• 更新日 : 2025年3月21日

キッチンカーの営業許可を取得するには?保健所では何を見られる?

こちらの記事では、キッチンカーの運営に必要な資格と許認可から、営業許可検査で主に見られる項目まで、詳細に解説しています。営業に必要な資格には、営業許可、地域での許可、食品衛生責任者資格が含まれ、検査ではタンクの容量や洗浄設備、換気などがチェックされます。また、移動販売を成功させるための注意点として、立地選定、設備のメンテナンス、メニューの工夫、マーケティング戦略、顧客対応についても触れています。

キッチンカーに必要な営業許可・資格・許認可

キッチンカーを運営するには、さまざまな資格や許認可が必要です。これらの要件を満たすことで、安全に、そして法令にのっとって営業を行うことができます。ここでは、キッチンカー営業に必要な主な資格と許認可について詳しく説明しましょう。

飲食店営業許可

キッチンカーを営業するためには、飲食店営業許可が必要です。飲食店営業許可とは、飲食店を運営するために必要な公的な許可証であり、自分が出店を予定している地域ごとに取得しなければなりません。

営業許可を取得するためには、以下のステップを踏む必要があります。

  1. 申請書の提出
    出店予定地域の保健所に、営業許可申請書を提出します。この申請書には、キッチンカーの運営に関する基本情報を記入する必要があります。
  2. 営業許可の条件の確認
    営業許可を取得するためには、保健所の定めた基準を満たさなければなりません。これには、設備の衛生状態や調理器具の管理方法などが含まれます。
  3. 検査の受検
    申請後、保健所の担当者がキッチンカーを実地検査します。検査では、食品衛生基準や設備の適正が確認されます。
  4. 許可証の取得
    検査通過後、営業許可証が交付されます。これにより、正式にキッチンカーでの営業が可能です。

出店地域の保健所などでの営業許可

キッチンカーも飲食店に該当するため、保健所から営業許可を取得する必要があります。それ以外にも出店する施設や地域によっては許可が必要な場合がありますので、事前に確認しておきましょう。他にも出店地域ごとに異なるルールや許可を設けている場合があるため、こちらも確認することが大切です。

  1. 条例や営業許可の手続き
    営業許可を取得する場合は、その店舗が都道府県の定める基準を満たす必要があります。営業を行う都道府県の条例や営業許可の取得までの手続きについて把握しておきましょう。
  2. 地域のルールの確認
    出店する地域によって、キッチンカーの営業に関するルールが異なります。例えば、駐車場所や営業可能な時間帯などの規制があるので、詳細の確認は必要です。
  3. 地域の許可申請
    特定の地域で営業を行う場合、その地域の管理者からの許可が必要なケースがあります。地域によっては、専用の申請フォームや手続きが用意されていることもありますので、事前に確認しましょう。
  4. 地域との契約
    一部の地域では、出店に関する契約を結ぶ必要があります。契約内容には、営業エリアや料金、営業条件などが含まれているのが一般的です。

食品衛生責任者資格

前述の営業許可を取得するためには食品衛生責任者を選任します。食品衛生責任者資格は、食品を扱う業務において必須の資格です。この資格を取得することで、食品衛生の知識を持ち、適切な管理を行うことが求められます。

  1. 資格取得の方法
    食品衛生責任者資格は、食品衛生責任者養成講習を受講することで取得可能です。この講習では、食品衛生に関する基本的な知識や実践的な管理方法が教えられます。
  2. 資格の有効性
    食品衛生責任者資格を持っていることが、飲食店営業許可取得の条件となります。食品衛生責任者資格は、有効期限が定められていないため、一度取得すると更新は不要です。
  3. 資格の提出
    営業許可の申請時に、食品衛生責任者資格の証明書を提出する必要があります。この資格がないと、営業許可が下りないことがあるため、事前に取得しておくことが重要です。

