- 作成日 : 2025年1月30日
事業継承(事業承継)を顧問税理士に依頼できる?弁護士や司法書士などとの違いも解説
事業継承(事業承継)の相談や依頼は、顧問税理士にも依頼することも可能です。ただし、支援が必要な範囲によっては、税理士だけでは対応が難しいこともあります。
本記事では、税理士が対応可能な事業承継のサポート内容に加え、弁護士や司法書士といった他の専門家に依頼できる内容について詳しく解説します
目次
事業継承(事業承継)を顧問税理士に依頼しても良いか
顧問税理士に事業承継の相談をすることによって、事業承継税制や相続税関連などの税金面についての助言をもらえる可能性があります。ただし、顧問税理士が事業承継の専門でない場合もあるため、その点には注意が必要です。
顧問税理士が事業継承(事業承継)の専門ではない場合
事業承継は、複雑な専門知識を必要とするため、すべての税理士が豊富な経験や実績を持っているとは限りません。顧問税理士が事業承継の専門ではなく、実績が乏しい場合、求めている支援を受けられないケースがあります。そのため、事業承継を税理士に相談する場合、顧問税理士にこだわらず、事業承継の相談や支援実績が豊富な税理士に相談・依頼すると、事業継承(事業承継)もスムーズに進むでしょう。
顧問税理士に依頼できる事業継承(事業承継)の内容とは?
税理士の専門範囲で異なりますが、事業承継に関しては以下の内容を相談できる可能性があります。
- 承継方法のアドバイス
- 承継のタイミングについての提案
- 事業承継に伴う税金面の対策
- 事業承継に伴う納税資金の対策
- 自社株の評価
- 資金調達のサポート
- M&Aにおける税務面のアドバイス
- 企業価値評価
- 税務デューデリジェンスの対策
事業承継関係において、税理士の強みとなるのは税務関連です。例えば、相続税の計算の基礎となる自社株の評価額の計算は税理士が担います。対策を行わなかった場合、どの程度の納税が見込まれるのか、自社株の評価を調整するためにどのような方法があるのかなど、税理士に相談することで具体的なアドバイスを受けることができるでしょう。
また、M&Aでは買収側が買収先について税務デューデリジェンス(企業の税務調査)を実施します。これは買収先の税務のリスクなどを評価し、将来的なリスクを軽減するために必要な作業です。税理士に相談することで、税務デューデリジェンスに備えた対策について相談できます。税理士への相談依頼は、対応業務や依頼内容によって費用が異なります。依頼内容によっては、数百万円程度の費用がかかる可能性もあるので、事前に確認しましょう。
事業継承(事業承継)について相談・依頼できるその他の専門家
事業承継についての相談や支援を受けられる税理士以外の専門家などについて紹介します。
弁護士
弁護士は法の専門家です。事業承継を弁護士に相談することで、以下についてサポートを受けることが可能です。
- 事業承継計画書作成のサポート
- 株式承継のサポート
- 遺産相続に関する相談
- 取引先との契約の整備
- M&Aにおける法務面のサポート
- 法務デューデリジェンスの対策 など
弁護士に事業承継を依頼する場合、基本的に着手金として数十万円程度が必要です。着手金以外にも、事業承継の規模に応じた報酬が加算されます。弁護士の強みは、法や訴訟に関する専門的な相談ができることです。遺産相続で株式を集中させたい場合や、M&Aで法務デューデリジェンスの対策をしたい場合の相談先として、弁護士に依頼することが適しています。
司法書士
司法書士は、法務局への登記申請や裁判所などに提出する書類の作成を主な業務としている専門家です。事業承継に関連して、司法書士には、主に下記のような業務を依頼できます。
- 役員変更登記
- 組織再編に伴う登記
- 不動産登記
- 定款の見直し
- 株主名簿の整備
- 遺言書作成のサポート など
司法書士の強みは登記関連です。登記関連の一般的な代行業務については、数万円からと言われていますが、内容によって金額が異なります。事前に確認しておきましょう。事業承継に伴い、組織内の役員などの変更が必要な場合は、司法書士が相談先として適しています。法律関連の専門家であるため、遺言書作成についても相談可能です。
中小企業診断士
中小企業診断士とは、企業の経営課題について適切なアドバイスなどを行う専門家のことです。企業に対するアドバイスをすることが主な業務であり、企業の成長戦略策定や計画の実行をサポートする役割があります。
中小企業診断士の報酬形態は、定額報酬、成功報酬、時間報酬など、提供するサービスによって異なります。経営についてのコンサルティングの場合は、10万円から20万円あたりが目安と言われていますが、具体的な内容や頻度によって変動するため、詳細確認が必要です。
