- 更新日 : 2026年2月26日
ストレスチェック報告書の提出期限や書き方は?労働基準監督署への報告義務と作成手順を解説
ストレスチェック報告書は、常時50名以上の事業場が年1回実施後、遅滞なく提出します。
- 対象は事業場単位
- 提出期限は実施後速やか
- 個人結果は記載不可
Q. いつまでに出せばいい?
A. 法令上は「遅滞なく」。実務上は実施後2〜3か月以内の提出が安全です。
ストレスチェック制度は、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止するための仕組みとして、多くの企業に定着しています。しかし、実施後のプロセスである労働基準監督署への報告書提出については、手続きの進め方や期限の判断に迷う担当者の方も少なくありません。本記事では、ストレスチェック報告書の正しい作成方法や提出ルールを網羅して解説します。
目次
ストレスチェック報告書の提出義務がある対象企業は?
労働安全衛生法により、一定規模以上の事業場にはストレスチェックの実施とその結果の報告が義務付けられています。令和7年の法改正により全事業場での実施が義務化されましたが、報告義務の範囲については依然として注意すべき区別が存在します。
常時50名以上の労働者を使用する事業場が対象
ストレスチェックの実施および労働基準監督署への報告義務は、現在、常時50名以上の労働者を使用する事業場に課せられています。ここで留意すべき点は、企業単位ではなく事業場単位でカウントする仕組みであるという点です。例えば、企業全体で100名の従業員がいても、それぞれの支店や営業所が独立した事業場としてみなされ、各拠点の人数が50名未満であれば、現時点ではその拠点における報告義務は法律上発生しません。
令和7年5月の法改正により全ての事業場で実施が義務化
令和7年5月14日に公布された改正労働安全衛生法により、労働者数50名未満の事業場においても、ストレスチェックの実施が義務化されました。この改正は、近年増加傾向にあるメンタルヘルス不調による労災認定や、小規模事業場での対策の遅れを解消することを目的としています。施行日は公布から3年以内(遅くとも2028年5月まで)の政令で定める日とされており、現在は移行期間として準備を進めるフェーズにあります。
50名未満の事業場は報告書の提出義務は課されない見込み
全事業場での実施が義務化される一方で、50名未満の小規模事業場については、労働基準監督署への報告書の提出義務は課さない方針が示されています。これは、一般定期健康診断の結果報告と同様、小規模事業場の事務的な負担を軽減するための配慮です。ただし、実施そのものは義務となるため、社内での受検結果の保存や面接指導の記録などは適切に管理しなければなりません。義務化に伴う体制整備には、外部委託の活用や地域産業保健センターの支援を受けることが現実的な対応となります。
参考:小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル(素案)|厚生労働省
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ストレスチェック報告書の提出期限や頻度はどのようになっている?
報告書の提出タイミングは、法令で定められた周期を守らなければなりません。実施から報告までの流れをスムーズに進めるために、期限の解釈と運用サイクルを把握しておきましょう。
年に1回の実施後遅滞なく労働基準監督署へ提出する
ストレスチェックは1年以内ごとに1回、定期的に実施するよう定められています。実施後には「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」を作成し、管轄の労働基準監督署長へ提出しなければなりません。法律上の提出期限は「実施後遅滞なく」と表現されています。この「遅滞なく」という言葉は、実施から数ヶ月以内を目安とするのが一般的です。実施時期が毎年固定されている企業であれば、検査が完了して面接指導の結果が出揃った段階で、速やかに事務手続きを進める流れを定型化しておくと安心です。
参考:労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル|厚生労働省
事業年度ではなく実施サイクルに合わせて報告を行う
報告書の提出時期を考える際、企業の決算月や事業年度と混同しないよう注意を払いましょう。ストレスチェックの実施周期は、前回の実施日から1年以内というカウントに基づきます。そのため、年度末に慌てて書類を作成するのではなく、自社が定めた実施時期を基準にして報告のタイミングを管理することが賢明です。例えば、毎年10月に検査を開始し、12月に全ての面接指導が終了するスケジュールであれば、翌年1月頃を報告書の提出時期として定例化することで、提出漏れを防ぐ体制を構築できます。
ストレスチェック報告書(労基署提出用)の作成方法は?
