- 更新日 : 2025年8月21日
解体業の事業計画書の書き方は?創業融資など資金調達のポイントも解説
解体業を開業するためには、事業計画書の作成が非常に重要です。計画書があれば、開業準備がスムーズに進むことで、資金調達がしやすくなり、安定した経営へとつながるでしょう。
この記事では、これから解体業で独立開業を目指す方に向けて、事業計画書の書き方を記入例を交えながら詳しくご紹介します。
目次
解体業での開業に必要な事業計画書とは
事業計画書とは、事業内容や業績の伸ばし方といった事業の計画をまとめた書類です。融資を受けて資金を調達する際には、事業計画書の作成と提出が必須です。また、リスクを避けて安定的に事業を続けていくためにも、解体業を開業する前には入念に事業計画を立てておきましょう。
解体業の事業計画書と施工計画書の違い
施工計画書は、工事の進め方やスケジュール、安全対策について記載する書類です。そのため、事業計画書とは内容が異なります。解体会社を設立する際には「会社としてどのような事業を行うのか」を記した事業計画書を作成し、個々の工事では「どのように工事を進めるのか」を記した施工計画書を作成します。
なお、事業計画書の作成は任意です。金融機関や日本政策金融公庫、出資者や投資家から提出を求められない限り、作成しなくても問題ありません。しかし、施工計画書は一定規模以上の工事を行う場合に、建設業法に基づいて作成が義務付けられています。また、工事請負契約を締結する際に必要となる場合もあります。
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解体業の事業計画書の書き方・記入例
解体業の事業計画書の書き方について、記入例を交えながらご紹介します。最低限、以下の内容は盛り込みましょう。
創業動機・目的
まずは事業の概要(業種)と開業予定期(開業する年月)を記載します。「創業動機・目的」については、解体業で独立開業しようとした理由や、開業を決めた経緯を記載します。ご自身の経験を交えて書くと説得力が増すでしょう。
| 業種 解体工事業 | 開業予定期 ○年○月 |
|---|---|
| 1.創業動機・目的 | |
| 長く建設業界に身を置き解体業者を含む多くの関係者とコネクションを築いてきた。もとより独立開業には関心があったこと、そして関係性のあった解体業者が閉業に伴い、車両などの資産を譲ってくれることになったため、解体工事業を立ち上げることとした。 | |
職歴・事業実績
代表者のこれまでの経歴を簡潔にまとめます。解体業の経営に役立つ経験や経歴がある場合あるいは補足説明をしたい場合は、1~2行程度でまとめます。
| 2.職歴・事業実績(勤務先・役職・経験年数・資格など) | |
|---|---|
| 年次 | 具体的な内容 |
| ○年○月 | ○○大学卒業 |
| ○年○月~ | ○○建設に入社 |
| 25年従事 15年目からは主に管理業務に関わり、役員とともに会社の経営管理を担う | |
| ○年○月 | 退職予定 |
取扱商品・サービス
どのようなサービス・商品をどこの・誰に提供し、どのような強みがあるのか、どのように売り出していくかといった事業戦略を記載します。また、開業するエリアの解体市場の現状や競合他社の動向についても分析しましょう。
| 3.取扱商品・サービス | |
|---|---|
| 取扱商品・サービスの内容 | ①家屋の解体 |
| ②ビルなどの小・中規模の建物の解体 | |
| セールスポイント 販売ターゲット・戦略 | 主に、○○県内に家屋を持つ一般個人をターゲットとする。 |
| △△からの車両や機械の財産引受、また、これまでのコネクションから立ち上げ当初からある程度安定的に売上を出せる見込みがある。 | |
| 一般の方からでも気軽に依頼が出せるよう、親切・丁寧な接客に注力する。 | |
| 競合・市場などの分析 | 競合他社も少なくないが、○○県内においては安定して解体業社に対する需要がある。○○地方全体で見ても、解体業の平均売上高は上昇傾向にある。 |
取引先・取引関係
取引先の名称や取引シェア、掛取引の割合、回収・支払条件について記載します。解体業では個人の住宅を解体するケースもあれば、企業の事務所や工場、店舗などを解体するケースもあります。一般個人と法人に分けて記載しましょう。
| 4.取引先・取引関係 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 取引先名 | シェア | 掛取引の割合 | 回収・支払の条件 | ||
| 販売先 | 一般個人 | 60% | 100% | 末 日〆 翌月末 日回収 | |
| 法人 | 40% | 100% | 末 日〆 翌月末 日回収 | ||
| % | % | 日〆 日回収 | |||
| 仕入先 | % | % | 日〆 日支払 | ||
| % | % | 日〆 日支払 | |||
| % | % | 日〆 日支払 | |||
| 外注先 | % | % | 日〆 日支払 | ||
| % | % | 日〆 日支払 | |||
| % | % | 日〆 日支払 | |||
| 人件費の支払 | 末 日〆 翌月20 日支払 (ボーナスの支給月 月、 月) | ||||
従業員
従業員の人数を記載します。常勤役員、従業員(3カ月以上の継続雇用)に分けて記載しましょう。また、従業員に家族従業員やパート従業員が含まれる場合は、その人数も記入します。
| 5.従業員 | ||||
|---|---|---|---|---|
常勤役員の人数 | 1人 | 従業員数 (3カ月以上 継続雇用者) | 6人 | (うち家族従業員) 0人 (うちパート従業員) 0人 |
借入の状況
代表者が金融機関などから借入れをしている場合、借入先や借入れの種類、残高や年間返済額を記載します。住宅ローンや自動車ローンなどといった私用の借入れも明確にしておきましょう。
