- 更新日 : 2026年1月26日
日本政策金融公庫とは?融資制度や違い、メリット・デメリットを解説
日本政策金融公庫とは、国が100%出資する中小事業者向けの政府系金融機関です。
- 創業・小規模事業を支援
- 無担保・低金利融資あり
- 民間銀行を補完する役割
、営利より政策目的を重視し、創業期や実績の少ない事業者も対象にしているため融資を受けやすいです。
日本政策金融公庫は、融資などの事業によって地域の経済や国民生活を広く支えている政府系金融機関です。災害や混乱時のスムーズな融資対応など、重要な役割も担います。融資制度が豊富に設けられており、民間の金融機関からの融資と比較するとメリットも多くあります。融資を検討している方は、日本政策金融公庫も選択肢に入れましょう。
目次
日本政策金融公庫とは?
日本政策金融公庫は、中小企業や個人事業主、創業予定者などを資金面から支援するために設立された政府系金融機関です。民間銀行では対応が難しい分野を補完する役割を担っており、事業の成長段階に応じた多様な融資制度が用意されています。
日本政策金融公庫は政府が100%出資する金融機関
日本政策金融公庫(略称:日本公庫)は、国が全額出資している政府系金融機関です。2008年に複数の政府系金融機関が統合されて設立され、「国民生活事業」「中小企業事業」「農林水産事業」の3部門を通じて、幅広い事業者に融資を行っています。営利目的ではなく、政策目的に基づいた資金供給を行う点が大きな特徴です。
創業期や資金調達が難しい事業者を支援する役割を担っている
日本政策金融公庫は、創業間もない企業や実績の少ない個人事業主など、民間銀行では融資を受けにくい層への支援を重視しています。無担保・無保証で利用できる創業融資制度や、比較的低金利・長期返済が可能な制度が整備されており、事業の立ち上げや安定化を後押しする役割を果たしています。
民間銀行とは融資の目的と審査基準が異なる
民間銀行は収益性や返済能力を重視した融資を行うのに対し、日本政策金融公庫は「政策的な必要性」も含めて審査を行います。そのため、将来性や事業計画の内容が重視され、赤字や創業直後であっても融資が認められる可能性があります。一方で、融資額や使途には一定の制限がある点には注意が必要です。
民間銀行と併用することで資金調達の幅が広がる
日本政策金融公庫と民間銀行は競合関係ではなく、補完関係にあります。公庫の融資をきっかけに信用力を高め、その後に民間銀行からの融資を受けやすくなるケースも少なくありません。事業の成長段階に応じて、両者を上手に使い分けることが重要です。
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日本政策金融公庫の事業内容は?
日本政策金融公庫には、主軸となる3つの事業があります。以下で、それぞれを詳しく見ていきましょう。
国民生活事業
国民生活事業では、小規模事業者への事業資金や、子どもの入学などにかかる教育資金の融資を行い、国民の生活を支えています。
事業資金融資では、創業する事業者のほか、海外展開やソーシャルビジネスに取り組む事業者、事業再生・事業承継を目指す事業者などを多くサポートしています。経営環境の変化や災害などによって、資金繰りの悪化や対応資金の必要性が生じた事業者のセーフティーネットの役割も果たします。
地域の金融機関や商工会議所・商工会、税理士や中小企業診断士などの専門家と連携し、地域の小規模事業者の経営をサポートしています。
農林水産事業
農林水産事業では、農林漁業や食品産業を担う事業者への融資を行い、国内における食料生産体制の強化や良質な食料の安定供給を支えています。
農林水産業は気候や天候の影響を受けるため経営が不安定になりやすく、投資から利益の回収までに時間がかかるなど、リスクの高い産業です。そのため、民間の金融機関から融資を受けることが難しく、農地・山林・漁船などが担保として評価されにくいという側面があります。日本政策金融公庫は、こうした点をカバーすることで、農林水産業の事業者をサポートしています。
中小企業事業
中小企業事業では、日本の企業のうち約99%を占める中小企業を、融資や信用保険によって支えています。中小企業の成長と発展を支えることで、日本経済の基盤を支えているといえる事業です。
長期固定金利での融資制度などによって、事業に必要な資金を安定的に供給しています。融資の目的は、新規事業や設備導入、環境・エネルギー対策や企業再生、感染症対策や災害からの復旧などさまざまです。
スムーズな資金調達を支援するため、債務を保証する保険を引き受ける「信用保険業務」も行っています。
個人事業主が利用できる日本政策金融公庫の融資制度は?
