- 作成日 : 2025年11月6日
キッチンカーでドリンク販売を成功させるには?メニュー開発、必要な許可、仕入れ先、価格設定まで徹底解説!
キッチンカーでのドリンク販売は、比較的少ない初期投資で始められ、高い利益率も期待できるため、人気の高いビジネスモデルといえるでしょう。しかし、手軽に見える一方で、成功するためにはメニュー開発の工夫、適切な営業許可の取得、利益の出る価格設定、効率的な仕入れなど、事前に知っておくべき重要なポイントが数多く存在します。
この記事では、これからキッチンカーでドリンクを始めたい方や、すでに営業中でメニューを強化したい方に向けて、必要な知識を網羅的に解説します。
目次
キッチンカーでドリンク販売をするメリットは何か?
キッチンカーでドリンクを中心に販売することには、高い収益性やオペレーションの簡便さなど、多くのメリットがあります。フードメニューと比較して参入障壁が低く、初心者でも始めやすいのが特徴です。
高い利益率が見込める
ドリンクメニューは、フードメニューに比べて原価を低く抑えやすい傾向にあります。一般的に飲食店の原価率は30%が目安とされますが、ドリンクの場合は10%〜25%程度に設定することも可能です。特に、コーヒーや紅茶、自家製シロップを使ったソーダなどは原価が低く、高い利益率を確保しやすいメニューといえます。
初期投資を抑えやすい
本格的な調理設備が不要なため、車両製作費や厨房機器にかかる初期投資を大幅に削減できます。例えば、コーヒーやジュースの提供がメインであれば、大型のコンロやフライヤー、排気設備などは必要ありません。これにより、開業資金のリスクを抑えながらビジネスをスタートできます。
フードメニューとの相乗効果が期待できる
ドリンクは、どんなフードメニューとも組み合わせやすい万能な商品です。ランチ営業ではフードとのセット販売で客単価アップを狙えますし、イベント出店では食べ歩きのお供として気軽に購入してもらえます。フードがメインのキッチンカーでも、魅力的なドリンクメニューを追加することで、売上の向上に繋がります。
オペレーションが比較的簡単
ドリンクの提供は、調理工程が少ないため、一人でも効率的にオペレーションを回しやすいのが魅力です。注文を受けてから提供までの時間が短く、お客様を待たせることなくスピーディーに対応できます。これにより、特に行列ができやすいイベントやランチタイムにおいて、販売機会の損失を防ぐことができます。
キッチンカーのドリンク販売に必要な許可は何か?
キッチンカーでドリンクを販売するには、原則として出店場所を管轄する保健所から「飲食店営業許可」を取得する必要があります。提供するメニューや販売形態によっては、追加で他の許可が必要になるケースもあるため、事前の確認が必要です。
基本となる「飲食店営業許可」
ドリンク販売を含む食品の調理・提供を行う場合、食品衛生法に基づき「飲食店営業許可」の取得が義務付けられています。この許可を得るには、キッチンカーが自治体の定める設備基準(給排水タンクの容量、シンクの数、収納スペースなど)を満たしている必要があります。また、店舗に1名以上の「食品衛生責任者」を配置することも必須条件です。
- 各都道府県の食品衛生協会が実施する養成講習会を受講する
- 栄養士、調理師、製菓衛生師などの資格を保有している
アルコール提供の場合に必要な許可は?
キッチンカーでビールやカクテルなどのアルコール類を提供する場合、飲食店営業許可に加えて、税務署から「酒類小売業免許」の取得が必要になることがあります。特に、イベントなどで期限を区切って販売する場合は「期限付酒類小売業免許」を申請するのが一般的です。申請には条件があるため、必ず事前に管轄の税務署に相談しましょう。
自家製シロップや乳製品を使う場合の注意点
自家製のジンジャーエールやフルーツシロップなど、シロップを別施設で製造する場合、自治体により「菓子製造業」や「飲料製造業」などの許可が必要になることがあります。また、牛乳や乳飲料をそのまま販売する場合は「乳類販売業」の届出が求められるケースもあります。
これらの許可は製造場所や販売形態によって要件が異なるため、必ず保健所に「どのようなメニューを、どこで作り、どのように販売したいか」を具体的に伝えて相談することが重要です。
許可申請の具体的な流れ
営業許可の取得は、一般的に以下のステップで進めます。自治体によって細かなルールが異なるため、必ずご自身の出店予定地を管轄する保健所のウェブサイトを確認するか、直接問い合わせてください。
- STEP1 保健所への事前相談:車両を準備する前に、図面などを持参して保健所に相談し、設備基準などを確認します。
- STEP2 営業許可申請:必要な書類(申請書、施設の図面、食品衛生責任者の資格証明書など)を揃えて保健所に提出します。
- STEP3 キッチンカーの施設検査:保健所の担当者が実物のキッチンカーを訪れ、申請内容と相違ないか、設備基準を満たしているかを確認します。
- STEP4 許可証の交付:検査に合格すると、後日、営業許可証が交付されます。交付されて初めて、営業を開始できます。
利益の出るキッチンカーのドリンクメニューはどうやって作るか?