キッチンカーの営業を成功させるためには、これらの資格や許認可を正しく取得し、遵守することが大切です。

キッチンカーの営業許可を取得する方法

特にキッチンカーを開業するうえで重要なのは営業許可です。ここからは営業許可を取得するまでの流れについて見ていきましょう。

保健所に営業許可の事前相談をする

まずは所管する保健所にキッチンカーの図面などを持参して事前相談をしましょう。担当者が施設基準に合致しているかどうか確認し、基準に満たない場合はどのように改善すべきか助言をもらえることがあります。営業許可を取得するうえで不安や疑問に思われていることは遠慮なく相談しましょう。

合格基準を満たしたキッチンカーを準備する

図面や都道府県の条例、事前相談で得た助言をもとに、キッチンカーを調達します。調達し、準備したあとに再度基準を満たしているかを確認しましょう。

営業許可の申請に必要な書類を準備する

営業許可申請のためには「営業許可申請書」「食品衛生責任者の資格を証明する書類」という2点の書類が必須となるため、作成しましょう。詳しい内容は後ほどご説明します。また、これら以外にも営業設備の配置図、登記事項証明書(法人の場合のみ)、水質検査成績書(貯水槽使用水、井戸水を使用する場合のみ)などが必要になります。必要となる書類は保健所によって異なるので、事前相談の際に確認されることをおすすめします。

保健所にキッチンカーを持ち込んで検査を受ける

営業許可を取得するためには設備が申請通りであるか、基準に合致しているか、保健所から確認を受けなければなりません。通常の飲食店であれば保健所職員がお店に出向きますが、キッチンカーの場合は保健所に直接持ち込みます。

設備が申請と異なっている場合や、基準を満たしていない場合は再検査となり、合格した場合は後日営業許可書交付予定日が通知されます。

キッチンカーの営業許可取得に必要な書類

営業許可の申請には「営業許可申請書」と「食品衛生責任者の資格を証明する書類」という2種類の書類が必須です。それぞれどのようなものなのか把握しておきましょう。

営業許可申請書

営業許可申請書とは、保健所長に対して営業許可を申請するための書類です。申請者・届出者の氏名や住所などの情報、施設(キッチンカーや店舗)の名称や所在地、食品衛生責任者の氏名や保有資格に関する情報、営業形態に関する情報などの項目を記載します。営業許可申請書のフォーマットは各都道府県もしくは市区町村のホームページよりダウンロード可能です。また、窓口での申請だけでなく、食品衛生申請等システムによる電子申請も可能です。

厚生労働省「食品衛生申請等システム」

https://ifas.mhlw.go.jp/faspte/page/login.jsp

食品衛生責任者の資格を証明する書類

前述の通り、飲食店やキッチンカーには食品衛生責任者を置かなければなりません。食品衛生責任者手帳や食品衛生責任者養成講習会の修了証、調理師免許状など、資格を取得していることを証明できる書類を持参しましょう。なお、後述のように「施設の構造及び設備を示す図面」「水質検査結果書(飲用に適する水使用の場合)などの添付も必要となります。

キッチンカーの営業許可検査で主に見られる項目

キッチンカーで営業を行う際には、保健所による営業許可検査が必要です。この検査では、食品の安全性や衛生管理が適切に行われているかがチェックされます。ここでは、営業許可検査で主に見られる項目について詳しく説明します。

給水・排水タンクの容量

キッチンカーには、調理や清掃に必要な水を供給するためのタンクが装備されています。検査では、食品衛生法施行規則別表第20(令第35条第1号)にのっとり自動車において調理する場合のタンクの容量が適切であるかが確認されます。

  1. 給水タンクの容量
    給水タンクの容量は、調理や清掃に必要な水を十分に供給できるサイズでなければなりません。
  2. 排水タンクの容量
    排水タンクも同様に、給水タンクの容量に見合ったサイズでなければなりません。排水タンクが小さいと、定期的な排水作業が必要となり、営業に支障をきたす可能性があります。

