• 作成日 : 2025年11月6日

キッチンカーでスープ販売を始めるには?成功するメニュー例、値段設定、必要な許可まで徹底解説!

キッチンカーのメニューとして、温かいスープの提供を検討している方も多いのではないでしょうか。手軽に提供でき、利益率も期待できるスープ販売は、特に寒い季節に大きな強みとなります。しかし、成功するためにはメニュー開発や値段設定、そして「スープ販売の許可」に関する正しい知識が不可欠です。

この記事では、キッチンカーでスープ販売を始めるための具体的な手順、メリット・デメリット、保健所の許可について、初心者にも分かりやすく解説します。

キッチンカーでスープを販売するメリットは何か?

キッチンカーでスープを販売する最大のメリットは、低い原価で高い利益率を狙える点と、簡単なオペレーションで効率的に提供できる点にあります。

その根拠として、スープは比較的安価な野菜や端材を活用しやすく、一度に大量調理が可能なため、原材料費と人件費を抑制しやすいビジネスモデルだからです。 詳細を解説します。

1. 低原価で高い利益率が期待できる

スープの主な材料は野菜であり、旬の野菜や規格外の野菜を安く仕入れることで原価を大幅に抑えることが可能です。一般的に飲食店の原価率は30%が目安とされますが、スープ販売ではこれを下回る20%~25%程度を目指すこともできます。原価を抑えつつ、付加価値のある価格で提供できれば、高い利益率を実現できるでしょう。

2. オペレーションが簡単で少人数でも運営可能

スープは大きな鍋で一度に大量に仕込んでおけるため、注文が入ってからの調理工程が「温めてよそうだけ」と非常にシンプルです。

揚げ物や焼き物のように注文ごとに調理する必要がなく、提供時間が短縮できるため、ランチタイムなどのピーク時でもお客様を待たせません。この効率的なオペレーションにより、ワンオペ(一人運営)または少人数での営業が可能になります。

3. 季節や場所を問わず安定した需要がある

温かいスープは、冬の寒い日やイベント会場で特に人気が高まります。オフィス街のランチ需要はもちろん、朝市での「朝ごはん」としての需要も期待できます。また、冷製スープを提供すれば夏場の売上も確保できるため、年間を通して安定したビジネスを展開しやすいメニューといえるでしょう。

4. アレンジの幅が広くオリジナリティを出しやすい

「スープ」と一言でいっても、クラムチャウダーのような洋風から、豚汁や味噌汁といった和風、さらにはエスニック風まで、そのバリエーションは無限大です。地域の特産品を使ったり、健康志向や美容を意識したメニューを開発したりと、コンセプトに合わせて独自性を出しやすい点も大きな魅力です。

キッチンカーでのスープ販売にデメリットや注意点はあるか?

キッチンカーでのスープ販売には、客単価が低くなりやすい点や、季節による売上の変動といった注意点が存在します。

これらの課題は、スープが主食ではなくサイドメニューと認識されやすいことや、温かいスープの需要が気候に左右されやすい性質を持つためです。事前の対策が成功の鍵となります。

1. 客単価が低くなりがち

スープ単品の値段は、500円~800円程度が相場となり、他のキッチンカーメニュー(丼ものやクレープなど)と比較して客単価が低くなる傾向があります。売上を確保するためには、多くのお客様に購入してもらう回転率の高さが求められます。

2. 夏場の売上対策が必要

温かいスープは、どうしても気温が高い夏場には需要が落ち込みます。年間を通じて安定した収益を上げるためには、ガスパチョやビシソワーズといった冷製スープの導入や、スープ以外のサイドメニューを強化するなどの工夫が必要です。

3. 競合との差別化が難しい

スープは参入障壁が比較的低いメニューであるため、競合のキッチンカーが出現しやすい可能性があります。単に「美味しいスープ」というだけでは埋もれてしまうかもしれません。「オーガニック野菜使用」「地元農家の〇〇を使った豚汁」など、明確なコンセプトを打ち出して他店との違いをアピールすることが重要です。

キッチンカーで人気のスープメニューとレシピの考え方は?

