- 更新日 : 2026年2月19日
育休中は本当に8割もらえる?育児休業給付と出生後休業支援給付の仕組みを解説
育休中の手取りは制度上おおむね8割確保されます。
- 給付率は原則67%
- 社保免除で実質8割
- 出生後休業支援給付金で80%(最大28日)
2025年4月開始の出生後休業支援給付金が13%上乗せされ、67%+13%=80%に。社会保険料免除も含め手取りほぼ100%相当も可能です。
育児休業を取得したいけれど、「収入が減って生活が不安」と感じていませんか?育休中の所得補償制度を正しく理解すれば、手取りで約8割が確保される仕組みになっています。さらに2025年4月からは、「出生後休業支援給付金」により最大で実質100%近い手取りも実現可能です。
本記事では、育休中の給与補償や支給条件、注意点などを解説します。
目次
育休中の給与補償は8割になるって本当?
育休中に受け取れる育児休業給付金の支給率は原則休業前賃金の67%ですが、給付金には税金や社会保険料の控除がないため手取りベースで約8割が確保されています。さらに2025年4月からは新設の出生後休業支援給付金によって給付率が最大80%(手取りほぼ100%)に引き上げられる仕組みが導入されました。
育児休業給付金で手取り約8割が確保される仕組み
育児休業給付金(いわゆる「育休手当」)は、育休開始から180日までは給与の67%、その後は50%が支給される制度です。一見給付率が6割台と低く感じられますが、この給付金には所得税や社会保険料がかからず、さらに育休中は健康保険料・厚生年金保険料も免除されます。そのため、実際の手取り額に換算すると休業前給与における手取りの約8割相当になり、育休前と比べてそれほど大きな収入減とならないのが特徴です。
たとえば育休前の手取りが20万円だった人であれば、育休給付金としておよそ16万円程度を受け取れる計算になります(個人の課税状況等によって多少異なります)。
出生後休業支援給付金で給付率が80%にアップ
育休中の手当がさらに手厚くなる制度として、2025年4月に出生後休業支援給付金が新設されました。これは育児休業給付金にさらに13%分を上乗せ支給する仕組みで、両方合わせた給付率は合計80%に達します。育児休業給付金の67%と合わせて8割まで引き上げることで、社会保険料免除の効果も含め休職前と変わらない手取り収入(10割相当)を実現できるとされています。
ただし、この80%給付が受けられるのは最大で28日間(4週間)までと限定されており、一定の支給要件を満たした場合にのみ適用されます。
たとえば月給30万円(手取り約24万円)の方の場合、育休給付金だけでは月約20万円の支給ですが、新給付金を利用すればさらに約4万円が追加され、結果的に休職前とほぼ同じ手取り収入が維持できます。このように経済的負担を軽減することで、収入面を理由とした育休取得のためらいを無くすことが狙いです。
産後パパ育休を取得した場合も実質手取り8割になる
産後パパ育休(出生時育児休業)を取得した場合でも、原則として実質的な手取りは約8割程度が確保されます。産後パパ育休は育児休業給付金の支給対象であり、休業中は賃金日額の67%が給付されますが、この給付金も所得税が課されず、健康保険料や厚生年金保険料も免除されます。そのため、支給率自体は67%であっても、実際の手取り水準は休職前の手取りと比べて約8割相当となります。
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出生後休業支援給付金とはどんな制度?