利益を出し、かつお客様に喜ばれるドリンクメニューを作るには、定番の人気メニューと、独自性や季節感を打ち出したメニューをバランス良く組み合わせることが成功の鍵です。ターゲットとする客層や出店場所の特性を分析し、戦略的にメニューを構築しましょう。
定番で外さない!おすすめドリンクメニュー
まずは、誰からも愛される定番メニューを揃えることが基本です。これらは安定した売上の基盤となります。
- コーヒー(ホット/アイス):オフィス街や朝のイベントで特に需要が高い定番メニュー。豆にこだわれば、本格志向のお客様にもアピールできます。
- 紅茶・ハーブティー:女性客からの人気が高いメニュー。様々な種類の茶葉を用意すると、選ぶ楽しさを提供できます。
- ソフトドリンク:コーラやオレンジジュースなど、子供から大人まで楽しめるメニューは必須です。
- タピオカドリンク:根強い人気を誇るメニュー。若者が集まるイベントや商業施設で特に効果的です。
季節感を取り入れた限定メニューの作り方
季節限定メニューは、お客様の「今しか飲めない」という購買意欲を刺激し、リピート来店を促す強力な武器になります。
| 季節 | メニュー例 |
|---|---|
| 春 | いちごスムージー、桜ラテ、抹茶ドリンク |
| 夏 | 自家製レモネード、フローズンドリンク、かき氷 |
| 秋 | 栗やカボチャのラテ、ホットアップルサイダー |
| 冬 | ホットチョコレート、チャイティー、ホットワイン |
オリジナリティで差をつける!自家製ドリンクのアイデア
他店との差別化を図るには、オリジナリティのあるメニューが欠かせません。自家製にこだわることで、付加価値を高め、ファンを作ることができます。
- 自家製シロップのソーダ:季節のフルーツや生姜、ハーブを使ったオリジナルシロップは、独自性を出しやすい人気メニューです。
- クラフトコーラ:スパイスを独自に配合したクラフトコーラは、健康志向のお客様や珍しいもの好きの心を掴みます。
- オリジナルブレンドのハーブティー:複数のハーブをブレンドし、「リラックス」「リフレッシュ」など効能を打ち出すのも面白いでしょう。
ドリンクのみの販売は儲かるか?
「ドリンクのみ」に特化することで、オペレーションを極限まで効率化し、高い回転率を実現できるというメリットがあります。初期投資も低く抑えられるため、リスクの少ないスタートが可能です。
一方で、客単価が低くなりがちなため、利益を出すには多くの数を販売する必要があります。イベント出店など、短時間で多くの集客が見込める場所での営業に向いているといえるでしょう。
ドリンクの適切な販売価格はどう決めるか?
キッチンカーのドリンク価格は、原価、競合の相場、そして提供する価値を総合的に考慮して決定します。利益を確保しつつ、お客様が納得して支払える価格設定が重要です。
基本となる原価計算の方法
ドリンクの価格設定の第一歩は、正確な原価計算です。原価には、材料費だけでなく、カップやストロー、蓋、氷などの資材費もすべて含めて計算します。
飲食業界全体の原価率の目安は30%ですが、ドリンクメニューの場合は25%以下を目指すのが一般的です。例えば、原価が100円のドリンクであれば、400円以上で販売することで原価率25%を達成できます。
ドリンクメニューの価格相場
出店場所の周辺にあるカフェや競合のキッチンカーの価格を調査し、相場感を把握することも大切です。一般的な価格帯は以下の通りですが、あくまで目安として考えましょう。
| ドリンクの種類 | 価格相場の目安 |
|---|---|
| コーヒー | 350円~500円 |
| 紅茶 | 300円~450円 |
| ソフトドリンク | 250円~400円 |
| タピオカドリンク | 500円~700円 |
| 自家製ドリンク | 450円~600円 |
利益を最大化する価格戦略
単純な価格設定だけでなく、少しの工夫で客単価と利益を向上させることができます。
- セット割引:フードメニューと一緒に注文すると割引になるセットは、客単価アップの定番手法です。
- サイズ展開:S・M・Lのようにサイズを用意し、大きいサイズほどお得感が出る価格設定(グランデサイズ効果)をすると、高単価のサイズが選ばれやすくなります。
- トッピング:ホイップクリームやタピオカ、アイスクリームなどの有料トッピングを用意し、カスタマイズの楽しさを提供することで単価アップに繋がります。
ドリンクの材料や資材の仕入れ先はどこがいいか?
