- 更新日 : 2026年8月20日
電子定款とは?作り方・認証の流れを解説!
電子定款とは、会社設立時に作成する定款をPDFなどの電子データで作成したもので、収入印紙4万円が不要になります。
- 紙の定款と記載内容は同じだが印紙代が不要
- 株式会社は電子定款でも公証役場の認証が必要
- 電子署名・ICカードリーダーなどの環境準備が必要
Q. 電子定款にすると費用はいくら節約できる?
A. 紙の定款で必要な収入印紙代4万円が不要になります。ただし株式会社では定款認証手数料(1万5,000円〜5万円)が別途かかります。
電子定款とは、会社設立時などに作成する定款を電磁的記録で作成し、所定の電子署名を付したものです。一般的には、定款をPDFファイルで作成して電子署名を付します。紙の定款と記載内容は基本的に同じですが、電子定款では印紙税4万円が不要になるため、設立費用を抑えやすい点が特徴です。
本記事では、電子定款の意味、作成前の準備や作成の流れ、注意点などを解説します。
電子定款とは?
電子定款は、定款の内容自体は紙の定款と同じですが、作成方法や提出方法、印紙税の扱いが異なります。
電子定款は電子データで作成する定款
電子定款とは、会社の基本ルールを記載した定款に電子署名を付し、紙ではなく電子ファイルとして作成したものです。株式会社や合同会社を設立する際には、商号、事業目的、本店所在地、出資に関する事項などを定款に記載します。電子定款でも、記載すべき内容は紙の定款と基本的に変わりません。
紙の定款との違いは印紙税と手続き方法
紙の定款を作成する場合、原則として収入印紙4万円が必要です。一方、電子定款は課税文書に該当しないため、印紙税がかかりません。そのため、会社設立時の費用を抑えられる点が大きなメリットです。ただし、自分で電子定款を作成する場合は、電子証明書を用意し、PDFファイルなどに電子署名を付すための環境を整える必要があります。
株式会社では公証人による認証が必要
株式会社を設立する場合、電子定款であっても公証人による定款認証が必要です。電子定款の認証はオンラインで申請でき、一定の場合にはテレビ電話を利用して公証役場へ出向かずに手続きできます。合同会社の場合は、紙の定款と同様に公証人による認証は不要です。電子定款は費用面で有利ですが、手続きに必要な環境を自分で整えるか、専門家や会社設立サービスを利用するかを検討するとよいでしょう。
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電子定款を作成する事前準備は?
電子定款を作成する前には、定款の記載内容を固めるだけでなく、電子署名に必要な環境や、公証役場への確認事項を整えておく必要があります。
電子定款の内容を作成できる状態にしておく
まず、定款に記載する基本事項を整理します。商号、事業目的、本店所在地、発起人、出資額、発行可能株式総数、事業年度などです。これらが曖昧なままだと、電子定款の作成後に修正が必要になり、認証前の確認作業にも時間がかかります。特に事業目的は、将来行う可能性がある事業や許認可との関係も考えて決める必要があります。
電子署名に必要な環境を準備する
電子定款では、作成者が電子データに電子署名を行う必要があります。電磁的記録の認証は、嘱託人が電磁的記録に電子署名を行い、指定公証人が認証を与える仕組みです。 事前に電子証明書、マイナンバーカード、ICカードリーダー、署名用ソフトなど、電子署名に必要な環境を確認しておきます。
| 準備するもの | 確認する内容 |
|---|---|
| 電子証明書 | 有効期限が切れていないか |
| マイナンバーカード | 署名用電子証明書が利用できるか |
| ICカードリーダー | パソコンで読み取りできるか |
| PDF作成環境 | 定款をPDF化できるか |
| 署名用ソフト | PDF署名またはXML署名など、利用する申請方法に対応しているか |
公証役場への確認事項を整理しておく
株式会社の電子定款では、公証役場での認証が必要です。事前に、認証を受ける公証役場、必要書類、手数料、面談や本人確認の方法を確認しておくとスムーズです。また、2026年1月13日からは、PDFファイルにXML形式で電子署名された電子文書も認証可能になるなど、電子定款認証の申請方法が拡大されています。 最新の申請方法や添付ファイルの扱いは、公証役場や登記・供託オンライン申請システムの案内で確認しておくとよいでしょう。
参考:XML署名を付与した電子定款の提供等が可能になりました|法務省
電子定款を作成する流れは?
