- 更新日 : 2021年11月4日
マイナンバー導入後の業務フローをシミュレーションしてみよう!
マイナンバー制度が実際に運用され始めたら、一体どのような業務フローになるのでしょうか?ここでは収集と利用、保管・廃棄の業務フローをシミュレーションするとともに、それぞれの注意点についても解説します。
目次
マイナンバーの業務フローその1【収集】
マイナンバー収集時のシミュレーション
マイナンバー業務の担当者は税、社会保障などの提出書類にマイナンバーを記載するために、従業員のマイナンバーを収集します。どの従業員についても今回初めてマイナンバーの提出を求めるので、個人番号カード又は通知カードと免許証などの身元確認書類で本人確認を行います。従業員に対してだけでなく支払調書を作成する場合に、弁護士や税理士など業務委託先のマイナンバーも必要です。担当者はそれらのマイナンバーも漏れなく収集しなくてはなりません。
収集の前にまず洗い出しを
まず行うべきは「誰のマイナンバーが必要か」の洗い出しです。従業員には正社員だけでなく、役員やパート・アルバイトも含まれます。国民年金第3号被保険者の届け出、年末調整の各種書類などにもマイナンバーの記載が必要だからです。
また支払調書にも記載が必要ということは、弁護士や税理士などの業務委託先、株式の配当や株式譲渡の対価の支払先などにもマイナンバーの提供を求めなくてはなりません。
利用目的などの公表・通知も事前に
マイナンバーを収集する前には会社側がどのような目的でマイナンバーを利用するのかを可能な限り明確にし、従業員に対してアナウンスしておかなくてはいけません。
・普段あまり電子メールを使わない相手に対して電子メールでの通知を行う。
これらのような方法は厚生労働省「雇用管理分野における個人情報保護に関するガイドライン:事例集」で「『本人に通知』しているとはいえない例」として挙げられています。社内LANによる通知や書類などの提示、就業規則に明記するなどして、確実な公表と通知を行いましょう。
マイナンバーの業務フローその2【利用】
マイナンバー利用時のシミュレーション
マイナンバー業務の担当者がマイナンバーを利用する目的は主に税、社会保障関係書類への記載です。従業員から受け取ったマイナンバーを、あらかじめ公表・通知しておいた目的に利用していきます。
マイナンバー制度導入スケジュールの確認を
「いつまでにマイナンバーを収集し、いつ頃利用するか」の業務フローを明確にするためにはマイナンバー制度の導入スケジュールを確認しておかなくてはなりません。
平成27年5月現在発表されているスケジュールによると、税金関連、雇用保険関連などの書類への導入は平成28年(2016年)1月1日提出分からとなっています。対して健康保険・厚生年金保険関連書類への導入は平成29年(2017年)1月1日提出分からです。
各分野の主な届出書等の例
以下にマイナンバー制度の導入スケジュールと共に、税、雇用保険、健康保険・厚生年金保険の各分野でマイナンバーが必要になる書類の一例を挙げておきます。実際の業務フローをイメージするために役立ててください。
マイナンバーの業務フローその3【保管・廃棄】
退職・契約終了など | |
---|---|
保管してもよい場合 | ・マイナンバーの利用目的に使う可能性がある。 ・所管法令の保存期間内である。 |
廃棄しなくてはいけない場合 | ・マイナンバーの利用目的に使う可能性がなくなった場合。 ・所管法令の保存期間を経過した。 |
マイナンバー保管・廃棄時のシミュレーション
マイナンバーを手続き書類に記載したマイナンバー業務担当者は、あらかじめ決めておいた鍵付きの棚にマイナンバーを保管します。
廃棄が決まったマイナンバーに関しては書類を焼却炉で燃やし、データとして保存してある分については専用のデータ削除ソフトウェアを使って消去。マイナンバー業務を行う取扱区域をナンバーキーで施錠し、担当者はマイナンバー業務を終えます。
マイナンバーが保管できる条件とは
マイナンバーが保管できるのは公表・通知しておいた利用目的に使う可能性がある時、もしくは所管法令において定められた保存期間については、マイナンバーが記載されていても保管しておいて良いことになっています。
保管する場合はシミュレーションのように鍵付きの棚や引き出しなどに収納しなくてはいけません。さらにマイナンバー業務を行う場合は特別に部屋や区画を設ける必要があります(取扱区域)。セキュリティの観点から、取扱区域はICカードやナンバーキーなどで入室管理を行いましょう。
マイナンバーを廃棄しなくてはならない場合とは
マイナンバーは利用目的に使う可能性がなくなった時点で廃棄しなくてはなりません。具体的にはマイナンバーの持ち主が退職したり、契約を終了した場合などです。廃棄の際はシミュレーションのように焼却するなどして、復元不可能または復元困難な方法をとる必要があります。
まとめ
マイナンバーの業務フローの基本は「収集」「利用」「保管・廃棄」で構成されています。それぞれの業務フローの注意点をよく理解し、実際にマイナンバー制度の運用が開始された時に滞りなく業務が行えるよう準備しておきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
マイナンバーの桁数は何桁になるの?
マイナンバーの桁数が12桁なのは、ご存じですか? この数字、実は無作為に選ばれることはありません。住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)で使用されていた住民票コードが基になっています。 マイナンバー(個人番号)の桁数は12桁 マイナ…
詳しくみるマイナンバーが漏洩したらどうなるの?
「国民の行政利用の利便性向上」を旗印に平成28年1月から導入されるマイナンバー制度。 便利になることはいいことですが、事業者や総務などマイナンバーを管理する側には「漏洩」のリスクが常につきまといます。ここではマイナンバー漏洩に対する罰則や対…
詳しくみるマイナンバー制度で扶養控除等申告書の取り扱いはどう変わる?
年末調整の際に事業者が従業員に対して配る2種類の書類のうちの1つ「扶養控除等申告書」。マイナンバー制度が導入されると、この書類に関してもいくつか注意すべきポイントが発生します。 ここでは扶養控除等申告書がそもそもどういう性質の書類なのかとい…
詳しくみるマイナンバーの取扱規程は、どの事業者にも関係のある大切なこと
マイナンバー取扱規程を「設けるべき」理由とは? 社員数も100人以下だし、小規模な会社だから、マイナンバーの取扱規程を設ける必要はないだろう。そんな風に感じている人もいるかもしれません。 しかし、従業員数が例え1人であっても、マイナンバーの…
詳しくみるマイナンバーの「独自利用」とは?関係条文と具体例
行政機関や地方公共団体の行政事務スマート化を目的として導入されるマイナンバー。 主な利用シーンとしては税、社会保障、災害対策の行政手続きが挙げられますが、「市町村の機関による独自利用」(以下、独自利用)という利用方法があるのをご存知でしょう…
詳しくみるマイナンバーの企業版、法人番号を徹底解説
企業(法人)にも共通番号が付番されます。この番号は法人番号と呼ばれ、様々な面で個人番号(マイナンバー)とは異なる取り扱いを受けます。法人番号は、個人番号(マイナンバー)とどう異なり、どう利用していくことができるのでしょうか?徹底解説します。…
詳しくみる