出生後休業支援給付金は、2025年4月から新たに導入された制度で、子どもの出生直後に両親が協力して育児休業を取得した場合に、従来の育児休業給付金に加えて追加支給が行われるものです。ここでは、制度の概要について見ていきます。
男性の育休取得促進を目的とした新しい給付制度
出生後休業支援給付金とは、子の出生直後に夫婦が共に育児休業を取得した場合に、育児休業給付金に加えて支給される雇用保険の新たな給付金です。特に共働き家庭における育児負担の分担を促すことを目的とし、男性の育休取得率の向上をねらっています。
これまで育児休業は主に女性が取得するケースが大半を占めていましたが、男性側にも育休取得を推進するためには、経済的不安の解消が欠かせません。夫婦ともに育児に関わることで、出産直後の子どもをより手厚くケアすることが可能になります。
育児休業給付金に上乗せされる13%の追加給付
この給付金は、育児休業を取得した雇用保険の被保険者に対し、通常の育児休業給付金に加えて、休業開始前の賃金日額の13%相当額を追加で支給するものです。これにより、育休中の給付水準は合計で80%に達し、社会保険料免除の効果も含めると手取りでの収入は休職前とほぼ変わらない水準となります。
財源は雇用保険制度の子育て支援目的の拠出金から捻出されており、少子化対策・共働き支援の一環として整備されています。この13%の上乗せ給付は、育児休業給付金と同様に非課税であり、かつ申請手続きも一体化されているため、追加の煩雑な書類提出などは原則として必要ありません。
申請は通常の育児休業給付と一体で行う
出生後休業支援給付金は、単独での申請制度ではなく、通常の育児休業給付金の申請手続きに組み込まれる形で実施されます。申請者は、勤務先を通じてハローワークに提出する育児休業給付金の申請書類に、所定の項目を追加記入することで手続きが完了します。
申請に際しては、夫婦双方の育休取得状況の確認が行われるため、配偶者がどのようなタイミング・期間で育児休業を取得するのかを会社側とも共有しておくことが望まれます。制度上、育児休業給付金の支給要件を満たしていなければ本給付金も受けられないため、雇用保険の加入状況や育休取得実績などについても、事前に確認しておくことが必要です。
出生後休業支援給付金を受け取るための条件は?
出生後休業支援給付金を受給するには、育児休業の取得方法や雇用保険の加入状況など、いくつかの条件を満たす必要があります。制度の中心となるのは「夫婦での育休取得」ですが、家庭の事情に配慮した例外も用意されています。
両親がそれぞれ2週間以上の育休を取得すること
出生後休業支援給付金の基本要件は、本人と配偶者の双方が14日以上の育児休業を取得することです。対象となる期間は、父親の場合は子の出生後8週間を経過する日の翌日、母親の場合は産後休業終了後8週間を経過する日の翌日までとされています。この期間内であれば、育休は連続して取得する必要はなく、分割取得した日数を合算して14日以上になれば要件を満たします。夫婦が協力して育児に関わることを前提とした制度設計になっています。
配偶者が育休を取れない場合の例外措置もある
一方で、配偶者が育児休業を取得できない家庭も想定されています。配偶者が専業主婦(夫)である場合や、自営業・フリーランスなど雇用保険の対象外である場合、またはひとり親家庭の場合には、本人のみが育児休業を14日以上取得すれば支給対象となります。この場合、「夫婦ともに育休取得」という条件は事実上適用されず、家庭状況に応じた柔軟な運用が行われます。
その他の基本要件と注意点
出生後休業支援給付金は雇用保険の給付であるため、育児休業給付金の受給資格を有していることが前提です。雇用保険に加入し、過去2年間に通算12か月以上の被保険者期間が必要です。また、育児休業中に就業しても、出生後休業支援給付金は減額されませんが、育児休業給付金や出生時育児休業給付金が支給されないときは、出生後休業支援給付金も支給されません。
出生後休業支援給付金はどれくらいの期間・日数もらえる?
