• 作成日 : 2026年3月30日

商業登記簿謄本と履歴事項全部証明書の違いは?見方や取得方法を解説

Point商業登記簿謄本と履歴事項全部証明書の違いは?

商業登記簿謄本と履歴事項全部証明書は、実務上は全く同じ書類として扱われます。

  • 名称の変遷:紙ベースで管理されていた時代の呼び名が謄本で、現在のデータ管理下での正式名称が履歴事項全部証明書です。
  • 書類の内容:現在の登記情報に加えて、過去約3年間の役員変更や本店移転などの履歴もあわせて記載されます。

提出先から謄本を求められた際は履歴事項全部証明書を用意すれば問題ありませんが、多くの提出先で発行から3カ月以内という有効期限が設けられている点に注意が必要です。

商業登記簿謄本と履歴事項全部証明書は、名称が異なるだけで証明する内容や法的な効力は同じ書類を指します。かつて紙ベースで管理していた時代の呼び名が謄本であり、データ化された現在の正式名称が履歴事項全部証明書です。

この記事では、商業登記簿謄本と履歴事項全部証明書の違い、書類の詳しい見方、オンラインでの取得方法までわかりやすく解説します。

登記事項証明書にはどんな種類がある?

登記事項証明書の種類は、記録されている情報の範囲に応じて4つの区分が存在します。提出先によって求められる範囲が異なるため、特徴を正しく把握しておくことが重要です。

一般的には履歴事項全部証明書が選ばれますが、目的によっては現在事項や閉鎖事項が必要になるケースもあります。用途に合わせた適切な選択が欠かせません。

ここでは、それぞれの証明書が持つ役割や違いについて解説します。

履歴事項全部証明書・現在事項全部証明書・閉鎖事項全部証明書・代表者事項証明書の4種

登記事項証明書には、履歴事項全部証明書・現在事項全部証明書・閉鎖事項全部証明書・代表者事項証明書の4つの形式が用意されています。これらは法務局で取得できる公的な書類であり、記載される情報の範囲が分かれています。

履歴事項全部証明書は過去の変更を含み、現在事項全部証明書は今現在効力のある事項のみ、閉鎖事項全部証明書は解散や管轄外移転などで閉鎖された登記記録、代表者事項証明書は代表者の資格を証明するものです。ビジネスの実務では、会社の全体像を把握するために履歴事項全部証明書が多く利用されています。

過去の変更履歴も確認できる「履歴事項全部証明書」

履歴事項全部証明書は、現在の登記情報に加え、一定期間内の変更履歴が併記されている書類です。具体的には、請求日の3年前の年の1月1日から現在までの間に登記された事項が記載されるため、会社の経緯を公的に証明する際に適しています。

商号の変更や役員の改選、本店の移転といった履歴が全て網羅され、銀行口座の開設では提出が必要です。登記簿謄本という言葉が指す対象は、実務上はこの履歴事項全部証明書であることがほとんどでしょう。

現在の有効な情報のみを載せた「現在事項全部証明書」

現在事項全部証明書は、請求した時点で効力を持っている登記情報のみを抽出した書類です。過去に移転した本店の住所や、すでに退任した役員の氏名などは表示されず、最新のステータスだけを確認できます。

情報のボリュームが抑えられているため、現在の代表者が誰であるかを確認するだけで事足りる契約手続きなどに適しています。ただし、過去の経緯も含めて審査される銀行融資などでは、情報不足と判断される可能性があるでしょう。

閉鎖された古い記録を調べる「閉鎖事項全部証明書」

閉鎖事項全部証明書は、すでに閉鎖された登記記録が記載されています。閉鎖とは現行の公示機能を停止し、保存記録となった状態です。会社が解散して清算が結了した場合や、本店が管轄外へ移転した場合の記録を調べる際に利用します。

通常の事業運営で必要になる機会は少ないですが、過去の情報を調べる際に使用します。履歴事項全部証明書には載らない3年より前の情報を特定したいときは、この閉鎖事項を請求するとよいでしょう。

代表者の資格のみを証明する「代表者事項証明書」

代表者事項証明書は、会社の代表者について「現在その資格があること」のみをピンポイントで証明する書類です。会社全体の登記情報は不要で、代表権を持つ人物の氏名や住所などの事実関係だけが必要な際に用いられます。

法人の代表者として裁判所への訴訟提起や、代表者の本人確認が厳格に求められる重要な契約を締結する場面などで必要とされる公式書類です。

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履歴事項全部証明書の見方は?