電子定款は、定款の内容を決めてPDF化し、電子署名を付与したうえで、必要に応じて公証役場で認証を受ける流れで作成します。紙の定款と記載内容は大きく変わりませんが、電子署名やオンライン申請など、電子データ特有の手続きが加わる点に注意が必要です。
1. 定款に記載する基本事項を決める
まず、定款に記載する会社の基本事項を決めます。商号、本店所在地、事業目的、公告方法、発起人の氏名または名称および住所、出資額、発行可能株式総数、事業年度などです。これらは会社設立後の運営にも関わるため、登記だけを目的に簡単に決めるのではなく、将来の事業展開や許認可の必要性も踏まえて整理します。
2. 定款の原案を作成する
決めた基本事項をもとに定款の原案を作成します。株式会社の場合は、絶対的記載事項が欠けていると定款として効力を持たないため、商号、目的、本店所在地、設立時に出資される財産の価額または最低額、発起人の氏名・住所などを漏れなく記載します。合同会社の場合も、商号、目的、本店所在地、社員の氏名または名称および住所、社員全員が有限責任社員であること、出資の目的・価額などを整理します。
3. 定款をPDF化する
原案の内容を確認したら、定款をPDFファイルに変換します。電子定款は、Wordなどの文書ファイルをそのまま提出するのではなく、原則としてPDF形式で作成します。PDF化する際は、文字化けやページ抜け、日付・会社名・発起人名の誤りがないかを確認します。紙で印刷して押印する手続きとは異なるため、電子署名を付与する前の段階で内容を確定させておくことが重要です。
4. PDF署名またはXML署名を付与する
PDF化した定款には、作成者による電子署名を付与します。電子署名の方法には、PDFファイル自体に署名を付ける方法と、PDFファイルにXML形式の署名情報を付与する方法があります。利用する申請方法に対応したソフトや電子証明書を準備しましょう。
電子署名は、電子定款が本人によって作成されたことや、署名後に改ざんされていないことを示すために必要です。マイナンバーカードの署名用電子証明書や、対応するICカードリーダー、署名用ソフトなどを使って署名します。電子署名を付けた後に内容を修正すると、再度署名が必要になるため、署名前の確認が欠かせません。
5. 株式会社は公証人による定款認証を受ける
株式会社を設立する場合は、電子定款であっても公証人による定款認証を受けなければなりません。認証は、テレビ電話を利用して行う方法と、公証役場へ出向いて行う方法があります。
作成した電子定款をオンラインで送信し、公証人による確認を受けましょう。認証時には、定款認証手数料や謄本交付手数料などがかかります。合同会社は公証人による定款認証が不要なため、電子署名済みの定款を会社設立登記の添付書類として使用します。
直接定款を受け取る際には、あらかじめ電話で訪問日時を伝えておく必要があります。
テレビ電話を利用せずに公証役場へ出向く場合の主な持参物は、次のとおりです。ただし、電子署名者と来訪者の関係などによって必要書類が異なるため、事前に公証役場へ確認してください。
- 認証済み電子定款を保存するためのUSBメモリなどの電子媒体
- 顔写真付きの公的身分証明書、または発行後3ヶ月位内の印鑑登録証明書と実印
- 委任状および印鑑登録証明書など(代理人が手続きする場合)
- 定款認証手数料など
そのほか、公証役場から指定された書類以上のものを持って公証役場に行き、定款を受け取りましょう。
6. 認証済みの電子定款を保管する
認証が完了した電子定款は、会社設立登記や設立後の社内管理に必要となるため、紛失しないよう保管します。電子データとして保存するだけでなく、必要に応じてバックアップを取っておくと安心です。設立後に金融機関、税理士、行政機関などから定款の提出を求められることもあるため、認証済みデータと控えを区別して管理しておくとよいでしょう。
電子定款を作成する費用は?
電子定款を作成する費用は、自分で作成するか、専門家や会社設立サービスに依頼するかで変わります。紙の定款では原則として印紙税4万円が必要ですが、電子定款では印紙代がかかりません。ただし、株式会社では電子定款でも公証役場での認証手数料が必要です。
| 費用項目 | 目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 印紙税 | 0円 | 電子定款では不要です。紙の定款では原則4万円かかります。 |
| 定款認証手数料 | 1万5,000円〜5万円 | 株式会社・特定目的会社などで必要です。合同会社は認証不要です。 |
| 謄本手数料 | 2,000円前後 | 電磁的記録の保存手数料|300円|認証を受けた電子文書を公証人が保存するための手数料です。 同一の情報の提供手数料|必要な場合は700円+書面1枚につき20円|認証済み電子定款と同一内容の書面を請求する場合にかかります。 |
| 電子署名環境の準備費 | 数千円〜数万円 | ICカードリーダーや署名ソフトを用意する場合に発生します。 |
| 専門家・サービスへの依頼料 | 0円〜数万円程度 | 会社設立サービスでは無料の場合もありますが、司法書士等に依頼すると報酬が発生します。 |
自分で電子定款を作成すれば印紙代を節約できますが、電子署名の準備や認証手続きに手間がかかります。初めて会社を設立する場合は、費用だけでなく、作業時間やミスによる修正リスクも含めて判断するとよいでしょう。
電子定款に関する失敗を防ぐための注意点は?