報告書の作成には、厚生労働省が指定する様式を用いる必要があります。正確かつ効率的に書類を完成させるための具体的な手段と、記入時のポイントを確認していきます。
厚生労働省の提供する「入力支援サービス」を活用する
報告書の作成にあたっては、厚生労働省の「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」を利用する方法が推奨されます。このサービスを利用すると、ブラウザ上で必要事項を入力するだけで、正しい様式のPDFファイルを出力できます。手書きによる誤字や記入漏れを防げるだけでなく、過去に入力したデータを保存しておけば、翌年以降の作成時間を大幅に短縮できるメリットがあります。印刷した書類には、事業主の押印が不要となっている点も、近年の行政手続きの簡略化に伴う変化として覚えておくと役立ちます。
参考: 労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス|厚生労働省
産業医の氏名や実施日の情報を正しく記載する
報告書には、実施したストレスチェックの詳細情報を記載する欄が設けられています。とりわけ正確性が問われるのが、実施者となった医師や保健師等の情報、および産業医の氏名です。産業医がストレスチェックの実施に関与している場合は、その旨を明記し、産業医の氏名や所属機関なども正確に記載しなければなりません。また、検査の実施年月だけでなく、面接指導の実施状況についても人数を正確に把握して記入しなければなりません。これらの数字は、産業医や外部委託機関から送付される集計データと照らし合わせ、不整合が生じないよう細心の注意を払いながら作業を進めましょう。
事業場の名称や所在地は登記簿謄本等と照合して記入する
報告書を提出する際の基本情報となる事業場の名称や所在地は、公的な書類に基づいて正確に記述します。法人の登記名称や、労働保険関係成立届に記載した事業場名と一致しているかを確認してください。ビル名や階数などの詳細な住所情報の不足は、労働基準監督署側での受理を遅らせる要因になりかねません。また、労働保険番号の記入欄もあるため、労働保険概算・確定保険料申告書の控えなどを手元に用意し、番号の書き間違いがないよう二重のチェック体制を整えておくことが望ましい姿勢と言えます。
ストレスチェック報告書を提出しない場合の罰則やリスクは?
報告義務があるにもかかわらず、手続きを怠った場合には、企業として重大な責任を問われる可能性があります。法令違反がもたらす実害と、経営に与える影響を理解しておくことは欠かせません。
労働安全衛生法に基づき50万円以下の罰金が科せられる可能性
ストレスチェックの実施とその結果の報告は、労働安全衛生法第100条によって定められた義務です。報告書を提出しなかった場合、あるいは虚偽の報告を行った場合には、労働安全衛生法第120条により50万円以下の罰金に処される対象となります。単なる書類の出し忘れと軽く考えるのは禁物であり、コンプライアンス遵守の観点から非常に重い不備として扱われます。労働基準監督署による定期的な調査の際に未提出が発覚すれば、その時点で厳しい指導を受けることになり、組織の管理体制そのものが疑問視される結果に繋がります。
是正勧告による企業名の公表や社会的信用の失墜を招く
金銭的な罰則だけでなく、社会的信用の低下という目に見えないリスクにも目を向けるべきです。労働基準監督署からの是正勧告に従わない、あるいは悪質な違反と判断された場合には、企業名が公表される事態も想定されます。昨今、ESG経営や人的資本経営への注目が高まっており、従業員のメンタルヘルスケアを軽視する企業は、投資家や求職者から厳しい評価を受ける傾向にあります。法律を守るという最低限のラインを逸脱することは、採用力の低下や既存社員の離職、さらには取引先からの信頼失墜を招く恐れがあるため、万全の体制で報告業務を遂行しましょう。
ストレスチェック報告書の作成における注意点とは?
