度の規模を目指すのかによって適切な形態を選択しましょう。
外国人が個人事業主として働ける在留資格の種類は?
個人事業主になれるかどうかは、お持ちの在留資格の種類によって大きく4つのパターンに分かれます。
経営・管理ビザの場合
経営・管理ビザは、日本で経営活動をするためのビザです。3,000万円以上の出資と1名以上の常勤職員が必須という厳しい条件を満たす必要があります。ただし、スタートアップビザであれば、活動範囲が起業準備にかかわるものに限定されるものの、条件は緩和されます。
年間を通じて事業を継続できるだけの資金や売上見込みがあることも重視されます。個人事業主であっても、客観的な事業計画書を作成し、入管に対して事業は長期的に安定して運営できる旨を証明することがポイントです。
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技術・人文知識・国際業務の場合
このビザは、多くの外国人会社員が持っている就労ビザです。特定の会社に所属していなくても、個人事業主として企業と業務委託契約を結ぶ形でこのビザを維持できます。ただし、労働環境が不安定になりがちな個人事業主の場合は取得難易度が高くなります。
例 えば、複数のIT企業から開発案件を請け負うフリーランスエンジニアなどがこれに該当します。この場合、請け負う業務が自分の専門スキルと一致している必要があります。
身分に基づく在留資格の場合
「日本人の配偶者等」「永住者」「定住者」「永住者の配偶者等」といった、いわゆる身分系ビザを持っている方は、就労に制限がありません。
日本人と同様に、個人事業主として開業できます。飲食店、小売店、建設業、あるいは副業としてのスモールビジネスなど、活動の自由度が高いカテゴリーです。在留資格の更新時にも事業内容による制限を気にする必要がないため、ビジネスに集中できるでしょう。
特定活動や家族滞在の場合
家族滞在のビザなどで日本にいる場合、原則として個人事業主としての活動はできません。
ただし、事前に資格外活動許可を得ることで、週28時間以内などの制限付きで活動できる場合があります。しかし、本格的に個人事業主として生計を立てる場合は、就労可能なビザへの変更が必要になります。
外国人が個人事業主として働ける主な職種や業種は?
就労ビザの枠内で個人事業主になる場合、職種選びは非常に重要です。
IT・エンジニア・デザインなどの専門職
IT業界は、個人事業主という働き方が浸透している分野の一つです。システム開発、アプリ制作、Webデザイン、グラフィックデザインなどは、その専門性が技術・人文知識・国際業務の範囲に合致しやすいです。
複数の企業と契約を結び、ポートフォリオを充実させることで、安定したビジネス基盤を築けます。
翻訳・通訳・語学関連の仕事
母国語を活かした通訳や翻訳、語学講師も、個人事業主として選ばれる職種です。出版翻訳や実務翻訳だけでなく、企業の会議通訳や観光ガイドなど、幅広い活躍の場があります。
ただし、単なる事務作業や現場の手伝いといった業務がメインになってしまうと、在留資格の要件から外れてしまう恐れがあります。あくまで言語の専門知識を活かした業務であることを、契約書などで明確にしておきましょう。
講師・オンラインビジネス・業務委託型の仕事
最近では、オンラインで海外の顧客に向けて日本の商品を紹介したり、特定のスキルを教えたりするビジネスも増えています。これらも個人事業主として成立しますが、実態が仕入れと販売や教育といった活動になるため、お持ちのビザの区分とズレがないか確認が必要です。
特に、現場での配達といった単純労働とみなされる業務は、就労ビザの維持ができない可能性があります。自分のビジネスモデルがどのビザの区分に該当するかを、事前にはっきりさせておくことが大切です。
外国人が個人事業主として認められる収入や契約条件は?
個人事業主として日本に留まり続けるためには、単に仕事があるだけでなく、その収入で自立して生活できることを証明しなければなりません。
生活可能な収入水準が必要
入管が在留資格の更新を審査する際、注視するのが生計維持能力です。これは、生活保護などに頼らずに、自分の事業収入だけで日本で暮らしていけるかを指します。
家族を扶養している場合は、より多くの収入が必要になるでしょう。
契約書や収入証明の提出が必要
個人事業主は、会社員のように雇用契約書や給与明細がありません。そのため、代わりに業務委託契約書が重要な役割を担います。
更新時には、これらの書類を提出して誰と、どのような内容の仕事を、いくらで契約しているかを詳細に説明する必要があります。口約束での仕事は避け、必ず書面で契約を交わす習慣をつけましょう。
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事業の継続性が必要
入管はその事業が一時的なものではないか、という継続性をチェックします。特定の月だけ収入が高くても、他の月の収入がゼロに近い状態では、安定しているとはみなされないでしょう。
できるだけ長期の契約を結んだり、複数の取引先を確保したりすることで、事業の安定性をアピールしましょう。
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外国人が個人事業主として開業する際の手続きは?
在留資格の確認ができたら、いよいよ税務署への手続きです。ここからは日本人とほぼ同じ流れになりますが、外国人特有のポイントもあります。
開業届は外国人でも提出が必要?
