• 更新日 : 2026年1月14日

有限会社とは?現在は廃止?株式会社との違いやメリット・デメリット、移行手続きまで解説

有限会社は、2006年の会社法改正によって廃止され、現在は新規に設立することができなくなりました。会社法施行前から存在する有限会社は、現在「特例有限会社」という形で存続しています。

この記事では、特例有限会社と株式会社との違い、有限会社を続けるメリット・デメリット、株式会社へ移行する手続き、さらに他の会社形態について詳しく解説します。

有限会社とは?現在は廃止?

現在存在する「有限会社」の正体は、法律上の「特例有限会社」です。

2006年5月1日に施行された会社法により、有限会社制度そのものと「有限会社法」は廃止されました。しかし、それ以前に設立された有限会社は、法律に基づき「特例有限会社」として存続することが認められています。

特例有限会社は、会社法上において、株式会社とみなされる部分がある特別な会社形態になります。
法律上、株式会社と同一ではありませんが、会社法の多くの規定が準用されるため、実務上は株式会社に近い扱いを受けます。
しかし、商号(会社名)に「有限会社」の文字を引き続き使用することが義務付けられており、旧有限会社法の一部の規定が適用され続ける、まさに特例的な形態です。

旧有限会社法とは?

旧有限会社法は、主に中小企業の法人化を想定した、設立ハードルが低い法律でした。

2006年の会社法施行前、株式会社の設立には最低1,000万円の資本金が必要でしたが、有限会社は最低300万円で設立可能でした。また、社員(出資者)が50名以下、取締役が1名以上でよいなど、株式会社に比べて設立・運営のハードルが低く設定されていました。

2006年会社法施行による主な変更点は?

2006年の会社法施行は、日本の会社制度を大きく変えました。

有限会社に関連する主な変更点は以下の通りです。

  1. 有限会社法の廃止と特例有限会社への移行
    有限会社法が廃止され、既存の有限会社は自動的に「特例有限会社」(法律上は株式会社)へと移行しました。
  2. 有限会社の新規設立が不可
    有限会社という会社形態は新規に設立できなくなりました。
  3. 株式会社の設立ハードル低下
    株式会社の「最低資本金制度(1,000万円)」が撤廃され、資本金1円からでも株式会社を設立できるようになりました。
  4. 合同会社(LLC)の新設
    小規模事業に適した新しい会社形態として「合同会社(LLC)」が導入されました。

この改正により、小規模な会社設立の選択肢は、旧制度の「有限会社」から「(小規模な)株式会社」または「合同会社」へと移行しました。

参考:会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律

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有限会社(特例有限会社)と株式会社の違いは?

現在の「特例有限会社」と「株式会社」の主な違いは、以下の通りです。

1. 役員(取締役・監査役)の任期

特例有限会社には、役員の任期が原則としてありません。

株式会社では取締役は原則2年、監査役は原則4年(いずれも定款で最大10年まで延長可)の任期があり、任期満了ごとに同じ人が続投する場合でも「重任登記」が必要です。

特例有限会社はこの任期がないため、数年ごとの登記手続きの手間や登録免許税(1万円または3万円)のコストを削減できます。

2. 決算公告の義務

特例有限会社には、株式会社に義務付けられている「決算公告」が不要です。

会社法では、株式会社は毎年、定時株主総会の終結後、遅滞なく貸借対照表などを公告する義務があります。特例有限会社はこの義務が免除されており、官報掲載費用(年間数万円)や事務の手間が一切かかりません。

3. 株式(持分)の譲渡制限

特例有限会社は、定款に定めがなくても自動的に株式の譲渡が制限されます。

株式を第三者に譲渡するには、原則として社員総会(株主総会に相当)の承認が必要です。株式会社の場合、譲渡制限を設けるには定款にその旨を定める必要がありますが、特例有限会社は自動で制限がかかるため、経営者が意図しない第三者による会社の「乗っ取り」リスクを低く抑えられます。

有限会社(特例有限会社)を続けるメリットは?

最大のメリットは、株式会社と比較して「運営コストと事務的な手間が少ない」ことです。これは「役員任期なし」「決算公告不要」という二つの大きな特例によってもたらされます。

メリット1. 運営コスト・手間の削減

特例有限会社は、会社運営における事務的・金銭的コストを大幅に削減できます。

  • 役員重任登記が不要
    株式会社であれば、役員(取締役・監査役)が同じ人物であっても、任期満了(原則2年や4年)ごとに法務局で「重任登記」を行う義務があります。この登記には登録免許税(最低1万円)がかかります。特例有限会社にはこの任期の定めがないため、役員が長期間変わらない小規模・家族経営の会社にとって、この登記手続きと費用が一切不要になる点は非常に大きな利点です。
  • 決算公告が不要
    株式会社は、毎年定時株主総会後に決算内容(貸借対照表など)を官報、新聞、または電子公告で公開する「決算公告」が義務付けられています。特に官報掲載を選ぶ企業が多く、その場合、年間約6万円~8万円程度の費用が発生します。特例有限会社はこの義務が免除されているため、この費用と手間が一切かかりません。

メリット2. 経営の安定

特例有限会社は、自動的に株式(持分)の譲渡が制限されています。

株式を第三者に譲渡する場合、原則として社員総会(株主総会)の承認が必要となります。株式会社では、株式を自由に譲渡できないようにするには定款に「譲渡制限規定」を設ける必要がありますが、特例有限会社は旧有限会社法の規定を引き継ぎ、デフォルトでこの制限がかかっています。これにより、経営者が意図しない第三者に株式が渡り、経営権が脅かされる「会社の乗っ取り」を防ぎやすくなります。

メリット3. 歴史・信頼性の証

「有限会社」という商号は、2006年の法改正以前から事業を継続している証でもあります。

新規設立ができないため、「有限会社」という名称自体が「長く続いている会社」「老舗」といったポジティブなイメージを与え、取引先や顧客からの社会的な信用につながるケースもあります。

有限会社(特例有限会社)を続けるデメリットは?

