• 作成日 : 2026年3月3日

行政書士の成年後見は儲かる?報酬相場や稼ぐ戦略を徹底解説

Point行政書士の成年後見は儲かる?

一攫千金は難しいものの、事務所経営を安定させる確実なストックビジネス(継続収入)として有効です。

  • 報酬の相場:月額2万〜6万円が目安で、原則として年1回の後払いとなります。
  • 稼ぐ戦略:報酬を自由に設定できる「任意後見」や、遺言・死後事務委任をセットで受任することで収益性を高められます。

なお、家庭裁判所から選任されるには、行政書士会の「コスモス成年後見サポートセンター」への入会が事実上必須です。

行政書士の成年後見業務は、一攫千金は難しいものの、事務所経営を安定させるストックビジネスとして非常に優秀です。この業務は毎月の定額報酬が見込めるため、受任件数を増やせば確実な収益基盤になります。

この記事では、行政書士が知っておくべき報酬相場や、法定後見と任意後見の違い、そして確実に利益を出すための具体的な戦略をわかりやすく解説します。

行政書士の成年後見は儲かる?

行政書士の成年後見業務は、爆発的な利益を生むわけではありませんが、長期的なビジョンでみると経営安定に大きく寄与します。多くの行政書士がこの業務に注目するのは、単発の依頼ではなく、継続的な報酬が発生するストックビジネスとしての側面があるからです。スポット業務に頼らない経営は、精神的な余裕にもつながるでしょう。

ここでは、実際の収益性や経営上のメリットについて解説します。

【結論】爆発力はないが経営は安定する

成年後見業務は、建設業許可のような高単価なスポット業務とは異なり、毎月定額の報酬が発生する継続型業務です。1件あたりの利益は決して高くありませんが、受任件数が増えるほど毎月の固定収入が積み上がっていきます。

例えば、月額3万円の案件を10件保有すれば、営業活動をしなくても毎月30万円の売上が確保できます。この「経営の安定剤」としての役割こそが、成年後見業務が儲かるといわれる最大の理由です。毎月の固定費をこの業務だけでカバーできるようになれば、事務所運営は非常に楽になります。

報酬相場は月額2万~6万円

成年後見業務の報酬は、被後見人であるサポートされる人の財産額によって変動します。一般的な目安として、管理財産が1000万円以下の場合は月額2万円、1000万円から5000万円の場合は月額3万から4万円、5000万円を超える場合は月額5万から6万円程度です。

行政書士が扱う案件の多くは月額2万から3万円のゾーンですが、身上監護が困難な事案などでは、付加報酬が上乗せされるケースもあります。なお、東京家庭裁判所などが公開している報酬の目安(基本報酬)は以下のとおりです。

管理財産額報酬月額の目安
1000万円以下約2万円
1000万円超〜5000万円以下約3万〜4万円
5000万円超約5万〜6万円

継続収入が見込めるストックビジネス

成年後見業務は一度受任すると、被後見人が亡くなるまでの数年あるいは十数年にわたり業務が継続します。つまり、一度契約が決まれば、長期にわたって新規のリピート営業をする必要がありません。

行政書士事務所の廃業理由の多くは、毎月の売上が安定しないことにあります。不況や季節変動の影響を受けにくいストック収入を持つことは、精神的な余裕を生み、他の高単価業務へ挑戦するための土台になるでしょう。成年後見業務は顧客が生涯を終えるまで寄り添うため、顧客との信頼関係も構築しやすく、非常にやりがいのある仕事です。

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成年後見業務の報酬が決まる仕組みは?

成年後見業務の報酬決定権は、原則として家庭裁判所が持っています。成年後見業務報酬の仕組みをを理解していないと、想定より報酬が少なかったという事態になりかねないため注意してください。報酬はあくまで裁判所の裁量に委ねられるため、提示された金額に不服があっても、基本的に覆ることはありません。

ここでは、報酬決定のプロセスと入金タイミングについて解説します。

法定後見の報酬は家庭裁判所が決める

判断能力がすでに低下している人を支援する法定後見の場合、報酬額は行政書士が勝手に決めることはできません。成年後見人は1年ごとに家庭裁判所へ業務報告を行いますが、通常は業務報告の際に同時に報酬付与の申立てを行います。この申し立てをもとに裁判官が報酬額を決定します。。

