• 更新日 : 2025年6月24日

会社からの出産祝い金とは?福利厚生で支給される金額相場やタイミングなどを解説

会社が従業員やその家族の出産をお祝いする「出産祝い金」について、気になっている方も多いのではないでしょうか。出産祝い金は企業独自の福利厚生の一環であり、支給条件や金額は企業ごとに異なります。

この記事では、出産祝い金の仕組みや一般的な相場、支給タイミングや申請方法のほか、併せて知っておきたい他の福利厚生制度についても詳しく解説しています。出産を控えている方、転職活動中で企業選びに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

目次

出産祝い金とは

出産祝い金とは、企業が従業員またはその家族の出産を祝って支給する一時金です。これは会社が独自に定める福利厚生の一環であり、法律などで支給が義務づけられた制度ではありません。健康保険から支給される「出産手当金」や、雇用保険の「育児休業給付金」とは性質が異なり、各企業が従業員の福利厚生向上やサポートのために独自に設定しています。

出産祝い金は会社によってさまざまな形で支給されていますが、主に次のような特徴があります。

  • 企業ごとに支給条件や金額が異なる
    法律で定められている給付金ではないため、金額や対象者などは企業ごとに自由に設定できます。そのため、金額も企業によって数万円程度から多い場合には100万円を超えるなど幅広い差があります。
  • 従業員本人だけでなく配偶者の出産も対象になる場合がある
    多くの企業では、女性社員自身が出産したときだけでなく、男性社員の配偶者が出産した場合にも祝い金が支給されます。
  • 通常は申請手続きを経て支給される
    出産祝い金は一般的に自動的に支給されるのではなく、社内規定に従った申請手続きを経る必要があります。所定の書類(出生届や母子手帳のコピーなど)を提出し、会社の承認を受けた後に支給されるのが一般的です。

会社が福利厚生として出産祝い金を支給する理由

出産祝い金を福利厚生として設定する理由には、企業側にも従業員側にもメリットがあるためです。代表的な理由を以下の3つに整理して解説します。

従業員のモチベーションがアップする

出産祝い金の支給は、従業員が「会社から大切にされている」と実感できるきっかけになります。自分の人生の大切な節目に会社が寄り添い、経済的・精神的サポートを行うことで、従業員の働く意欲が向上し、会社への愛着や忠誠心が高まります。また、従業員が企業に感謝や信頼を持つことで職場の雰囲気が良くなり、生産性やチームワークの向上にもつながります。

経済的負担を軽減できる

出産には多くの費用がかかります。病院への支払い、ベビー用品の準備費用、産後の生活費用など、出産前後は何かとお金が必要な時期です。会社からの出産祝い金があれば、こうした経済的な負担を少しでも軽減できます。従業員が安心して育児や仕事に取り組むことができるようになり、結果として仕事に集中できる環境の整備にもつながります。

離職率の低下につながる

子育てや出産をきっかけに退職を考える従業員は少なくありません。しかし、企業が充実した福利厚生を提供し、出産を迎える従業員を経済的・制度的にサポートすることで、「この会社で働き続けたい」と考える従業員が増えます。出産祝い金の支給は、企業が従業員のライフステージを尊重している証拠となり、企業イメージの向上や優秀な人材の定着、採用の強化にも効果を発揮します。

これらの理由から、近年では企業が積極的に出産祝い金を福利厚生として採用するケースが増えているのです。

会社が福利厚生として出産祝い金を支給する金額の相場

多くの企業において、出産祝い金の相場は、従業員の勤務状況や企業規模などによって異なりますが、一般的には以下の金額が支給されることが多いです。

  • 中小企業の場合:1万~3万円程度
    従業員数が50人以下の小規模な企業や、福利厚生の制度があまり整っていない企業では、数万円程度が一般的です。特に第1子、第2子といった区別がなく、一律で支給されることもよくあります。
  • 中堅企業の場合:3万~5万円程度
    従業員数が数百人規模の企業や業績が安定している中堅企業では、約3万〜5万円前後が相場となっています。第2子、第3子と子どもの人数が増えるにつれて、祝い金を増額する企業もあります。
  • 大手企業の場合:5万~10万円程度
    大企業や福利厚生が比較的充実している企業では、出産祝い金は5万〜10万円程度に設定されています。男女関係なく従業員本人の出産だけでなく、配偶者の出産でも同様の額を支給するケースが一般的です。

利益が安定している企業や経営規模の大きい企業ほど、福利厚生にかけられる予算も増えます。逆に、中小企業や業績が不安定な企業では高額な支給は難しいのが実情です。

また、IT企業や外資系企業のように、人材獲得競争が激しい業界では、高い福利厚生をアピールするために高額な祝い金を設定するケースが多くなります。

企業ごとに状況や目的が異なるため、出産祝い金の額にも幅が生まれているのです。

出産祝い金10万円は高い?

