• 更新日 : 2026年2月25日

家事代行で起業するには何が必要?開業方法や資格の有無をわかりやすく解説

Point家事代行を起業するには?

家事代行の起業は特別な資格が不要で、個人事業主なら税務署への開業届を提出するだけで開始できます。

  • 低コスト開業: 自宅拠点の個人事業主なら、10〜30万円程度の資金で始動可能
  • 必須の備え: 物損事故や鍵の紛失リスクに備え、専用の賠償責任保険加入が不可欠
  • 独自戦略: 整理収納や料理など「特化型メニュー」の構築が大手との差別化に直結

家事代行と家政婦の違いは、家事代行は業務委託契約が一般的なのに対し、家政婦は依頼主と直接雇用契約を結ぶ形態が多くある点です。事故発生時の労災適用の有無など、リスクの責任範囲が異なります。

家事代行で起業することは、店舗や在庫を持つ必要がないため、比較的低いリスクで始められるビジネスとして注目されています。共働き世帯の増加や高齢化社会を背景に、市場規模は拡大を続けており、個人が参入するチャンスも広がっています。しかし、プロとして対価を得るためには、単なる家事の延長ではなく、事業主としての法的知識や信頼を築くための準備が欠かせません。

この記事では、家事代行起業の具体的な始め方から、資格の活用、開業届の手続き、安定した経営のコツまでを詳しく解説します。

家事代行起業とは?

家事代行起業は、依頼主の自宅を訪問し、日常生活の中で発生するさまざまな家事全般を代行するサービスを展開するビジネスです。

掃除や料理といった家事は、多くの人にとって日常的なことですが、忙しい現代人にとっては誰かに頼みたい有料サービスとしての価値が非常に高まっています。

家事代行起業の最大の特徴は、初期投資を抑えやすく、自分の得意なスキルをダイレクトに活かせる点にあります。また、定期契約を結ぶことで安定した収益源を確保しやすいストック型のビジネスモデルであることも、起業家にとってのメリットといえるでしょう。

家事代行で提供できる主な業務

家事代行の業務は、特別な技術を必要としない一般的な家事の範囲で行われます。

  • 居室・水回りの清掃
    リビング、キッチン、浴室、トイレなどの日常的な掃除。
  • 洗濯・衣類管理
    洗濯、干す、取り込む、アイロンがけ、クリーニングの出し入れ。
  • 料理・食生活支援
    当日の食事作り、数日分の作り置き、食材の買い出し。
  • その他
    庭の落ち葉掃き、ゴミ出し、郵便物の受け取り、不在時の換気など。

注意点として、高所の作業や専門機材を用いるエアコンクリーニング、介護保険を適用する身体介護などは家事代行の枠外となります。

家政婦やハウスキーパーとの違いは?

家事代行と似た言葉に家政婦がありますが、ビジネスとしての契約構造に違いがあります。

家事代行は一般的に、家事代行業者と利用者の間で業務委託契約を結びます。一方、家政婦は、紹介所を通じて依頼主と直接雇用契約を結ぶことが一般的な形態です。

家政婦が個人事業主として活動する場合は、あなた自身が依頼主と直接対等な立場で契約を結ぶスタイルになります。この場合、労災保険などの適用がないため、自分自身で保険に加入するなどのリスクヘッジがより重要になります。

参考:家事代行サービス業|J-Net21|独立行政法人中小企業基盤整備機構

家事代行で起業する方法は?開業形態の選び方

家事代行で起業するには、大きく分けて個人事業主、法人、フランチャイズの3つの選択肢があります。

どの形態を選ぶかによって、初期費用や社会的信用、そして自分自身が担う役割の範囲が大きく変わります。自分のライフスタイルや目指す事業規模に合わせて最適な道を選びましょう。

個人事業主

多くの人が最初に選ぶのが個人事業主という形態です。

税務署に書類を1枚提出するだけで、その日から個人事業主として名乗ることができ、気軽に始められます。また、会社設立のための登記費用や定款作成費用がかかりません。

さらに、自分が現場に出る時間を自由に調整でき、副業からスモールスタートするのにも適しています。ただし、個人名義での契約になるため、大企業などとの取引では信頼性の面で不利になることもあります。まずは地域密着型で個人の信頼を積み上げていくスタイルになります。

法人化やフランチャイズ

将来的にスタッフを数十名雇い、組織として大きくしたい場合は、最初から株式会社や合同会社を設立する選択肢もあります。法人は社会的信用が高く、融資を受けやすいという特徴があります。

また、家事代行フランチャイズに加盟する方法も有効です。

フランチャイズは研修制度が整っており、未経験でもプロの品質でサービスを提供できます。

また、本部のブランド力や広告宣伝を活用できるため、ゼロから顧客を探す苦労が軽減されます。
ただし、加盟金や月々のロイヤリティが必要になるため、利益率とサポート内容をしっかり比較検討しましょう。

家事代行起業の流れは?開業届は必要?

家事代行ビジネスを軌道に乗せるためには、事務的な手続きだけでなく、サービス内容の言語化とルールの構築が不可欠です。

形のないサービスを売るからこそ、利用者が安心して申し込める仕組みを整えることが、最初の大きな課題になります。

関連記事|開業届や必要書類はどこに出す?提出先は?個人事業主向け
関連記事|開業届はいつまでに提出?開業日の決め方を解説

開業までのステップ

具体的に以下の手順で準備を進めていきましょう。

  1. サービスコンセプトの決定
    ターゲットは共働き夫婦か、それとも高齢者か。
  2. メニューと価格の設定
    1時間あたりの単価や、作業範囲の設定、交通費の扱いを決めます。
  3. 契約書類の準備
    トラブル防止のための「利用規約」や「個人情報保護方針」を作成します。
  4. 損害賠償保険への加入
    物損事故に備え、家事代行専用の保険に申し込みます。
  5. 集客基盤の構築
    公式LINEやホームページ、SNSアカウントを作成します。
  6. 開業届の提出
    税務署に開業届を提出し、事業開始を正式に宣言します。

家事代行起業で開業届が必要なケースは?