報酬額は裁判官が業務内容や財産状況を審査したうえで決定するため、依頼者との直接契約で報酬金額をあらかじめ定めることは不可能です。法定後見業務の報酬は想定よりも低くなるリスクがあることを理解しておきましょう。なお、金額の多寡にかかわらず、決定された報酬額を受け入れる必要があります。

管理財産額や身上監護の内容で加算される

基本報酬に加え、業務の難易度に応じて付加報酬が認められる場合があります。例えば、不動産の売却手続きを行った、遺産分割協議に参加した、頻繁な入院手続きや施設入所の契約を行ったといった特別な業務があった場合です。

これらを詳細に業務報告書に記載しアピールすることで、基本報酬の50パーセントを上限として報酬額が上乗せされることもあります。ただし、日常的な見守り程度では加算対象にならないことが多いため注意してください。日頃から業務日誌を細かくつけ、大変だった業務を客観的に証明する準備をしておくことが大切です。

報酬の支払いは年1回の後払い

これから成年後見業務に参入する行政書士がもっとも注意すべき点は、キャッシュフローです。成年後見業務の報酬は毎月振り込まれるわけではなく、年に一回、1年間の業務報告と報酬付与の申し立てを行い、家庭裁判所の審判を経た後にその1年分をまとめて被後見人の口座から受領する仕組みだからです。

つまり、最初の1年間はキャッシュインはなく、経費としてかかった費用は持ち出しとなります。開業直後で資金繰りが厳しい時期に成年後見ばかりを受任すると、報酬が入る前に事務所が回らなくなるおそれがあるため、十分な資金計画を立てましょう。なお、被後見人が死亡した場合は、管理していた財産を相続人へ引き渡す前に報酬の精算を行います。

行政書士が成年後見人になるには?

行政書士が専門職後見人として活動するには、「コスモス成年後見サポートセンター」への入会が一般的です。資格を持っているだけでは信頼性が担保されず、家庭裁判所から選任されるケースは稀だからです。組織に所属することで、安定して案件を獲得するチャンスが広がります。

ここでは、入会手順や必要なコストについて解説します。

コスモス成年後見サポートセンターへ入会する

行政書士が成年後見業務を行う場合、日本行政書士会連合会が設立した一般社団法人コスモス成年後見サポートセンターに入会します。家庭裁判所は、組織的な監督体制がある専門家を優先的に選任する傾向があるからです。

個人で名乗りを上げても選任されるケースは少ないですが、コスモスの会員になることで組織の指導や監督を受けているという信用が得られ、家庭裁判所からの選任リストに載れるようになります。これにより、親族がいない方などの法定後見案件が回ってくる可能性が高まるでしょう。

事前研修を受講し考査に合格する

コスモスに入会するためには、各都道府県の支部が実施する入会前研修を受講する必要があります。研修時間は合計30時間以上に及ぶこともあり、民法や社会福祉法の知識、実務の倫理などを学びます。

すべての研修を修了したあと、効果測定と呼ばれる考査に合格して初めて会員登録が認められます。単に登録すればよいわけではなく、一定の学習時間と努力が必要になるため、計画的にスケジュールを組まなければなりません。研修は年に数回しか開催されない地域もあるため、募集時期を逃さないようにチェックしましょう。

また、入会後も一定期間ごとに研修の受講が必要であることや、受任している後見業務について一定期間ごとに報告書の提出が必要であるなど、入会後にも会員の義務として定められている事項に注意を払う必要があります。

開業後の年会費やランニングコストを把握する

儲かるかを考えるうえで経費の把握は欠かせません。コスモス成年後見サポートセンターに入会すると、入会金のほか、年間数万円の会費、さらに受任件数に応じた負担金などが発生する場合があります。

また、賠償責任保険への加入も必須となります。最初の案件を受任して報酬が入るまでの1年から2年は、これらの年会費や研修費が赤字として先行投資になります。成年後見業務で利益を上げるためにはこれらのコストを回収できるだけの件数を確保する覚悟を持ちましょう。

成年後見業務で効率よく稼ぐには?