履歴事項全部証明書の見方は、項目ごとに区切られた「区事項」の内容を順番に確認していくのが基本です。

表紙から順にどのような内容が記載されているのか、重要なポイントを絞って役割を確認しましょう。

ここでは、主要な項目の判別方法や注意点について解説します。

商号・本店・法人番号

商号や本店所在地、法人番号が記載される部分には、その会社を特定するための基本情報が集約されています。商号は正式な社名であり、本店は登記上の住所を指します。13桁の法人番号は行政手続きの識別子として使われます。

これらの項目を確認することで、取引を検討している会社が実在するか、契約書の内容と一致しているかを照合可能です。近年は法人番号をもとにしたデータベース照会も一般化しており、情報の正確性を担保する入り口といえます。

役員や資本金の変遷がわかる事項

役員や資本金の変遷がわかる事項は、経営体制や規模の変化を把握できます。役員に関する事項の欄には、取締役や監査役の氏名や就任日が記載され、これまでの経営陣の入れ替わりがひと目でわかります。

資本金の額の欄では、増資や減資の履歴が把握できます。これらのデータは、企業の変遷を理解する助けになります。

下線が引かれた「抹消事項」の意味と判別法

下線が引かれた抹消事項は、以前の登記情報を指すサインです。履歴事項全部証明書を確認すると、以前の住所や退任した役員の氏名に横線が引かれていることがありますが、これは変更済みであることを示しています。

下線が引かれている項目のすぐ近くには、新しく登記された情報が併記されています。この判別法を知っておけば、どれが最新の情報であるかを正確に追跡可能です。また、情報のすぐ横には変更された年月日が記載されています。

履歴事項全部証明書(謄本)を取得する方法は?

履歴事項全部証明書(謄本)を取得する方法は、窓口、郵送、オンラインの3つのルートが用意されています。近年はデジタル化が進み、場所を選ばず手続きできる仕組みが整いました。

それぞれの手段における具体的な手順やメリットを考慮して、最適な方法を選べるようにしましょう。用途に合わせた使い分けが効率化の鍵となります。

ここでは、それぞれの申請フローや特徴について解説します。

最寄りの法務局窓口や郵送で申請する

法務局の窓口による申請は、直接書類を受け取りたい場合や対面での確認を重視する際に適しています。窓口にある交付申請書に必要事項を記入し、収入印紙を貼って提出することで、その日のうちに証明書を受け取ることが可能です。

郵送の場合は、申請書と印紙、返信用封筒を同封して法務局へ送付します。窓口へ行く時間がないときには便利ですが、往復の郵送期間がかかる点は考慮しましょう。法務局に行かず、確実に紙の証明書を手にしたいときに選ばれる方法です。

スマホ・PCから「登記ねっと」でオンライン請求する

「登記ねっと」を利用したオンライン請求は、最もコストパフォーマンスに優れた取得手段です。登記・供託オンライン申請システムを利用すれば、自宅から請求手続きを完結でき、証明書は窓口で受け取るか後日郵送で届く仕組みになっています。

平日の夜21時まで請求を受け付けているため、閉庁時間を気にする必要がありません。また、一度利用者登録を行えば次回からの入力負担が軽減されるため、頻繁に取得する企業にとっては業務効率化につながります。

参考:登記事項証明書等の請求にはオンラインでの手続が便利です|法務局

証明書発行請求機を使って予約なしで受け取る

証明書発行請求機による手続きは、窓口での待ち時間を短縮できる便利な手段です。全国の主要な法務局にはタッチパネル式の請求機が設置されており、法人情報を入力するだけで素早く申請が完了します。

事前の予約や書類作成の手間が省けるだけでなく、操作も簡単であるため、初めての人でも迷わず利用できるでしょう。窓口の混雑に左右されず、スムーズに履歴事項全部証明書を手にしたいときは、この請求機を活用するのがいいでしょう。

オンライン取得と窓口取得の手数料の違いは?