報告書の作成過程では、取り扱う情報の性質上、プライバシー保護に細心の注意を払う必要があります。情報の取り扱いルールと、報告すべき範囲の境界線を整理します。
個人の受検結果そのものを報告書に添付しない
労働基準監督署へ提出する報告書は、あくまで事業場全体の統計的な状況を報告するためのものです。したがって、労働者一人ひとりの具体的な質問への回答内容や、個別のストレス判定結果を書類に添付してはいけません。報告書に記載するのは「受検した人数」や「面接指導を受けた人数」といった数値データに限られます。個人のプライバシーに属する情報は、実施者である医師などの管理下で厳重に保管されるべきものであり、人事担当者が本人の同意なくその詳細を知ることも、法律で厳しく制限されていることを念頭に置いておきましょう。
面接指導の実施状況はプライバシーに配慮しつつ正確に記す
高ストレス者として判定され、医師による面接指導を受けた労働者の人数は、報告書の該当欄に正確に記載します。この際、面接指導の対象者が誰であるかを特定できるような付随情報の記載は避けるのがルールです。報告書を作成する人事担当者は、実施者側から提供された集計数値のみを扱い、個別の氏名や面接での相談内容が外部に漏れないよう、物理的・システム的なセキュリティを確保した環境で作業を行うのが基本です。情報の透明性と匿名性のバランスを保つことが、従業員が安心して制度を利用できる環境づくりに直結します。
集団分析の結果は努力義務だが報告書には実施有無を記載する
ストレスチェック制度において、部署やチーム単位での「集団分析」を行うことは、現在のところ努力義務とされています。しかし、報告書の様式内には「集団ごとの分析の実施の有無」をチェックする項目が存在します。義務ではないからといって、分析自体を行わないという選択肢もありますが、職場環境の改善を図る上では分析の実施が強く推奨されます。報告書上で「無」と回答し続けることは、組織としての改善意欲が低いと受け取られる懸念もあるため、可能な限り集団分析を実施し、その結果を職場環境の底上げに活用する運用を目指しましょう。
ストレスチェック報告書の電子申請は可能か?
近年、行政手続きのデジタル化が進み、報告書の提出方法にも選択肢が増えています。効率的な業務運営を実現するためのオンライン活用のメリットを見ていきましょう。
e-Gov電子申請を利用したオンライン提出が推奨されている
従来の書面による郵送や窓口持参に代わり、政府が運営する「e-Gov電子申請」を用いたオンライン提出が広く普及しています。このシステムを利用すれば、オフィスにいながら24時間いつでも報告書の提出が可能となります。特に、複数の事業場を抱える企業の場合、それぞれの管轄の労働基準監督署へ個別に書類を郵送する手間は膨大なものとなりますが、電子申請を活用すれば一括、あるいはスムーズな連続操作で手続きを完了できます。行政側でも電子化を推進しており、処理の迅速化という点でも大きなメリットを享受できます。
電子署名や事前のID取得により郵送の手間を省く
電子申請を開始するためには、gBizIDの取得や、必要に応じて電子署名の準備などの事前設定を済ませておく必要があります。初期設定には多少の時間を要しますが、一度環境を整えてしまえば、その後の毎年恒例となる報告業務は劇的に効率化されます。書類のコピーを取る、封筒を用意する、郵便局へ足を運ぶといった物理的なコストを排除できるため、多忙な人事労務担当者にとっては大きな負担軽減に繋がるでしょう。デジタル化への対応は、単なる効率化だけでなく、データの保管や過去の申請履歴の参照が容易になるという管理面での恩恵ももたらします。
ストレスチェック報告書の運用を円滑に進めるための総括
ストレスチェック報告書は、50名以上の事業場に義務付けられた公的な手続きであり、適切な報告は企業の社会的信用を守る上でも欠かせません。遅滞のない報告を行うためには、電子申請等のデジタルツールを活用しつつ、産業医との連携やプライバシー保護を徹底することが大切です。制度を正しく運用し、一連のプロセスを誠実に進めることが、従業員のメンタルヘルスを守り、健全な職場環境を築くための確かな一歩となります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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