日本で事業を開始してから1カ月以内に、所轄の税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出する必要があります。
開業届の控えは、銀行での事業用口座の開設や、事務所の賃貸契約、そして何より在留資格の更新時に事業を開始した証明として必要になります。必ず控えを受け取り、大切に保管してください。
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開業届の書き方と注意点
書き方はシンプルですが、住所地は住民票に記載されている通りに記入します。また、氏名は在留カードの表記に合わせます。印鑑を持っていない場合は署名でも受け付けられますが、今後の事務作業を考えると、実印や屋号印を作っておくのがスムーズです。
また、開業届と同時に「青色申告承認申請書」を出すことも検討しましょう。これを出しておくと、最大65万円の所得控除が受けられるなど、節税面で大きなメリットがあります。
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オンライン・電子申請での提出方法
最近では、マイナンバーカードがあればスマートフォンやパソコンからe-Taxを利用してオンライン提出が可能です。税務署の窓口は基本的に平日の日中しか開いていないため、忙しい方には非常に便利な方法です。ただし、システムが日本語のみの対応であることが多いため、難しい場合は周囲のサポートを受けながら進めるのがよいでしょう。
関連サービス|個人事業主の開業支援サービス
外国人が起業する前に知っておきたい開業届作成の実態
日本での起業手続き、特に書類作成に対して難しいイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、マネーフォワード クラウドが実施した調査によると、開業届を「自分で作成・提出した経験がある」と回答した人は71.3%に上りました。多くの個人事業主が、自力で手続きを完了させています。
青色申告もセットで提出する人が約7割
同調査で、開業届と同時に「青色申告承認申請書」を提出したかどうかを尋ねたところ、66.0%の人が「同時に提出した」と回答しました。日本でビジネスを始める多くの人が、開業当初から節税効果のある青色申告を選択しています。
また、作成から提出までの所要時間については、「10分〜30分未満」が24.0%で最も多く、「10分未満」の15.5%と合わせると、約4割が30分未満で完了しています。一方で、手続きのハードルとして「記入内容の判断(20.2%)」や「青色申告などの関連書類の理解(21.4%)」を挙げる人が一定数いました。外国人の方にとっても、書き方や制度さえ理解できれば、作成作業そのものは短時間で済む手続きと言えます。
参考:マネーフォワード クラウド、開業届の作成‧提出経験、開業届作成から提出までの所要時間、⻘⾊申告承認申請書の提出状況、⼿続きで「⾯倒‧ハードルが⾼い」と感じた点【開業届に関する調査データ】(回答者:812名、集計期間:2026年1⽉実施)
外国人起業家向けのスタートアップビザや支援制度は?
経営・管理ビザのハードルが高くて起業をためらっている方には、自治体が提供する支援制度があります。
スタートアップビザとは?
スタートアップビザは、起業を志す外国人をバックアップするものです。
本来、「経営・管理」ビザを取得するには、申請時にすでに事務所を借り、3,000万円以上の資本金が必要など厳しい要件があります。しかし、この制度を利用すれば、事業計画の承認を受けることで、準備期間として最大1年間の滞在が認められます。この期間中に、事務所探しや資金調達、契約獲得を進めることができます。
利用できる条件は?
この制度を利用できるのは、東京都、大阪市、福岡市など、制度を導入している特定の自治体に限られます。また、事業の内容もIT・バイオ・医療など、地域の産業振興に寄与する分野が対象となることが多いです。
自分がやりたいビジネスが対象になるか、希望する地域で制度があるかを事前に各自治体のウェブサイトで確認しましょう。
外国人が個人事業主として起業する際の注意点
個人事業主として成功するためには、ビジネス以外のルールを守ることが欠かせません。
在留資格違反を避ける
最も恐ろしいのは、気づかないうちに不法就労の状態になってしまうことです。
例 えば、システム開発のビザで個人事業主になった人が、仕事が少なくなったからといって、Uber Eatsの配達やコンビニでのアルバイトをメインにしてしまうのはルール違反です。
これらは資格外活動とみなされ、次回の更新ができなくなります。自分のビザで許された仕事をしているかを確認しましょう。
税務や確定申告が必要になる
個人事業主になると、自分で税金を計算して納める確定申告が必要になります。所得税だけでなく、住民税や国民健康保険料の支払いも発生します。
中国出身の方など、母国と日本の間に租税条約がある場合は、手続きによって二重課税を避けられるケースもあります。税金の仕組みを理解していないと、後に多額の請求が来て困ることになるため、帳簿をしっかりつけ、必要であれば税理士に相談するのも一つの手です。
関連記事|【個人事業主・自営業向け】確定申告のやり方をわかりやすく解説
業種によっては許認可が必要になる
開業届を出せばどんな種類の仕事もできるわけではありません。例えば以下のような業種には、別途許認可が必要です。
- 飲食店:保健所の許可
- リサイクルショップ(古物商):警察署の許可
- 旅行業:観光庁や都道府県の登録
これらは、個人事業主であっても日本人と同様に取得しなければなりません。許認可なしで営業すると罰則があるため、事業開始前に必ず確認しましょう。
外国人が個人事業主として働くために
外国人が日本で個人事業主として活動する場合、自身の裁量で仕事ができる一方、在留資格の維持や税金の納付など、自分自身で責任を持って管理しなければならない事柄が増えることになります。
まずは自分の在留資格で希望する事業ができるのかを確認し、不安な点は入管や行政書士などの専門家に相談してみるのがよいでしょう。正しい手続きを踏むことで、日本でのビジネスを安定して継続できるようになります。一歩ずつ着実に準備を進めて、理想の働き方を実現させましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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