- 作成日 : 2026年1月14日
電子定款は自分で作成できる!流れや無料のやり方、合同会社の注意点も解説
会社設立時に電子定款を選択することで、紙の定款で必要な4万円の収入印紙代を節約できます。電子定款は自分で作成することもできますが、専用の機器やソフトの準備、そして複雑な設定が必要です。
本記事では、電子定款を自分で作成したいと考えている方に向けて、具体的な作成手順、ICカードリーダライタやPDF署名ソフトの選び方、そして専門家に依頼する場合とのコスト比較を、失敗しやすいポイントを交えて徹底解説します。
目次
電子定款は自分で作成できる!
電子定款を自分(発起人)で作成・認証手続きを行うことは、法律上問題なく可能です。電子定款の最大のメリットは、収入印紙代(4万円)が不要になることですが、電子署名を行うための環境を整える必要があるため注意が必要です。
電子定款を自分で作成するメリットは?
電子定款を自分で作成するメリットは、紙の定款に貼付する必要がある4万円分の収入印紙が、電子データ(PDF)にすることで法的に不要になる点です。
また、法務省が運営する「登記・供託オンライン申請システム」を利用することで、定款認証から設立登記申請までをオンライン上で一括して進めることが可能になります。
特に創業時の資金を少しでも節約したい方にとって、この4万円の削減効果は非常に大きく、自分で手続きを行う最大のモチベーションとなります。
電子定款を自分で作成するデメリットは?
電子定款の作成には、マイナンバーカードを読み取るためのICカードリーダライタや、電子署名を付与できるPDF作成ソフト(Adobe Acrobat Proなど)が必要です。
これらの機器やソフトをお持ちでない場合、新たに購入・契約する必要があります。今回限りの会社設立のためだけに数千円〜数万円のツール導入コストをかけると、4万円の節約効果が薄れてしまうリスクがあります。
また、PDF署名プラグインの設定など、PC操作に慣れていない方にはハードルが高い作業が含まれる点も考慮すべきです。
電子定款を自分で作成すべきかどうかの判断基準は?
PC操作が得意であり、電子契約や確定申告などで今後もマイナンバーカードやICカードリーダを使用する予定がある方は、自分で作成することをおすすめします。
一方で、PCの設定やトラブルシューティングが苦手な方や、今回きりの利用で機材を購入したくない方は、時間と手間を天秤にかける必要があります。場合によっては、電子定款作成に対応した会社設立サービスを利用したり、専門家に依頼したりする方が、トータルのコストパフォーマンスが高いケースもあります。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気のガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
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電子定款の作成に必要なものは?
自分で電子定款を作成し、法務省の「登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)」で申請するためには、以下の物理的な機器とソフトウェアが必要です。
1. マイナンバーカード(電子証明書付き)
電子定款を作成するには、発起人(出資者)本人のマイナンバーカードが必須です。
特に重要なのが、カード作成時に搭載した「署名用電子証明書」が有効であることです。これは、定款という重要書類に法的効力を与えるために使われます。署名時には、自身で設定した「署名用電子証明書暗証番号(英数字6〜16桁)」の入力が求められます。暗証番号を忘れてしまっていたり、ロックがかかっていたりすると手続きが進まないため、役所で事前に確認・再設定をしておきましょう。
参考:マイナンバーカードについて – マイナンバーカード総合サイト
2. ICカードリーダライタ
マイナンバーカードをPCで読み取るためのICカードリーダライタが必要です。
家電量販店やAmazonなどで2,000円〜4,000円程度で購入可能ですが、必ず「マイナンバーカード対応」または「公的個人認証サービス対応」と明記されている製品を選ぶ必要があります。
代表的な製品にはソニーの「PaSoRi(パソリ)」やNTTコミュニケーションズの製品などがあります。安価な並行輸入品などは対応していない場合があるため、信頼できる国内メーカーの定番製品を選ぶのがトラブルを避けるコツです。
参考:ICカードリーダライタのご用意 | 公的個人認証サービス ポータルサイト
3. PDF作成・電子署名ソフト
Word等で作成した定款をPDFに変換し、マイナンバーカードを使って法務省指定形式の電子署名を付与できるソフトが必要です。
「Acrobat Reader」など、通常の無料PDF閲覧ソフトでは電子署名の付与はできません。一般的には「Adobe Acrobat Pro DC」などの有料サブスクリプション版が必要になります。
さらに、Adobeのソフトに法務省が提供する無料の「PDF署名プラグイン」を組み込んで初めて、登記申請に使える電子署名が可能になります。
参考:PDF署名プラグインについて | 登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと
電子定款を自分で作成する流れは?