中小企業診断士は、企業の経営支援を主な業務としているため、後継者選定のための経営コンサルタントの視点からのアドバイスや事業承継計画書作成の支援を受けたい場合などに適しています。
M&A支援の金融機関
金融機関は、企業に対する融資だけでなく、コンサルティングなどのサービスも提供しています。M&Aの重要性が増す今日において、金融機関においてもM&Aのサポーターとしての役割が期待されるでしょう。
M&A支援を提供する金融機関では、自社株式の評価に関する相談や後継者に関する相談、M&Aの相手先についての相談が可能です。金融機関は各種専門家とは異なり、事業承継について幅広く相談しやすいのが特徴です。また、事業承継アドバイザーの資格を持つ担当者に相談できる場合もあります。なお、成功報酬型の料金体系が採用されているケースでは、料金は数十パーセント程度が目安となります。
政府の事業引継ぎ支援センター
事業引継ぎ支援センターは、国が各都道府県に設置する事業承継をサポートする機関です。公的機関のため、相談料などの費用は発生しません。このセンターでは、事業承継に関するさまざまな相談を受け付けており、特に以下のようなケースにおすすめです。
- 事業承継について漠然とした悩みがある
- どの専門家に相談すれば良いが分からない
また、小規模事業者と起業家をマッチングするサービスを展開する事業引継ぎ支援センターでは、後継者人材バンクの運用も行われています。後継者不足に悩んでいる場合の相談先としても適しているでしょう。なお、成功報酬型の料金体系が採用されているケースでは、料金は取引金額によって料率が設定されていますので、公式ホームページで詳細について確認することをおすすめします。
事業承継は顧問税理士にも相談できる
事業承継について相談する場合、顧問税理士にでも対応できます。ただし、顧問税理士が事業承継の専門でない場合、期待する支援が十分に受けられない可能性が高いでしょう。その際には、別の専門家を紹介してもらえることもあります。また、事業承継について気がかりなことがある場合は、相談したい内容に応じて顧問税理士以外の相談先も検討してみてはいかがでしょうか。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
事業承継アドバイザーとは?相談するメリットや他の資格との違いを解説
事業承継アドバイザーは、事業承継に関する専門的なノウハウやネットワークで、企業の問題解決の支援を行う専門家です。事業承継アドバイザーになるためには、3種類存在する資格試験のいずれかに合格しなくてはいけません。 本記事では、事業承継アドバイザ…
詳しくみる事業承継にかかる費用は?相場や負担者、税金、補助金まとめ
事業承継にかかる費用は、事業承継の規模や承継先などで異なります。事業承継で必要となる費用負担を正確に予測するには、各費用項目をしっかりと把握しておくことが大切です。事業承継にかかる税金の種類や専門家に依頼した場合の費用相場、事業承継の費用負…
詳しくみる合資会社の事業承継は難しい?メリットデメリット、進め方を解説
合資会社の事業承継は、無限責任社員と有限責任社員の両方を確保する必要がある独特の承継形態であり、株式会社よりも手続きが複雑になりがちです。 本記事では、合資会社における事業承継の特徴や進め方、注意点について詳しく解説していきます。 合資会社…
詳しくみる医療法人の事業承継とは?出資持分あり・なしの違いや手続き、税金の注意点
医療法人の事業承継とは、医療法人の経営権を引き継ぐことです。出資持分あり・出資持分なしによって、事業承継にかかる税金が異なることがあります。 また、医療法人の事業承継では、相続税・贈与税の納税を猶予する制度があることも理解しておくことが大切…
詳しくみる事業承継のセミナーはある?主な開催団体や受講メリットを解説
事業承継セミナーは、事業承継について学べる場です。近年、中小企業庁も事業承継に力を入れており、積極的にセミナーを開催しています。ここでは、事業承継セミナーを開催している団体や受講のメリット、セミナーの選び方などを解説します。 事業承継のセミ…
詳しくみる一般社団法人の事業承継の方法とは?メリット・デメリット、進め方を解説
一般社団法人の事業承継には、3つの方法があります。それぞれでメリットが異なるため、自社にあった方法を選ぶことが大切です。 本記事では、一般社団法人の事業承継の方法やメリット・デメリットについて解説します。あわせて、一般社団法人の事業承継につ…
詳しくみる