オンライン取得と窓口取得の手数料は、1通あたり最大110円の差が生じます。手数料は請求方法と受取方法の組み合わせによって変わり、オンラインの方が安く設定されています。

経費削減を意識するのであれば、それぞれの料金体系を正しく比較しておくのが得策です。1通ごとの差はわずかでも、件数が増えれば大きなコスト差となります。

ここでは、具体的な料金設定の内訳について解説します。

窓口・郵送請求は1通600円

窓口や郵送での請求は1通600円の手数料がかかります。支払いは収入印紙で行うのが一般的であり、法務局内の売り場や郵便局で購入した印紙を申請書に貼り付けることで納付が完了します。

金額はオンラインより高くなるものの、窓口申請では直接相談しながら申請できる安心感や、その場ですぐに原本を入手できるスピード感があります。緊急性を要する場面では窓口での請求が良いでしょう。

オンライン請求・郵送受取は1通520円

オンライン請求して郵送で受け取る場合の手数料は520円となっており、窓口請求よりも80円安く設定されています。インターネット経由で申請し、指定の住所まで郵送してもらう形式です。支払いはインターネットバンキングなどで電子納付します。

郵送代金もこの手数料に含まれているため、返信用封筒を用意する手間を考えれば、郵送請求よりも対費用効果がいいです。数日の余裕があるならば、この方法を選ぶのが効率的といえます。

オンライン請求・窓口受取は1通490円

オンラインで事前に申請し窓口で受け取る際の手数料は490円と、全ての取得方法の中で最安値です。事前に申請データを送っておき、発行の準備が整った段階で法務局の窓口へ足を運んで書類を受け取ります。

この方法は、手数料を抑えつつすぐに書類を受け取りたい場合に最適といえるでしょう。窓口での滞在時間を最小限にできるため、外出のついでに法務局へ立ち寄れる環境であれば、便利な選択肢となります。コストとスピードを両立した方法です。

提出先から謄本を求められたらどれを出すべき?

提出先から謄本を求められた際は、履歴事項全部証明書を用意すれば間違いありません。多くの人が慣習的に「謄本」という古い言葉を使い続けていますが、現代の公的な手続きで要求される書類の実体は履歴事項全部証明書です。

無用なトラブルを防ぐために、提出時に確認しておくべきポイントや注意点を把握しておきましょう。特に有効期限の確認は失念しやすいため注意が必要です。

ここでは、書類選定の基準や期限管理について解説します。

特段の指定がなければ「履歴事項全部証明書」でOK

提出先から特段の指定がなければ、履歴事項全部証明書を提出することで要件を満たせます。銀行の口座開設や行政への許認可申請など、あらゆる場面で「登記簿謄本」の提出が求められますが、その中身は履歴事項全部証明書で問題ありません。

もし現在事項全部証明書などを提出してしまうと、過去の役員構成が確認できず審査に時間がかかるリスクがあります。迷ったときは、最も情報量が多く汎用性が高い履歴事項全部証明書を選択することで、手続きを円滑に進められます。

「発行から3カ月以内」の有効期限に注意する

登記事項証明書を提出する際は、発行から3カ月以内という有効期限に注意が必要です。書類そのものに法的な有効期限はありませんが、提出先が最新の情報であることを担保するために期限を設けていることが多いです。

せっかく取得した証明書でも、期限が1日でも過ぎていれば受け付けてもらえないケースが多々あります。書類の最終頁下に記載されている発行年月日を必ず確認し、必要になるタイミングに合わせて新しいものを取得するように心がけてください。

商業登記簿謄本と履歴事項全部証明書は呼び方の違いだけで同じ書類

商業登記簿謄本と履歴事項全部証明書の違いは、昔の名称か現在のデータ管理時代の名称かという点のみであり、同じ書類を指します。ビジネスの実務においては履歴事項全部証明書を取得すれば問題ありません。

現在はオンライン請求が最も安価で効率的であるため、手数料や取得までの日数を考慮して自分に合った方法を選ぶことが大切です。履歴事項全部証明書を正しく活用し、円滑な企業間取引を進めていきましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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