• 更新日 : 2026年2月24日

ワインバーの事業計画書の書き方・無料テンプレート【簡単解説】

Pointワインバーの事業計画書は、どう書けば融資と開業に通用する?

ワインバーの事業計画書は、感覚ではなく数字で収益性を説明する経営設計書です。

  • 客単価×客数×営業日の妥当性
  • ワイン原価率と在庫回転管理
  • 赤字期間を踏まえた資金余力

融資で最も見られる点は売上と返済が成立するかです。客単価・来店客数・営業日数から売上が説明でき、赤字期間でも資金が枯渇しない計画かが確認されます。

事業計画書は、ビジネスのビジョンや目標、マーケティング戦略を示す書類です。事業を成功させるには、事業の方向性や目標を明確にし、計画を整理しながら事業計画書を記載することが重要です。本記事では、ワインバーの事業計画書について、テンプレートを基にした書き方や、作成のコツなどを解説します。事業計画書のテンプレートが必要な場合は、以下からダウンロード可能です。

目次

ワインバーの開業時に作る事業計画書とは?

ワインバーを開業する際に作成する事業計画書は、店舗コンセプトや収益構造を整理し、安定した経営を実現するための重要な資料です。小規模で始めやすい一方、立地や客層、在庫管理の影響を受けやすい業態のため、ワインバーならではの視点を盛り込んだ計画が求められます。

事業計画書とは事業の全体像を示す計画書

事業計画書とは、事業の目的や内容、運営方針、収支見込みなどを体系的にまとめた書類です。金融機関からの融資を受ける際の判断材料になるほか、開業準備や開業後の経営判断の基準としても活用されます。第三者が読んでも理解できるよう、数値と根拠を明確に記載することが基本です。

参考:事業計画書はなぜ必要か|J-Net21 独立行政法人中小企業基盤整備機構

ワインバーのコンセプトと提供価値を明確にする

ワインバーでは、どのようなワインを、どのような空間で提供するのかが事業の軸になります。ナチュラルワイン専門、グラスワイン中心、ソムリエ常駐など、コンセプトを明確にし、ターゲット客層との整合性を示すことが重要です。コンセプトが明確であるほど、差別化しやすくなります。

ワインバー特有の収益モデルを整理する

ワインバーの売上は、客単価と回転率に大きく左右されます。ワイン原価率、フード比率、ボトルとグラスの売上構成などを整理し、無理のない収益モデルを示す必要があります。在庫ロスや保管コストも考慮した現実的な計画が求められます。

在庫管理と運営リスクを可視化する

ワインは仕入れ単価が高く、在庫管理が経営リスクになりやすい商材です。仕入れ方針や回転期間、売れ残り対策を事業計画書に盛り込むことで、安定運営への説得力が高まります。加えて、人員体制や営業時間も含めた運営計画を示すことが重要です。

事業計画書の概要については、以下のページもご確認ください。

ワインバーの事業計画書のひな形、テンプレート

事業計画書 ワインバー

マネーフォワード クラウドは、ワインバー向けの事業計画書のひな形、テンプレートをご用意しております。事業計画書作成の参考として、ぜひダウンロードして、ご活用ください。

ワインバーの事業計画書の書き方・記入例は?

ワインバーを開業する際に必要な事業計画書の書き方と具体的な書き方を紹介します。事業計画書では、各項目を具体的に記載することが重要ですが、全体に一貫性を持たせることも同様に重要です。

各項目の意図を理解し、事業開始後の指針となる計画書を作成しましょう。一貫性を持った事業計画書を作成することで、効果的な戦略を実行でき、事業の成功と安定を期待できます。

創業の動機・目的

「創業の動機・目的」は、ワインバーの経営理念やコンセプトにもつながる重要な項目です。過去の経験や市場のニーズから開業に至った経緯を詳しく記載することで、ビジョンが明確になります。

事業計画書全体の方向性が決まる部分になるため、具体的に記載してください。

また、動機・目的は、金融機関で融資を受ける際にも重要視されます。開業したい理由や開業への熱意を示しましょう。

(記入例)

一般社団法人日本ソムリエ協会からソムリエ・エクセレンスの認定を受け、より多くの方にワインについて学んで欲しいという思いから、酒類に関する講師としても活動。さまざまな活動を通して業界内でのつながりを構築できたこと、そして資金と店舗の確保も進んできたため、創業手続きを始める。

職歴・事業実績

「職歴・事業実績」は経営者の過去の職歴や実績、保有資格を詳細に記載します。経歴だけでなく、過去の経験で学んだことやスキルも示してください。
特に、融資審査では、飲食業界やワインに関する経験・資格を強調することで信頼感を得やすくなるでしょう。