品質とコストのバランスが良い仕入れ先を見つけることは、キッチンカー経営の生命線です。求める品質や量に応じて、複数の仕入れ先を賢く使い分けることをおすすめします。
業務用スーパー(肉のハナマサ、業務スーパーなど)
全国に店舗があり、手軽に小ロットから購入できるのが最大のメリットです。開業当初や、急に材料が不足した際に便利ですが、専門的な商品や高品質な材料の品揃えには限りがある場合があります。
オンラインの業務用食材・資材店
インターネット上には、コーヒー豆、シロップ、カップ、ストローなどを専門に扱うECサイトが多数あります。24時間いつでも注文でき、価格比較がしやすいのが魅力です。ただし、送料がかかることや、実際に商品を手にとって確認できない点がデメリットです。
地域の卸売業者や専門商社
特定の食材(例えばコーヒー豆や茶葉)に強みを持つ地域の卸売業者と契約する方法です。専門的なアドバイスを受けられたり、安定した品質の材料を供給してもらえたりするメリットがあります。ただし、ある程度の取引ロットを求められる場合があります。
こだわりのコーヒー豆や茶葉の仕入れ先
ドリンクの品質で差別化を図りたい場合は、地域の自家焙煎コーヒー店(ロースター)や茶葉の専門店から直接仕入れるのも良い選択肢です。独自のブレンドを共同開発するなど、付加価値の高い商品作りに繋がります。
キッチンカー運営で意外と困る「氷」はどう確保するか?
特に夏場のドリンク販売において、氷の確保は死活問題です。十分な量を衛生的に、かつ安定して供給するための方法を事前に計画しておく必要があります。
車載製氷機を導入するメリット・デメリット
キッチンカーに小型の製氷機を設置する方法です。
- メリット:いつでも必要な量の氷を作れるため、氷切れの心配がありません。長期的には購入するよりもコストを抑えられます。
- デメリット:製氷機の購入費用という初期投資が必要です。また、設置スペースと、稼働させるための十分な電源容量が求められます。
氷を購入する場合の選択肢
外部からその都度、氷を購入する方法です。
- メリット:初期投資が不要で、手軽に始められます。
- デメリット:大量に使う場合はコストがかさみます。コンビニやスーパーでは品切れのリスクがあり、イベント会場近くでは確保が難しい場合もあります。また、運搬や保管の手間もかかります。
- 主な購入先:コンビニ、スーパー、氷販売専門業者
衛生的な氷の取り扱いと保存方法
氷は食品衛生法上の食品に分類されるため、衛生管理が極めて重要です。必ず清潔な専用のスコップを使用し、素手で触らないようにしましょう。クーラーボックスで保管する際は、頻繁に清掃・消毒を行い、衛生的な状態を保つことが大切です。
売上を伸ばすための設備(ドリンクサーバーなど)は必要か?
ドリンクサーバーは、特に大規模なイベントなど、注文が集中する状況で売上を最大化するために非常に有効な設備です。事業規模や出店スタイルに合わせて導入を検討しましょう。
ドリンクサーバー導入のメリット
- 提供スピードの向上:ボタン一つで定量を提供できるため、作業が大幅に効率化し、お客様を待たせる時間が短縮されます。
- 品質の安定:誰が作っても味のブレがなく、常に一定の品質を保つことができます。
- 作業負担の軽減:一杯ずつ作る手間が省け、スタッフの疲労を軽減できます。
ドリンクサーバーの種類と選び方
ドリンクサーバーには、原液と炭酸水などを混ぜて提供するディスペンサータイプや、あらかじめ作ったドリンクを入れておくタンクタイプなどがあります。提供したいドリンクの種類(炭酸の有無など)や、1日に見込まれる販売数に合わせて、最適な機器を選びましょう。
その他の便利な機材・道具
- 高性能ブレンダー:スムージーやフローズンドリンクを提供するなら必須の機材です。
- エスプレッソマシン:本格的なカフェラテなどを提供し、客単価を上げたい場合に有効です。
- ポータブル冷蔵庫・冷凍庫:牛乳やフルーツなど、要冷蔵・冷凍の材料を安全に保管するために役立ちます。
成功への第一歩を踏み出そう
この記事では、キッチンカーでドリンク販売を始めるために必要な許可から、利益を生むメニュー開発、価格設定、効率的な運営のコツまでを解説しました。キッチンカーのドリンク販売は、低い原価率と手軽なオペレーションが魅力ですが、成功を掴むためには事前の入念な準備と、他店にはないオリジナリティを追求する姿勢が重要です。
本記事で得た知識を基に、あなただけの魅力的なキッチンカーを実現し、成功への第一歩を踏み出してください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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