- 更新日 : 2024年12月2日
定額減税について子供がいる場合どうする?具体例をもとに対象者を解説
定額減税は、令和6年度の税制改正により、所得税と住民税から一定の額を控除する制度です。今回の定額減税では、1人あたり所得税から3万円、住民税から1万円が控除されますが、子供がいる場合はどのような扱いになるのでしょうか。
子供によって控除金額が異なるのか、また、子供の対象範囲や控除金額の具体例などについて解説します。
目次
定額減税で子供がいる場合は控除金額があがる?
定額減税は、納税者本人のみならず、同一生計配偶者や扶養家族も対象になります。
通常であれば定額減税額は、納税者本人に関して所得税3万円、住民税1万円です。しかし、対象になる子供がいる場合は、子供1人につき所得税3万円、住民税1万円がそれぞれ加算されます。
例えば、納税者本人が子供2人を扶養家族にしている場合には、納税者本人の減税上限額は4万円/人×3人=12万円です。そのため、扶養家族になっている子供がいる場合には、定額減税の控除金額の上限額はあがることになります。
定額減税において対象となる子供の範囲
定額減税は、本人と生計を一にしている配偶者や扶養親族が対象になります。定額減税において対象となる子供は、下記の要件の全てに当てはまる人です。
なお、定額減税の対象になる扶養親族については、所得税法における控除対象扶養親族だけではなく、16歳未満の扶養親族も対象になるため注意してください。
定額減税で子供がいる場合の控除具体例- – 扶養家族がいない場合と比較
定額減税では、対象となる扶養家族を含めて、1人につき所得税3万円、住民税1万円が減税されます。この金額は1人についての減税額であり、扶養している家族の人数などによって減税される上限額が異なります。
ここでは、会社員などの給与所得者の場合、子供の有無などによって、どのように定額減税が変わるのか、例をあげて説明します。
共働きの会社員で小中学生の子供が3人いる場合
共働きの会社員で、小中学生の子供3人を扶養家族にしているAさんの場合です。
まず、Aさんは扶養家族が3人いるため、本人分と合わせて、所得税が3万円/人×4人=12万円、住民税が1万円/人×4人=4万円、合わせて16万円が減税されます。
Aさんは、6月に給与が55万円、賞与が100万円支給されたとします。給与が先に支給され、給与の所得税が12,100円、賞与の所得税が104,000円かかったと仮定します。
Aさんの所得税の定額減税は12万円のため、先に支給された給与で12,100円の減税が行われます。減税された後の残りの定額減税の額は12万円-12,100円=107,900円になります。
次に支給された賞与では104,000円が減税されます。これにより、減税額が107,900円-104,000円=3,900円になります。あと3,900円残っていますが、これは、7月以降の給与の所得税から減税されます。
住民税については、6月分の納税額は徴収されないため0円です。7月からは、4万円の定額減税を反映させた年間の納税額を7月から翌年5月までの11ヶ月に分割して納税することになります。
会社員で扶養家族の人数が変わった場合
給与所得者は2024年6月1日現在の扶養家族の状況で定額減税の上限額を決めることは前述したとおりです。では、6月の定額減税の事務処理が始まった後で扶養家族の人数が変わった場合はどうなるでしょうか。
定額減税の事務処理が始まった後で扶養人数に変更があった場合、その時点で定額減税の再計算を行う必要や変更後の定額減税の上限額を事務処理に反映させる必要はありません。その場合は、年末調整の際に計算して精算することになります。
会社員で扶養家族がいない場合
Bさんは扶養家族がいないため、所得税が3万円、住民税が1万円減税されることになります。
Bさんは、6月に給与が40万円、賞与が80万円支給されたとします。給与が先に支給され、給与の所得税が11,500円、賞与の所得税が69,500円かかったと仮定します。
Bさんの所得税の定額減税は3万円のため、先に支給された給与で11,500円の減税が行われます。次に支給された賞与では、定額減税の上限である3万円との差額3万円-11,500円=18,500円が減税され、賞与にかかる所得税の額は69,500円-18,500円=51,000円になります。
これで、定額減税の上限額まで減税されたため、年内のその後の給与や賞与に関する所得税について減税はありません。
住民税については、6月分の納税額は徴収されないため0円です。7月からは、1万円の定額減税を反映させた年間の納税額を、7月から翌年5月までの11ヶ月に分割して納税することになります。
定額減税について正しく理解し正確に計算しましょう
定額減税は、給与所得者と個人事業主、所得税と住民税で取り扱いが異なります。給与所得者に関しては、定額減税が2024年6月から実施されます。扶養家族の対象人数によって減税の上限額が変わるため注意が必要です。
わからないことがあれば、国税庁から発行されている定額減税のパンフレットやQ&AをHPなどで対象者や手続き方法について確認してください。そして、従業員の定額減税が正確に処理されているかどうかを確認しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
定額減税において従業員への案内は必要?テンプレートも紹介
定額減税は、従業員の税負担を軽減するための重要な制度です。しかし、従業員がこの制度を正しく理解し、適切に利用するためには、企業の人事担当者による案内・周知が不可欠です。 本記事では、定額減税における従業員への案内が義務であるかどうか、案内・…
詳しくみる福岡県の給与計算代行の料金相場・便利なガイド3選!代表的な社労士事務所も
福岡県内でビジネスを展開する企業にとって、給与計算は従業員の信頼を維持するためにも正確かつ迅速に行う必要があります。しかし、内部で全てを管理するのは時間と労力がかかります。この記事では、福岡で利用できる給与計算代行サービスの料金相場を明らか…
詳しくみる退職金規定の記載事項は?作り方のポイントをテンプレートとあわせて解説
退職金制度は、従業員の長期雇用においてモチベーションの維持や安心して働ける環境づくりに欠かせません。 しかし、退職金規定を作る際には、法的な要件を考慮して記載しなければ思わぬトラブルに発展する可能性があります。 本記事では、退職金規定に記載…
詳しくみる住民税均等割とは?課税条件や所得割との違いについてわかりやすく解説
住民税均等割は、所得にかかわらず一律に課税される住民税の一部です。原則として、地域に住所を有するすべての住民に課税されますが、一定の条件を満たせば非課税になる場合もあります。 本記事では、住民税均等割の仕組みや計算方法、非課税となる条件、節…
詳しくみる横浜市の給与計算代行の料金相場・便利なガイド3選!代表的な社労士事務所も
横浜市は日本有数の大都市であり、多様な産業が集積するビジネスの中心地です。そんな横浜市で事業を展開する企業にとって、給与計算は欠かせない重要な業務ですが、正確性と効率性を保つためには専門的な知識と時間が求められます。多くの企業が給与計算代行…
詳しくみる給与査定表とは?作り方や注意点を解説
給与査定表は、従業員の給与を決定する際に必要な情報を整理し、評価基準に基づいて公平かつ透明性のある査定を行うために必要なものです。 本記事では、給与査定表の基本的な知識から作成方法、注意点までを詳しく解説します。 そもそも給与査定とは 給与…
詳しくみる