出生後休業支援給付金は、育児休業のすべての期間が対象となる制度ではなく、子の出生直後という限られた時期に取得した育児休業に対して支給される給付金です。ここでは、支給対象となる期間と日数の考え方を整理します。
【支給対象期間】子の出生直後の一定期間内
出生後休業支援給付金の対象となるのは、出産直後の一定期間内に取得した育児休業に限られます。父親の場合は子の出生後8週間を経過する日の翌日、母親の場合は産後休業(出産後8週間の産休)が終了した日から8週間を経過する日の翌日までに取得した育児休業が対象です。
母親について「産後休業後8週間を経過する日の翌日まで」とされているのは、出産後8週間は法律上就業が認められていない産後休業期間にあたるためで、育児休業として扱われるのはその後からとなるためです。いずれも、子の生後おおむね2か月までの時期に、夫婦が育児に専念することを想定した制度設計となっています。この期間内であれば、育児休業をまとめて取得しても、分割して取得しても差し支えありません。
【支給日数と上限】最大28日間まで
出生後休業支援給付金の支給日数には明確な上限があり、1人あたり最大28日間(4週間)までと定められています。たとえ対象期間内に長期間の育児休業を取得した場合であっても、13%の上乗せ給付が行われるのは最初の28日分のみです。
父親が出生後8週間を経過する日の翌日まですべてを育休として取得した場合でも、出生後休業支援給付金が支給されるのはそのうち28日分までで、それ以降の期間は通常の育児休業給付金のみが支給されます。28日間は連続している必要はなく、対象期間内に取得した育休日数を合算して28日に達するまで支給されます。
育休中に副業・短時間勤務したら8割給付はどうなる?
育休中に副業や短時間勤務をする人が増えていますが、育児休業給付金には「働いたら給付が減る・止まる」という明確なルールがあります。
給与の支払いがあると減額・不支給の可能性がある
育児休業給付金は、「育児のために労務に従事していないこと」が支給の前提です。そのため、育休中に就業によって賃金が支払われた場合、原則として給付金は減額、または不支給になります。
ただし、すべての就業が即不支給になるわけではありません。厚生労働省の運用基準では、育休中に就業した日数が月に10日(または80時間)以内であれば支給対象になります。また、育休中に一時的に就業しても、受ける賃金額が一定までであれば、不支給ではなく減額支給となります。
つまり、重要なのは「就業の有無」ではなく、「就業日数」と「育休前賃金に対する賃金の割合」です。
減額・停止される基準と金額の扱い
育児休業給付金が減額または停止されるかどうかは、その月に実際に支払われた賃金の額が基準になります。月給の80%以上に達する賃金を受けると、「育児休業していない」と判断され、その月は給付金が支給されません。
逆に、支払われた賃金が80%未満であれば、給付金は減額されつつも支給対象となります。この際には、「一時的な就業で受けた賃金額と育休前賃金の80%との差額」が支給されます。つまり、育休中に一時的に就業し賃金を受けたとしても、元の賃金の80%以上でない限り、減額の範囲内で支給されるわけです。
たとえば、育休前の月収が30万円だった場合、育休中の就業で24万円以上の賃金を受けると(30万円の80%=24万円)、その月は給付金が出ないということになります。また、この場合には、出生後休業支援給付金も支給されません。
減額の対象となるのは、雇用保険の被保険者となっている会社(育休中の会社)における就業の場合となります。雇用保険の被保険者とはなっていない他社でのアルバイトや副業における収入は、減額の対象にはなりません。ただし、そのような場合であっても10日を超えて、かつ80時間以上働くと給付金は不支給となるため、注意が必要です。
就業報告を怠ると不正受給になるおそれも
育休中に就業した場合は、たとえ1日だけの短時間勤務でも、会社を通じてハローワークに報告する義務があります。これを怠ったり、実態と異なる報告をしたりすると、給付金の返還や不正受給とみなされる可能性があります。
また、副業が本人の会社経由でない場合でも、本人が被保険者であれば対象となり、同様に報告義務があります。副業先が給与支払い報告書や源泉徴収票を発行している場合、後から発覚することもあるため、副業や収入のある就業は必ず正直に申告することが大切です。
育休中の「8割補償」を正しく理解して安心して取得しよう
育児休業中の給与補償は、「休業前の手取りの約8割が確保される」制度設計となっており、経済的不安を最小限に抑えることができます。基本となる育児休業給付金に加え、2025年4月からは出生後休業支援給付金が導入され、条件を満たせば手取り満額に近い補償も可能です。ただし、給付を受けるには就業状況や収入制限などのルールがあるため、副業や働き方の工夫には注意が必要です。正しい制度理解をもとに、安心して育休を取得できるよう備えていきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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