キッチンカーで人気を集めるスープメニューは、満足感のある「食事系スープ」と、地域や季節の特色を活かした「コンセプト系スープ」に大別できます。

なぜなら、ランチ需要に応える具沢山なメニューは定番の人気を誇り、一方でイベントなどではその場でしか味わえない特別感が顧客の心を掴むからです。

定番で人気の食事系スープ

まずは、幅広い客層に受け入れられやすい定番メニューから検討するのがよいでしょう。

  • 洋風スープ:
    • ミネストローネ:野菜たっぷりで彩りも良く、ヘルシー志向の女性に人気です。
    • クラムチャウダー:魚介の旨味とクリーミーさで満足感が高く、パンとの相性も抜群です。
    • オニオングラタンスープ:手間はかかりますが、チーズのとろける見た目が食欲をそそり、高単価を狙えるメニューです。
  • 和風スープ(汁物):
    • 豚汁・けんちん汁:日本人にとって馴染み深く、特に寒い季節には絶大な人気を誇ります。「味噌汁キッチンカー」として特化するのも面白いでしょう。具沢山にすることで「食べるスープ」として主食代わりにもなります。
    • 鶏団子スープ:あっさりしながらも満足感があり、幅広い年齢層に好まれます。

差別化を図るコンセプト系スープ

他店との違いを出すために、独自のコンセプトを打ち出したスープも有効です。

  • エスニックスープ:トムヤムクン(タイ)や参鶏湯(サムゲタン、韓国)など、特定の国の料理をテーマにしたスープは、イベントなどで注目を集めやすいでしょう。
  • 季節・地域限定スープ:
    • 春:春キャベツとあさりのスープ
    • 夏:とうもろこしの冷製ポタージュ
    • 秋:きのこやかぼちゃのポタージュ
    • 冬:カニのビスク
    • 出店地域の特産野菜を使った「地産地消スープ」

スープの値段はいくらに設定すればよいか?

キッチンカーで販売するスープの値段は、一杯あたり500円〜800円が一般的な相場です。ただし、価格は必ず原価計算に基づいて決定する必要があります。

利益を確保しつつ、お客様が納得できる価格を設定することがビジネス継続の基本です。原価率を25%〜30%に抑え、出店場所の客層や競合の価格を考慮して最終的な値段を決定します。

ステップ1:原価を計算する

まず、スープ一杯あたりの原価を正確に算出します。

項目計算内容
食材費スープの具材、調味料など80円
容器代カップ、蓋、スプーンなど30円
合計原価食材費 + 容器代110円

ステップ2:販売価格を決める

原価が算出できたら、目標の原価率から販売価格を計算します。

  • 計算式:販売価格 = 原価 ÷ 原価率
  • 原価率25%を目指す場合:110円 ÷ 0.25 = 440円
  • 原価率30%の場合:110円 ÷ 0.30 = 約367円

この計算結果と、出店場所の相場(オフィス街なら600円、イベントなら700円など)を考慮し、最終的な販売価格を500円や600円に設定します。

客単価を上げる工夫

スープ単品だけでは売上が伸び悩むため、セット販売で客単価アップを狙いましょう。

  • パンやライス、おにぎりとのセット
  • ミニサラダとのセット
  • ドリンクセット
  • スープ2種類を選べるセット

例えば、「スープ(500円)+パン(150円)」を「お得なセット600円」として販売することで、顧客満足度と客単価の両方を高めることができます。

キッチンカーでスープを販売するために必要な許可や資格は?