一般的な企業では、出産祝い金は3万〜5万円程度が多いため、10万円は比較的高額な水準と考えられます。ただし、大企業や従業員向け福利厚生に力を入れている企業では、10万円前後の支給は決して珍しくありません。

出産祝い金100万円が支給される場合はある?

出産祝い金の支給額は企業ごとに異なりますが、一部の企業では非常に高額な設定をしており、稀に100万円以上を支給するケースも存在します。

ただし、実際に100万円の出産祝い金を支給する企業は非常に限られているため、この金額を目安に企業を選ぶというよりは、総合的な福利厚生制度の充実度を確認することが大切です。

会社が福利厚生として出産祝い金を支給するタイミング

会社から出産祝い金が支給されるタイミングは、企業ごとに異なります。一般的には、出産後なるべく早い段階で支給されるケースが多く見られますが、企業の規模や制度によっても差があります。ここでは、代表的な支給のタイミングについて詳しく解説します。

出産後すぐから1か月以内

多くの企業で最も一般的なのは、出産後すぐから1か月以内に支給されるケースです。この場合、従業員が出産直後に必要となる費用(医療費、育児用品の購入など)に早期に充てられることから、企業側が福利厚生として迅速に対応していることがうかがえます。

出産後1〜3か月後

会社によっては、出産祝い金の申請手続きに一定の時間がかかり、出産後1〜3か月程度の期間を要する場合があります。このケースは企業側の審査期間や内部手続きがあるためで、申請後すぐには支給されず、一定の確認期間を経て支給されることになります。

通常の給与支給日

一部の企業では、出産祝い金の支給を通常の給与支給日に合わせて支給する仕組みをとっています。このケースでは、申請後に迎える直近の給与日に祝い金が支払われるため、出産時期と給与日との間隔によっては、実際に手元に届くまでに数週間のタイムラグが生じることがあります。

いずれの場合も、自社の就業規則や福利厚生の規定をあらかじめ確認しておくことで、具体的な支給タイミングを把握しやすくなります。

会社に福利厚生の出産祝い金を申請する方法

会社から出産祝い金を受け取るには、従業員自身が会社の規定に沿った申請手続きを行う必要があります。具体的な申請方法について、詳しく解説します。

出産後、速やかに会社へ報告する

出産後はなるべく早めに所属部署の上司、または人事部に出産の事実を報告します。特に明確な期限がない企業でも、出産後1週間以内を目安に報告すると良いでしょう。報告が遅れると、その後の申請手続きが遅延する可能性があります。

出産祝い金申請書を会社から取得する

出産の報告後、会社が指定する「出産祝い金申請書」を入手します。申請書は多くの場合、人事部から直接受け取るか、社内ポータルサイトや社内のイントラネットからダウンロードする形式です。書類を入手したら必要事項を漏れなく記入しましょう。

必要書類をそろえて人事部へ提出する

申請書への記入が完了したら、会社が定める必要書類(出生を証明する公的書類など)を添付し、人事部や担当部署へ提出します。申請時に書類が不足していると手続きが遅れてしまうため、提出前には必ず書類に不備がないか確認することが重要です。

会社による審査・承認後に祝い金が支給される

申請書類の提出後、会社側で内容を確認・審査します。審査が完了して会社の承認が得られると、指定の銀行口座への振り込みや給与と同時支給など、会社が定める方法で祝い金が支給されます。具体的な支給時期については事前に人事部に確認しておくと安心です。

会社に福利厚生の出産祝い金を申請するために必要な書類

出産祝い金の申請には、会社ごとに指定された書類を用意する必要があります。一般的に求められる書類について詳しく見ていきましょう。

出産祝い金申請書

会社から支給される祝い金を申請する際は、必ず会社が指定する「出産祝い金申請書」を使用します。申請書には通常、出産した日付や子どもの氏名、申請者の社員番号や所属部署などの情報を記入します。

出生届受理証明書のコピー

出生届受理証明書は、役所が出生届を受理した際に発行する書類です。子どもが生まれたことを公的に証明できる書類として、多くの企業が申請時に提出を求めています。原本は役所で保管されるため、コピーを提出するのが一般的です。