電子定款は印紙代を節約できる一方で、電子署名やPDF形式、ファイルの保存方法など、紙の定款とは異なる注意点があります。内容の不備や署名環境の確認漏れがあると、作成後に修正が必要になり、会社設立のスケジュールが遅れる可能性があります。
署名前に記載内容を確定する
電子定款では、PDF署名またはXML署名を付与した後に定款の内容を変更すると、電子署名を改めて付与する必要があります。そのため、署名前に記載内容を確定させることが重要です。特に、会社名の表記ゆれ、番地の誤り、発起人住所の印鑑証明書との不一致は見落としやすいポイントです。署名後に誤りが見つかると、PDFの作成や電子署名をやり直すことになります。
電子証明書と利用環境を先に確認する
電子定款を自分で作成する場合は、一般的にマイナンバーカードの署名用電子証明書、ICカードリーダー、署名用ソフトなどが必要です。電子証明書の有効期限が切れている、暗証番号を忘れている、パソコン側でICカードを読み取れないといった不備があると、電子署名を付与できません。作成直前に気づくと手続きが止まるため、事前に署名テストや利用環境の確認をしておくと安心です。
PDF形式と保存名を分けて管理する
電子定款は、単にWordファイルをPDF化すればよいわけではありません。電子署名が正しく付与されているか、ファイルが破損していないか、提出時に指定された形式に合っているかを確認する必要があります。また、認証済みの電子定款と作成途中のファイルを混同すると、登記や金融機関への提出時に誤ったデータを使うおそれがあります。ファイル名に「認証済み」「控え」「修正前」などを付け、保存場所を分けて管理するとよいでしょう。
電子定款は会社設立後も使う?
電子定款は、会社設立時だけに使う書類ではありません。設立登記が完了した後も、金融機関での口座開設、許認可申請、補助金・融資の申請、社内管理などで定款の提出や確認を求められることがあります。
法人口座の開設時に定款の提出を求められる
会社設立後に銀行で法人口座を開設する際、定款の提出を求められる場合があります。金融機関は、会社の事業内容、所在地、役員構成、設立目的などを確認するために、登記事項証明書や代表者の本人確認書類とあわせて定款を確認することがあります。電子定款の場合は、認証済みデータをそのまま提出できるか、印刷した写しが必要かを事前に確認しておくとスムーズです。
許認可や補助金・融資の申請で事業目的を確認されることがある
飲食業、建設業、古物商、人材紹介業など、許認可が必要な事業では、定款の事業目的に申請する事業内容が含まれているかを確認されることがあります。また、補助金や融資の申請でも、会社の事業内容を確認するために定款の提出を求められるケースがあります。事業目的が申請内容と合っていない場合、定款変更が必要になる可能性があるため、設立時点で将来の事業展開も見据えて作成しておくことが重要です。
電子定款を正しく準備して会社設立手続きをスムーズに進めよう
電子定款とは、定款を電磁的記録として作成し、所定の電子署名を付したものです。紙で作成する設立時の定款原本にかかる印紙税4万円を抑えられる一方、電子証明書や電子署名の環境を準備する必要があります。株式会社では、電子定款であっても公証人による認証が必要です。
また、電子署名前の内容確認、ファイル形式、認証済みデータの保管にも注意しなければなりません。電子定款は会社設立後も、法人口座の開設、許認可申請、融資・補助金申請などで使う場面があります。作成時だけでなく、設立後の管理まで見据えて準備しましょう。
よくある質問
電子定款とは?
会社の目的や業務執行、組織などの基本規則を記した定款をPDF化したものです。詳しくはこちらをご覧ください。
電子定款を作る前に注意すべきポイントは?
電子定款は認証申請を一度してしまうと、訂正や再申請に手間がかかりますので、定款を作成した時点で、一度公証役場や法務局にチェックしてもらうのがおすすめです。詳しくはこちらをご覧ください。
電子定款の作り方は?
清書した定款をPDFに変換し電子証明書を市区町村の交付窓口で取得、電子署名を加えます。その後保存した電子証明書を電子定款に埋め込み送信。公証役場で受け取ります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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