- 更新日 : 2026年1月7日
ストレスチェックシステムはどう選ぶ?導入メリットからおすすめ5選まで解説
職場のメンタルヘルス対策が重視される中、ストレスチェック制度への対応は企業にとって避けて通れない課題となりました。従業員50人以上の事業場では法令によって年1回の実施が義務付けられており、今後は50人未満の事業場にも段階的に拡大される見通しです。
こうした状況下で注目されているのが、効率的かつ確実に運用できる「ストレスチェックシステム」の導入です。本記事では、ストレスチェックの概要やシステムの導入メリット、おすすめシステムや選定のポイントなどを解説します。
目次
ストレスチェック制度とは?企業に法的義務はある?
ストレスチェック制度は、働く人のメンタルヘルス不調を未然に防ぐための制度です。従業員の心理的なストレス状況を客観的に把握し、早期の対応につなげることを目的としています。ここでは、その仕組みと法的な位置づけについて解説します。
ストレスチェック制度は従業員の心理的負荷を把握する仕組み
この制度では、定期的な質問票を用いて従業員のストレス状況を測定し、メンタル不調の予防を図ります。厚生労働省が推奨する「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」などの質問票を使って、従業員が自己回答する形式で実施されます。結果は集計され、本人にフィードバックされるとともに、希望があれば高ストレス者に対して産業医の面接指導を実施します。
この仕組みにより、メンタルヘルス不調の早期発見と予防的支援が可能となります。
2028年までにすべての事業場でストレスチェックが義務化される
ストレスチェック制度は、2028年までに全企業へ義務化が拡大される方向で法整備が進んでいます。現行制度では、常時50人以上の労働者がいる事業場に年1回のストレスチェック実施義務がありますが、50人未満の小規模事業場については「努力義務」にとどまっていました。
しかし2025年5月、ストレスチェック制度の改正法案が可決され、公布から3年以内に義務化が段階的に拡大されることが決定しています。これにより、2028年までにはすべての事業場でストレスチェックの実施が法律上求められる見通しとなりました。中小企業においても準備が必要です。
参考:労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案 |厚生労働省
制度の目的は職場環境の改善と一次予防の推進
ストレスチェック制度は、従業員の不調を未然に防ぎ、組織の問題を可視化することを目的としています。厚生労働省は、この制度を「一次予防」──つまり発症前の早期対策として位置づけています。結果の活用により、部署ごとのストレス傾向や働き方の問題を把握でき、職場環境の改善施策へとつなげることが可能です。従業員の健康保持・生産性向上・離職防止といった経営的観点からも、積極的に活用する意義がある制度です。
ストレスチェックシステムを導入するメリットは?
ストレスチェック制度を自社で円滑に運用するためには、専用のシステムを導入することが効果的です。その利点について解説します。
業務が自動化され担当者の負担が大幅に軽減される
システム導入により、ストレスチェックに伴う手作業がほぼ不要になります。受検案内のメール配信、回答の回収、未受検者へのリマインド、結果の集計、フィードバック送信までが一連で自動化されます。紙の質問票を配布・回収し、Excelで手入力していた従来の運用に比べて、業務負荷は格段に軽減されます。こ
これにより、担当者は本来時間を割くべき「高ストレス者へのフォローアップ」や「組織的な分析・改善策の検討」に注力できるようになります。
法令対応が確実になり、報告書作成や産業医との連携もスムーズに
厚生労働省の最新様式に即した運用ができるため、制度対応が確実になります。ストレスチェック制度は年1回の実施に加えて、労働基準監督署への報告も必要です。システムを使えば、厚労省の報告様式に対応したフォーマットで自動的に出力が可能なため、ミスなくスピーディに報告書を作成できます。
また、システムによっては産業医とオンラインで情報共有できる機能を備えており、面接対象者の抽出や面談記録の管理も効率化されます。法改正への対応や運用体制の見直しにも柔軟に対応できる点は、継続的な制度運用において安心材料になります。
分析機能により、組織の課題を客観的に把握できる
ストレスチェックの結果を組織改善につなげやすくなります。多くのストレスチェックシステムでは、部署別・年代別・職種別などで集団分析が可能です。ストレスの高い部署や要因が可視化されることで、職場環境のボトルネックが明確になります。蓄積データとの比較により経年変化の追跡もでき、改善施策の効果検証にも活用可能です。ま
た、他社平均との比較機能を備えたシステムもあり、客観的な評価軸として活用できます。分析データを活かした組織改善は、メンタル不調の予防だけでなく、離職率の低下やエンゲージメント向上にもつながります。
おすすめのストレスチェックシステム5選は?