洗浄・消毒設備

キッチンカーでの調理は、こまめな衛生管理が非常に重要です。そのため、洗浄・消毒設備が整っているかどうかが検査の段階で重点的に見られます。

  1. 手洗い設備
    調理前や調理中に手を清潔に保つための手洗い設備が必要です。手洗い用の石鹸と水が常に供給されることが求められます。
  2. 器具洗浄設備
    調理器具や食器を洗浄するための設備も必要となっているため、洗浄槽や消毒用の設備が適切になされているかどうかを確認されます。

換気

換気は、調理中に発生する煙や臭いを適切に排出するために重要な装置です。換気設備が十分に機能しているかどうかが検査のポイントとなります。

  1. 換気扇の設置
    換気扇や排気設備が設置されているか、またその能力が十分であるかが確認されます。換気扇の設置位置や性能もチェックの対象です。
  2. 換気の効率
    効率的な換気と、煙や臭いが適切に排出されているかどうかも確認されます。換気が不十分な場合、衛生面や営業に支障をきたす可能性があります。

調理スペース

調理スペースは、作業を効率よく行うための重要な要素です。スペースの広さや配置が適切であるかが見られます。

  1. 作業スペースの広さ
    調理や食材の取り扱いがしやすい十分な作業スペースが確保されているかどうかが確認されます。狭すぎるスペースでは、安全かつ効率的な調理が難しくなるので、動線を確認することも忘れないようにしましょう。
  2. 作業台の配置
    調理器具や食材の配置が整理されているかどうかもチェックされます。適切な作業台の配置は、作業効率を高めるために重要です。

冷蔵庫・冷凍庫

食品の保存には冷蔵庫や冷凍庫が欠かせません。これらの設備が正常に機能しているかどうかが検査されます。

  1. 温度管理
    冷蔵庫や冷凍庫が適切な温度で運転されているかどうかが確認されます。温度調整が不適切な場合、食品の安全性が損なわれる可能性があります。
  2. 設備の清掃
    冷蔵庫や冷凍庫の内部が清潔に保たれているかも重要です。定期的な清掃が行われているかがチェックされます。

ゴミ箱

ゴミ箱の設置と管理も、営業許可検査で重要なポイントです。適切な管理が行われているかどうかが確認されます。

  1. ゴミ箱の数と種類
    ゴミの種類に応じたゴミ箱が設置されているかどうかが見られます。生ゴミ、紙ゴミ、プラスチックなど、ゴミの分別が適切に行われていることが求められます。
  2. ゴミ箱の管理
    ゴミ箱の清掃や管理が適切に行われているかが確認されます。定期的なゴミの処理と清掃が行われていることが必要です。

水回り

水回りの設備も衛生管理において重要な要素です。適切な水の供給と排水が行われているかがチェックされます。

  1. 水の供給
    衛生的に安全な水道水が常に供給され、清潔であることが確認されます。水質が悪いという場合、食品の安全性が危険にさらされる可能性があるでしょう。
  2. 排水の処理
    排水設備が適切に機能しているかどうかが確認されます。排水の詰まりや漏れがないかがチェックされ、適切な処理が行われていることが求められます。

これらの項目は、キッチンカーでの営業を安全かつ衛生的に行うために必要不可欠です。検査を通過するためには、これらの基準をしっかりと満たすことが求められます。

キッチンカーの営業許可は更新手続きが必要

飲食店の営業許可は一度取得したら永久的に有効というわけではありません。自治体によって有効期限が異なっており、一般的には5年から8年の期限が設けられています。飲食店営業許可証と更新料を持参して管轄地域の保健所で更新手続きを行い、営業許可申請時と同様に設備の検査を受けて合格すれば営業許可が更新されます。期限が切れる1カ月前までには更新手続きをしましょう。

キッチンカーでの移動販売を成功させるポイント

キッチンカーを使った移動販売は、多くの魅力がありますが、成功させるためにはいくつかの重要なポイントを考えなくてはなりません。ここでは、移動販売を始める際に気をつけるべき点について詳しく説明します。