たとえば「ソムリエ資格を持ち、10年以上の飲食店勤務経験がある」といった具体的な実績を挙げると明快です。

(記入例)

〇年〇月 〇〇大学卒業

〇年〇月~ 株式会社〇〇に就職

〇年〇月~ ワインバー〇〇に転職

〇年〇月 「ソムリエ・エクセレンス」取得

〇年〇月 退職

取扱商品・サービス

「取扱商品・サービス」は、ワインバーで提供する商品やサービス内容を、詳細に記載します。

たとえば、以下のように、競合との差別化を具体的に示すとよいでしょう。

  • ワインの種類・特長
  • 競合との価格差
  • スタッフの質
  • イベントの有無・内容

顧客の求めるサービスを行うことが事業成功のポイントになるため、マーケティング戦略を制定し、サービス内容をよく検討してください。

(記入例)

取扱商品・サービスワインの提供
セールスポイント国産ワインのほか、国外さまざまな生産地から直輸入することで多種多様な世界のワインを取りそろえる。
販売ターゲット〇〇圏内を中心に、特に〇〇エリアのオフィス街で働く会社員を主なターゲットとする。
戦略ワインに合うおつまみなどの食材も直輸入し、ほかの店では味わえない食を提供する。
競合・市場などの分析
  • 〇〇県ではワインの消費量が特に多く、ワインに対してのなじみみが深い。
  • 〇〇エリアのオフィス街は人通りも多いが居酒屋などの競合も多い。ワインバーも数件あるが、世界のワインを多く取りそろえている店は1件のみ。

取引先・取引関係

「取引先・取引関係」は、ワインの仕入先や取引先との関係を記載する項目です。ワインの供給元や食材の仕入先を事業計画書に明記することで、安定した供給体制を示せるため、信頼感が高まります。また、特別な提携関係がある場合は独自性を伝えられ、強みとして強調できます​。

(記入例)

取引先名シェア掛取引の割合
販売先一般個人100%100%
仕入先株式会社〇〇(ワイン)35%100%
株式会社〇〇(チーズ)20%100%
〇〇(おつまみなど)45%100%

従業員

「従業員」は、雇用予定の従業員数を記載します。ワインバーでは、接客・配膳・調理など、さまざまな役割があります。ワインバーの運営に必要なスタッフを具体的に挙げ、事業計画書に示してください。

また、ワインの専門知識を持つスタッフの雇用は、サービス品質の向上に直結します。質の高いスタッフを雇用するための、具体的な採用・研修の計画も示すとよりよいでしょう。

(記入例)

(法人の場合)常勤役員の人数:1人

従業員(3か月以上継続雇用者):1人

うち家族従業員数:1人

うちパート従業員数:0人

借入の状況

「借入の状況」は、経営者の借入状況や返済計画を記載します。住宅ローンや自動車ローン、教育ローンなど、すべての借入金額を漏れなく記入してください。

また、金融機関から新たに融資を受ける場合、現在の借入金の返済計画を具体的に示すことで、金融機関からの信頼を得やすくなります。返済能力があることを示し、新たな融資につなげましょう。

(記入例)

借入先名内容借入残高年間返済額
〇〇銀行〇〇支店住宅ローン1,900万円140万円

必要な資金と調達方法

「必要な資金と調達方法」は、設備資金や運転資金にかかる借入希望額と、調達方法を記載します。

設備資金と運転資金はそれぞれ以下のような内容が挙げられます。

  • 設備資金:物件取得費・設備費・椅子やテーブルなどの什器 など
  • 運転資金:人件費・ワインや食材の仕入費・広告宣伝費 など

事業を安定して継続していくため、設備資金はできる限り抑え、運転資金は2~3か月分を目安に記載しましょう。

また、必要資金をどのように調達するのかを明確にし、現実的な計画であることを示すことも重要です。

(記入例)

必要な資金調達方法
内容見積先金額金額
設備資金内外装工事費

機械設備費

什器、備品費

〇〇社

〇〇社

〇〇社

1,000万円自己資金800万円
運転資金人件費

商品仕入

広告宣伝費

800万円日本政策金融公庫からの借入1,000万円
合計1,800万円合計1,800万円

事業の見通し(月平均)

事業の見通しは、月平均の売上や経費を予測し、具体的に記載します。予測は市場調査に基づき、実現可能な数値を挙げてください。

見通しに関する根拠には、売上高や経費を詳細に明示する計算式を用いて、具体的な収支計画が伝わるように記載しましょう。

一般的に、ワインバーの売上は「平均客単価×一日の平均客数×営業日数」で計算します。事業を成功させるには、予測される売上に基づき、人件費や仕入代、家賃などの経費が、売上よりも下回るように設定する必要があるでしょう。