ストレスチェックシステムを選ぶ際は、法令対応に加え、使いやすさや分析機能、導入実績、コストなどの観点で比較する必要があります。ここでは日本語対応の代表的なサービスを紹介します。
マネーフォワード クラウドサーベイ【性格傾向に基づいたリスク検出】
クラウドサーベイは、性格傾向とストレス反応を掛け合わせて離職・休職リスクを可視化するサービスです。このツールの最大の特徴は、単なるスコア評価ではなく、性格分類との相関をもとにリスク度合いを判定する点です。一般的なストレスチェックよりも、個人の特性に即した結果が得られるため、フォローが的確に行えます。
たとえば内向型・完璧主義傾向のある人が一見高ストレスと判断されないような回答をしても、性格スコアとのクロス分析により、異常を早期に察知できます。管理者用ダッシュボードで社員ごとのリスクを一覧でき、定期的なチェックと素早い対応が可能です。
ジョブカン労務HR【労務情報との統合管理に強み】
ジョブカン労務HRは、ストレスチェックを他の人事情報と統合して運用できるクラウド型の一体型サービスです。
勤怠・給与・労務といった既存データと連携しながらストレスチェックの結果を管理できる点が魅力です。従業員情報を重複登録することなく、スムーズな運用が実現します。
「面談対象者の勤怠記録との照合」や「長時間労働者のストレス状況のクロス分析」など、人事労務施策と一体化した健康管理がしやすくなります。中小企業でも初期費用を抑えて導入でき、最低料金(月額2,000円)からスタート可能です。
ストレスチェッカー【圧倒的な導入実績と多様な受検方式】
ストレスチェッカーは、国内8,000社以上で導入されている信頼性の高いクラウド型ストレスチェック専用サービスです。
このシステムの特筆点は、Web・スマホ・紙(マークシート)と幅広い受検方法に対応しており、年齢層・職種・拠点の多様な企業に最適です。
また、受検状況をリアルタイムでモニタリングできる機能があり、未回答者への自動リマインドも可能です。集団分析レポートや産業医提出用の面談記録も自動生成され、制度運用の効率が格段に上がります。1人あたり120円という低価格も継続利用に適しています。
Carely(ケアリィ)【健康管理と統合したクラウドサービス】
Carelyは、健康診断や産業医面談、体調変化記録などとストレスチェックを統合管理できる健康管理プラットフォームです。
従業員の健康データを一元化し、産業医や保健師との連携を通じて早期対応や業務負荷軽減を図れます。クラウド管理により全国の支店や在宅勤務者も一括管理可能です。
ISMS・ISO27017・27018といったセキュリティ認証を取得しており、個人のメンタルヘルス情報を扱うサービスとして信頼性が高い点も導入理由となっています。健診受診率・ストレスチェック実施率ともに100%を達成した企業事例もあります。
Co-Labo(コラボ)【高精度の分析と柔軟な受検形式に対応】
Co-Laboは、Webと紙の両方に対応したストレスチェックサービスで、組織ごとのストレス傾向を可視化しやすい設計が特徴のプラットフォームです。
従業員の回答データをもとに、年代や部署など多角的な切り口から集団分析を行い、現場単位での職場改善につなげやすいレポートを自動で生成します。紙・Webの併用ができるため、ITリテラシーに差がある現場や多拠点展開している企業でも柔軟に対応可能です。
また、ストレス状態の可視化に加え、エンゲージメントや組織コンディションに関する指標も提供され、法令対応を超えた活用が可能です。年間60万人以上の受検実績があり、多様な業種・規模の企業に導入されている点も安心材料です。
ストレスチェックシステムを選ぶポイントは?
