• 更新日 : 2025年3月3日

従業員の給与をエクセルで管理するには?無料テンプレートやお役立ち関数も紹介

人事労務の仕事の1つとして、従業員の給与管理が挙げられます。もし給与管理の負担軽減を目指す方法を模索している場合は、エクセルがおすすめです。エクセルにはさまざまな関数があり、それらを有効活用することで作業の効率化が目指せます。

本記事では、給与管理をエクセルで行うメリットをはじめ、給与管理表の作成方法や役立つ関数などについて解説します。また、エクセルで給与管理を行う際に押さえておきたい注意点も取り上げるため、興味を持った方はぜひ参考にしてください。

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従業員の給与をエクセルで管理するメリット

エクセルはMicrosoft社が開発、およびリリースしているソフトウェアの1つです。縦と横に並べられたセルに数字や文字を入力することで、さまざまな処理を実行できます。

以下では、従業員の給与をエクセルで管理するメリットについて解説します。

コストがかからない

エクセルを従業員の給与管理に用いるメリットの1つとして、コストがかからない点が挙げられます。昨今はさまざまな管理ツールも登場していますが、ツールを導入するための初期費用や月額利用料などが別途必要になってしまうのが難点です。

しかし、エクセルはパソコンさえあればほかの機材を用意する必要はなく、一度導入してしまえばとくに月額利用料もかかりません。

使い慣れている

使い慣れている方が多い点も、従業員の給与計算にエクセルを利用するメリットです。たとえ高性能の管理ツールを導入したとしても、仕様が複雑すぎて使いこなせなければ意味がありません。

新しいスキルの習得のために研修を実施するのも1つの手ではありますが、時間も手間もかかります。エクセルであれば、最初から使い慣れている方が多いため、導入も運用もスムーズに進められるでしょう。

テンプレートを利用してすぐに始められる

エクセルで従業員の給料を管理するメリットとして、テンプレートが豊富な点も挙げられます。昨今は、Web上に無料で公開されているエクセルのテンプレートも珍しいものではなくなりました。

テンプレートを利用すれば、準備にかかる時間と手間を削減できます。

カスタマイズも可能

エクセルなら、カスタマイズもしやすいです。既存のツールを利用する場合、種類によっては自力でのカスタマイズが困難な場合があります。

しかし、エクセルは汎用性の高いツールのため、自社に合わせて自由にアレンジが可能です。また、操作自体が比較的シンプルなおかげで、カスタマイズに時間がかからない点もメリットとして挙げられます。

給与管理(エクセル)のひな形・テンプレート

エクセルを用いて給与管理を行えば、月ごとに管理しやすくなるのはもちろん、業務効率の向上も期待できます。マネーフォワードでは、エクセル版の給与管理のひな形・テンプレートを無料で公開しています。

シンプルなレイアウトのため、初見でも理解しやすく、スムーズな実務への導入が可能です。興味を持った方は、下記URLからダウンロードしてください。

給与管理(エクセル)の作成方法

エクセルを用いた給与管理には、さまざまなメリットがあります。しかし、初めてエクセルで給与管理を行う場合、具体的なノウハウを有していないため、何から手をつければよいかわからない方も少なくないでしょう。

以下では、エクセルで給与管理を作成する方法について解説するため、ぜひ参考にしてください。

従業員ごとにエクセルシートを作成

まずは、従業員分のエクセルシートを作成します。それぞれのシートには従業員の氏名をはじめ、生年月日や扶養家族の人数などの情報を記載します。

なお、従業員の情報を載せるシートと給与計算を行うシートは、データ管理や作業効率の観点から分けて作成しましょう。

月ごとの基本給や各種手当の入力

従業員分のエクセルシートが完成したら、月ごとの基本給や交通費をはじめとする各種手当などの固定費のデータを入力しましょう。固定費を都度手動で入力すると、ヒューマンエラーが発生する可能性が高まります。

