- 更新日 : 2025年6月13日
エステサロンを開業したい!サロン開業におすすめの創業融資
エステサロンの開業では多くの資金が必要になり、資金調達の方法として日本政策金融公庫の創業融資があげられます。日本政策金融公庫では一般融資のほか、女性・若者・シニア起業家を対象にした融資も行っており、開業時にも利用可能です。
本記事では、エステサロン開業時に利用できる融資の種類や概要、手続きの流れなどを解説します。
目次
エステサロン開業で受けられる融資の種類
エステサロンを始めるにあたっては、資金調達の手段として「公的融資」と「民間融資」の2つがあります。
ここでは、それぞれの融資制度の特徴や違いについて詳しく解説します。
公的融資
エステサロンの開業にあたって利用できる公的融資は、日本政策金融公庫の「創業融資」です。
日本政策金融公庫は、国が100%出資する政策金融機関で、民間の金融機関を補完しつつ、国民生活の向上に寄与することを目的としています。
創業融資は、新たに事業を始める方や、事業開始後に税務申告を2期終えていない方を対象に、原則として無担保・無保証人で利用できる融資制度です。金利は低く、長期返済にも対応しています。
民間融資
民間融資とは、銀行や信販会社、消費者金融など、民間の金融機関から受ける融資のことです。
民間融資には、大きく分けて「プロパー融資」と「信用保証協会の保証がつく制度融資」の2種類があります。
プロパー融資は、金融機関が独自に審査して融資するもので、制度融資に比べて審査が厳しくなります。特に創業まもない企業は実績が乏しいため、貸し倒れのリスクを懸念され、融資を受けにくい傾向にあるでしょう。
一方、制度融資は信用保証協会、地方自治体、金融機関が連携して中小企業や個人事業主の資金調達を支援する仕組みです。信用保証協会の保証があることで、金融機関側のリスクが軽減され、創業期でも比較的融資を受けやすいというメリットがあります。
一般貸付の概要や対象
日本政策金融公庫が提供する創業向け融資にはいくつかの種類がありますが、ここでは、ほとんどの業種の中小企業や個人事業主が利用可能な「一般貸付」と、中小企業事業における「女性・若者・シニア起業家支援資金」についてご紹介します。
まず「一般貸付」に焦点をあてて、制度の概要や利用対象となる条件などを詳しくみていきましょう。
一般貸付とは
日本政策金融公庫の「一般貸付」は、ほとんどの業種における中小企業や個人事業主が利用できる融資制度です。
資金の使い道によって、融資の限度額や返済期間が異なります。返済期間や担保の有無などの条件に応じて利率が変わる仕組みです。
担保や保証人の要否については、申し込み時に借入希望者の状況や意向をヒアリングしたうえで判断されるため、「無担保・無保証で借りられるか不安」という方でも、柔軟に対応してもらえる可能性があります。
対象・条件
一般貸付の対象は、主に中小企業基本法で定める中小企業者や個人事業主です。個人事業主には、開業しているフリーランスや小規模な自営業者も含まれます。
条件は、次の3つの使い道に応じて変わります。
- 運転資金
- 設備資金
- 特定設備資金
運転資金とは、原材料の仕入や家賃・光熱費など事業の日常的な運営に必要な資金のことです。
設備資金は、備品・エステ機器の導入など、事業に必要な設備や施設を整えるための資金を指します。
特定設備資金は、商品や業種の変更を行う場合に必要な設備資金です。
融資額などの条件は使い道により定められていますが、条件は申込者の状況や背景によるところもあり、担当者の判断で変わることもあります。
融資額と詳細
日本政策金融公庫の「一般貸付」では、資金の使い道に応じて融資の上限額や返済期間が異なります。主な区分ごとの概要は以下のとおりです。
使い道 | 融資限度額 | 返済期間 |
---|---|---|
運転資金 | 4,800万円 | 原則5年以内(特別な事情がある場合は7年以内)、据置期間は最長1年 |
設備資金 | 4,800万円 | 最長10年、据置期間は最長2年 |
特定設備資金 | 7,200万円 | 最長20年、据置期間は最長2年 |
特定設備資金は、業種転換や新規商品の導入など、事業の大幅な変更に伴う投資を目的とした資金に分類されます。これにより、通常の設備資金よりも手厚い融資枠と長期の返済期間が設定されており、事業展開の転換を検討している方にとって心強い選択肢となります。
女性、若者/シニア起業家支援資金の概要や対象
日本政策金融公庫が提供する「女性、若者/シニア起業家支援資金」は、特定の年代や属性の創業者を対象とした融資制度です。
この制度がどのような内容で、誰が利用できるのか、融資限度額や条件とあわせて確認していきましょう。
女性、若者/シニア起業家支援資金とは
「女性、若者/シニア起業家支援資金」とは、日本政策金融公庫が提供する中小企業事業における創業支援向けの融資制度のひとつです。女性、若年者および高齢者を対象に、それぞれの視点を活かした事業の促進を図る中小企業者を支援します。
