- 作成日 : 2025年1月31日
研究への参加同意書とは?ひな形、例文をもとに解説
研究への参加同意書とは、研究に参加することやその条件について、参加者が同意を表明する書面です。研究を実施する企業は、参加者とのトラブルを防ぐために、きちんとした内容の同意書のひな形を準備しましょう。本記事では、研究への参加同意書の書き方やレビュー時のポイントを文言の具体例を示しながら解説します。
▼研究への参加同意書は以下より無料でダウンロードいただけます。
目次
研究への参加同意書とは?
研究への参加同意書とは、研究の参加者が、研究を実施する企業に対して提出する同意書です。同意書の提出により、参加者は研究に参加することや、その条件に関する同意を表明したことになります。
研究への参加同意書はなぜ必要か
研究への参加同意書には、研究を実施する企業と参加者の間のトラブルを防ぐ目的があります。
研究を実施する企業は、参加者から「研究の内容を詳しく知らなかった」「無理やり研究に協力させられた」などとクレームが来るかもしれません。
万が一、このようなクレームが来たとしても、同意書の提出を受けていれば、参加者に対してきちんと研究内容を説明したことや、参加者が納得したうえで研究に参加していたことなどを証明することができます。同意書に基づき、理不尽なクレームに対して適切に反論できるため、参加者とのトラブルの防止につながります。
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研究への参加同意書の交付を受けるべきケース
企業が研究への参加同意書の交付を受けるべきケースは、研究担当者以外の人が参加して研究を行う場合です。
外部から参加者を募集する場合だけでなく、自社の従業員を研究に参加させる場合にも、その従業員が研究担当者でなければ、研究への参加同意書の交付を受けましょう。
研究への参加同意書のひな形・例文
研究への参加同意書のひな形は、以下のページからダウンロードできます。実際に研究への参加同意書を作成する際の参考としてください。
研究への参加同意書に記載すべき内容
研究への参加同意書には、主に以下の事項を記載します。
- 研究への参加に同意する旨
- 研究の内容
- 研究参加の拒否・辞退に関する事項
- 研究参加中の注意事項(同意事項)
研究への参加に同意する旨
(例)
私は、以下の点について説明を受け、十分に納得した上で、貴社が行う〇〇に関する研究(以下「本研究」といいます。)に参加することに同意します。また、本研究への参加に当たり、下記の同意事項について同意します。
参加者が研究への参加に同意している旨を記載します。研究への参加の前提として、企業側から説明を受けて十分に納得している旨も記載しましょう。
また、研究を実施する企業は参加者に対して、後述する注意事項(同意事項)をきちんと説明し、参加者の同意を得る必要があります。注意事項(同意事項)について同意している旨も、研究への参加同意書に明記しておきましょう。
研究の内容
(例)
1 本研究の内容
(1) 研究の目的
……
(2) 研究の方法
……
(3) 研究への参加期間
○○○○年〇月〇日から○○○○年〇月〇日まで
実施する研究の内容として、目的・方法・参加期間などの情報を記載します。どのような研究が行われるのかを、わかりやすく具体的に記載することが大切です。
研究参加の拒否・辞退に関する事項
(例)
私は、本研究に自由な意思で参加するものです。私は、自由な判断により、本研究への参加をいつでも拒否または辞退できるものとします。
研究への参加は、参加者の自由な意思によるものです。そのことを確認するため、参加者の判断によって研究への参加をいつでも拒否・辞退できる旨を記載しておきましょう。
上記のような記載を入れておけば、参加者側の警戒心を解くことにもつながります。
研究参加中の注意事項(同意事項)
(例)
2 同意事項
(1)本研究に参加するにあたり、データの管理には細心の注意を払うことに同意します。
(2)その他の事項については、貴社との間で別途締結する研究契約の内容に従うことに同意します。
研究への参加にあたり、参加者が注意すべき事項と、参加者が注意事項に同意している旨を明記しましょう。
注意事項の内容は、研究の目的や内容などによって異なります。上記では、データの管理を一例として挙げていますが、具体的な記載内容は個別にご検討ください。
研究への参加同意書にハンコ(印鑑)は必要か?