別のシートに記載して、給与計算シートに反映されるようにしましょう。

非課税分の自動計算

諸々の準備が済んだら、いよいよ給与の計算に入ります。まずは、非課税支給額の入力をしてください。

非課税の給与として、通勤手当や宿直・日直手当などの名前が挙げられます。そのなかから、自社に必要な項目をあらかじめシートに記載しておきましょう。

賞与や臨時給与を入力

続いて、賞与や臨時給与の入力も進めてください。賞与や臨時給与の計算方法は複数種類あり、かつそれぞれ複雑なため、知識がないまま計算を進めてしまうと、大きなトラブルにつながりかねません。

しかし、エクセルによって自動化することで、計算ミスの発生を防げます。

総支給額の自動計算

非課税分の給与や賞与、臨時給与の入力が終わったら、総支給額の計算に入ります。総支給額は、以下の計算式で求めましょう。

総支給額=課税支給額+非課税支給額

なお、テンプレートを自社用にカスタマイズしている場合は、計算式が崩れていないか必ず確認してください。

健康保険、社会保険などの控除額の入力

給与計算をするにあたって、健康保険や社会保険などの控除額も忘れずに入力してください。なお、従業員の年齢によって控除の対象が異なるケースもあるため、計算の際は注意しましょう。

代表的なものとして、介護保険料の存在が挙げられます。介護保険料は、40歳以上65歳未満は控除の対象です。

また、控除額の計算に必要な保険料率は、定期的に変化します。保険料率が更新されていないか、定期的に全国健康保険協会や日本年金機構などの公式サイトをチェックしましょう。

総控除額の自動計算

控除額の入力が一通り終わったら、総控除額の計算を行います。計算するにあたって、入力した控除額に問題がないか改めて確認しておきましょう。このとき、SUM関数を使用すると、正確かつスムーズに計算を行えます。

差引支給額の自動計算

最後に、差引支給額の自動計算を行いましょう。差引支給額とは手取り額、つまり従業員が実際に受け取れる金額のことです。

差引給与額は、以下の式で算出できます。

差引支給額=総支給額-控除額

給与管理に役立つエクセル(Excel)関数

効率的に給与管理を行いたい場合は、関数を利用しましょう。関数とは、あらかじめ定義された数式のことです。

関数を利用すれば、単純な計算はもちろん、複雑な計算も簡単にこなせるようになります。給与管理をするにあたって役立つ関数の一覧は、以下のとおりです。

WEEKDAY関数

WEEKDAY関数は、日付に対応する曜日を返す関数で、書式は以下のとおりです。

=WEEKDAY(シリアル値,週の基準)

シリアル値には、検索する日付の値を指定します。日付の値は、DATE関数を用いて指定するのがおすすめです。

週の基準は、戻り値の種類を数値で指定します。どの曜日から始まるかによって指定する数値は異なるため、注意してください。

CEILING関数

CEILING関数は、設定した基準に合わせて数値を切り上げる関数で、一定以下の労働時間を切り上げたいときに活躍してくれます。具体的な書式は、以下のとおりです。

=CEILING(数値, 基準値)

通知には処理の対象となる数値を、そして基準値には倍数の基準となる数値を指定しましょう。たとえば、以下のような書き方をすると、シートのA4セルに記載してある時刻を10の倍数を基準に切り上げてくれます。

=CEILING(A4,”00:10″)

A4セルに記載してある時刻が17:33であれば、関数の計算結果は17:40となります。

FLOOR関数

CEILINGと異なり、設定した基準に合わせて数値を切り捨てるのがFLOOR関数です。

こちらも労働時間の管理をする際に役立つ存在で、以下のような書式で扱います。

=FLOOR(数値, 基準値)

数値には処理の対象となる数値を、基準値には倍数の基準となる数値を指定してください。

=FLOOR(A4,”00:10″)

上記のような書き方をしたとき、A4セルに記載してある時刻が17:33であれば、関数の計算結果は17:30になります。

MROUND関数

四捨五入のように、設定した倍数に丸められた数値を返す関数で、書式は以下のとおりです。

MROUND(数値, 倍数)

