- 更新日 : 2024年12月12日
アルコールチェック表とは?作成の流れや無料のテンプレートも紹介
2022年4月の道路交通法改正により、安全運転管理者を選任しているすべての企業が運転者に対してアルコールチェックを行うことが義務化されました。アルコールチェック義務は、事業所における飲酒運転の防止を目的とし、チェック結果を記録・保存することが求められています。この記事では、アルコールチェック表の作成方法や罰則の有無などを詳しく解説します。
目次
アルコールチェック表とは
アルコールチェック表とは、アルコールチェックの結果を記録した表のことです。2022年4月の道路交通法改正によって、安全運転管理者を選任しているすべての企業に対してアルコールチェックが義務付けられるようになりました。以前はアルコールチェックや点呼が緑ナンバーにのみ適用されていましたが、現在は白ナンバーの車を一定数以上使用している事業者にも対象が拡大しています。
ここではアルコールチェックの義務化の背景やアルコールチェック業務の内容、対象となる企業について解説するので、一度確認しておくとよいでしょう。
出典:警察庁「飲酒運転には厳しい行政処分と罰則が!」
アルコールチェック義務の背景
道路交通法改正によるアルコールチェックが義務化されたのは、2021年6月に千葉県八街市で発生した大型トラックによる飲酒運転事故が発端となっています。
この事故では下校中の小学生の列に大型トラックが突っ込み、児童2人が死亡・3人が大けがを負いました。事故の原因は日常的に飲酒運転をしていたというドライバーの酒気帯びおよび居眠りであり、危険運転致死傷の罪に問われたドライバーは懲役14年の判決が確定しています。
その後も飲酒運転が原因の事故は後を絶たず、根絶に向けた効果的な取り組みの実施が課題となっています。
2021年6月の死傷事件を受け、国は飲酒運転対策を強化するためにアルコールチェックを義務化しました。死傷事件が発生した千葉県では、飲酒運転にかかわった飲食店にも罰則を科すことなどを条例に盛り込んだほか、警察による取り締まりを強化するなどの対策を進めています。
アルコールチェック義務の内容
2022年4月の第1段階では、安全管理者が運転前後のアルコールチェックをドライバーに対して目視で行い、記録を管理して1年間保存することが義務化されました。目視確認はオンライン・オフラインどちらでもよく、アルコール検知器(アルコールチェッカー)の使用も第1段階の時点では義務付けられていませんでした。
アルコール検知器を用いたアルコールチェックが義務化されたのは、2023年12月です。第2段階として、ドライバーの酒気帯びの有無をより正確に測定することが義務付けられました。また、アルコールチェックを正確に実施するために、アルコール検知器の定期的な点検も行う必要があります。
出典:e-Gov 法令検索「道路交通法施行規則」
アルコールチェック義務対象の企業
下記2つの条件のうちいずれかを満たす企業は、アルコールチェック義務化の対象となります。
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上記の条件において車種や車両の用途は問わず、黄色ナンバーの軽自動車も例外ではありません。道路交通法では、上記の条件に当てはまる車両を保有する団体は「安全運転管理者選任事業所」と定められています。業種にかかわらず、事業所や営業所ごとに安全運転管理者を選任し、点呼とアルコールチェックを行うことが義務付けられます。
出典:e-Gov 法令検索「道路交通法施行規則」
アルコールチェック表を作成する企業がすること
アルコールチェック表の作成にあたっては、企業は下記の3点を実施する必要があります。
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それぞれのポイントについて詳しく解説するので、アルコールチェックの際の参考にしてください。
安全運転管理者を選任する
アルコールチェック義務対象の企業は、事業所や営業所ごとに安全運転管理者を選任する必要があります。安全運転管理者の要件は下記の2点です。
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企業は安全運転管理者を選任した際、選任した日から15日以内に、都道府県公安委員会に届け出を行わなければなりません。
出典:警察庁「安全運転管理者制度の概要」
安全運転管理者の業務は下記の通りです。従来の業務に加えて、アルコールチェックの実施と記録・保存が義務付けられています。
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出典:警視庁「安全運転管理者等講習について」
アルコール検知器を手配する
アルコール検知器は、下記のポイントを確認しながら、事業所のニーズに合わせて選択するとよいでしょう。
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アルコール検知器は、製品によってセンサーの種類やアルコールの測定方法などが異なります。例えば、検知器本体に息を吹きかけるタイプや、ストロー・マウスピースなどを用いて呼気を測定する方法などさまざまです。また、製品によっては計測結果をデジタルデータで管理できたり、アプリなどと連携して管理できたりするものもあります。
記録の保持体制を構築する
アルコールチェックを実施するだけではなく、記録を1年間保存することも重要です。アルコールチェック表を準備し、確実に記録・保持するための体制を組織全体で協力しながら構築しましょう。
なお、アルコールチェック表の形式は紙・データのどちらを選んでも問題ありません。紙の場合はファイルや保管庫を、データの場合は専用の格納場所を準備し、適切に保管・管理してください。
また、アルコールチェック自体の管理体制を整えることも大切です。安全運転管理者に任せきりにするのではなく、ドライバー自身を含めた全員が責任を持って、安全な運転を心掛けましょう。
公的機関のアルコールチェック表のテンプレート
アルコールチェック表をどのような形式で作ればいいか、また何を記載すればよいのか分からない方もいるのではないでしょうか。アルコールチェック表は、国土交通省や各都道府県の安全運転管理者協会のホームページからテンプレートをダウンロードできます。