日本政策金融公庫(日本公庫)は、中小企業や個人事業主の資金調達を支援する政府系金融機関であり、民間銀行で借りにくい創業期や小規模事業者でも利用しやすい融資制度を提供しています。個人事業主が資金調達を検討する際に活用できる制度を解説します。
新規開業・スタートアップ支援資金
個人事業主が事業の開始や創業後間もない段階で利用できる代表的な制度が「新規開業・スタートアップ支援資金」です。この融資は新たに事業を始める方および事業開始後おおむね7年以内の方を対象としており、運転資金や設備資金に幅広く利用できます。融資限度額は国民生活事業で最大で7,200万円(うち運転資金4,800万円)と高く、返済期間も設備資金で最長20年、運転資金で最長10年と長期返済が可能です。利率は基準利率のほか、条件に応じた特別利率も適用され、女性起業家や若者・シニア起業家などの特例もあります。
一般貸付【運転資金や設備資金を調達】
数ある制度の中でいずれかにも該当しない場合には一般貸付制度を利用します。幅広い事業者が利用できるのが特長です。融資額や金利、返済期間は個別に審査され決定されますが、日本公庫の融資は比較的低金利かつ長期返済が可能なため、事業拡大や設備投資に活用しやすい点が特徴です。
新規開業・スタートアップ支援資金(女性・若者・シニア起業家支援関連)
日本公庫では、創業者向けの支援をさらに手厚くするために、女性、若者(35歳未満)、シニア(55歳以上)起業家向けの支援融資などの特例制度を設けています。また、対象者が条件を満たすことで通常よりも有利な利率が適用されるケースもあり、資金調達の負担を軽減できます。さらに、地方での起業やUターン創業者向けの優遇もあり、多様な個人事業主のニーズに対応しています。
中小企業向けの日本政策金融公庫の融資制度は?
日本政策金融公庫は中小企業の資金ニーズに応えるべく、長期の設備投資や運転資金など多様な融資制度を、中小企業事業で提供しています。民間銀行だけでは対応しきれない成長支援や事業再編に対応するための制度が整っており、利用対象や使途に応じた選択が可能です。
中小企業経営力強化資金
中小企業の成長や新たな事業展開を支援する制度として、「中小企業経営力強化資金」があります。この制度は、経営革新や新規事業分野の開拓といった事業計画を策定し、それに対して認定支援機関等からの助言・指導を受けている企業を対象としています。設備資金や長期運転資金に使うことができ、融資限度額は7億2,000万円と大規模な資金調達も可能です。また、返済期間は設備資金で20年以内・運転資金で7年以内など長期返済が設定でき、返済計画を立てやすい点が特徴です。
事業再生・企業再建支援資金(企業再建・経営改善支援関連)
経営改善や再建を目的とした融資として、「「事業再生・企業再建支援資金(企業再建・経営改善支援関連)」があります。この制度は、取引金融機関や中小企業活性化協議会などの支援を受けながら、財務体質の再構築や事業の継続を図る中小企業を対象にしています。運転資金や設備資金として利用でき、融資限度額は20億円となっています。公庫の役割として、単なる資金供給だけでなく、再建計画に沿った支援が受けられる点が大きな特徴です。
省力化支援資金
近年の人手不足や業務効率化に対応するため、「省力化支援資金」のような特別貸付制度もあり、特定の補助金等を受けている企業が対象となります。この制度では、設備投資や長期運転資金に使える資金を最大14億4,000万円まで借りることができます。返済期間は設備資金で20年、運転資金で7年(いずれも据置期間含む)と長期返済が可能で、企業の投資計画を支援します。
日本政策金融公庫を利用するメリットは?
日本政策金融公庫の融資には、主に4つのメリットがあります。日本政策金融公庫の位置づけを確認しながら、どのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
融資が受けやすい
民間の金融機関に比べると、日本政策金融公庫からは融資を受けやすい傾向にあります。その理由は、日本政策金融公庫が中小規模の事業者や創業を支援するために作られた金融機関であるためです。民間の金融機関からは融資を受けにくい事業者も、日本政策金融公庫での融資は受けられる可能性があります。
日本政策金融公庫からの融資を受けていることで、民間の金融機関からの信用度が高まる傾向にあります。そのため、将来的に民間の金融機関からの融資も受けやすくなるでしょう。
無担保・無保証の融資制度がある
日本政策金融公庫の融資制度によっては、土地や建物などの担保や保証人が不要なものもあります。借入の際に代表者自身が法人の連帯保証人となる場合は、万が一事業が軌道に乗らず倒産してしまったときに、代表者の財産から負債を弁済しなければなりません。そうなると、倒産後の生活にも影響を及ぼします。しかし、無担保・無保証の融資であれば、代表者や連帯保証人の財産を守れるため安心です。
返済期間が長い
前述した「新規開業・スタートアップ支援資金」や「新規開業・スタートアップ支援資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)」では、最長の返済期間が運転資金で10年、設備資金は20年と長めに設定されています。返済期間が長ければ、ひと月ごとの返済額も低くなるため、無理のない返済計画を立てやすいこともメリットの1つです。
一方で、返済期間が長くなれば利息の金額は多くなります。その結果、返済期間が短い場合と比べると、総返済額も増えることは理解しておきましょう。
日本政策金融公庫を利用するデメリットは?
日本政策金融公庫の融資にはメリットが多くある一方で、知っておきたいデメリットもあります。以下では、日本政策金融公庫を利用する際に考えられる2つのデメリットを見ていきましょう。
近くに支店がない場合がある
地域によっては、近くに日本政策金融公庫の支店がない場合もあります。支店があっても県庁所在地に1か所のみの県もあるなど、支店の数にはばらつきがあります。一部の業務を除き、融資や相談、問い合わせといった基本的な業務は全ての支店で対応します。
日本政策金融公庫から融資を受ける流れは?
