- 作成日 : 2026年1月19日
ストックオプション(新株予約権)の登記手続きは?必要書類や費用、登記事項、期限を解説
ストックオプション(新株予約権)を導入する際、法務局への登記は避けて通れない法的手続きです。発行時はもちろん、従業員が権利を行使して株式に変える際や、権利自体が消滅した際にも変更登記が求められます。
本記事では、ストックオプション登記が必要なタイミング、具体的な登記事項、申請に必要な書類や登記申請書の書き方、そして実務担当者が押さえておくべきポイントを体系的に解説します。
目次
ストックオプションの登記が必要な場面は?
ストックオプションに関わる登記手続きは、主に以下の3つの場面で発生します。
| タイミング | 登記の種類 | 期限の目安 |
|---|---|---|
| 1. 発行時 | 新株予約権としての登記 | 発行日から2週間以内 |
| 2. 行使時 | 資本金・発行済株式総数の変更 | 行使があった月の末日から2週間以内 |
| 3. 消滅時 | 新株予約権の変更(抹消) | 消滅等の事由発生から2週間以内 |
1. ストックオプション発行時の登記(募集事項の登記)
ストックオプションを発行した際は、発行日から2週間以内に本店の所在地を管轄する法務局へ登記申請を行う必要があります。
法律上、ストックオプションは「新株予約権」として扱われるため、登記事項証明書(履歴事項全部証明書)の「新株予約権の欄」に、発行数や行使条件などが記載されます。この手続きを怠ると過料の対象となる可能性があるため注意が必要です。
2. 権利行使による株式発行時の登記(資本金の変更)
従業員や役員が権利を行使し、会社が新株を発行した場合は、資本金の額や発行済株式総数が増加するため、変更登記が必要です。
権利行使は個人のタイミングで行われますが、実務上は毎回登記するのではなく、「毎月末日締め」で一括して翌月中に登記申請を行う特例的な処理が認められています。これにより、登記コストと手間を削減可能です。
3. ストックオプションの消滅・変更時の登記
退職などにより権利が放棄された場合や、行使期間が満了して権利が消滅した際にも、その変更を登記しなければなりません。
消滅した新株予約権を登記簿から抹消することで、現在の発行残高を正確に公示する必要があります。また、社名変更やストックオプションの内容変更(条件変更など)があった場合も同様に変更登記が必須です。
ストックオプション(新株予約権)発行時の登記手続きは?
ストックオプションを発行し、登記を完了させるまでの一般的な流れは以下の通りです。株主総会や契約締結など、登記前の準備が重要になります。
1. 募集事項の決定(株主総会決議)
まず、株主総会の特別決議(取締役会設置の公開会社で、かつ有利発行でない場合は取締役会決議)で、以下の募集事項を決定します。
- 新株予約権の名称
- 発行個数
- 払込金額(無償か有償か)
- 行使期間・条件
- 増加する資本金に関する事項
2. 申込み・割当て(または総数引受契約)
従業員や役員など特定の対象者に付与する場合、実務上は「総数引受契約」を用いることが一般的です。これにより、個別の申込み・割当ての手続きを省略し、スピーディに進めることができます。
3. 新株予約権原簿の作成
登記申請とは別に、会社法上で作成が義務付けられている「新株予約権原簿」を作成・管理します。これは会社内部で管理する台帳のようなものです。
4. 登記申請
管轄の法務局へ書類を提出します。申請方法は、窓口持参、郵送、オンライン申請が可能です。
参考:管轄のご案内|法務局
ストックオプションの登記申請に必要な書類は?
法務局へ提出する書類は、手続きのフェーズによって異なります。抜け漏れがないように事前に準備しましょう。
発行時に必要な書類
発行時の登記申請には、「登記申請書」に加え、決定内容を裏付ける以下の添付書類が必要です。
- 登記申請書:登記の目的、税額などを記載した表紙
- 株主総会議事録:募集事項の決議を証明する書類
- 取締役会議事録:割当対象者の決定などを委任した場合
- 引受けを証する書面:総数引受契約書や、新株予約権申込証など
- 資本金の額の計上証明書:必要な場合のみ
- 委任状:司法書士に依頼する場合
権利行使時に必要な書類
権利行使によって資本金が増えた場合の変更登記には、以下の書類が追加で必要になります。
- 新株予約権行使請求書:従業員等が会社に提出したもの
- 払込みがあったことを証する書面:通帳のコピー等
- 資本金の額の計上に関する証明書
ストックオプションの登記申請書に記載する登記事項は?