| 6.借入の状況(法人の場合、代表者の借入) | |||
|---|---|---|---|
| 借入先名 | 借入残高 | 年間返済額 | |
| ○○銀行○○支店 | □事業☑住宅□車□教育□カード□その他 | 1,650万円 | 120万円 |
| □事業□住宅□車□教育□カード□その他 | 万円 | 万円 | |
| □事業□住宅□車□教育□カード□その他 | 万円 | 万円 | |
必要な資金と調達方法
解体業の開業に必要となる資金の内訳と見積先、金額を記載します。また、資金の調達先や金額についても入れておきましょう。最後に合計を算出しますが、必要な資金と調達資金の合計額が一致するように計算します。
7.必要な資金と調達方法 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 必要な資金 | 見積先 | 金額 | 調達の方法 | 金額 | |
| 設備資金 | 店舗、工場、機械、車両など
| ○○社 ○○社 | 2,000万円 | 自己資金 | 1,000万円 |
| 親、兄弟、知人、友人からの借入 | 200万円 | ||||
| 日本政策金融公庫、国民生活事業からの借入 | 1,500万円 | ||||
| 他の金融機関からの借入(内訳・返済方法) | 0万円 | ||||
| 運転資金 | 商品仕入、経費支払資金など
| 700万円 | |||
合計 | 2,700万円 | 合計 | 2,700万円 | ||
事業の見通し
売上高や売上原価、経費の見込みを開業当初と1年後または軌道に乗った後の数値で記載します。見込額の算出根拠も明確に示しましょう。
8.事業の見通し(月平均) | ||||
|---|---|---|---|---|
| 創業当初 | 1年後または軌道に乗った後( 年 月頃) | 見通しに関する根拠を記入する | ||
| 売上高① | 600万円 | 780万円 | <創業当初> ① 売上高 ② 原価率 0% ③ 経費 <創業1年後> ① 売上高 ② 原価率 創業当初の割合を維持 ③ 経費 | |
| 売上原価② (仕入高) | 0万円 | 0万円 | ||
| 経費 | 人件費 | 350万円 | 440万円 | |
| 家賃 | 0万円 | 0万円 | ||
| 支払利息 | 2万円 | 2万円 | ||
| その他 | 180万円 | 234万円 | ||
| 合計③ | 532万円 | 676万円 | ||
| 利益①-②-③ | 68万円 | 104万円 | ||
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解体業で開業するときの資金調達方法
解体業を開業するための資金を調達するには銀行や信用金庫から資金を調達するほか、以下のような方法もあります。
創業に特化した融資制度を活用する
日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、創業間もない事業者、シニア、若者、女性向けの融資制度です。事業計画書が必要ですが、サポートを受けつつ作成できます。
補助金・助成金を活用する
国や自治体では産業の発展や地域振興、雇用促進を目的としてさまざまな補助金・助成金制度を用意しており、これを活用するという方法もあります。調達できる額が限定されていることと、要件を満たす必要がありますが、返済が不要なので開業後の負担を軽減することが可能です。
解体業の資金調達を成功させる事業計画書のポイント
資金調達をするためには事業計画書を提出して審査を受けなければなりません。最後に事業計画書を作成する際に意識したいポイントについてご紹介します。
想いが伝わるように書く
創業の動機や目的の欄は、一番はじめに目に入る部分です。事業を存続させるためには計画と実行が重要ですが、やはり創業者の想いも非常に重要となります。「なぜ創業したいのか」「創業して何を成し遂げたいのか」などを、具体的なエピソードも交えて伝えましょう。
必要な資金と調達方法は抜け・漏れがないように記載する
解体業を開業するためには機材や消耗品、事務所など、さまざまな経費がかかります。また、従業員に支払う人件費や外注費も必要です。創業後に「思った以上に経費がかかりすぎてしまった」「想定していなかった出費が発生した」というケースもよくあります。こうした事態を防ぐためにも、必要経費はしっかりとピックアップしておきましょう。また、資金調達の方法についても、「どのような手段があっていくら調達できるのか」をあらかじめ把握しておくことが大切です。
事業の見通しは現実的に
融資担当者としては、「その人に融資して貸倒しないかどうか」が、大きな関心事です。しっかりと経営を存続させて返済ができるようアピールするためにも、事業の見通しはしっかりと立てておきましょう。
とはいえ、楽観的な見通しは厳禁です。前述のとおり想定外の出費が発生する、売上や利益が思った以上に得られないといった事態もあり得ます。現実的で相手が納得できる見通しとその根拠を明らかにすることが大切です。
解体業の開業では事業計画書が必須
解体業の開業には、ある程度まとまった初期費用が必要です。行き当たりばったりの開業では、早期に行き詰まるリスクが高くなるため、特に資金調達に必要な事業計画書の作成が重要です。特に資金調達を行う際には、事業計画書の提出が必須です。経営が行き詰まらないためにも、しっかりとした計画を立てることが重要です。今回の記事を参考に、まずはご自身で事業計画書を作成してみましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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