- 更新日 : 2026年1月21日
建設業許可が必要な工事とは?29業種の一覧や不要なケースを解説
建設工事を行う際、「この工事には許可が必要なのか?」「許可なしで施工できる範囲はどこまでか?」と迷われる事業者様は少なくありません。
原則として建設業を営むには許可が必要ですが、請負金額が500万円未満の工事など、特定の条件を満たす場合は許可が不要となります。しかし、この金額基準には「税込か税抜か」「材料費は含むか」といった細かいルールがあり、誤った判断で無許可営業とならないよう注意が必要です。
本記事では、建設業許可が必要な29種類の工事一覧から、許可が不要となる具体的なケース、よくある「契約分割」のリスクや許可取得の流れまでを詳しく解説します。
目次
そもそも建設業許可とは?
建設業許可とは、建設工事の適正な施工と発注者保護を目的に、一定の要件を満たした業者のみが営業できるよう定められた国の許認可制度です。
工事の品質確保や契約の適正化を図るため、一定の技術力や財産的基礎(資金力)、誠実性を持つ業者だけが許可を取得できます。許可区分には、営業所の場所による「大臣・知事」や「一般・特定」の違いがあり、自社の事業形態に合わせた適切な許可の取得が求められます。
ここでは、建設業許可の基本的な目的や区分の違いについて解説します。
適正な施工と発注者保護が目的
建設業法に基づく許可制度の目的は、手抜き工事の防止や契約の適正化を通じて、発注者を保護することにあります。
建設工事は完成までに時間がかかり、外部から品質が見えにくいという特性があります。もし技術力や資金力のない業者が工事を請け負い、途中で放棄したり手抜き工事を行ったりすれば、発注者は多大な損害を被ります。こうした事態を防ぐため、建設業法では許可制度を設け、一定の基準を満たした業者のみが営業できるようにしているのです。
営業所が複数の地域にあるのなら大臣許可、1つなら知事許可
大臣許可と知事許可の違いは、営業所を2つ以上の都道府県に設けるか、1つの都道府県内のみに設けるかという点にあります。
2つ以上の都道府県に営業所(支店など)を設けて営業する場合は「国土交通大臣許可」が必要です。一方で、1つの都道府県内のみに営業所がある場合は「都道府県知事許可」となります。重要なのは、これが営業所の場所による区分であり、工事現場の場所を制限するものではない点です。知事許可であっても、他県の現場で工事を施工することは可能です。
下請金額が5,000万円以上なら特定建設業
特定建設業許可が必要になるのは、元請として工事を受注し、下請業者への発注総額が5,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)になる場合です。
5,000万円の下請契約金額、または工事を全て自社で施工する場合、特定建設業許可は必要ありません。なお、特定建設業の要件となる金額は、2025年(令和7年)の建設業法施行令改正により、従来の4,500万円から5,000万円に引き上げられました。特定建設業は、下請業者保護の責任が重いため、一般よりも厳しい財産要件や技術者要件が求められます。
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建設業許可が必要な29種類の工事とは?
建設業許可が必要な工事は、土木一式・建築一式の2種類の一式工事と、大工・電気などの27種類の専門工事に分かれます。
建設業法では、工事の種類ごとに許可を取得する必要があり、自社が請け負う工事がどの業種に該当するかを正しく把握しなければなりません。「一式工事」と「専門工事」では役割が大きく異なり、必要な許可の種類も変わってくるため、それぞれの定義を理解しておくことが重要です。
ここでは、全29業種の一覧と、それぞれの工事区分の内容について解説します。
一式工事(2種)と専門工事(27種)の区分
建設業許可における全29種類の業種区分は、以下のとおりです。
| 区分 | 業種名 |
|---|---|
| 一式工事 | 土木一式工事、建築一式工事 |
| 専門工事 | 大工、左官、とび・土工・コンクリート、石、屋根、電気、管、タイル・れんが・ブロック、鋼構造物、鉄筋、舗装、しゅんせつ、板金、ガラス、塗装、防水、内装仕上、機械器具設置、熱絶縁、電気通信、造園、さく井、建具、水道施設、消防施設、清掃施設、解体 |
一式工事(2種)
一式工事とは、総合的な企画、指導、調整のもとに建設する大規模な工事のことです。
「土木一式工事」は、橋梁、ダム、トンネルなどの土木工作物を建設するもので、元請けとして工事全体を管理する役割を担います。単なる掘削工事などは専門工事に分類されます。「建築一式工事」は、住宅やビルなどの建築物を新築・増築する工事です。確認申請を要するような新築工事が典型的であり、内装リフォームのみを行う場合は、通常「内装仕上工事業」などの専門工事に該当します。
専門工事(27種)
専門工事とは、大工工事や電気工事のように特定の内容に特化した工事のことで、27の業種に細分化されています。
なお、2016年6月に「解体工事業」が新設されました。それまでは「とび・土工工事業」に含まれていましたが、現在は独立した許可が必要です。経過措置期間は終了しているため、解体工事を請け負う場合は必ず解体工事業の許可を取得する必要があります。
参考:業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方|国土交通省
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「一式工事」の許可があればすべての専門工事を請け負える?