登記簿に記載すべき項目は多岐にわたりますが、基本的には「募集事項」の内容そのものです。特にミスが起きやすい項目を中心に解説します。
必須の登記事項
新株予約権の登記において、以下の項目は必須の登記事項となります。これらは登記申請書にも正確に記載する必要があります。
- 新株予約権の名称
- 新株予約権の数
- 目的となる株式の種類および数
- 払込金額
- 権利行使期間
- 資本金・資本準備金の増加額に関する事項
登記事項のミスのない覚え方
登記事項の確認漏れを防ぐため、以下の4要素で整理し、議事録や契約書と照らし合わせることが重要です。
- 誰に(対象・引受人)
- 何を(株式の種類・数)
- いつ(行使期間)
- いくらで(払込金額・行使価額)
特に「行使期間」の日付ミスや、「払込金額」の記載ミスは頻発するため、二重チェックを行いましょう。
ストックオプションの登記にかかる費用は?
登記手続きには、国に納める登録免許税と、専門家へ依頼する場合の報酬が発生します。
1. 発行(募集)時の費用
ストックオプションの発行登記は、資本金の増加を伴わない「新株予約権の登記」として扱われます。
- 登録免許税:一律 9万円
- 司法書士報酬の目安 約3〜10万円前後
2. 権利行使時の費用
権利行使によって資本金が増加するため、増加額に応じた税金がかかります。
- 登録免許税:増加した資本金の額 × 0.7%(※最低額 30,000円)
計算結果が3万円未満の場合は、最低額の3万円が適用されます。スタートアップ等の初期段階では3万円になるケースが一般的です。
ストックオプションの登記の期限は?
登記手続きには法律で定められた厳格な期限があり、遅れるとペナルティが発生する可能性があります。
原則は2週間以内
登記の事由が発生した日から2週間以内に申請するのが原則です。
例えば、ストックオプションの発行日が4月1日であれば、4月15日までに法務局へ申請書を提出(またはオンライン申請)しなければなりません。この期間を過ぎると「登記懈怠」となり、代表者個人に対して100万円以下の過料が科されるリスクがあります。
権利行使時の特例期限
権利行使に関する登記は、月ごとの一括申請が可能です。具体的には、当該月の末日から2週間以内に申請します。
例えば、5月中に複数回行使があった場合、5月31日を基準日として、6月14日までにまとめて変更登記を行います。
ストックオプションの登記についてよくある質問
最後に、ストックオプションの登記についてよくある質問とその回答をまとめました。
税制適格ストックオプションか否かで登記方法は変わりますか?
基本的な登記手続きは変わりません。
「税制適格」かどうかは税務上の区分であり、登記手続き自体には影響しません。有償ストックオプション(信託型など)であっても、会社法上の「新株予約権」としての登記項目は共通です。 ただし、契約書の内容や保管義務は税制優遇要件に関わるため、税理士等の専門家との連携は必須です。
登記後の管理はどうすればいいですか?
「新株予約権原簿」の作成と更新が必要です。
登記完了後、会社法に基づき「新株予約権原簿」を作成し、本店に備え置く義務があります。ここには権利者の氏名・住所・保有数などを記載します。Excel等を用いて、常に最新の状態を保つようにしましょう。
自分で登記申請を行うことは可能ですか?
手続き自体は可能ですが、一定の専門知識が求められます。
法務局の相談窓口を活用しながら自社で申請することもできますが、議事録や契約書などの添付書類に記載漏れや不備があると、修正のために何度も法務局へ出向く必要が生じます。
手続きを確実かつ円滑に進めるには、司法書士に依頼する、または登記書類作成を支援するサービスを利用する方法が望ましいでしょう。
ストックオプションの登記をミスなく進めるために
ストックオプション登記は、法務局とのやり取りを含め、専門的な知識と厳格な期限管理が求められます。
- 発行時は2週間以内に9万円の登録免許税がかかる
- 行使時は毎月末締めで翌月に変更登記を行う
- 消滅や変更時も登記が必要
これらのポイントを押さえ、必要に応じて司法書士や、登記書類を自動作成できるリーガルテックサービスを活用し、ミスのない確実な運用を心がけましょう。
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