• 更新日 : 2022年11月21日

建設業向けERPシステムについてわかりやすく紹介

建設業向けERPシステムについてわかりやすく紹介

建設業向けERPとは、建設業界特有の会計処理や商習慣に対応した基幹業務システムパッケージです。この記事では、建設業向けERPの特徴や、導入するメリット、導入時の検討ポイントについて解説します。

ERP(統合基幹業務システム)とは

ERP(Enterprise Resource Planning)とは“企業資源計画”と訳され、企業全体の経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を統合的に管理して経営の効率向上を図るプロセスです。また、ERPを実現するためのソフトウェアパッケージ自体もERP(統合基幹業務システム)と呼ばれます。
ERPを活用すると、会計、調達、生産、販売など企業の根幹となる業務の情報を一元的に管理し、タイムリーに可視化できるため、迅速な経営判断が可能となります。

ERPについての詳細は、こちらの記事でも解説を行っていますのでご参照ください。

建設業界向けERPでできること

では、建設業向けERPは、汎用的なERP製品とどのような点が異なるのでしょうか。

建設業特有の会計業務に対応

建設業界では、一般的な商業簿記や工業簿記ではなく、「建設業会計」が適用されます。一つの工事が完了するまでに1年以上要することが多く、年単位で集計される一般的な会計処理制度が適用できないためです。また、複数の建設企業が、一つの建設工事を受注・施工するJV(ジョイントベンチャー)を採用するケースも少なくありません。そのため、複雑な会計処理にも対応する必要があります。
これまで、建設業特有の業務は人手で行うために手間がかかっていたり、専用のソフトウェアを用いることで情報が分散したりといった問題がありました。建設業界向けERPでは、そのような業界特有の業務に対応する機能を標準で備えています。

プロジェクト(工事)単位の採算データ可視化

労務実績・資材の調達実績・経費実績などを各プロジェクト軸で集計し、プロジェクト単位での採算をタイムリーに把握できます。実際に起こっている問題として、工事が終了するタイミングで原価が明確になり、実は赤字であったと判明するケースも少なくありません。現在の採算データだけでなく、工事完了時点の採算見込みも予測できるため、早期に対策を打てるようになります。

引き合いプロジェクトの管理と業績予測

引き合い段階から案件を登録し、その受注確度や進捗状況を管理できます。また、案件を受注した場合の売上・粗利の予測も可能です。工事完了まで年単位の期間を要することもあり、建設業の業績予測は簡単ではありません。しかし、建設業向けERPの予測機能を使えば、より採算の高い案件が事前に把握でき、営業力を集中投入するなど戦略的な営業ができるようになります。

建設業界でERPを活用するメリット

建設業界でERPを活用する主なメリットを解説します。

業務効率向上

複数の業務システムを組み合わせて使用していると、必要な情報を得るためにそれぞれからデータを抽出して加工する手間が発生します。また、同じデータをそれぞれのシステムに2重で入力しなければならないケースもあるでしょう。建設基幹業務に必要な機能がまとまったERPを利用すれば、複数にわたるデータ入力、データ収集などを削減し、業務効率化につながります。

赤字プロジェクトの早期発見

建設業向けERPは、プロジェクト単位での原価管理が容易であり、進捗度に応じて支出見込みも予測できるため、赤字プロジェクトを早期に発見できるのがメリットです。早期に赤字化の兆候を発見できれば、対策を十分に行うことができ、業績悪化を未然に防げる可能性があります。

月次・年次決算の早期化

各プロジェクトの原価実績に応じて、会計データを自動で生成できます。そのため、月次・年次決算の際に、複数のシステムから必要なデータを集めてエクセルなどで計算する手間が削減され、経営状況を早く・確実に把握できるようになります。

内部統制強化

営業部門や施工部門、管理部門などさまざまな部門から発生する情報を、ERPで統合的に管理できれば、内部統制の強化にもつながります。財務報告の信頼性向上、法令違反の回避、従業員の不正から会社の資産を守ることができるでしょう。

建設業でERP導入時に検討するべきポイント

建設業向けERPを導入する際に検討すべきポイントを解説します。

建設業界特有の業務に対応していること

前述した通り、建設業界には特有の会計処理や商習慣が存在しているため、標準機能で対応できるかどうかがポイントです。もし標準搭載されていなければ、大幅なカスタマイズが必要となり、導入期間も導入コストも増えてしまいます。建設業界特有の業務に標準機能で対応できる製品を選ぶようにしましょう。

自社の業態に合っていること

建設業向けのテンプレートを備えていても、自社の業態すべてに対応できるとは限りません。例えば、設備の保守や修理、リフォーム、建機レンタルなど、複数業態がある場合、それらすべてに対応できなければ、別々のシステムを利用する必要があり、経営状況をタイムリーに把握できなくなります。自社の業態に広く対応できるものを選ぶことが重要です。

変更対応が簡単にできること

ERP導入においては、可能な限り業務を標準化してカスタマイズ箇所を少なくし、導入期間・コストを抑えるのが望ましいと言われています。しかしながら、帳票や管理項目など、自社独自の業務要件は発生するものです。また、法規制など外部環境が変化する場合もあります。これらに対応するために都度システムを改修していては、コストがかさむうえ、システム全体が複雑化してしまいます。パラメータで柔軟に対応できるものなど、変更対応の柔軟性が高いものを選ぶべきでしょう。

提供形態(オンプレミス vs クラウド)

近年、ERPの提供形態はクラウド型、その中でもSaaS型の利用が増えています。SaaS型であれば、カスタマイズ性は低いものの、マシンの老朽化対策やソフトウェアのアップデートなど運用管理が不要となり、リソースを有効活用できます。
一方でオンプレミス型は、導入期間やコストはかかるものの、自社に合わせて機能を柔軟にカスタマイズできる点がメリットです。自社の業務要件やリソース状況に合わせて、最適なものを選択するようにしましょう。

課題にあったERPを導入して効率化を図ろう

建設関連企業においては、特殊な業務が多く情報がタイムリーに把握できない、事務処理に手間がかかるといった問題が発生しがちです。しかし、建設業向けに特化したERPを活用すれば、大幅なカスタマイズの必要がなく、簡単に業務の効率化が目指せます。今後、データに則して迅速な意思決定を行う重要性は増していきます。自社の情報活用上の課題を明確にした上で、課題にあったERPを導入しましょう。

よくある質問

建設業向けERPの特徴は?

建設業界特有の会計処理や商習慣に対応している点が主な特徴です。また、プロジェクト(工事)別の収支をタイムリーに把握でき、早期に対策が打てるため、業績悪化を未然に防ぐことが可能です。詳しくはこちらをご覧ください。

建設業がERPを選ぶ主なポイントは?

業界特有の業務に標準機能で対応できること、自社の業態(建設工事・リフォーム・設備の保守など)に対応できること、変更対応が簡単にできること、提供形態(クラウド/オンプレミス)が自社のニーズに合っていること などに留意しましょう。 詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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