母子手帳のコピー

母子手帳には出生に関する詳細情報が記載されています。会社によっては出生届受理証明書に代わる書類として、母子手帳の出生記録ページのコピー提出を求めるケースがあります。

その他提出を求められる可能性がある書類

会社によっては、以下の書類が必要となることもあります。

  • 戸籍謄本または戸籍抄本(子どもの出生が記載されているもの)
  • 健康保険証のコピー(子どもの記載追加後のもの)

具体的な必要書類は企業ごとに異なりますので、申請前に人事部などに確認しておくことが重要です。

会社から福利厚生の出産祝い金をスムーズに受け取るポイント

出産祝い金を問題なくスムーズに受け取るためには、申請手続きにおいていくつか気をつけるポイントがあります。ここでは特に注意すべきポイントを詳しく紹介します。

会社の規定を事前に確認する

出産祝い金の支給基準や支給時期、手続き方法などは会社の就業規則や福利厚生規定に明記されています。これらを事前に確認しておくことで、手続きの流れを把握しやすくなり、スムーズな申請・受給につながります。わからないことがあれば、早めに人事部や担当者に問い合わせを行いましょう。

書類の不備がないかチェックする

出産祝い金の申請では、必要書類に不足や誤りがあると手続きが滞る可能性があります。特に書類の不備がある場合、支給までの時間がさらに延びることも考えられます。申請前に必要な書類を人事部などに直接確認し、不備がないか入念にチェックしましょう。

出産祝い金以外の福利厚生制度

会社が提供する福利厚生制度は、出産祝い金だけではありません。従業員のライフイベントや子育てに関するさまざまな支援制度が用意されています。ここでは、出産祝い以外の代表的な福利厚生制度を紹介します。

結婚祝い金

結婚祝い金は、従業員本人が結婚した際に会社から支給されるお祝い金です。金額は企業ごとに異なりますが、一般的には3万円から10万円程度が多く、支給は一度だけの場合が一般的です。従業員が結婚後も安心して働き続けられるように、経済的な支援を行う目的があります。

出産手当金

出産手当金とは、産前産後休業期間中に給与が支払われない場合、健康保険から所得補償として支給される給付金です。産前42日(多胎の場合は98日)、産後56日の休業期間中、給料のおよそ3分の2が支給されます。この制度は、会社の福利厚生ではなく公的な制度ですが、従業員が安心して産前産後休業を取得できるように設けられています。

育児休業給付金

育児休業給付金とは、育児休業期間中に雇用保険から支給される給付金で、休業前の給与の50%〜67%が支給されます。支給期間は子どもが1歳(特別な事情がある場合は最長2歳)になるまでで、男女問わず取得できます。会社が直接支給する制度ではありませんが、育児休業期間中の生活を経済的に支える重要な制度です。

こうした出産・育児に関する福利厚生制度を総合的に活用することで、従業員は安心して仕事と育児を両立することができます。転職や企業選びの際は、こうした制度を具体的に確認しておくと良いでしょう。

ベビーシッター・保育施設利用補助

企業によっては、ベビーシッターや企業内保育施設の利用費用を補助する制度があります。特に共働き家庭の場合、保育園が見つからないときや子どもの急な病気で保育園に預けられないときなどに役立ちます。企業によって補助額や条件はさまざまですが、育児をサポートする手厚い福利厚生の一つです。

出産祝い金などの福利厚生が充実した企業の選び方

転職を検討する際、給与や仕事内容と同じくらい重要になるのが、企業の「福利厚生制度」です。特に子育て世代や今後ライフステージが変わる可能性がある方にとって、出産や育児に関する福利厚生の充実度は重要なポイントとなります。この章では、転職時に福利厚生が充実した企業を選ぶ際に確認しておきたいポイントについて詳しく解説します。

出産・育児に関する福利厚生の充実度を確認する

福利厚生が充実した企業を選ぶ際、まず確認しておきたいのが「出産祝い金の支給額」や「育児休業制度」の内容です。具体的には以下のようなポイントを確認しましょう。

出産祝い金の支給額や支給条件

出産祝い金の支給額は企業によって大きく異なります。一般的な支給額は数万円程度ですが、手厚い企業では10万円以上、中には50万円や100万円を超える企業もあります。単純な金額だけではなく、支給条件(正社員以外の契約社員やパートも対象になるか)や支給の回数制限の有無もチェックすることが重要です。