デメリットは、「有限会社」という名称や制度の古さに起因するイメージや、事業拡大における制約です。

デメリット1. イメージの問題

「有限会社=古い制度」という一般的なイメージが、ビジネス上のネガティブな印象につながる可能性があります。

特にIT系や先進的な分野の業界では、取引先や求職者から「小規模」「保守的」といったイメージを持たれてしまう懸念があります。「株式会社」という名称の方が、現代のビジネスシーンにおいて一般的で、対外的な信用を得やすいと感じる経営者も少なくありません。

デメリット2. 大規模な資金調達・上場(IPO)の制約

特例有限会社は、大規模な資金調達や事業拡大において明確な制約があります。

  • 上場(IPO)ができない
    有限会社(特例有限会社)のままでは、株式市場へ上場(IPO)することはできません。将来的に上場を目指す場合は、必ず後述する「株式会社」への移行手続きが必要となります。
  • 出資の受けにくさ
    ベンチャーキャピタル(VC)や投資ファンドから大規模な出資を受ける際も、一般的に「株式会社」であることが前提条件となります。特例有限会社のままでは、資金調達の選択肢が狭まる可能性があります。

デメリット3. 制度の複雑さ

特例有限会社は、法律上「株式会社」として扱われながらも「旧有限会社法」の特例が適用されるという、非常に特殊な法的地位にあります。

そのため、会社法と旧有限会社法の両方の知識が必要になる場面が稀に発生し、法務手続きが通常より煩雑になる可能性もゼロではありません。

有限会社から株式会社へ変更(移行)する方法は?

株主総会(社員総会)の特別決議を経て、「商号変更による株式会社への移行」の登記手続きを行うことで、株式会社に変更できます。

これは会社を解散して新設するわけではなく、あくまで「商号変更」として組織形態を変更する手続きです。

1. 新定款の準備

移行後の「商号(株式会社〇〇)」を決定し、株式会社用の新定款を作成します。新定款には「役員の任期」や「決算公告の方法」などを定める必要があります。

2. 株主総会(社員総会)での特別決議

商号変更と株式会社への移行について、特別決議の承認を得ます。特例有限会社の特別決議は、総社員(株主)の半数以上が出席し、その出席者の議決権の4分の3(75%)以上の賛成が必要です。

3. 法務局での登記申請

決議後2週間以内に、法務局へ「特例有限会社の解散登記」と「株式会社の設立登記」を同時に申請します。登記費用(登録免許税)として、合計で最低6万円(解散3万円+設立最低3万円)がかかります。

参考:特例有限会社解散及び清算人選任登記申請書|法務局商業・法人登記申請手続|法務局

移行する際の注意点

最大の注意点は、一度株式会社に移行すると二度と有限会社(特例有限会社)に戻れないことです。

移行すると、「役員任期なし」「決算公告不要」といった特例有限会社のメリットは失われ、株式会社としての義務が発生します。メリット(社会的信用、上場可能性)とデメリット(運営コスト増)を十分に比較検討することが重要です。

有限会社についてよくある質問

最後に、有限会社についてよくある質問とその回答をまとめました。

日本で最も多い会社形態は何ですか?

株式会社です。全法人数の95%以上を株式会社が占めているという調査結果もあり、圧倒的多数です。次いで多いのが、旧制度から存続している「特例有限会社」、そして2006年以降に設立数が増えている「合同会社」です。「合名会社」「合資会社」は全体のごくわずかです。

ただし、新規設立の数で見ると、株式会社が約7〜8割、合同会社が約2〜3割を占めており、設立コストや運営の柔軟性から合同会社を選ぶ事業者も増えています。

有限会社は英語で何と言いますか?

「Co., Ltd.」(Company Limited)や「Ltd.」が一般的です。 特例有限会社も法律上は株式会社の一種として扱われるため、株式会社と同様の英語表記が使われるケースがほとんどです。

株式会社から有限会社に変更できますか?

できません。有限会社制度は2006年に廃止されており、特例有限会社はあくまで既存の会社を存続させるための経過措置です。そのため、株式会社や合同会社から有限会社(特例有限会社)へ商号変更することは一切認められていません。

これから会社設立するなら株式会社か合同会社

これから会社を設立する場合、「有限会社」という選択肢は存在しません。現実的な選択肢は「合同会社(LLC)」か「株式会社」の2択となります。

  • 合同会社(LLC)が向いているケース
    設立・運営コストの安さと経営の自由度を最優先する場合。個人事業主からの法人成り、少人数・家族経営、スピーディーな意思決定が必要な事業に適しています。
  • 株式会社が向いているケース
    将来的な事業拡大や対外的な信用を最重視する場合。外部からの出資や上場(IPO)を目指す場合、BtoB取引で高い社会的信用が必要な場合、「代表取締役」の肩書きが必要な場合などに適しています。

それぞれの特徴を深く理解し、ご自身の事業規模や将来のビジョンに最も適した会社形態を選択しましょう。


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