• 更新日 : 2023年11月20日

調査報告書は会社設立時に必要?テンプレートをもとに書き方を解説

会社設立時に現物出資する場合は、調査報告書が必要です。現物出資は、現金が少なくても出資金を増やせたり、節税につながったりするなど多くのメリットはありますが、書類を揃える手間もかかります。ここでは、出資金をどうにか増やせないだろうかと悩む人に向けて、現物出資や調査報告書について説明します。出資金を増やす方法として参考にしてください。

会社設立時の調査報告書とは?

調査報告書とは、会社設立時や資本金の増資時に、現金以外の資産で行う場合に必要となる書類です。現物出資とは、土地や建物、パソコン、車などの現金に換算できるものです。現物出資は、現金が少ない場合でも資本金を増やせます。

ただし、出資する現物の時価の調査が必要です。現物の市場価値を調べ、その結果を記した書類が調査報告書というわけです。ただし、現金のみの出資であれば必要ありません。

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調査報告書が必要なケース

そもそも現物出資とは具体的にどのようなものでしょうか。ここでは、調査報告書が必要なケースと、現物出資について説明します。

現物出資がある場合に必要な書類

現物出資がある場合に必要な書類は、次の3つです。

  • 調査報告書
  • 財産引継書
  • 資本金の額の計上に関する証明書

上述したように、調査報告書は現物の時価を調査した結果を記した書類です。財産引継書とは、計上した現物が会社の資産になったことを証明するものです。資本金の額の計上に関する証明書は、資本金の額が適正に計算されているかどうかを表します。

現物出資について

現物とは、土地や建物などの不動産や株式などの有価証券、自動車などの動産といった価値のあるものです。会社の資産と捉えられるため、現金がなくても会社を設立できます。

ただし、完全に現物出資する人の所有物でなければなりません。ローンの終わっていない動産や不動産は認められないということです。

現物出資する場合は、どれほどの時価なのかを調査する必要があります。計上する際の時価であって、購入時の価格ではないため気をつけましょう。

現物出資が認められている資産

現物出資が認められている資産は、譲渡可能で貸借対照表に資産計上できるものです。現物出資が認められている資産としては、次のものが挙げられます。

  • 自動車やパソコン、OA機器、原材料などの動産
  • 土地やマンションなどの不動産
  • 市場価値のある有価証券
  • ゴルフ場やリゾートの会員権
  • 営業権や商標権といった知的財産権などの無形固定資産

現物出資を行うメリット

現物出資を行うメリットは、現金が少なくても出資金を増やせることです。出資金の多さは、会社の信用力につながります。少しでも信用力を上げたい場合、現物出資は出資金を増やせる一つの方法です。

また、節税につながるというメリットもあります。現物の時価が10万円以上で減価償却できれば、会社の現金を減らすことなく費用としての計上が可能です。費用として計上すれば、利益が減ることになり、その分法人税を減らせます。

現物出資を行うデメリット

現物出資を行うデメリットは、手続きに必要な種類を揃えるのに時間や手間がかかることです。現物出資の場合、定款に現物出資する人の氏名や住所、また現物の品名や製造会社などの細かい情報、現物の時価などを記載する必要があります。加えて、財産引継書や資本金の額の計上に関する証明書も揃えなければなりません。

もう一つのデメリットは、現物出資によって増額した出資金は使えないことです。会社経営を行う上で、現金の管理は重要です。現物出資した場合は、自由に使える現金をきちんと把握する必要があります。

調査報告書のひな型・テンプレート

調査報告書のひな型・テンプレート

調査報告書のひな型は、次のとおりです。会社設立時に現金が準備できない場合や増資したい場合は、次のひな型を活用するとよいでしょう。会社の実情にあわない場合は、実情にあうように記載の仕方を変更してください。

調査報告書の事項、書き方

調査報告書のひな型をご紹介しましたが、厳密な様式はありません。会社の実情にあうように作成できます。ただし、記載しなければならない事項があります。調査報告書の記載事項は、次のとおりです。

  • 現物出資の価値
  • 現物出資の履行完了
  • 設立に関する手続きが法令・定款に則っているとの表明

現物出資がいくつかある場合は、価値の事項のところに箇条書きで記載します。調査報告書には、会社設立時の取締役の記名押印が必要です。

調査報告書を作成するポイント

調査報告書を作成するときに重要となるポイントは、現物出資が適正な価額に見積もられているかどうかです。現物出資の価額が、定款に記載された価額と比べて大幅に低い場合は、その差額分を支払う義務を負います。

また、現物出資が500万円を超える場合は、検査役を選任して調査を行います。調査報告書にも、検査役の記名押印が必要です。

会社設立時に現物出資する場合は調査報告書が必要

会社設立時や増資の際に現物出資する場合は、調査報告書が必要です。調査報告書とは、現物の時価がいくらくらいなのかを証明する書類です。現物出資は出資金を増やせるメリットはありますが、さまざまな書類を揃えなければならず、時間や手間がかかります。会社設立する際、どうしても出資金を増やしたい場合は、現物出資という方法があると覚えておくとよいでしょう。


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