• 作成日 : 2025年12月23日

コインランドリー経営は儲かる?開業費用や成功のポイントを解説

共働き世帯や単身者の増加により、コインランドリー経営の需要が高まりつつあります。有人常駐を前提としないセルフサービス型ビジネスとして注目されていますが、実際にどの程度の管理工数で運営できるか、また儲かるかどうかは、立地や運営体制によって大きく変わるため簡単には判断できません。

本記事では、開業に必要な費用や収益構造、成功のポイントなどを解説します。

目次

コインランドリー経営は儲かるビジネス?

コインランドリー経営は、一見シンプルな無人ビジネスに見えますが、立地や運営体制によって収益性が大きく左右される事業です。ここでは、「儲かるのか」という問いに対し、利益の実態と立地の重要性から答えます。

平均月商は50万~300万円|適切に運営すれば高利回りも可能

コインランドリーの月商は、業界調査などでは標準的な店舗規模でおおむね50万~300万円程度のレンジに分布するとされており、純利益はそのうちの約20~35%とされるケースが多いと報告されています。たとえば月売上100万円の場合、モデルケースではおよそ20~35万円前後の利益が出ている例があります。これは人件費が不要で、固定客がつきやすい点が背景にあります。

また、近年では共働き世帯や単身者の増加により、洗濯ニーズが高まり収益チャンスが拡大しているとされています。立地や運営がうまくかみ合った場合には、一般的な賃貸不動産投資と比較しても高い利回りが期待できるケースもあり、投資対象として注目されています。ただし、初期費用や運営ミスによる赤字リスクを踏まえ、長期視点での資金計画が重要です。

人口密集地や共働き世帯の多い地域で収益が見込める

コインランドリーの収益は、ターゲット層の存在と利用頻度に直結するため、立地が重要です。一般的には、人口密度が高く、単身世帯や共働き世帯が多い住宅地やマンションエリアでは、洗濯・乾燥ニーズが相対的に高いとされています。室内の洗濯機置き場が狭い物件が多いエリアや、まとめ洗い・乾燥をしたいファミリー層が多いエリアも、有望な候補になります。

また、店舗前の駐車場の有無や台数、道路からの視認性、車での出入りのしやすさといった要素も、利用者が店舗を選ぶ際の重要な判断材料です。こうした条件を一定程度満たす立地を選べば、商圏内の人口・世帯構成とあわせて、安定した来客数と売上を見込める可能性が高まります。反対に、需要予測を誤った場合では収益化が難しくなるため、出店前の商圏分析が欠かせません。

コインランドリー経営が儲からないと言われる理由は?【対応策付き】

コインランドリー経営が「儲からない」と言われるのは、開業資金の大きさや日々の運営に伴う様々な課題が背景にあります。しかし、あらかじめ課題を理解し、対応策を講じていれば、十分に収益化できる可能性を秘めたビジネスでもあります。以下に、代表的な理由とその対策を解説します。

初期費用が高額で回収に時間がかかるため、慎重な資金計画が必要

コインランドリーの開業には2,000万〜4,000万円、場合によっては5,000万円近くの初期投資が必要です。洗濯機や乾燥機などの機器類だけでも、店舗規模や台数によっては数百万円~数千万円規模の費用がかかり、加えて建築・内装・給排水工事などの費用も重なります。これにより、投資回収まで数年を要し、「儲からない」と感じてしまう要因になります。

 【対応策】

店舗規模の最適化や中古機器の活用により初期費用を抑える工夫が必要です。また、リースや融資を活用して自己資金の負担を軽減し、資金回収の計画を明確に立てることで、利益確保までの見通しを持ちやすくなります。

立地選定に失敗すると顧客が集まらず赤字になる

コインランドリーの需要はエリアによって大きく異なり、立地を誤ると利用者が集まらず赤字になることもあります。住宅密集地やマンションエリアなどが理想とされますが、そうした物件は競合も多く、賃料も高騰しがちです。また、多くの自治体ではクリーニング業法や各都道府県の条例・要綱に基づく届出や構造基準への適合が求められるため、法的な要件を満たせずに出店が難しくなるケースもあります。

【対応策】

事前に詳細な商圏分析と競合調査を行い、利用者層の属性・洗濯需要・既存店の有無を確認することが不可欠です。行政への事前相談や、地元不動産業者との連携も有効な手段です。

サービス内容が似ており差別化が困難なため、価格競争に巻き込まれる

コインランドリーの基本サービスは「洗濯と乾燥」のみで、他店と差別化が難しい業態です。結果として、価格や立地が集客の決定要素となり、競合との値下げ合戦に陥りやすく、利益が減少します。