キッチンカーでスープを販売するには、「食品衛生責任者」の資格と、出店場所を管轄する保健所からの「飲食店営業」の許可が最低限必要です。

これらは食品を調理・提供するすべての事業者に義務付けられている法的な要件であり、無許可での営業はできません。

1. 資格:食品衛生責任者

キッチンカーの施設ごとに1名、食品衛生責任者を置く必要があります。これは、各都道府県の食品衛生協会が実施する講習会を受講することで取得できます。調理師や栄養士などの資格を持っている場合は、講習が免除されることもあります。

2. 営業許可:飲食店営業

スープの販売は、保健所の「飲食店営業」許可に分類されます。この許可を取得するには、キッチンカーの設備が自治体の定める基準を満たしている必要があります。

  • 主な設備基準の例:
    • 運転席と調理場が完全に区切られていること
    • 給排水タンク(自治体指定の容量以上)が設置されていること
    • シンク(自治体指定の数・サイズ以上)が設置されていること
    • 換気扇、収納戸棚、冷蔵設備などが整っていること

注意点:仕込み場所と衛生管理

令和3年の食品衛生法改正により、キッチンカー(自動車営業)やその一次加工所では、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理が義務化されました。具体的には、厚生労働省ホームページにある手引書に基づき、衛生管理計画を作成し、日々の衛生管理を実施するとともに、その記録を作成・保存する必要があります。

また、調理工程や「仕込み(下処理・一次加工など)」の扱いは、保健所や自治体によって基準が異なります。一般的には、車内で行えるのは「温める」「盛り付ける」といった簡易調理に限られ、野菜のカットやスープの煮込みなどは、別途許可を受けた専用の仕込み施設で行うことが求められるケースが多いです。ただし、給排水タンクを200L以上搭載するなど、一定の設備基準を満たした場合には、自治体によっては車内で一部の仕込みを認める場合もあります。

キッチンカーのスープ販売で成功するためのコツは?

キッチンカーのスープ販売で成功するためには、出店場所の特性を理解し、SNSを活用した集客と、他店にはない独自の強みでリピーターを掴むことが重要です。

単に美味しいスープを提供するだけでなく、戦略的なマーケティングと顧客との関係構築が、継続的な売上につながるからです。

1. 出店場所の戦略的な選定

ターゲットとする客層が集まる場所を選ぶことが成功の第一歩です。

  • オフィス街:平日のランチタイムに、手早く食事を済ませたいビジネスパーソンを狙います。
  • イベント会場:フェスやマルシェなど、非日常感を楽しむ来場者向けに、少し特別感のあるスープや見た目の華やかなスープが好まれます。
  • 住宅街・スーパーの軒先:主婦層向けに、夕飯の一品として持ち帰れるような大容量パックを用意するのも有効です。

2. SNSでの効果的な情報発信

キッチンカーは店舗が移動するため、SNSでの情報発信が生命線となります。

  • X(旧Twitter):出店場所や営業時間をリアルタイムで告知します。
  • Instagram:彩り豊かなスープの写真を投稿し、視覚的に魅力を伝えます。「#キッチンカースープ」「#フードトラック」「#〇〇(地名)グルメ」などのハッシュタグを活用しましょう。
  • LINE公式アカウント:リピーター向けに、ポイントカードやクーポンを配信して再来店を促します。

3. こだわりを伝えてファンを作る

お客様が「また来たい」と思うような、あなたのお店ならではの魅力を作りましょう。

  • ストーリー:「祖母から受け継いだレシピ」「契約農家から仕入れた無農薬野菜」など、スープに込めた想いや背景を伝えることで共感を呼びます。
  • 接客:明るく丁寧な接客は、スープの味を一層引き立てます。お客様との短い会話も、ファン作りの大切な要素です。
  • 見た目の工夫:スープカップのデザインにこだわったり、クルトンやハーブを添えて見た目を華やかにしたりするだけでも、顧客満足度は大きく変わります。

キッチンカーでのスープ販売を成功させるために

この記事では、キッチンカーでスープ販売を始めるための具体的な方法について解説しました。スープ販売は、低コストで始められ、高い利益率を期待できる魅力的なビジネスです。成功のためには、メリット・デメリットを理解した上で、しっかりとした事業計画を立てることが不可欠といえるでしょう。

特に、「スープ販売の許可」に関する法規を遵守し、ターゲット顧客に合わせたメニュー開発と戦略的な出店場所選びが重要です。あなただけのこだわりの一杯で、お客様のお腹と心を満たす素敵なキッチンカーを目指してください。


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