• 作成日 : 2025年11月25日

ワークフローとは？基本の作り方やコツ・注意点・便利なツールを紹介

ワークフローは、業務の手順や担当者、必要情報の流れを整理し、作業を正確かつ効率的に進めるための基盤となります。業務の流れを図として可視化しておくことで、誰がどの工程を担当し、どの順序で作業が進むのかが明確になり、共通認識が生まれるでしょう。

当記事では、ワークフローの基本構造から具体的な作り方、理解しやすく仕上げるためのコツ、効率化に役立つ便利ツールなどを分かりやすく解説します。業務改善を進めたい方はぜひご覧ください。

ワークフローとは？

ワークフローとは、業務の手順や担当者、必要な情報の流れを整理し、作業の進み方を分かりやすく示す仕組みです。業務を図で表すことで、誰がどの工程を担うのか、次に何を行うべきかが明確になり、作業の迷いや手戻りを減らせます。

特に、複数の部署が関わる業務では、工程ごとの役割や必要な書類が可視化されることで、進捗管理がしやすくなり、引き継ぎもスムーズになります。また、新しく業務に参加するメンバーにとって理解の土台ができるため、教育コストの削減にもつながります。

業務全体を俯瞰しやすくなるため、改善ポイントの発見にも役立つ点がワークフローの大きな強みです。

ワークフローが必要になる場面

ワークフローが必要になるのは、業務の流れが複雑になったり、担当者ごとに手順が異なったりして作業にムラが生じている場面です。特に、口頭での引き継ぎが中心になっている業務や、複数の関係者が関わる手続きでは、工程が見える化されていないことで遅延や抜け漏れが起きやすくなります。

ワークフローを整理すると、担当者が迷わず作業できるだけでなく、業務全体のボトルネックを把握しやすくなり、組織としての効率向上につながります。

ワークフローの作り方

ワークフローを整備する際は、最初に目的を整理し、その上で関係者やタスクを具体化しながら、必要な情報や工程を順番に配置していくのがおすすめです。段階を踏んで作成することで、現場でも使いやすく、改善に生かしやすいワークフローが完成します。

ここでは、ワークフローの具体的な作り方を解説します。

STEP1：ワークフローの目的を定める

ワークフロー作成では、最初に「何のために可視化するのか」という目的を明確にすることが欠かせません。目的が曖昧なまま作業を進めると、工程の粒度がバラつき、利用しにくいチャートになってしまいます。「作業の抜け漏れを防ぎたい」「承認の滞留を減らしたい」「引き継ぎをスムーズにしたい」など、現場の課題を具体的に整理することで、図に落とし込むべき要素が自然と定まるでしょう。

また、目的に応じて着目するポイントも変わります。承認の遅延が課題なら承認者の役割とルート、情報の不足が課題なら必要書類や入力項目が重要です。最初に目的を定めておくと、後の工程で迷いや重複をなくすための基盤になります。

STEP2：関係者・役割・タスクを洗い出す

目的が定まったら、業務に関わる関係者や役割、具体的なタスクを細かく整理します。業務は複数人が関わるほど工程の抜け漏れが起きやすいため、実際の担当者にヒアリングしたり、既存のマニュアルを確認したりしながら、実態に沿った情報を集めましょう。「誰が」「いつ」「何をするのか」を1つずつ書き出し、担当者ごとに作業を分類していくと、後の工程で流れを整えやすくなります。

また、想定外の裏作業や例外対応が存在するケースも少なくありません。こうした作業を含めて洗い出すことで、現場の実態とフローの整合性を保てます。

STEP3：必要な書類・情報をリストアップする

タスクが整理できたら、業務に必要な書類や情報を一覧化します。請求書、申請書、チェックリスト、社内システムのデータなど、工程で使用する情報をすべて書き出し、どの段階で誰が扱うのかを明示します。さらに、情報の入手先や承認に必要な条件を把握しておくと、図解した際の整合性が高まります。

このときに、書類の形式や保管場所などを確認しておくと後の運用で混乱を防ぐのに役立ちます。

STEP4：業務の流れを図解する

書き出したタスクや書類を基に、業務の流れを図として整理します。図解すると、工程の順序や担当範囲、情報の受け渡しなどが一目で分かるようになり、視覚的な理解が進みます。