研究への参加同意書には、参加者に押印してもらうことが望ましいでしょう。参加者の印章によって押印がなされていれば、研究への参加同意書が真正に成立したことが推定されます(二段の推定)。
ただし押印と同じく、参加者の署名によっても、研究への参加同意書が真正に成立したことが推定されます。署名と押印を両方してもらった方がより確実ですが、参加者側の負担軽減を考慮して、署名だけで済ませることも考えられるでしょう。
研究への参加同意書の交付を受ける際の注意点
研究を実施する企業が、参加者に対して研究への参加同意書の提出を求める際には、特に以下の2点に注意しましょう。
- 研究参加中の注意事項は、研究内容に応じて個別に検討すべき
- 同意書の内容は、研究参加者に対して丁寧に説明すべき
研究参加中の注意事項は、研究内容に応じて個別に検討すべき
研究の内容は多種多様であるところ、参加者に対して注意を促すべき事項は研究内容によって異なります。本記事で紹介している文例に限らず、研究内容に応じて参加同意書に記載する注意事項を個別に検討しましょう。
同意書の内容は、研究参加者に対して丁寧に説明すべき
研究参加者とのトラブルを予防する観点からは、同意書の内容を丁寧に説明することが大切です。
同意書に記載された事項については、原則として参加者は同意しているものとして取り扱われます。研究参加者によって訴訟が提起されても、参加同意書を裁判所に提出すれば、同意の存在が認定されるでしょう。
しかし、研究参加者からクレームを受けると、その対応自体に多大なコストや労力を費やすことになってしまいます。企業としては、できる限りクレームを受けることがないように、研究参加者の理解と納得を得るよう努めましょう。
具体的には、参加同意書の内容を読み合わせて、研究参加者の質問を受け付けるなどの対応が考えられます。また、参加同意書だけでなく、研究内容や参加に当たっての注意事項をまとめた資料を別途準備し、研究参加者に交付することも考えられるでしょう。
研究への参加同意書の保管期間や保管方法
研究を実施する企業が参加者から提出を受けた同意書は、参加者とのトラブルが発生することを想定して、きちんと保管しておくべきです。
研究への参加同意書の保管期間については、行政や業界団体が定めたガイドラインがあれば、その定めに従いましょう。特に定めがない場合は、少なくとも10年間は保管しておくことが望ましいといえます。
研究への参加同意書の保管にあたっては、紛失したり、改ざんされたり、個人情報が流出したりすることがないように注意しなければなりません。
紙の参加同意書の提出を受けた場合は、鍵のかかるキャビネットなどに保管したうえで、鍵を厳重に管理しましょう。電子データで参加同意書の提出を受けた場合は、アクセス権とパスワードを適切に設定して、データにアクセスできる人を必要最小限に限定すべきです。
研究への参加同意書の電子化は可能?
研究への参加同意書は、電子化することもできます。
ただし、電子データで作成される参加同意書には、本人に署名や押印をしてもらうことができません。間違いなく本人が作成したものであると証明できるように、参加同意書の電子データには電子署名をしてもらいましょう。
研究への参加同意書に電子署名を付すメリットと方法
パスワードなどを適正に管理することにより、本人だけが行うことができる電子署名が付されていれば、その電子データは真正に成立したものと推定されます(電子署名法第3条)。
仮に研究参加者が参加同意書データの偽造や改ざんを主張してきても、その合理的な根拠が提示されなければ、参加同意書は有効なものとして取り扱われます。
電子署名は、電子契約サービスを利用すると簡単な操作で行うことができます。「マネーフォワード クラウド契約」などをご利用ください。
紙の参加同意書をスキャンして電子化するのはOK?
研究への参加同意書を電子化する際には、まず紙で参加同意書を提出してもらい、それをスキャンしてデータ化する方法も考えられます。
ただし、署名や押印によって真正に成立したことが推定されるのは、紙の参加同意書の原本のみです。スキャンした後で参加同意書の原本を破棄してしまうと、スキャンデータは真正に成立したことが推定されません。
研究参加者との紛争が発生し、スキャンデータの偽造や改ざんなどを主張された場合は、参加同意書の原本が真正に成立したことを企業側で立証しなければなりません。このような事態を防ぐため、紙の参加同意書をスキャンしてデータ保存する場合でも、原本は破棄せず保管しておきましょう。
研究への参加同意書はトラブル防止に有用|内容は個別に検討しましょう
企業が研究への参加者を募る際には、研究参加者とのトラブルを予防するため、参加同意書を提出してもらいましょう。
参加同意書の読み合わせなどを行いながら、研究内容や注意事項などを説明すれば、参加者の理解と納得が得られてトラブルの予防につながります。仮に研究参加者からクレームを受けたとしても、署名・押印または電子署名が付された参加同意書があれば、企業側にとって有利な解決が期待できます。
研究への参加同意書の具体的な内容は、本記事で紹介した文例を参考にしつつ、研究の内容や特徴などを踏まえて個別にご検討ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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