さらに、売上から経費を差し引いて残った利益からは、借入金の元本を返済をします。月々の返済元本を上回る利益が残るよう、収支計画を立てなければなりません。

事業計画書の作成時点で利益を算出できなければ、事業開始後にも収益性がないとみなされるケースが一般的です。

(記入例)

創業当初1年後見通しに関する根拠
売上高292.5万円362.7万円(収支計画)

<創業当初>

① 売上高

平均客単価4,500円×平均客数25人/日×月間営業日数26日=292.5万円

② 原価率 35%

③ 経費

人件費:役員報酬80万円、家族従業員20万円

家賃:38万円

支払利息:1,000万円×年2.4%÷12ヵ月=2万円

その他:光熱費、消耗品費等 7万円

<創業1年後>

① 売上高

立地条件、店内規模が近い他店における平均客数で計算。

平均客単価4,500円×平均客数31人/日×月間営業日数26日=362.7万円

② 原価率 創業当初の割合を維持

③ 経費

その他:2万円増

売上原価(仕入高)102.4万円126.9万円
経費人件費100万円100万円
家賃38万円38万円
支払利息2万円2万円
その他7万円9万円
合計147万円149万円
利益43.1万円86.8万円

ワインバーの事業計画書を作成するポイントは?

ワインバーの事業計画書を作成する際は、飲食店としての一般的な視点に加え、ワイン特有の原価構造や在庫リスクを踏まえた計画が重要です。感覚的な見込みではなく、数字と根拠をもとにした計画を立てることで、開業後の安定経営につながります。

コンセプトとターゲットを具体的に定める

ワインバーはコンセプトによって客層や価格帯が大きく変わります。高級志向かカジュアルか、グラス中心かボトル中心かを明確にし、想定客層と提供価値の整合性を示しましょう。コンセプトが曖昧だと、集客や価格設定に一貫性がなくなります。

原価率と在庫回転を意識した収支計画を立てる

ワインは原価率が高くなりやすく、在庫回転も利益に直結します。グラスワインとボトル販売の比率、フードの原価率を整理し、現実的な利益構造を示すことが重要です。廃棄ロスや仕入れ頻度も考慮した計画が求められます。

仕入れ先とワインの選定方針を明確にする

どのインポーターや酒販店から仕入れるのか、価格帯や産地の方針を示すことで、計画の具体性が高まります。安定供給が可能かどうかは、長期的な運営にも影響するため、仕入れ体制を明確にしておきましょう。

人員配置とオペレーションを現実的に設計する

ワインバーは少人数運営になりやすいため、営業時間やピークタイムを踏まえた人員計画が重要です。オーナー自身が接客・提供を担うかどうかも含め、無理のないオペレーションを示すことで、事業計画書の実現性が高まります。

ワインバーの事業計画書を作成する注意点は?

ワインバーの事業計画書を作成する際は、理想の店舗像だけでなく、日々の運営で生じるリスクや制約にも目を向けることが重要です。ワイン特有の在庫負担や集客の不安定さを踏まえ、現実的な視点で計画を立てる必要があります。

客単価や来店頻度を楽観的に見積もらない

ワインバーは常連客に支えられる業態である一方、開業直後から安定した来店数を確保するのは容易ではありません。高い客単価や頻繁な来店を前提にした計画は、売上未達のリスクを高めます。立ち上がり期間を考慮した慎重な数値設定が必要です。

在庫ロスや資金繰りへの影響を軽視しない

ワインは仕入れ単価が高く、売れ残りが資金繰りに直結します。希少性や話題性だけで仕入れを増やすと、回転率が下がり在庫負担が大きくなります。在庫量の管理方針やロス発生時の対応まで想定しておくことが重要です。

コンセプト倒れにならないか検証する

強いコンセプトを掲げても、地域の客層や立地と合わなければ集客につながりません。計画段階で市場調査を行い、実際の需要とズレていないかを確認する必要があります。自己満足に終わらない視点が求められます。

オーナー依存の運営体制に注意する

ワインバーはオーナーの知識や接客力に依存しやすい業態です。長時間労働や不在時の運営が想定されていない計画は、継続性に不安が残ります。代替人員や業務分担を考慮した運営体制を示すことが大切です。

融資担当者が見るワインバーの事業計画書のチェックポイントは?