【対応策】

清潔感のある店舗づくり、Wi-Fiやカフェ併設などの付加価値サービスの提供、布団・靴洗い機の導入などが考えられます。SNSや口コミを活用し、「快適で選ばれる店舗」になることで、価格競争に依存しない経営が可能です。

完全な無人経営が難しく、手間や管理コストがかかる

無人営業が可能なビジネスモデルである一方で、店内の清掃、設備メンテナンス、トラブル対応などの管理業務は必須です。各自治体の衛生要綱では、衛生管理責任者の選任や日常的な清掃・点検が求められており、完全放置型の運営は現実的ではありません。対応を怠れば店舗の衛生状態が悪化し、行政指導や顧客離れにつながるおそれがあります。

【対応策】

IoTシステムを導入し、遠隔から機器の稼働状況やトラブルの通知を把握できる体制を整えることが有効です。また、清掃や保守は業者に委託するか、オーナーが一定頻度で対応することでコストと品質のバランスを取ることが求められます。

季節や天候による売上変動に対応する工夫が必要

コインランドリーの利用は、梅雨時や雨天が続く時期、花粉・黄砂のシーズン、春秋の衣替え時期、年末の大掃除シーズンなどに増えやすく、一方で晴天が多い夏場は相対的に落ち込む傾向があります。これにより、収入が月によって大きく変動し、安定経営が難しくなる場合があります。

【対応策】

このように、月ごとの収入に一定の波が生じるため、資金繰りや利益計画においては季節要因をあらかじめ織り込んでおく必要があります。

また、閑散期(特に夏場)を意識したキャンペーン(例:布団・毛布やカーテンなど大物洗いのセット割引、雨予報の日の「まとめ洗い」割引など)を展開し、年間を通じた利用頻度を高める工夫が有効です。そのほか、企業・店舗との提携で業務用洗濯ニーズを取り込むなど、季節に左右されにくい収益源の確保も有効です。

集客維持には継続的な宣伝と顧客対応が不可欠

一度固定客がついても、生活スタイルの変化や引っ越しなどにより、利用者は常に入れ替わります。新規顧客を継続的に獲得し続けなければ、売上は徐々に低下してしまう可能性があります。

【対応策】

チラシ配布・ポスティング・SNS投稿・Googleビジネスプロフィールの活用など、オンラインとオフラインを組み合わせた広報戦略を継続的に実施することが大切です。さらに、顧客満足度を高めるサービス品質の維持が、リピート率の向上につながります。

コインランドリー開業に必要な初期費用とランニングコストは?

コインランドリー経営を成功させるには、事業開始前に必要な初期費用と、運営中に継続的にかかるランニングコストの把握が不可欠です。費用の内訳を理解し、無理のない資金計画を立てましょう。

初期費用は2,000万~5,000万円が目安

初期投資は店舗開業時に一括でかかる費用であり、その多くは建物や設備への支出です。

店舗面積や地域、物件の状態などによって大きく変動しますが、代表的な費用項目としては次のようなものがあります。ここで示す金額は土地の取得費を含まない、20〜30坪程度の標準的な店舗規模を想定した目安です。

初期費用項目
  • 店舗建築費・改装費:1,500万~3,000万円(新築)/数百万円(既存物件の改装)
  • 業務用洗濯機・乾燥機の購入:500万~1,000万円以上(台数・性能により変動)
  • 給排水・電気工事費:100万~300万円程度
  • 看板・外構設置費:30万~100万円
  • セキュリティシステム・監視カメラ導入:20万~50万円
  • 許認可取得・行政手数料:10万~30万円
  • 開業準備費(広告・チラシ・備品等):50万~100万円

中古機器の活用やリース契約の利用によって初期費用を抑える工夫が有効です。また、物件取得ではテナントの再利用を検討することで、建築費を削減できます。

ランニングコストは月30万〜60万円が相場

開業後のランニングコストは、固定費変動費に分かれ、毎月発生します。標準的な20坪前後の店舗規模を想定すると、家賃を含めた月間ランニングコストはおおむね30万〜60万円前後に収まるケースが多いとされています。代表的な費用項目と金額の目安は次のとおりです。

ランニングコスト項目
  • 水道光熱費:20万~30万円(機器の稼働頻度と機種によって変動)
  • 洗剤・柔軟剤などの消耗品費:5万~10万円
  • 設備の保守・点検・修理費:5万~10万円
  • 店舗清掃費(外注時):3万~5万円
  • 損害保険料:1万~2万円
  • 広告宣伝費(チラシ・キャンペーン等):3万~5万円
  • 賃料(賃貸の場合):10万~30万円程度(立地により変動)

賃料を除いたランニングコストを合計すると約37万〜62万円程度に達する場合があります。
コストの削減策として、省エネ機器の導入で光熱費を抑える、IoT機器でメンテナンスコストを軽減する、清掃や補充業務をオーナーが一部担うなどが考えられます。また、SNSや無料媒体を活用した広告で、宣伝費の圧縮も可能です。

コインランドリー経営で経費にできる項目は?