ここでは、株式会社の設立を前提に、電子定款を自分で作成する具体的な手順を解説します。
1. 定款の原案を作成する
公証役場の事前確認を受けるため、まずはWordなどの文書作成ソフトで定款を作成します。
- 商号、目的、本店所在地、資本金などの絶対的記載事項を記載する。
- 公証人のチェック後に確定するため、作成日は空欄にしておく。
2. 公証役場で事前確認を受ける
作成した定款の原案を、本店所在地を管轄する公証役場へFAXやメールで送付します。
電子定款は一度電子署名をしてしまうと、その後の修正が非常に困難です。電子署名をする前に必ず公証人のチェックを受け、問題なければ作成日などを記入して完成させます。
3. PDFに変換し、電子署名を付与する
定款の内容が確定したらPDF化し、準備したソフトと機器を使って電子署名を付与します。
- WordをPDF形式で保存する。
- Adobe Acrobat Proを開き、法務省提供の「PDF署名プラグイン」を起動する。
- ICカードリーダにマイナンバーカードをセットする。
- 「署名」を実行し、暗証番号を入力する。
暗証番号の入力に成功すると、PDFには改ざん防止のセキュリティがかかり、署名パネルに本人の電子証明書情報が表示されます。この状態になって初めて「電子定款」として機能します。
参考:PDF ファイルで電子署名を利用する方法 (Acrobat / Acrobat Reader)
4. 登記・供託オンライン申請システムで申請する
署名付きPDFが完成したら、法務省の「登記ねっと」からダウンロードできる「申請用総合ソフト」を使って送信します。
- 申請用総合ソフトで「嘱託請求(公証)」を選択する。
- 必要事項を入力し、PDFを添付する。
- 申請データを送信する。
参考:ダウンロード(ソフトウェア・操作手引書) | 登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと
5. 認証手数料の支払いと面談を行う
申請データが公証人に確認されると連絡が入るので、手数料の支払いと認証のための面談を行います。
- 来所する場合
予約した日時に公証役場へ行き、本人確認と認証を受けます。 - オンライン面談の場合
テレビ電話機能を使ったオンライン面談も可能です。ただし、オンライン面談には通信環境や事前の環境確認が必要なため、不安な場合は対面で本人確認と認証を受けるのが確実です。
また、認証手数料(資本金により約3万円〜5万円)はこのタイミングで支払います。
6. 認証済み電子定款データを受領する
認証手続きが完了すると、公証人の電子署名が入った正式な定款データが交付されます。 システム経由でのダウンロード、または持参したCD-RやUSBメモリなどの保存媒体に格納してもらう形で受け取ります。
認証済み電子定款データは、その後の法務局への会社設立登記申請における最重要添付書類となります。紛失やデータの破損がないよう、確実に保存し、バックアップを取っておくことをおすすめします。
合同会社の電子定款は公証人の認証が不要!
株式会社と異なり、合同会社の定款は公証役場での認証手続きが不要です。 つまり、自分で電子定款を作成した時点で定款として有効になります。
公証役場へのオンライン申請(嘱託請求)や面談のプロセス自体がなくなるため、株式会社に比べて手続きは大幅に簡素化され、設立コストも極限まで抑えることができます。
ただし、認証が不要だからといって、単にWordをPDFにしただけのファイルでは電子定款として認められません。株式会社と同様に、マイナンバーカードとICカードリーダを使って適切な電子署名を付与する必要があります。
電子定款を無料で作成する方法はある?
「機材やソフトにお金をかけたくない」という方のために、Adobe Acrobatの無料体験版を活用する方法と、設立支援クラウドサービスの無料キャンペーンを利用する方法を紹介します。
Adobe Acrobat Proの無料体験版を活用する
「Adobe Acrobat Pro」には、通常7日間程度の無料体験期間が設けられています。 この期間内に、PDF署名プラグインの設定から電子署名の付与、そして申請データの送信までを完了させ、期間内に解約すればソフト代は実質無料になります。
ただし、署名作業中に体験期間が終了してしまったり、解約を忘れたりすると課金されるため、スケジュールを綿密に立ててから登録・インストールを行う必要があります。
参考:Adobe Acrobat Proをダウンロードして無料で始める
会社設立支援サービスの特典を利用する
一部の会社設立支援サービスでは、電子定款の作成機能が利用料に含まれていたり、定款作成の代行手数料が実質無料になるキャンペーンを行っていたりします。
これらを利用すれば、自分で高価なPDF編集ソフトを契約する必要がなくなる場合があります。また、行政書士に依頼する場合でも、こうしたサービス経由であれば格安で対応してもらえるケースがあるため、比較検討する価値があります。
電子定款を自分で作成する上でよくあるトラブルは?
最後に、電子定款を自分で作成する上でよくあるトラブルと注意点をまとめました。
PDF署名プラグインが動作しない・認識されない
最も多いのが、Adobe AcrobatとPDF署名プラグインの連携エラーです。 Adobe Acrobatのバージョン(32bit版か64bit版か)と、インストールしたプラグインのバージョンが一致していないと動作しません。また、Acrobatのアップデートにより設定がリセットされることもあります。
エラーが出た場合は、法務省の公式サイトにある最新のマニュアルを確認し、自身のPC環境に合った正しいバージョンのプラグインを再インストールしてください。
マイナンバーカードの電子証明書が期限切れ・失効している
意外な落とし穴が、マイナンバーカードの電子証明書の有効期限や失効です。 マイナンバーカード自体の有効期限とは別に、署名用電子証明書には有効期限があります。また、引越し(住所変更)をすると、署名用電子証明書は自動的に失効します。転入手続きの際に役所で更新手続きを行っていない場合、カードを持っていても電子署名ができません。
エラーが出る場合は、一度役所に行き、電子証明書が有効か、パスワードロックがかかっていないかを確認してください。
参考:電子証明書の更新期限を過ぎてしまった場合、どのようにすればよいでしょうか? – マイナンバーカード総合サイト
自分に合った方法で電子定款の作成を進めよう
電子定款を自分で作成すれば、確実に4万円の印紙代を節約できます。しかし、そのためにはマイナンバーカード、ICカードリーダ、PDF署名ソフト、申請用総合ソフトといった環境構築と、多少のITスキルが必要です。
ご自身の状況に合わせて、以下の基準で最終判断を下してください。
- 向いている人:PC操作が得意、すでに機材を持っている、今後も電子契約などで機材を使う予定がある人
- 向いていない人:PC設定が苦手、今回限りの利用で機材を買いたくない人
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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