- 作成日 : 2025年9月25日
コース料理の値段の平均は?ジャンル別相場と価格設定の全知識
レストランで食事をする際や、飲食店のメニューを開発する際に、多くの人が気になるのが「コース料理の値段」です。接待や記念日、宴会など、さまざまなシーンで選ばれるコース料理ですが、その値段の平均はジャンルやお店の格式によって大きく異なります。
この記事では、ランチやディナー、ジャンル別のコース料理の平均的な値段から、飲食店経営者向けの戦略的な価格設定の方法まで、網羅的にわかりやすく解説します。
目次
コース料理の値段の平均はシーンやジャンルで大きく変動
コース料理の値段の平均は、利用する時間帯(ランチかディナーか)や、お店のジャンル(イタリアン、フレンチ、和食、居酒屋など)、そしてお店の格式(カジュアルか高級店か)といった複数の要因によって大きく変わります。そのため、「コース料理の平均は〇〇円」と一概にいうことはできません。それぞれのシーンや目的に合った相場観を理解することが大切です。
ランチとディナーで異なる価格帯
一般的に、ランチのコース料理はディナーに比べて手頃な価格設定になっています。これは、品数を減らしたり、ディナーよりもカジュアルな食材を使用したりすることで、より多くの人に気軽に楽しんでもらうことを目的としているためです。
一方、ディナーは記念日や接待など特別な目的で利用されることが多く、高品質な食材や手の込んだ調理法が用いられるため、値段は高くなる傾向にあります。
お店のジャンルや格式による値段の違い
イタリアン、フレンチ、和食といった料理のジャンルによっても、コース料理の平均的な値段は異なります。また、同じジャンルの中でも、日常的に利用できるカジュアルなお店と、特別な日に利用する高級店とでは、価格帯に大きな差が生まれます。お店の雰囲気やサービス、使用する食材の質などが価格に反映されるためです。
【シーン・ジャンル別】コース料理の値段の平均相場一覧
ここでは、一般的な飲食店のコース料理について、シーンやジャンル別の値段の平均相場を解説します。お店選びやメニュー開発の際の参考にしてください。なお、価格は一人分、税・サービス料別の目安です。
ランチタイムの平均値段
ランチのコース料理は、比較的リーズナブルな価格帯で提供されることが多く、友人との会食や少し贅沢な昼食として人気です。
- カジュアルなお店(カフェ・ビストロなど): 2,000円~4,000円
- スタンダードなお店(レストランなど): 4,000円~8,000円
- 高級店: 8,000円~
ディナータイムの平均値段
ディナーのコース料理は、お店のコンセプトやこだわりが最も表現される場であり、価格帯も幅広くなります。
- カジュアルなお店(ダイニングバーなど): 4,000円~7,000円
- スタンダードなお店(レストランなど): 7,000円~15,000円
- 高級店: 15,000円~
イタリアン・フレンチの平均値段
イタリアンやフレンチは、コース料理の代表的なジャンルです。お店の格式によって、値段は大きく異なります。
- カジュアル(トラットリア・ビストロ): 5,000円~8,000円
- スタンダード(リストランテ): 8,000円~20,000円
- 高級店(グランメゾン): 20,000円~
居酒屋・宴会の平均値段
居酒屋などの宴会で利用されるコースは、飲み放題が含まれているか否かで値段が大きく変わります。
- 料理のみ: 3,000円~5,000円
- 飲み放題付き: 4,000円~7,000円
飲食店経営者向け コース料理の値段の決め方
飲食店経営者にとって、コース料理の値段設定は売上と利益を左右する重要な経営判断です。ここでは、適正な価格を導き出すための基本的な考え方を3つのステップで解説します。
1. 原価計算を基にする方法
値段設定の基本は、料理にかかる原価を正確に把握することです。コースを構成する各料理の材料費を算出し、合計したものがコース全体の原価となります。一般的な飲食店の原価率は20~35%程度が目安とされています。たとえば、原価が1,500円のコースであれば、「1,500円 ÷ 0.3(30%) = 5,000円」といった形で販売価格の基準を算出します。
2. FLコストから考える方法
より精度の高い経営を目指すなら、FLコストを基準に考える方法が有効です。FLコストとは、F(Food Cost=原材料費)とL(Labor Cost=人件費)を合計した費用のことです。
このFLコストの売上に対する比率(FL比率)を、一般的に50~60%以内に抑えるのが健全な経営の目安とされています。原材料費だけでなく、調理やサービスにかかる人件費も考慮することで、より現実的な価格設定ができます。
3. 付加価値を価格に反映させる方法
原価計算だけでなく、お店が提供する独自の「付加価値」を価格に上乗せすることも大切です。
たとえば、希少な食材の使用、シェフの高度な技術、洗練された内装、心のこもったサービス、窓からの美しい景色なども、お客様にとっては料理の値段に含まれる価値となります。これらの付加価値を適切に価格に反映させることで、原価率を抑え、収益性を高めることが可能です。
利益を生むコース料理の戦略的な価格設定術
コース料理の値段設定は、単に原価から算出するだけでなく、お客様の心理や購買行動を考慮した戦略的な視点を持つことが、売上と利益の最大化につながります。ここでは、より一歩進んだ価格設定のテクニックを紹介します。
「松竹梅」3つの価格帯の作り方と心理効果
複数の価格帯のコースを用意することは、お客様に選択の幅を提供し、幅広いニーズに応えるための有効な手段です。
一般的に「松(高価格帯)」「竹(中価格帯)」「梅(低価格帯)」の3種類を用意すると、多くの人が真ん中の「竹」を選びやすいという心理効果(ゴルディロックス効果)が働きます。お店として最も売りたいコースを「竹」に設定し、その上下に「松」と「梅」を配置することで、客単価をコントロールしやすくなります。
ドリンクペアリングによる価値向上
料理一品ごとに合わせたお酒やノンアルコールドリンクを提供する「ペアリング」は、コース料理の価値を大きく高める手法です。料理と飲み物の相乗効果によって、お客様の食事体験の満足度が向上します。
コース料金にペアリングの料金を上乗せすることで、客単価を大幅に引き上げることができます。ワインだけでなく、日本酒や中国茶、自家製シロップを使ったモクテルなど、お店の個性を出したペアリングが人気を集めています。
季節限定コースの価格設定
旬の食材をふんだんに使った季節限定コースは、お客様の来店動機を作り出す強力な武器です。希少性の高い食材を使ったり、その時期にしか味わえない特別感を演出したりすることで、通常コースよりも高い値段を設定することが可能です。「今しか食べられない」という限定性が、お客様の「高くても食べたい」という意欲を刺激します。
適正な値段設定がコース料理の価値を高める
コース料理の値段は、料理そのものだけでなく、お店で過ごす時間全体の価値を表すものです。周りのお店の平均的な価格を知ることは、ご自身の店の立ち位置を知る上で参考になります。
しかし、それ以上に大切なのは、提供する料理やサービス、そしてお店の空間づくりに自信を持ち、その価値に見合った価格をお客様に示すことです。原価計算を土台としながらも、お店独自のこだわりや心地よさといった付加価値を価格にきちんと反映させる。
そうした丁寧な値段設定が、お客様の満足につながり、お店の利益を支え、長く愛される経営の基盤となるのではないでしょうか。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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