コインランドリー経営では、店舗運営に必要な支出の多くが「必要経費」として計上可能です。

日常の運営費用は幅広く経費として認められる

店舗の維持に関わる支出は、基本的に経費として処理できます。代表的なものには、以下が挙げられます。

  • 賃料(店舗の家賃)
  • 水道光熱費(洗濯機や乾燥機の使用分)
  • 洗剤や清掃用具などの消耗品費
  • 機器の点検・修理費
  • 広告宣伝費(チラシ・SNS広告など)
  • 損害保険料(火災保険・施設賠償など)

これらは「事業継続のための支出」であることとの関連性を説明できれば、一般に必要経費として認められる可能性が高い費用です。ただし、個別事情によって取り扱いが異なる場合もあるため、実際の申告にあたっては税理士など専門家に確認することをおすすめします。

高額設備は減価償却資産として長期的に処理する

洗濯機や乾燥機などの高額機器は、原則として法定耐用年数(業務用洗濯機で13年)にわたって減価償却し、分割して経費計上します。ただし、「中小企業経営強化税制」などの特例を活用すれば、一定の条件を満たす機械装置については初年度に一括損金処理(即時償却)や税額控除が認められる場合もあります。

近年は制度改正により、業態や管理形態によって適用対象外となるケースもあるため、最新の要件については税理士や公的な相談窓口で事前に確認することが重要です。

その他の支出も事業性があれば経費対象になる

以下のような支出も、事業との関連が明確であれば経費化できます。

  • 借入金の利息(設備投資ローンなど)
  • 事業用車両の費用(燃料費・保険など)
  • スタッフの給与・社会保険
  • フランチャイズ加盟金・ロイヤリティ

これらは支出の証拠書類(領収書や契約書)を保存し、帳簿に正確に反映することが求められます。

フランチャイズと独立開業はどちらが良い?メリット・デメリット比較

コインランドリーを始める際には、フランチャイズに加盟するか、独立して開業するかの選択が必要です。以下では両者の特徴を比較して解説します。

フランチャイズは未経験者向けの安心設計だが、自由度と利益率に制限がある

フランチャイズは、加盟金やロイヤリティを本部に支払う代わりに、開業準備から運営まで手厚いサポートを受けられる点が魅力です。立地選定や店舗設計、機器の仕入れ、広告宣伝、トラブル対応まで本部が支援するため、業界未経験者でも比較的スムーズに開業できます。また、知名度のあるブランドを活用でき、集客しやすい点も強みです。

一方、デメリットは本部の方針に従う必要があることです。内装やサービス内容、価格設定などに自由が効かず、個性を出しづらい傾向があります。さらに、売上の一部をロイヤリティとして支払うため、利益率は独立経営より低くなる可能性があります。

独立開業は裁量が大きく利益も最大化しやすいが、全て自己責任

独立開業では、自分のアイデアや地域の特性を反映した店舗運営が可能で、経営の自由度が高いのが魅力です。ロイヤリティが不要なため、軌道に乗れば利益を全部自分で確保できます。

ただし、開業準備・運営のすべてを自力で進める必要があり、業界の知識や経営経験がない場合は難易度が高くなります。設備選び、業者手配、販促活動まで自分で判断するため、失敗リスクも含めて自己責任で取り組む必要があります。また、機器や工事内容をこだわると、フランチャイズに比べて初期費用が高くなるケースもあるため、複数の見積もりを比較しながら慎重に資金計画を立てることが求められます。

コインランドリー経営は安易に始めず、戦略的に判断しよう

コインランドリー経営は「無人で稼げる手堅いビジネス」と見られがちですが、実際には立地、初期費用の水準、衛生管理やマーケティングを含む運営戦略によって成否が大きく分かれます。収益を出すには、事前の商圏分析と綿密な資金計画が欠かせません。また、差別化や顧客満足度向上の工夫を継続できる体制づくりも重要です。フランチャイズか独立開業かの選択も含めて、自身の経験や資金状況を踏まえた冷静な判断が、長期的な安定収益につながります。


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