- 更新日 : 2026年10月5日
所得税の寄付金控除の範囲とは?対象団体・計算方法・手続きを解説
所得税の寄付金控除は、国・地方公共団体、特定公益増進法人、認定NPO法人など、法律で定められた「特定寄附金」に該当する寄付が対象です。団体の種類だけでなく、寄付の目的や使途などによって対象となるかどうかが決まる場合があります。
- 対象は国・公益法人・認定NPO法人など
- 控除方法は所得控除と税額控除の2種類
- 適用には確定申告またはワンストップ特例が必要
Q. 所得控除と税額控除はどちらが有利?
A. 所得税率が高い人は所得控除が有利なケースが多いですが、所得水準や寄付額によって異なります。
所得税の寄付金控除は、寄付先の団体によって対象となる範囲があらかじめ法律で定められています。本記事では、所得税における寄付金控除の対象範囲、所得控除・税額控除それぞれの計算方法、確定申告やワンストップ特例による手続きの流れまで、バックオフィス担当者が押さえておきたいポイントを整理します。
所得税の寄付金控除の対象になる範囲とは?
所得税の寄付金控除の対象範囲は、国や地方公共団体、公益法人、学校法人、認定NPO法人など、法律で定められた団体への特定寄付金に限られます。対象になるかどうかは寄付先の団体種別によって判断されるため、まずは主な対象団体を確認しておきましょう。
対象になる主な団体の一覧
寄付金控除の対象になる主な団体は、以下のとおりです。
- 国や地方公共団体
- 公益社団法人・公益財団法人のうち一定の要件を満たすもの
- 独立行政法人
- 一定の業務を主たる目的とする地方独立行政法人
- 日本赤十字社など一定の法人
- 一定の要件を満たす学校法人
- 国立大学法人及び公立大学法人
- 社会福祉法人
- 更生保護法人
- 特定公益信託のうち一定のもの(主務大臣の証明を受け、教育・科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与すると認められるもの)
- 認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)及び特例認定NPO法人に対する寄付金のうち一定のもの
- 政治活動に関する寄附金のうち一定のもの
対象外となるケース(注意点)
学校の入学に関連する寄付や、寄付をした本人に特別な利益が及ぶと判断される寄付、政治資金規正法に抵触する寄付は、特定寄付金には該当せず控除の対象外となります。寄付先や寄付の趣旨によっては対象範囲から外れる場合があるため、事前確認が重要です。
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寄付金控除の計算式は?
寄付金控除には所得控除と税額控除の2種類があり、一定の要件を満たす政党等、認定NPO法人等、公益社団法人等への寄付については、所得控除である寄付金控除に代えて、税額控除を選択できます。ここでは、それぞれの計算方法と特徴を整理します。
所得控除を選択する場合の計算式
所得控除を選択する場合、寄付金合計額から2,000円を差し引いた金額が寄付金控除額となり、所得金額から控除されます。
- その年中に支出した寄付金の合計額-2,000円=寄付金控除額
- [所得金額-(寄付金合計額-2,000円)]×各自の税率=寄付金控除後の税額
なお、控除の対象となる寄付金の上限は、総所得金額等の40%です。
税額控除を選択する場合の計算式
税額控除を選択する場合、寄付金合計額から2,000円を差し引いた金額の40%が控除額となり、所得税額から直接差し引かれます。
- (寄付金合計額-2,000円)×40%=税額控除額
- 政党等への寄付金特別控除の場合は、(寄付金合計額-2,000円)×30%=税額控除額
控除の対象となる寄付金の上限は総所得金額等の40%、控除額の上限は所得税額の25%です。
所得控除と税額控除はどちらが有利か
所得税率が高い人は、税額控除よりも所得控除を選んだほうが有利になるケースがあります。どちらを選ぶべきかは所得水準や寄付額によって異なるため、判断に迷う場合は最寄りの税務署や税理士に相談することをおすすめします。
寄付金控除を受けるための手続きは?
所得税の寄付金控除を受けるためには、原則として確定申告が必要です。なお、ふるさと納税については、一定の給与所得者等がワンストップ特例制度を利用することで、確定申告をせずに寄付金控除を受けられる場合があります。ワンストップ特例を利用した場合は、所得税から直接控除されるのではなく、所得税分を含めて翌年度の住民税から控除されます。
確定申告での手続きの流れ
寄付金控除を受けるには、確定申告書に寄付金控除に関する事項を記載し、寄付先から受け取った領収書などを添付または提示する必要があります。
- STEP1:寄付先から寄付金の受領証明書(領収書)を受け取る
- STEP2:確定申告書に寄付金控除額を記載する
- STEP3:受領証明書や認定書の写しなど必要書類を添付・提示する
- STEP4:申告期間内(原則2月16日から3月15日まで)に税務署へ提出する
ふるさと納税とワンストップ特例制度の利用条件
ワンストップ特例制度は、1年間の寄付先が5自治体以内で、確定申告が不要な給与所得者などが利用できる制度です。申請書を寄付先の自治体に提出することで、確定申告をしなくても翌年度の住民税から控除を受けられます。
- 寄付先が6自治体以上になると、ワンストップ特例は利用できず確定申告が必要になります。
- ワンストップ特例を申請していても、医療費控除など他の理由で確定申告をすると、ワンストップ特例の適用は無効になります。この場合は確定申告書にふるさと納税分の寄付金控除も忘れずに記載してください。
- 申請書の提出期限は、寄付した翌年の1月10日が目安です。期限に間に合わない場合でも、確定申告を行えば控除を受けられます。
また、2026年10月からはふるさと納税の返礼品に関する基準(地場産品基準や募集経費のルールなど)が見直されますが、寄付金控除自体の対象範囲や控除額の計算式(40%・25%の上限など)は変更されません。加えて、令和8年度(2026年度)税制改正により、給与収入が高額な一部の寄付者については住民税側の特例控除限度額が見直されていますが、対象は一部の高所得者に限られ、所得税の寄付金控除の範囲や計算方法には影響しません。
参考:2026年版ふるさと納税(寄付金控除)の手続きガイド|Yahoo!くらし
申告に必要な添付書類
確定申告の際は、寄付先から受け取った領収書に加え、寄付先が適正な団体であることを証する書類や認定書の写しが必要になる場合があります。
- 国や地方公共団体、公益法人などへの寄付:受領証明書(領収書)
- 認定NPO法人や特定公益信託への寄付:認定書の写しなど
- 政治活動に関する寄付:選挙管理委員会などの確認印が押された「寄付金(税額)控除のための書類」
- 書類が申告期限までに間に合わない場合は、受領証の写しを添付して申告し、後日交付された書類を税務署に提出する
所得税の寄付金控除の範囲を正しく理解し、賢く節税しよう
所得税の寄付金控除は、国や地方公共団体、公益法人、認定NPO法人など、法律で定められた団体への寄付に対象範囲が限定されています。控除方法には所得控除と税額控除があり、確定申告やワンストップ特例制度を正しく活用することで、無理なく控除を受けられます。寄付金控除の対象範囲と手続きを押さえたうえで、効果的な節税につなげましょう。
よくある質問
寄附金控除とは何ですか?
国や地方公共団体などに対する寄付金が所得税の控除になる制度です。詳しくはこちらをご覧ください。
所得控除と税額控除の違いは?
所得控除は合計所得金額から控除するものであり、税額控除は計算した所得税から控除するものです。詳しくはこちらをご覧ください。
ワンストップ特例制度とは?
ふるさと納税をして寄付金控除を受ける際、確定申告を省略して住民税から控除を受ける制度です。 詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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