融資担当者は、ワインの知識や店舗の雰囲気ではなく、「資金を貸しても回収できる事業か」という点を重視します。ワインバーは趣味性が高い業態のため、事業性と生活性を切り分けて説明できているかが重要な評価軸となります。

① 売上がオーナーの感覚ではなく数式で説明されているか

融資担当者は「常連がつけば大丈夫」といった説明を評価しません。想定客数、席数、回転率、営業日数から売上が算出されているかを確認します。売上が数式で説明されていれば、未達時の修正余地も判断でき、計画の信頼性が高まります。

② 仕入れ資金と運転資金に余裕があるか

ワインバーは開業後すぐに現金が減りやすい業態です。初期在庫に加え、追加仕入れや支払いサイトを踏まえた運転資金が確保されているかを見られます。ギリギリの資金計画は、売上が想定を下回った際に即座に経営不安につながるため、評価が下がります。

③ 赤字期間をどう乗り切る想定になっているか

融資担当者は、開業直後の黒字化よりも「赤字でも耐えられるか」を重視します。自己資金の残額、生活費の確保、追加借入の可能性など、赤字期間の耐久力が示されているかが重要です。ここが明確だと返済不能リスクが低いと判断されます。

④ 事業と個人生活の資金が分けて管理されているか

ワインバーは個人経営が多く、生活費と事業資金が混在しやすい業態です。融資担当者は、生活費を含めた資金繰りが整理されているかを確認します。事業からいくら引き出すのかが明確な計画は、資金管理能力が高いと評価されます。

ワインバーの開業に必要な資格・許可は?

ワインバーを開業する際には、必須の資格・許可と形態によって必要な届出の2種類があります。許可や届出を適切に行うことで、法令を遵守し、安全で信頼されるワインバーの運営が可能です。事前に各種手続きを確認し、必要な書類を整えましょう。

必要な許可・届出

  • 食品衛生法に基づく営業許可:「飲食店営業」の営業許可を取得
  • 食品衛生責任者の配置:食品衛生責任者の資格を有するものを各店に1人配置

食品衛生責任者について|一般社団法人東京都食品衛生協会

ワインバーの形態によって必要な届出等

ワインバーの営業形態によって、必要な届出や許可は変わります。

たとえば、以下の3つのケースでは、別の届出が必要になります。

  • 午前0時から午前6時の間に主に酒類を提供するケース:深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
  • 建物の収容人数が30人以上のケース:防火管理者選任届出書
  • 防火対象物の使用を開始するケース:防火対象物使用開始届出書
  • ワインを販売(テイクアウト)するケース:酒類販売業免許

営業形態や店舗を置く地域によって、さまざまな届出・資格が必要です。開業するワインバーの形態に応じて、適切な届出を行ってください。

ワインバーの事業計画書作成で多くの人が直面する現実と対策

マネーフォワード クラウドは、2026年1月に事業計画書の作成経験者を対象とした実態調査を実施しました。そのデータから、作成者が特に苦労するポイントが明らかになりました。

3割以上が苦戦する「財務」と「販売戦略」の壁

調査結果によると、作成において最も困難だと感じた項目は「財務・資金調達計画」で35.5%、次いで「販売戦略・マーケティング計画」が30.3%でした。 ワインバーの開業は内装工事やワインの在庫確保などで初期投資が大きくなる傾向があり、融資審査では収支計画の妥当性が厳しく問われます。客単価や回転率の見積もりが甘いと、これらの項目でつまずく可能性が高くなります。
一発合格は難関?約半数が経験する「再提出」
提出した後の結果について、約45%が「再提出の指示」または「内容へのフィードバック」を受けたと回答しています。修正なしで審査を通過するのは容易ではありません。 一方で、作成経験者の55.5%がWeb上のテンプレートを利用しています。本記事で提供しているようなテンプレートを活用し、特に多くの人が苦戦する数値計画や販売戦略を論理的に整理することが、手戻りを防ぎ、スムーズな資金調達を実現する近道と言えるでしょう。
出典:マネーフォワード クラウド、作成が最も困難だと感じたセクション 他【事業計画書に関する調査データ】(回答者:809名、集計期間:2026年1月)

ワインバーの事業計画書は「数字で説明できる経営計画」が重要

ワインバーの開業において、事業計画書は融資を受けるためだけの書類ではなく、経営を安定させるための指針となるものです。雰囲気やこだわりだけでは事業としての評価は得られず、客単価や来店客数、原価率、在庫回転といった数字で説明できる計画が求められます。また、ワイン特有の在庫リスクや資金繰りへの影響を踏まえ、赤字期間の耐久力や資金管理方法まで示すことが重要です。

第三者、特に融資担当者の視点を意識した現実的な事業計画書を作成することで、資金調達の可能性を高めると同時に、長期的に続くワインバー経営につなげることができます。


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