開業間もない方が資金面の不安を少しでも軽減できるよう、国が支援するもので、エステサロンのようなサービス業にも多く活用されています。
対象・条件
対象となるのは、女性、または年齢が35歳未満もしくは55歳以上で、新たに事業を始める方、あるいは事業開始からおおむね7年以内の方です。
資金の使い道は、開業費など資産として計上される費用を含む設備資金、および長期運転資金とされています。
長期運転資金には、建物の更新や改修に伴い、一時的に別の施設を借りる際に必要な費用も含まれます。
融資額と詳細
「女性、若者/シニア起業家支援資金」の融資限度額や返済期間は、次のとおりです。
使い道 | 融資限度額 | 返済期間 |
---|---|---|
運転資金 | 直接貸付:7億2千万円 代理貸付:1億2千万円 | 7年以内 (うち据置期間2年以内) |
設備資金 | 20年以内 (うち据置期間2年以内) |
直接貸付は、企業に対して直接行われる貸付のことです。代理貸付とは、日本政策金融公庫の代理となる銀行の窓口を通して行われる貸付を指します。
担保設定の有無や担保の種類などは、相談のうえ決定します。金利は、金額などによって異なるため、詳細は窓口で確認してください。
エステサロン開業の融資を受けるために気をつけたいこと
エステサロンの開業資金について融資を受ける際は、申請スケジュールや事業計画書に記載する内容について注意が必要です。
ここでは、融資の際の注意点を解説します。
開業準備と融資の申請スケジュール
エステサロンの開業には準備に一定の期間を要するため、計画的な進行が欠かせません。開業予定日が決まっている場合は、遅くとも3〜6ヶ月前、可能であれば1年前から融資の手続きを始められるよう、余裕を持ってスケジュールを立てましょう。
また、日本政策金融公庫の創業融資では、保証人や担保についての相談が可能ですが、あらかじめ保証人や担保物件を用意しておくことで、審査が通りやすくなり、よりスムーズに融資を受けられる可能性が高まります。
設備投資の具体性
融資を受ける際に提出する書類の中でも、特に重要とされるのが「事業計画書(創業計画書)」です。この書類では、設備投資や運転資金など、資金の使い道についてできるだけ具体的に記載することが求められます。
さらに、希望する融資金額の根拠を示すだけでなく、売上や利益の見込み、返済計画などを明確に記載することが大切です。
融資担当者に資金の必要性と返済計画の実現性を納得してもらうことで、審査に通過する可能性も高まります。
融資を受けるために必要な書類と申請の流れ
エステサロン開業のための融資の申請には、申し込む金融機関にあわせた書類の準備が必要です。
ここでは、日本政策金融公庫の創業融資を利用する場合を例に、必要書類や申し込みの流れについて解説します。
必要な書類
エステサロンの開業に際して日本政策金融公庫に融資を申し込む場合、次の書類が必要です。
- 事業計画書(創業計画書)
- 運転免許証(両面)またはパスポート(顔写真ページと現住所等の記載のあるページ)のコピー
- 法人の場合、履歴事項全部証明書または登記簿謄本
また、まつ毛エクステンションなどの国家資格が必要な施術を行う予定がある場合は、該当する営業許可証のコピーもあわせて提出する必要があります。施術内容によっては、保健所などからの許可が必要となるため、事前に必要な手続きを確認しておくことが大切です。
申請の流れ
融資の申請は、次の流れで行います。
- 申し込み・書類提出
- 面談
- 融資決定
まずは日本政策金融公庫の窓口やWebサイトを通じて融資を申し込み、必要な書類を提出します。書類提出後、担当者との面談が実施されます。提出した事業計画書や資金の使い道、返済計画などについて、実際に口頭で説明する機会です。内容を理解し、質問にしっかり答えられるよう、事前に準備しておきましょう。
面談後、提出書類と面談内容に基づいて審査が行われます。審査に通過すると、融資決定の通知とともに、借用証書などの契約書類が送られてきます。契約書類に必要事項を記入・押印して公庫へ返送し、契約手続きが完了すると、融資金が指定した金融機関の口座へ振り込まれるという流れです。
日本政策金融公庫については、以下の記事をご参照ください。
エステサロン開業に合った創業融資を受けよう
エステサロンを開業する際の資金調達には、日本政策金融公庫の創業融資や、日本信用保証協会の保証がつく制度融資の利用が可能です。創業融資の中でも特に代表的なものとして、「一般貸付」と「女性、若者/シニア起業家支援資金」があげられます。条件を確認し、年齢や状況、事業計画に応じて、適した融資制度を選択しましょう。
融資を申し込む際に重要となるのが「事業計画書」の作成です。設備投資や運転資金など資金の使い道、返済計画、売上見込みなどを具体的かつ現実的に記載し、資金が必要であること、返済が可能であることを伝えることが大切です。
審査をスムーズに進めるためにも、書類の準備や計画書の内容については、時間をかけて丁寧に仕上げるようにしましょう。
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