立地選定

キッチンカーの成功には、立地が大きく影響します。集客力のある場所を選ぶことが、ビジネスの成否を分けることがあります。

  1. ターゲット顧客層の把握
    どのような顧客層をターゲットにするかを考え、その顧客層が集まりやすい場所を選びます。例えば、学生や若者が多いエリアやビジネス街など、ターゲット層に合った立地を選ぶことが重要です。
  2. 人通りの多さ
    人通りが多い場所や、イベントが開催される場所などは、集客に有利です。通行量や地域の人々の動きを観察し、営業場所を選定することが成功の鍵となります。
  3. 許可と規制の確認
    出店する場所には、それぞれの地域や施設での規制がある場合があります。必要な許可や手続きがあるかどうかを事前に確認し、規制に従って営業を行うことが求められます。

設備とメンテナンス

キッチンカーの設備は、営業に直結する重要な要素です。適切な設備管理と定期的なメンテナンスが必要です。

  1. 設備の点検と修理
    キッチンカーの設備は定期的に点検し、問題があれば早期に修理を行うことが大切です。故障やトラブルを防ぐために、日々のチェックとメンテナンスを欠かさないようにしましょう。
  2. 衛生管理
    食品を扱う場所として、常に清潔な状態を保つことが必要です。調理器具や設備の清掃はもちろん、ゴミの処理や水の管理も徹底することが求められます。

メニューの工夫

キッチンカーのメニューは、集客やリピーター獲得に大きく影響します。競争の激しい移動販売市場で成功するためには、メニューの工夫が重要です。

  1. ユニークなメニューの開発
    他のキッチンカーや飲食店と差別化を図るために、ユニークで魅力的なメニューを開発しましょう。地元の食材を使うなどして、特別なレシピを考案することで、顧客を引き寄せることができます。
  2. 季節やイベントに合わせたメニュー
    季節やイベントに合わせたメニューの提供も有効です。季節限定の商品や、地域のイベントに合わせた特別メニューを用意することで、顧客の興味を引くことができます。

集客とマーケティング

集客とマーケティングは、キッチンカーの成功に欠かせません。効果的な集客方法とマーケティング戦略を立てることが重要です。

  1. ソーシャルメディアの活用
    SNSや地域のコミュニティサイトを活用して、営業情報や特別イベントの告知を行いましょう。ソーシャルメディアを使うことで、広範囲に情報を届けることができます。
  2. プロモーション活動
    開店記念や特別なキャンペーンを実施することで、顧客の関心を引き寄せることが可能です。例えば、初回購入時の割引や、定期的なイベントを開催することで、集客を促進できます。

顧客対応とサービス

優れたサービスを提供することは、リピーターの獲得につながります。顧客対応を入念に行うことが、成功に向けた重要な要素です。

  1. 丁寧な接客
    顧客に対して丁寧な接客を心がけ、好印象を与えることが大切です。笑顔での対応や迅速なサービスは、顧客の満足度を高めます。
  2. 顧客のフィードバックを活用
    顧客からのフィードバックを積極的に取り入れ、サービスやメニューの改善に役立てることが重要です。顧客の意見を尊重し、サービス向上に努めましょう。

移動販売を成功させるためには、これらの注意点を押さえたうえで、営業を行うことが重要です。顧客に愛されるキッチンカーを目指して、準備と管理を万全に整えてください。

キッチンカーを開業する場合は許認可も要チェック

キッチンカーの運営には、営業許可や地域の許可、食品衛生責任者資格が必要です。特に保健所からの営業許可を取得しなければ、キッチンカーの営業はできません。

営業許可検査では、タンクの容量や洗浄設備、換気、調理スペース、冷蔵庫、ゴミ箱、水回りなどがチェックされます。移動販売を成功させるためには、適切な立地選定、設備のメンテナンス、工夫したメニュー、効果的なマーケティング、丁寧な顧客対応が欠かせません。これらの要点を押さえたうえで、安全で魅力的なキッチンカー営業を実現しましょう。


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