一式工事の許可を持っていても、500万円以上の専門工事を単独で請け負うことはできません。
これは非常によくある誤解の一つです。一式工事の許可は、あくまで「複数の専門工事をマネジメントして完成させる工事」への許可です。たとえば、土木一式工事の許可を持っていても、500万円以上の舗装工事を単独で請け負うことは禁止されています。専門工事を単独で受注する場合には、当該専門工事について個別に許可を取得する必要があります。
ただし、一式工事の許可業者が、本体工事と併せて専門工事を施工する場合などは例外となる可能性があります。
建設業許可が不要な工事とは?
建設業許可が不要な工事とは、請負代金が500万円未満(建築一式は1,500万円未満)の「軽微な建設工事」などを指します。
これから建設業を始める方や、小規模な工事を中心に請け負う事業者様にとっては、許可が必要かどうかの判断基準となる重要なポイントです。原則として許可は必要ですが、例外的に許可なしで施工できるケースについて、正しい知識を持っておく必要があります。
ここでは、許可が不要となる具体的な金額基準や条件について解説します。
500万円未満(建築一式は1,500万円未満)の工事
以下の条件を満たす小規模な工事は「軽微な建設工事」と呼ばれ、建設業許可が不要です。
- 建築一式工事
1件の請負代金が1,500万円未満(税込)の工事、または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事。 - 建築一式以外の工事
1件の請負代金が500万円未満(税込)の工事。
リフォーム工事や電気工事などの専門工事は、ほとんどが「建築一式以外の工事」に該当するため、実質的には「500万円未満」が基準となります。
金額は税込かつ材料費込みで判断する
500万円未満かどうかの判定は、消費税を含んだ額かつ注文者が提供する材料費も含めた合計額で行います。
まず、金額は消費税を含んだ額で判断します。税抜480万円でも、税込(10%)で528万円になれば許可が必要です。また、注文者(発注者)が材料を提供し、施工のみを請け負う場合でも、その材料の市場価格と運送費を請負代金に加算して判断します。たとえば、請負金額税込300万円でも、支給された材料費が税込250万円であれば、合計税込550万円となり許可が必要になります。
附帯工事は許可不要だが専門技術者が必要
附帯工事とは、メインの工事(許可を受けている工事)を施工するために必要となる、関連した別の専門工事のことです。
たとえば、電気工事(メイン)に伴って必要になった、壁のクロス補修(内装仕上工事)などが該当します。附帯工事は、その業種の許可を持っていなくても施工可能です。ただし、附帯工事自体の請負金額が500万円以上になる場合は、その業種に対応した主任技術者を現場に配置する必要があります。
自家施工や除草など完成を請け負わない業務
工事の「請負」契約に該当しない自家施工や、建設工事の完成を目的としない業務は、建設業許可の対象外です。
「自家施工」とは、自社ビルを自社の従業員で建てる場合や、個人がDIYで自宅を建てる場合などで、請負契約が発生しないため許可は不要です。また、除草、剪定、除雪、清掃、保守点検、調査業務などは、建設工事の完成を目的とするものではないため、建設工事とはみなされません。
ただし、これらの業務のみを行う場合でも、産業廃棄物の処理など他の法令許認可が必要になることがあります。
建設業許可に「抜け道」はある?