どのようなアルコールチェック表にすればよいのか悩んでいる場合は、以下のリンク先のテンプレートを活用または参考にするとよいでしょう。公的機関のテンプレートなので、必須項目の記載が漏れる心配がなく安心です。
アルコールチェック表の無料テンプレート
アルコールチェック表は決められた様式がなく、自社で独自の様式を作成したり、公的機関以外のテンプレートを活用したりもできます。マネーフォワード クラウドではアルコールチェック表のテンプレートも取り扱っているので、下記のリンクからチェックしてみてください。
アルコールチェック表を作成する流れ
アルコールチェック表を作成する流れは、大まかに下記の3つのステップに分けられます。
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それぞれのステップについて詳しく解説します。
運転前後にアルコールチェックをする
アルコールチェックは運転前後の実施が不可欠です。ただし、個々の運転の前後に都度行う必要はありません。運転を含む業務の開始時間や出勤のタイミング、業務終了後や退勤時などに行うとよいでしょう。
アルコールチェックを目視で実施する際には、ドライバーについて下記のポイントを確認する必要があります。
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また、アルコール検知器を使ったアルコールチェックも必要です。対面の場合はアルコール検知器での測定とともに、目視による確認も行うとより確実にドライバーの酒気帯びを防げます。
アルコールチェックを非対面で実施する場合では、目視による確認が困難です。しかし、カメラや電話などを利用して、顔色や声の調子といったドライバーの状態を可能な限り確認することが推奨されています。カメラや電話はなりすましなどの不正防止にもつながるため、非対面でのアルコールチェックの際には利用を検討してください。
記載内容・項目を確認して記録する
アルコールチェックを実施したら、都度必要な項目を確認・記録します。ドライバーの氏名やアルコール検知器での測定結果だけではなく、以下8つの記載内容をすべて確認し、記録することが大切です。
【アルコールチェック表の記載内容】
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運転を行う従業員全員に対して、上記の項目をチェックし、記録は1年間保管しましょう。
アルコールチェック表の様式に定めはなく、管理方法もアナログ・デジタルを問いません。しかし、紙のアルコールチェック表に手書きで記録するアナログな管理方法は、日々記録を行うドライバーと記録をまとめる管理者双方への負担が大きくなります。必要以上に負担が大きい業務は形骸化につながる可能性があるため注意が必要です。
1年間保管ができる保存方法を選ぶ
アルコールチェック表の保存方法には定められたルールがありません。一般的な保存方法は主に3種類で、それぞれ以下のような特徴があります。
デジタル機器を使い慣れていないドライバーでも簡単に記録できる方法です。ただし、保管場所が必要になるほか、必要な資料をすぐに探しにくいなど、デメリットも多い方法と言えます。
パソコンでExcelなどを用いれば少ない労力で記録・保管できる一方、パソコンの故障やサーバーダウン、停電などに弱い点には注意が必要です。
スマホアプリなどを使ってクラウドで記録する場合、記載漏れの心配が少なく、測定結果をリアルタイムで確認できる点が大きなメリットです。ただし、通常は導入・運用にあたって一定のコストがかかります。 |
アルコールチェック表は1年間の保存義務があるため、期間中紛失することなく、必要な時にすぐに情報を提供できる形式を選ぶことが大切です。
アルコールチェック義務には罰則がある?
アルコールチェック義務を怠った場合には罰則があるので注意しましょう。まず、安全運転管理者や副安全運転管理者を選任しなかった場合は50万円以下の罰金が、選任の届け出をしていなかった場合は5万円以下の罰金が科せられます。
出典:警視庁「安全運転管理者等法定講習」
従業員が飲酒運転をしてしまった場合にも厳しい罰則が定められています。基準や罰則は「酒気帯び運転」か「酒酔い運転」によって異なるため、以下の内容を一度確認しておくとよいでしょう。
酒気帯び運転の基準・罰則
酒気帯び運転は、呼気1L中から検出されたアルコールの濃度によって、罰金・罰則と行政処分が以下のように定められています。
| 呼気1L中のアルコールの濃度 | ドライバーの罰則 | 行政処分 |
|---|---|---|
| 0.15mg以上0.25mg未満 | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 | 免許停止90日 |
| 0.25mg以上 | 免許取消(欠格期間2年) |
出典:警察庁「飲酒運転には厳しい行政処分と罰則が!」
酒酔い運転の基準・罰則
「酒酔い」とは、アルコールの影響によって車両を正常に運転できない恐れがある状態のことです。酒気帯び運転とは違って検出されるアルコール量の区分はなく、酒気帯び運転よりも重い罰則や行政処分が定められています。
酒酔い運転を行った場合のドライバーの罰則は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金です。また、免許取消(欠格期間3年)の行政処分を受けることになります。
出典:警察庁「飲酒運転には厳しい行政処分と罰則が!」
アルコールチェック表を作成する流れやルールを確認しよう
近年、企業における飲酒運転対策が強化され、2022年の道路交通法改正によりアルコールチェックの義務化が進みました。法改正に伴い、安全運転管理者を選任しているすべての事業者は運転前後にアルコールチェックを行い、結果を記録・保管する必要があります。適切な管理者の選任やアルコール検知器の活用に加え、正確な記録の保持が求められるので、アルコールチェック義務の基礎知識や表を作成する流れやルールなどを確認しましょう。
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