行政書士として収益を最大化するには、任意後見業務や周辺業務とのセット受任が重要になります。漫然と裁判所からの選任を待っているだけでは、高収益化は望めません。受動的な法定後見業務だけでなく、能動的に動ける戦略をもつことで、ほかの行政書士と差別化できます。

ここでは、収益最大化のための戦略について解説します。

報酬を自由に設定できる任意後見業務を狙う

大きく稼ぐための鍵は任意後見業務です。法定後見業務と違い、任意後見業務は本人の判断能力があるうちに契約を結ぶため、報酬額を契約で自由に設定できるからです。

また、業務開始時期や業務内容も柔軟に設計可能です。将来が不安という元気な高齢者に対し、見守り契約や財産管理契約からスタートし、判断能力が低下したら任意後見業務に移行するスキームを作れば、裁判所の決定に左右されず、適正な対価を長期的に確保できるようになります。ここが行政書士としての提案力が問われる部分でしょう。

遺言書作成や死後事務委任とセットにする

成年後見業務はあくまで被後見人が生きている間のサポートですが、顧客のニーズは亡くなったあとにもあります。後見契約と同時に公正証書遺言の作成や、葬儀や納骨を行う死後事務委任契約をセットで受任することで、1人の顧客から得られる総報酬を最大化できます。

後見業務で築いた信頼関係があれば、これらの相続関連業務もスムーズに依頼されやすく、行政書士としての専門性をフルに活かした高単価業務へとつながります。生前から死後までワンストップで支援することは、顧客にとっても大きな安心材料になるはずです。

地域の福祉関係者と連携し紹介を増やす

Web集客だけでなく、リアルな営業活動も効果的です。地域包括支援センターの職員やケアマネジャー、ソーシャルワーカーは、身寄りのない高齢者の対応に困っていることが多々あります。こうした福祉関係者と顔の見える関係を作り、成年後見が必要な方がいたら相談に乗りますと伝えておくことで、裁判所経由ではない直接の紹介案件に繋がります。とくに任意後見業務の案件は、こうした地域のネットワークから生まれることが多いでしょう。まずは地元の勉強会や交流会に参加してみることをおすすめします。

成年後見業務のリスクやデメリットは?

成年後見業務は、24時間体制の対応や煩雑な事務作業を覚悟しなければなりません。他人の人生と財産を預かる重い責任をともなう業務であり、安易な気持ちで参入すると後悔することになるからです。リスク管理も業務の一部ととらえ、メリットだけでなく負の側面もしっかり理解しておく必要があります。

ここでは、事前に知っておくべきリスクとデメリットについて解説します。

休日夜間も緊急対応が必要な場合がある

被後見人の生活を守るのが仕事であるため、緊急時には24時間対応を迫られます。転倒して救急搬送された、施設でトラブルを起こしたといった連絡が、休日や深夜に入ることも珍しくありません。

基本的に身上監護に休日はないため、ワークライフバランスを重視する人にとっては負担に感じる可能性があります。自分一人で抱え込まず、法人化して複数名で対応するか、連絡可能な時間を定めておくなどの工夫が必要です。携帯電話を2台持ちにするなど、プライベートとの切り分けも検討しましょう。

親族トラブルや損害賠償のリスクがある

もっとも精神を消耗するのが親族との対立です。なぜ本人の金を使わせてくれないのかと親族から詰め寄られたり、財産管理の方針をめぐってクレームを受けたりするケースがあるからです。

また、自身のミスで財産を損なわせた場合は損害賠償請求されるリスクもあります。業務を行う際は、すべてのやり取りを記録に残し、説明責任を果たせるように準備しておくこと、そして賠償責任保険への加入が、自分自身を守るために不可欠です。感情的にならず、法律家として冷静に対応するスキルが求められます。

裁判所への定期報告などの事務作業が煩雑

成年後見人は、定期的に家庭裁判所や監督人へ業務報告を行う義務があります。通帳のコピーをとり、1円単位で収支を合わせ、活動記録を作成する事務作業は非常に煩雑です。

とくに裁判所のチェックは厳格で、使途不明金があれば厳しく追及されます。こうした事務処理能力が低いと、実働時間のほとんどが報告書作成に消えてしまい、時給換算すると割に合わず面倒な仕事になってしまうおそれがあります。日々の記録を習慣化し、効率的に処理する体制を整えることが重要です。

成年後見業務は長期的な安定収益の柱になる

行政書士の成年後見業務は、単体で大儲けはできませんが、事務所経営を底支えする確実な収益源になります。とくに、任意後見業務や死後事務委任を組み合わせることで、高収益化は十分に可能です。

ただし、重い責任と地道な事務作業がともなうため、誰かの人生を支えたいという使命感も必要不可欠です。リスクを理解したうえで戦略的に取り組めば、あなたの事務所にとって強力な武器となるでしょう。まずはコスモス成年後見サポートセンターの研修に参加し、自分にできる範囲から一歩を踏み出してみてください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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