育児休業制度の取得率や実績

育児休業制度が制度上あるだけではなく、実際にどの程度の社員が取得しているのか、取得実績がどれくらいあるのかを確認することも大切です。取得率が高い企業ほど、制度を気兼ねなく使える環境が整っていることが多く、復帰後も働きやすい傾向があります。

子育てサポート企業の認定(くるみんマークなど)の有無

厚生労働省は、育児支援やワークライフバランス推進に積極的に取り組む企業を「子育てサポート企業」として認定する「くるみんマーク」「プラチナくるみんマーク」などの制度を設けています。こうした認定を取得している企業は、一定の基準を満たした子育て支援が充実した企業と認められています。

転職活動の際は、このような第三者機関からの評価や認定の有無も確認することで、福利厚生の充実度を客観的に把握しやすくなります。

フレックスタイムやリモートワークなど柔軟な勤務制度の有無

子育て中の社員が働きやすい企業を選ぶためには、フレックスタイムやリモートワークなどの柔軟な勤務制度の有無も重要です。勤務時間を自由に調整できる制度がある企業なら、保育園の送り迎えや子どもの急病などにも柔軟に対応しやすくなります。

求人票や企業のホームページで制度の有無を確認するとともに、実際に社員がどれくらい制度を利用しているのか、実績まで詳しく調べると良いでしょう。

会社の出産祝い金についてよくある質問

会社の出産祝い金に関しては、多くの方から共通して寄せられる疑問があります。ここでは特に質問の多い事項について詳しく解説します。

正社員だけでなく契約社員やパート社員にも出産祝い金が支給される?

出産祝い金を正社員以外の契約社員やパート社員にも支給するかどうかは、会社の規定によって異なります。近年では、働き方が多様化している背景から、非正規社員やパート社員にも福利厚生制度を充実させる企業が増えてきています。

ただし、契約社員やパート社員が対象になる場合でも、「週の勤務時間が一定以上であること」「一定期間以上の勤務実績があること」などの条件が設定されているケースが一般的です。自社の具体的な制度については、社内の福利厚生規定や人事部などに確認することが必要です。

出産祝い金の申請期限はいつまで?

出産祝い金の申請期限については、会社ごとに異なりますが、一般的には出産後1〜3か月以内を目安に設定されていることが多いです。期限を過ぎてしまうと支給を受けられないこともあるため、なるべく早めに手続きを行うことが推奨されます。

具体的な期限や手続き方法については、会社の就業規則や福利厚生規定で明記されていますので、事前に確認しておきましょう。

出産祝い金と出産手当金・育児休業給付金は併給できる?

会社からの出産祝い金は、健康保険から支給される「出産手当金」や、雇用保険から支給される「育児休業給付金」と同時に受け取ることが可能です。

それぞれの制度の性質が異なり、出産祝い金は企業独自の福利厚生、出産手当金・育児休業給付金は公的制度による所得補償として設計されているためです。したがって、併給により、経済的負担をさらに軽減することが可能になります。

出産祝い金にお返しは必要?

基本的に会社が福利厚生の一環として支給する出産祝い金には、お返しは不要とされています。これは、会社から支給される祝い金が、個人からのお祝いではなく、福利厚生制度に基づく企業からの支援であるためです。

しかし、会社の規模や社内文化によっては、お返しが慣習的に求められるケースも存在します。例えば、直属の上司や部署単位で個人的にお祝いをいただいた場合は、感謝の気持ちとしてお返しをすることが一般的です。そのため、「誰からのお祝いなのか」「個人からか会社制度としてか」をしっかり確認しておくことが大切です。

出産祝い金は所得税や社会保険料の対象になる?

会社から支給される出産祝い金は、一般的に「福利厚生費」として扱われるため、原則として非課税となります。また、社会保険料の算定対象にもなりません。

ただし、会社側の規定で「給与」や「賞与」の一部として支給された場合には、課税対象となる場合もあります。実際の取り扱いについては、会社の人事部や経理部門に事前に確認しておくことが重要です。

会社の出産祝い金について事前に確認しましょう

この記事では、企業が福利厚生として設定する「出産祝い金」について幅広く解説しました。出産祝い金は従業員の経済的な負担を軽減し、モチベーション向上や離職率低下にも効果があります。支給額は企業ごとに差があり、数万円程度から、企業によっては100万円という高額な支給もあります。福利厚生の充実した企業では、出産祝い金以外にも育児休業制度やベビーシッター費用の補助などが整備されています。転職活動の際は、こうした福利厚生制度も総合的に確認し、自分に合った企業を選ぶことが重要です。


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