数値には処理の対象となる数値を、倍数には基準となる倍数を入力してください。

=MROUND(A4,”00:10″)

上記の式の場合、A4セルに記載してある時刻が17:33であれば関数の計算結果は17:30、17:38であれば関数の計算結果は17:40となります。

IF関数

プログラミングではお馴染みの、分岐処理を行うための関数です。定時に仕事を終えたら「残業なし」の文字列を表示する、残業したら残業時間を表示するなど、使い道の幅が広く、給与管理以外にも活躍してくれるため、ぜひ覚えておきましょう。

IF関数の書式は、以下のとおりです。

=IF(条件式,条件に当てはまる場合,条件に当てはまらない場合)

たとえば、以下のような書き方をすると、A1の時間が17:00以上なら「残業あり」と、17:00以下なら「残業なし」と表示されます。

=IF(A1>”17:00″*1,”残業あり”,”残業なし”)

給与管理をエクセルで行う際の注意点

エクセルを用いて給与管理をする場合は、いくつか押さえておきたい注意点があります。気をつけておくべき具体的なポイントは、以下のとおりです。

法改正には手動で対応

エクセルの場合、法改正が行われたとき手動で対応しなければなりません。もし法改正に対応しないまま給与計算を行ってしまうと、修正をはじめ余計な手間がかかってしまい、作業効率の低下を招きます。

改正されるタイミングは一定ではないため、普段から動向をチェックしておきましょう。

入力ミスのおそれがある

エクセルで給与計算を行う場合、入力ミスの発生に注意してください。手動で給与計算に必要な情報を入力する関係上、どうしてもヒューマンエラーの発生率は高くなります。処理するデータの量が多くなれば、なおさらです。

従業員同士によるダブルチェックをはじめ、入力ミスが発生しないようなルールや仕組みをあらかじめ考えておきましょう。

複雑な計算はマクロなどが必要

複雑な計算を行う場合は、関数だけではなくマクロを利用する必要があります。マクロとは、パソコン上の操作を自動化する機能のことです。マクロを上手く活用すれば、作業効率が向上します。

しかし、複雑な処理をさせるためにはVBAの知識が必要です。そのため、プログラミングの経験がない方にはハードルが高い可能性があります。

他システムと連携できない

エクセルは、他システムと連携できません。そのため、ほかのシステムで管理しているデータをエクセルに移動したいときは、手動でデータ入力を行う必要があります。

手動でのデータの移動と入力は、手間と時間がかかるだけでなく、データを取得するときにラグが発生し、正しいデータを取得できない可能性もあります。

エクセル以外で効率よく給与管理を行うには?

エクセル以外に給与管理を効率よく行う方法として、会計ソフトの採用が挙げられます。会計ソフトは、給与計算を自動化してくれるソフトのことで、導入すれば正確かつ素早く給与計算を行えるだけでなく、法改正にもスムーズに対応可能です。

なお、会計ソフトを選ぶ際は、対応できる業務の範囲やほかのシステムやソフトと連携できるか否かまで確認しましょう。会計ソフトによって無料お試し期間を設定している場合もあるため、使用感をチェックするためにも積極的に利用するのをおすすめします。

エクセルによって効率的な給与管理の実現は可能

以上、給与管理にエクセルを活用するメリットをはじめ、注意点や給与管理をするにあたって役立つ関数などについて取り上げてきました。エクセルはカスタマイズ性が高く、かつ使い慣れている方も多いため、違和感なく給与管理に導入しやすいです。関数を用いることで、業務の効率化も目指せるでしょう。

ただし、手動で入力する関係上、ヒューマンエラーが発生しやすい、法改正が行われた場合、都度アップデートしなければならないなど、注意点も複数あります。メリットとデメリットを比較したうえで、給与管理にエクセルを導入するか決定しましょう。


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