日本政策金融公庫の融資は、創業者や中小企業、個人事業主にとって利用しやすい資金調達手段です。ただし、民間銀行と同様に審査があり、一定の手順に沿って申し込み・実行されます。以下に、融資を受けるまでの一般的な流れを説明します。
① 日本金融公庫や専門家、支援機関に相談する
まずは、日本政策金融公庫の担当支店窓口に相談しましょう。申込方法や必要書類の案内が受けられます。税理士や中小企業診断士といった融資支援を行う専門家や商工会議所、商工会といった支援機関も融資の相談に乗ってくれますので気軽に相談しましょう。
② 必要書類を準備し、申込書を作成する
申し込みに必要な書類を準備します。提出が求められる代表的な書類には、借入申込書、事業計画書、見積書、本人確認書類、確定申告書(または決算書)などがあります。創業者の場合は、売上や経費の見込みなどを記載した事業計画書が特に重視されるため、丁寧に作成しましょう。
③ 窓口・Webで申込みを行う
準備が整ったら、公庫の支店窓口またはオンライン(インターネット申込)から融資の申し込みを行います。オンライン申込では、書類のデータをアップロードする形式が取られます。申込み後、公庫側で書類の確認と受付処理が進められます。
④ 担当者との面談(ヒアリング)を受ける
申込後、担当職員との面談(ヒアリング)が行われます。面談では、事業内容や資金使途、将来の計画、返済可能性などについて詳しく質問されます。事業に対する熱意や具体性、数字の根拠を説明できるよう準備しておくことが大切です。創業融資の場合は、自己資金や事業経験も重視されます。
⑤ 審査結果の通知を受け、契約・融資実行
面談後、内容をもとに融資審査が行われ、問題がなければ可決結果が通知されます。承認された場合は、借入契約書の締結を経て、指定口座へ融資金が振り込まれます。審査期間は通常2〜3週間ほどですが、混雑状況や内容により前後することがあります。契約時には印鑑や通帳などの持参が求められます。
日本政策金融公庫から融資を受ける際に役立つテンプレート
日本政策金融公庫から融資を受ける場合には、所定の書式に則った手続きが必要です。ここでは、日本政策金融公庫の書式と、事業計画書のテンプレートをご紹介します。
日本政策金融公庫の借入申込書
日本政策金融公庫から融資を受けるためには、ホームページに掲載されている「借入申込書」での申請が必要です。また、経営計画策定に役立つ各種資料なども提供されているので、ぜひご活用ください。
事業計画書のテンプレート
融資を受ける際には、正確な情報が記載されており、実現可能性の高さを裏付ける事業計画書が必要です。記載項目が多く、自分で作ることは大変であるため、テンプレートを使うと漏れなく迅速に作成できるでしょう。
以下のリンクから、事業計画書のテンプレートをダウンロードできます。事業の状況や今後の展望を客観的に捉えるために、ぜひお役立てください。
日本政策金融公庫の審査に通るコツは?
日本政策金融公庫の融資は比較的受けやすい傾向があるものの、審査に通過するのは簡単ではありません。以下では、日本政策金融公庫の融資における審査に通過するために知っておきたいポイントを紹介します。
新たな事業に関する実績を積み上げる
融資の審査を通過するためには、事業に関する実績が重視されます。新たな事業に関する実績が少ないと、事業を継続できる可能性が低いとみなされ、審査に通過しにくいものです。
事業に関する経験を積み、信頼に値するとアピールできる実績を増やすよう努めましょう。事業内容に関連した経験が豊富な従業員を雇用する、という方法もあります。
支払いの遅延や滞納をしない
日頃から、支払うべきものの遅延や滞納をしないことも大切です。公共料金や税金の支払いもしかりです。クレジットカードやローンの支払いの履歴は、個人信用情報機関(CIC)を通して公庫職員にチェックされます。支払いをしていても、期限に遅れていることが多い場合はやはり不利になるでしょう。支払うべきものはその都度きちんと支払っておくことが大切です。
矛盾のない事業計画書を作成する
事業計画書には正確な情報を記載し、矛盾や偽りのないようにしましょう。過去の情報は、思い違いで誤った情報を記載することがないようにしっかりと確認して記載することが大切です。将来的な見通しに関しても、根拠のある数字を記載して実現の可能性が高いことをアピールする必要があります。
融資を受けるなら日本政策金融公庫を検討しよう
日本政策金融公庫は、小規模事業者・中小企業・個人などに対して、幅広い融資や支援を行っている金融機関です。主軸となる事業は、国民生活事業・農林水産事業・中小企業事業の3つです。
加えて、民間の支援が難しい分野のカバーや、非常時のセーフティーネットとしての役割も担っています。日本金融政策公庫の融資は低金利であることや長期間の返済が可能であることが使い勝手が良いといえるでしょう。「事業を安定させるために融資を受けたい」「民間の金融機関で融資を受けられなかった」という方は、日本政策金融公庫の融資を検討してみましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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