一般的には、矢印や四角形、分岐を示す記号などを使って、時系列に沿って整然と並べる方法が使われます。工程の分岐や例外処理がある場合は、分岐点を明示し、どの条件でどのルートへ進むのかを示しましょう。また、図が複雑になりすぎる場合は、主フローとサブフローを分けて表記する方法も効果的です。

業務全体の整合性を意識しながら図解することで、現場の誰が見ても理解しやすく、日常の業務で使いやすいワークフローになります。

STEP5：作成したワークフローを説明・共有する

図解が完成したら、関係者に説明し、共通認識として整えます。ワークフローは作って終わりではなく、実際に使われてこそ価値を持ちます。担当者が自分の役割や作業手順を正しく理解できるよう、背景にある目的や図の読み方を丁寧に説明しましょう。

説明の場では、現場から改善案が出ることも多いため、フィードバックを受け取りながら必要に応じて調整します。最終的には日常の業務で迷わず使える状態を目指し、定期的に内容を見直しながら、組織全体で活用できるワークフローへと育てます。

ワークフローの作り方に関するコツ

ワークフローは、工程を正しく整理するだけでなく、誰が見ても理解しやすい形に仕上げる必要があります。承認ルートの把握、時間軸の統一、情報量の最適化など、いくつかの工夫を加えることで、ワークフローはさらに実用的になるでしょう。ここでは、ワークフローの作り方のコツを具体的に解説します。

承認フローの構造を先に理解する

承認フローは「申請」「承認」「処理」「完了」という流れを軸に構成されますが、実務では複数の承認段階や条件分岐が存在するため、まずは全体像を把握しておく必要があります。各部署がどのタイミングで関わるのか、承認が1段階なのか多段階なのか、差し戻しがどの場面で発生するのかなどを明確にしておくと、図面化したときの破綻を防げます。

また、通常フローだけでなく、例外対応の有無も確認しておくと現場との齟齬が生じづらくなります。承認の仕組みを正しく理解してから図解に移ることで、後から修正が必要になるリスクを減らし、実際の業務に沿った精度の高いワークフローに仕上がります。

時間の流れは一方向に揃える

ワークフローを読みやすくするためには、工程を時間の流れに沿って一方向へ揃えることが欠かせません。左右や上下に行き来する図は理解を妨げ、担当者が次に何をすべきかを判断しにくくなります。一般的には、左から右、または上から下へ流れるレイアウトが分かりやすく、工程の前後関係を自然に理解できます。

また、差し戻しのような逆方向の矢印が多すぎると図全体が混乱するため、必要最低限に留めることが大切です。条件分岐がある場合も、分岐後の軌道を平行に保つことで、視線の移動がスムーズになります。

時間軸が整うと、フロー全体が1つのストーリーとしてまとまり、初めて業務に触れる担当者でも迷わず読み進められるワークフローになります。

視覚的な分かりやすさを最優先にする

ワークフローは「見た瞬間に内容をつかめること」が大切です。工程数が多いほど複雑に見えやすいため、視覚的な整理を意識して作成しましょう。

担当者ごとにレーン（スイムレーン）を分けて配置する、工程のまとまりごとに余白を設けて視認性を高める、同じ種類の作業は形状や配置を統一するなど、できる工夫はさまざまです。図としての整合性を高めると、文字情報に頼らず業務の流れを把握でき、教育や説明の場面でも活用しやすくなります。

文章ではなく記号・図形を主体に簡潔に示す

ワークフローに文章を詰め込みすぎると、読みにくくなり、図としての役割が薄れてしまいます。工程名は短い語句にまとめ、詳細説明は別資料に切り分ける方法が効果的です。

また、文章が減ることで図の密度が下がり、工程間のつながりが見えやすくなります。情報を詰め込むのではなく、最低限の語句と記号で流れを表現する意識を持つことが大切です。簡潔な表現は、ワークフローの理解スピードを大きく引き上げます。

余計な情報は削ぎ落とし短くまとめる

ワークフローは必要な情報を整理する場なので、すべての情報を書き込む必要はありません。補足説明や細かな注意点を図に入れすぎると、視認性が下がり、重要な工程が埋もれてしまいます。そのため、図には「業務の流れを理解する上で欠かせない情報」のみを残し、細部はマニュアルやチェックリストで補う構成を意識しましょう。