建設業許可に「抜け道」はなく、500万円以上の工事を意図的に分割して契約する行為は原則として違法となります。
「契約を2回に分ければ大丈夫か?」という相談が多く聞かれますが、これは非常に危険です。建設業法では、許可逃れを防ぐための規定が設けられており、安易な契約分割は法令違反となるリスクが高いです。実態として一つの工事であれば、形式的に契約を分けても合算して判断されます。
ここでは、分割発注に関する法的な解釈と、例外的に認められるケースについて解説します。
分割発注で500万円以下にするのは原則違法
建設業法施行令では、正当な理由がない限り、注文を分割して請け負うときは、それぞれの契約額を合算して判断すると定めています。
つまり、工期をずらしたり、契約書をA工事・B工事と分けたりしても、実態として一つの工事であれば合計額で判断されます。合計して500万円以上であれば無許可営業とみなされ、建設業法違反になります。形式的に契約書を分けたとしても、実態を見ればすぐに発覚します。
工区や工種が独立していれば認められる
合算されずに別の工事として認められる「正当な理由」とは、工事の実態が完全に分かれており、独立性が認められるケースに限られます。
たとえば、A地点の工事と、数キロ離れたB地点の工事をたまたま同じ時期に請け負った場合(工区が異なる)や、以前からの計画にあった内装工事と、突発的な事故による修繕工事(工種や目的が異なる)などが該当します。単に「金額を抑えるため」や「予算の都合」といった理由で分割することは認められません。
建設業許可を取得するには?
建設業許可を取得するには、経営経験や資金力などの5つの要件を満たし、必要な書類を揃えて都道府県または国へ申請する必要があります。
許可取得には、組織としての体制や財産基盤など、クリアすべきハードルがいくつかあります。特に「人」に関する要件(管理責任者、営業所技術者)は、すぐに用意できるものではないため、事前の確認が不可欠です。要件を満たしていることが確認できれば、書類作成と申請手続きに進みます。
ここでは、主要な5つの要件と、申請に必要な書類、取得までにかかる期間について解説します。
経営経験や資金力など5つの要件を満たす
許可取得には以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。
参考:許可の要件|国土交通省
必要書類を揃えて手数料とともに申請する
要件を満たしていることが確認できたら、登記簿謄本や納税証明書などの申請書類を作成し、手数料を添えて窓口へ提出します。
多くの公的書類が必要になるため、計画的な収集が必要です。知事許可であれば都道府県庁の担当課、大臣許可であれば地方整備局へ提出します。申請時には以下の手数料がかかります。
- 知事許可(新規):9万円
- 大臣許可(新規):15万円
書類の作成は複雑なため、行政書士などの専門家に依頼するのが一般的です。
申請から許可通知まで数ヶ月かかる
申請後、審査が行われ、知事許可であれば約1〜2ヶ月、大臣許可であれば約3〜4ヶ月で許可通知書が交付されます。
書類に不備があればさらに時間がかかるため、工事の受注予定に合わせて余裕を持ったスケジュールが必要です。審査が完了し許可が下りると、許可通知書が交付され、晴れて建設業許可業者として営業を開始できます。
無許可で工事を請け負った場合の罰則は?
無許可で工事を請け負った場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金などの刑事罰に加え、営業停止処分を受ける可能性があります。
コンプライアンス意識の高まりにより、無許可営業に対する取り締まりは年々厳しくなっています。許可が必要な工事を無許可で請け負うことは、単なるルール違反では済まされません。事業の存続に関わる重いペナルティが課されるだけでなく、取引先にも迷惑をかけることになります。
ここでは、無許可営業に対する具体的な罰則内容とリスクについて解説します。
懲役・罰金や営業停止処分の対象となる
許可が必要な工事を無許可で請け負った場合、または虚偽の申請をして許可を得た場合は、厳しい刑事罰と行政処分の対象となります。
具体的には、3年以下の懲役 または 300万円以下の罰金が科され、情状によっては懲役と罰金が併科されることもあります。さらに、行政処分として「営業停止処分」や、取得している許可の「取消処分」を受けることもあります。最も重い許可取消処分を受けると、その後5年間は新たな許可を取得できなくなり、実質的に建設業を続けることが難しくなります。
発注者(元請け)も指名停止のリスクがある
無許可業者へ下請け発注した元請業者も、建設業法違反として監督処分の対象となり、指名停止などのリスクを負います。
公共工事の入札参加資格停止(指名停止)などのペナルティを受ける可能性があるため、元請業者は下請業者の許可状況を厳しくチェックしています。許可がないことは、今後の取引機会を失うことにもつながります。
建設業許可が必要な工事について正しく理解しましょう
建設業許可が必要な工事かどうかは、主に「請負金額500万円(税込)」が基準となりますが、材料費の扱いや契約分割の禁止など、細かいルールが存在します。
500万円以上の工事を請け負うなら、許可取得は必須です。無許可での施工は重い罰則だけでなく、社会的信用を失うリスクがあります。事業を拡大し、元請業者や発注者からの信頼を得るためにも、要件を満たすのであれば早めに建設業許可を取得することをおすすめします。判断に迷う場合は、建設業専門の行政書士などに相談するとよいでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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