ストレスチェックシステムを選ぶ際は、機能の網羅性や使いやすさだけでなく、セキュリティ、法令対応、料金体系など多面的な比較が必要です。自社の規模や運用体制に合わないシステムを選ぶと、運用負荷が増えるだけでなく、本来の分析効果を得にくくなるため、特性を丁寧に見極めて選定しましょう。
必要な機能が揃っており使いやすい
ストレスチェックに必要な機能が過不足なく備わり、従業員と管理者の双方が使いやすい設計であることが選定の基準になります。
Web・スマホ受検だけでなく紙の質問票にも対応しているか、未受検者への自動リマインドが可能か、UIが直感的で従業員が迷わず操作できるかを確認します。
テレワークが多い企業はオンライン受検が必須であり、高齢社員が多い場合は紙対応も欠かせません。さらに、部署別・職種別の集団分析や、経年比較ができるかどうかは、改善施策の立案に大きく影響します。高ストレス者への面談管理機能や、産業医・カウンセラーとスムーズに情報共有できる機能があるかも重要です。
自社に専門スタッフがいない場合は、導入後のコンサルティングや「伴走型支援」が受けられるサービスかどうかも確認し、運用を継続できる体制づくりを見据えることが求められます。
安全性と法令順守に対応している
ストレスチェック結果は機微情報であるため、情報セキュリティの堅牢性は選定時の必須条件となります。通信の暗号化、アクセス権限の細分化、操作ログ管理といった基本機能が備わっているかに加え、クラウド型であればWAFやIDS/IPSなど外部攻撃への防御が整っているかを確認します。また、プライバシーマーク取得の有無や、データ保管場所が国内か、バックアップ体制が明確かどうかも安心材料となります。
さらに、厚生労働省の最新ガイドラインや報告様式に対応しているかは必須確認事項です。たとえば、2025年1月からすべての企業にストレスチェック結果の電子申請が義務化されています(当面の間は電子申請が困難な場合、書面による報告も可能)。このように、法改正や制度変更に応じてアップデートを行う信頼性の高いベンダーかどうかも重要な評価軸となります。
料金体系が自社の規模や運用スタイルに合っている
料金体系は長期的な運用コストに直結するため、導入前に細かく比較することが欠かせません。一般的に、ストレスチェックサービスは「従量課金制(1人あたり○円)」と「定額制(月額○万円で人数無制限)」に分かれます。従業員数が少ない企業では従量課金の方が割安ですが、大企業や支店が多く全社員実施する場合は定額制が安く済むこともあります。
質問項目追加や独自の分析レポート作成などを希望する場合は、別途カスタマイズ費用が発生する可能性があります。初期費用の有無も見逃せません。設定料無料で始められるサービスもありますが、有料の場合は費用が大きく変わることがあります。また、産業医面談代行やEAPサービスなどのオプション料金も事前に確認しておくことで、予算計画を立てやすくなります。
ストレスチェックシステムの機能比較:どこが違う?どこを見る?
ストレスチェックシステムはどれも似たように見えますが、機能面において大きな違いがあります。ここでは、導入時に注目すべき主要な機能のイントを整理します。
必須機能の充実度【運用のしやすさ」に直結】
ストレスチェックを制度に則って確実に実施するには、基本機能の網羅性が不可欠です。
最低限確認すべき項目として、Web/スマホ受検対応、未受検者への自動リマインド機能、質問票の厚労省様式(57項目)対応があります。また、紙受検への対応や、受検者の匿名性確保、本人フィードバック機能も必要です。これらが一元管理できていれば、担当者の業務負荷は大きく軽減されます。
操作画面が直感的か、CSV出力が柔軟かといったUI・UXの点も実運用では重要です。
分析機能の質【改善アクションに影響】
ストレスチェックの結果をどこまで活用できるかは、分析機能の質で決まります。部署別・年齢別・職種別といった分類で集団分析ができるか、経年比較が可能か、さらに他社平均との比較機能があるかなどで、現場の改善精度が大きく変わります。また、個人単位での傾向把握や、性格傾向と組み合わせたスコア評価ができるシステムもあり、離職・休職リスクの予兆検知に活かせます。現場で使える洞察を与えてくれるレポートかどうかを見極めることが重要です。
外部連携機能【実行力を左右する】
産業医やEAP、他の人事システムと連携できるかで対応スピードに差が出ます。高ストレス者への面談記録の管理や、産業医との情報共有をシステム内で完結できると、対応漏れや連絡のタイムラグを防げます。さらに、勤怠システムや人事DBと連携できれば、長時間労働との関連分析や、休職者の予兆管理も可能になります。
API対応やCSV取り込みのしやすさ、権限管理の柔軟さなど、周辺システムとの統合性も比較ポイントの一つです。
ストレスチェックシステムを活用してメンタルヘルス対策を強化しよう
ストレスチェックシステムは、法律の義務に対応するためだけでなく、従業員の健康課題を可視化して職場環境の改善につなげるためのツールとなります。適切なシステムを導入すれば、担当者の負担軽減と運用効率化を図りつつ、データに基づく的確なメンタルヘルス対策が可能です。
今後、中小企業でもストレスチェックの義務化範囲が拡大する見通しであることを踏まえると早めに自社に合ったストレスチェックシステムを比較検討し、準備を進めておくことが望ましいでしょう。自社の規模やニーズにマッチしたストレスチェックシステムを導入することで、労務管理の効率化と従業員の離職予防・健康増進の両立を実現しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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