特に、大規模な業務で工程が多い場合は、レベルを分けて主フロー（主要工程）とサブフロー（詳細工程）を分割すると、把握しやすさが向上します。図を簡潔にまとめることで、関係者との認識の溝が生まれにくくなり、改善提案もしやすくなります。

色分けは意味を持って効果的に使う

色分けは情報を整理する強力な手法ですが、目的を持って使わなければかえって混乱を招きます。たとえば、担当者ごとに色を変える、工程の種類ごとに色を統一するなど、色に役割を持たせることで図の理解が進みます。一方で、色数が多すぎると視覚的な負担が大きくなるため、3～4色程度に抑えるのが適切です。

また、背景色を濃くしすぎると文字が読みにくくなるため、淡いトーンを選ぶとバランスが取れます。色分けのルールを冒頭に簡潔に示しておくと、初見の人でも迷わず読み進められます。色を効果的に活用し、工程の違いや担当範囲がひと目で伝わるワークフローを作りましょう。

ワークフローの作成で便利なツール

ワークフローはデジタルツールを使うことで効率的に作成できます。Excelのような汎用ツールだけでなく、専用システムや描画ツールなど、利用できるツールには幅広い選択肢があります。ここでは、ワークフロー作成に役立つデジタルツールを紹介するので、業務内容や組織の規模に合わせて最適なものを選びましょう。

Excel

Excelは、多くの企業で利用されている汎用ツールで、ワークフローの作成にも活用しやすい点が特徴です。セルを使って工程を並べたり、図形や矢印で流れを示したりすることで、シンプルなフローチャートを作成できます。既に社内で普及しているため、新しいツールを導入する必要がなく、関係者との共有が容易です。テンプレートも豊富なので、フォーマットの統一や作成時間の短縮にもつながります。

さらに、Excelはデータ入力や表形式との相性が良く、工程ごとの担当者、期限、必要書類などを一覧化しやすく、図と表を組み合わせた実務向けの管理資料にも発展させられます。学習コストが低く、使い慣れている従業員も多い点が、Excelをワークフロー作成の候補として挙げられる理由です。

ワークフローシステム

ワークフローシステムは、申請から承認、処理までの流れをデジタル化し、業務プロセスの自動化を支援できる専用ツールです。ドラッグ＆ドロップで工程を配置できるため、複雑なフローでも直感的に作成できます。

また、承認ルートの自動設定や、担当者に対する通知機能、ログ管理などの仕組みが備わっており、作成したフローをそのまま日常業務に組み込めます。手書き図面と違って改修もしやすく、組織のルール変更にも柔軟に対応できます。実務と連動させながらワークフローを運用したい場合に最適な選択肢です。

描画ツール

描画ツールは、図形・線・色分けを使って視覚的に分かりやすいワークフローを作成できるツールです。代表的な例には、Microsoft Visio、Lucidchart、Miro、Figmaなどがあり、直感的な操作で複雑な工程も整理しやすい仕組みが整っています。オンラインで共同編集ができるツールを選べば、部署間で意見を取り入れながらフローを洗練できます。

また、テンプレートが豊富に用意されているものも多く、レイアウトを自分で一から作る負担を減らせます。見た目の整った図を作るのに適しており、プレゼン資料や社内マニュアルへの流用もしやすいでしょう。図面の読みやすさを重視したい場合や、複雑なフローを整理したい場面で特に効果を発揮します。

使いやすく改善しやすいワークフローの作り方

ワークフローは、業務の手順・役割・情報の流れを整理し、作業の迷いを取り除くための仕組みです。目的の明確化や関係者の洗い出し、工程の図解といった基本ステップを押さえることで、現場で運用しやすいフローを整備できます。

Excel・ワークフローシステム・描画ツールなどを活用すれば、効率的に作成し、運用と改善の両方に役立てられます。業務が複雑化するほど、ワークフローの整備は組織の生産性と品質を支える土台になります。自社の実態に合わせて継続的にワークフローを改善し、日々の業務で活用できる仕組みとして育てましょう。

• 監修：マネーフォワード クラウド

  マネーフォワード クラウド 業務効率化の基礎知識 編集部では、業務効率化や生産性向上のノウハウ、クラウドツールの使い方など、ビジネスシーンで役立つ基礎知識をご紹介しています。