- 更新日 : 2026年4月16日
株式上場(IPO)にかかる費用を段階別に解説
株式上場(IPO)を目指す際、まず気になるのは「どれくらいの費用がかかるか」という点ではないでしょうか。上場審査には当然費用がかかります。また、上場後も新株の発行などで継続的に費用が発生します。そしてもちろん、準備段階でもさまざまな費用が必要になります。
そこで本記事では、新規上場にかかる費用の相場を説明するほか、株式上場の準備や維持に必要な費用について、各項目ごとにご紹介します。
目次
上場準備段階で発生する主要な費用
企業が株式上場を実現するためには、準備段階でかなりの費用がかかります。上場準備において発生する主要な費用は以下のとおりです。
監査関連費用(ショートレビュー・準備金商法監査)
上場準備段階では監査法人などによるショートレビューと準金商法監査が求められます。
「ショートレビュー」とは、上場を目指す企業が財務やガバナンスに関して監査法人などからアドバイスを受け、改善点を指摘してもらうプロセスです。「準金商法監査」とは、上場直前の2期にわたる財務諸表などについて行われる監査で、上場企業と同等の基準で監査が実施されます。
ショートレビューは150万円から400万円程度、準金商法監査は1,000万円から数千万円程度かかり、企業の規模や条件によって異なります。
主幹事証券会社への報酬
主幹事証券会社は、上場手続き全般のアドバイザーであり、上場時には株式の引受けも行うため非常に重要な役割を担います。この主幹事証券会社への報酬は、通常、年間500万円から2,000万円程度かかります。
上場申請書類の印刷費用
上場申請書類を印刷する際は、専門の印刷会社へ依頼することが一般的です。印刷会社へ支払う費用は、200万円から500万円程度が標準とされています。
IPOコンサルティング費用
主幹事証券会社とは別に、上場手続きのコンサルティングを依頼する場合もあります。IPOコンサルティング会社への報酬は、一般的に年間500万円から1,500万円程度です。
弁護士費用
上場に関する法務は非常に専門的で作業量も多いため、企業法務を専門とする大手法律事務所に依頼することが一般的です。弁護士費用は500万円から2,000万円程度で、実際の費用は稼働時間数によって変動します。
上場時に発生する主要な費用
本章では上場時に発生するさまざまな費用について詳しく解説し、それぞれの費用の内訳を明らかにします。これを理解しておくことが、上場プロセスの全体像の把握につながるでしょう。
上場審査料金
上場申請を行う際には、上場審査料の支払いが必要です。以前は、東証一部、東証二部、マザーズ、JASDAQといった市場区分が存在していましたが、2022年4月4日に市場区分が以下のように再編されました。
| 市場区分 | 上場審査料 |
|---|---|
| プライム市場 | 400万円 |
| スタンダード市場 | 300万円 |
| グロース市場 | 200万円 |
新規上場料
上場には新規上場料がかかります。上場審査料と同様、旧来の市場区分は廃止され、2022年4月4日からは以下の新しい市場区分を反映しています。
| 市場区分 | 新規上場料 |
|---|---|
| プライム市場 | 1,500万円 |
| スタンダード市場 | 800万円 |
| グロース市場 | 100万円 |
上場申請に係る株式の公募または売出しに関連する費用
これらについては、数量に応じて以下の費用が発生します。
- 公募の場合:公募株式数 × 公募価格 × 0.0009
- 売出しの場合:売出株式数 × 売出価格 × 0.0001
※100円未満の額面は切り捨てとなります。
※グロース市場では費用の上限が1,900万円に設定されています。
登録免許税
登録免許税とは、会社や不動産の登記・登録にかかる税金のことです。資本金の増加の場合、「3万円」または「増加した資本金額に0.007を掛けた金額」のいずれか大きい方が発生します。
証券会社の引受手数料
IPOの際に株式を公募する場合、通常は証券会社にその株式を購入してもらいます。このプロセスを株式の引受と呼び、その際に証券会社に対して手数料を支払う必要があります。手数料の目安は、一般的に株式購入額の約5%〜9%です。
上場後にかかる主要な費用
上場を果たした企業は多くのメリットを得ますが、同時に責任を負うことになります。上場後にかかる費用は、企業の財務運営において避けては通れない要素です。
これらの費用の用途は、法的・規制的な要件を遵守するためのものや、株主とのコミュニケーションを維持するためのコストなど、多岐にわたります。
本章では、上場後にかかる主要な費用について詳細に解説します。
年間上場維持費
年間上場維持費は、上場した市場に応じて変わります。ここでは東京証券取引所の例を紹介します。東京証券取引所で発生する年間上場維持費は以下のとおりです。
| 上場時価総額 | プライム市場 | スタンダード市場 | グロース市場 |
|---|---|---|---|
| 50億円以下 | 96万円 | 72万円 | 48万円 |
| 50億円超〜250億円以下 | 168万円 | 144万円 | 120万円 |
| 250億円超〜500億円以下 | 240万円 | 216万円 | 192万円 |
| 500億円超〜2,500億円以下 | 312万円 | 288万円 | 264万円 |
| 2,500億円超〜5,000億円以下 | 384万円 | 360万円 | 336万円 |
| 5,000億円超 | 456万円 | 432万円 | 408万円 |
新株券等の発行等に伴う料金
上場後に、既に上場している株式等の発行等を行う際にも費用がかかります。
- 上場株式等の発行等の場合:1株あたりの発行価格 × 発行または処分する株式数 × 0.0001
- 新株予約権の対象となる株式が上場株であり、新たな新株予約権を発行する場合:(新株予約権の発行価格 × 新株予約権の総数 + 新株予約権の行使に伴う払込金額 × 新株予約権の対象株式数)× 0.0001
- 上場株式等の売出しを行う場合:売出し株数 × 売出価格 × 0.0001
発行する新株券等の上場に伴う料金
上場企業が新たに発行する株式を上場する場合にも費用がかかります。
新株発行に関する上場料:1株あたりの発行価格 × 発行または処分する株式数 × 0.0008
監査報酬
上場会社は金融商品取引法に基づき、特別な利害関係を持たない公認会計士または監査法人から監査証明を受けることが義務付けられています。会社の規模にもよりますが、年間の費用はおおよそ500万円〜1,500万円程度が見込まれます。
株式事務代行手数料
上場会社は、会社法により株式事務代行機関の設置が義務付けられています。株式事務代行機関は、株式関連の業務を円滑に進めるために存在し、株主名簿の作成や管理、株主総会における議決権の集計、株式配当など、株主に付与される権利の処理を行います。
費用は一般的に400万円から2,000万円程度です。
上場後にかかる主要な費用については、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。
まとめ
上場を検討する際には、上場時とその後にかかる費用について深く理解しておくことが非常に重要です。まず、上場を実現するためには、証券取引所に支払う審査料や新規上場料が必要になります。これらの金額は、上場を希望する市場によって異なるため、事前に市場ごとの料金体系を把握しておくことが求められます。
さらに、上場に際して登録免許税が発生します。この税金は、会社の資本金や発行する株式の数に基づいて計算されるため、具体的な額を見積もるためには詳細な計算が必要です。
また上場後も継続的に発生する費用があります。例えば、上場企業としての法令遵守や投資家対応に関連する費用などが挙げられます。これらの費用は企業の成長戦略に大きな影響を与えるため、計画的な準備が不可欠です。
上場を目指す企業は、これらの費用をしっかりと見積もり、上場後も持続的に成長できるような資金計画を立てることが非常に重要です。
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