家事代行を事業として行うなら、利益の額に関わらず開業届を提出しましょう。

特に、節税効果の高い青色申告を行うためには、開業届と併せて「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。これにより、所得から最大65万円を控除できるため、納税額を大幅に抑えることが可能です。

また、銀行で屋号付きの口座を開設する際にも、開業届の控えが必要になります。個人名義の口座ではなく、事業用の口座から振込をしてもらうことで、顧客からの信頼度は格段に向上します。

参考:個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁

関連資料|【税理士監修】請求書(個人事業主向け)テンプレート
関連資料|納品書のテンプレート(Excel)一覧

家事代行サービスの開業届は自作が7割超!作成の実態とは

これから家事代行サービスを始めるにあたり、手続きを自分だけで進められるか不安に思う方もいるかもしれません。しかし、マネーフォワード クラウドが実施した調査によると、開業届を「自分で作成・提出した経験がある」と回答した人は71.3%に上りました。多くの個人事業主が、専門家に依頼することなく自力で手続きを完了させています。

青色申告もセットで提出する人が約66%

同調査で、開業届と同時に「青色申告承認申請書」を提出したかどうかを尋ねたところ、66.0%の人が「同時に提出した」と回答しました。家事代行サービスを事業として本格的に運営する場合、節税メリットの大きい青色申告を開業当初から選択する人が多いようです。

また、作成から提出までの所要時間については、「10分〜30分未満」が24.0%で最も多く、「10分未満」の15.5%と合わせると、約4割が30分未満で完了しています。一方で、手続きのハードルとして「記入内容の判断(20.2%)」や「青色申告などの関連書類の理解(21.4%)」を挙げる人が一定数いました。家事代行の場合は職業欄の記載などで迷うこともありますが、正しい書き方さえ理解できれば、作成作業自体は短時間で済む手続きと言えます。

参考:マネーフォワード クラウド、開業届の作成‧提出経験、開業届作成から提出までの所要時間、⻘⾊申告承認申請書の提出状況、⼿続きで「⾯倒‧ハードルが⾼い」と感じた点【開業届に関する調査データ】(回答者:812名、集計期間:2026年1⽉実施)

家事代行起業にかかる開業資金はどれくらい?

家事代行は身一つで始められると言われますが、ビジネスとして成立させるためには最低限の運転資金が必要です。

初期費用をどこにかけるべきか、その優先順位をはっきりさせることが、賢い資金運用の第一歩となります。

初期費用の目安や必要な備品は?

個人で開業する場合、10〜30万円程度の自己資金があれば十分にスタート可能です。派手なオフィスは不要で、自宅を事務所として利用すれば固定費を低く抑えられます。

  • 備品代
    掃除用具、ユニフォーム、使い捨て手袋、スリッパ。
  • 広告費
    近隣へのポスティング用チラシ作成・印刷代、簡単なWebサイト構築。
  • 保険料
    家事代行中の物損をカバーする賠償責任保険。
  • 事務費
    名刺、領収書、印鑑、会計ソフトの利用料。

買い物代行や高齢者向け代行を始める場合の費用は?

買い物代行や高齢者向け代行サービスをメインにする場合、移動手段にかかる費用が重要です。

車を使用する場合、ガソリン代や保険料、駐車場の確保といったコストが発生します。また、高齢者向けのサービスでは、話し相手や見守りといった要素が強くなるため、緊急時の連絡体制やスタッフの接遇教育にコストをかける必要があります。

これらは目に見えない費用ですが、サービスの質を左右する重要な投資となります。

関連資料|経費精算テンプレート集

家事代行起業に資格は必要?

家事代行ビジネスを始めるにあたり、法的に必須となる免許や資格はありません。しかし、他人のプライベートな空間に足を踏み入れるこの仕事において、客観的なスキルの証明は強力な武器になります。

資格を持っていることはこの人はプロであるという安心感を与え、競合他社との差別化に直結します。

家政婦になるには資格が必要?

家政婦になるのに特別な試験はありませんが、家事の質を担保するために民間資格を取得する人が増えています。代表的なものに家政士検定や家事代行アドバイザーがあります。

これらは掃除や料理の技術だけでなく、依頼主との適切な距離感やマナー、守秘義務といった、ビジネスとして重要な要素を網羅しています。資格を取得する過程で学んだ知識は、現場での自信につながります。

信頼につながる資格や経験は?

家事代行の資格として、以下のような特定の分野に特化したものは高い需要があります。

  • 整理収納アドバイザー
    ただ掃除をするだけでなく、片付く仕組みを提案できることで単価を上げられます。
  • 調理師・管理栄養士
    料理代行において、健康管理やアレルギー対応ができることは大きな強みになります。
  • 介護福祉士・初任者研修
    高齢者向け代行サービスにおいて、身体介助はできなくても、高齢者の特性を理解していることは大きな信頼につながります。

また、家政婦の実務経験がある場合はプロフィールに丁寧に記載しましょう。それだけで潜在顧客の指名率が変わります。

家事代行起業を安定させるためのポイント

開業したばかりの時期は、いかにして最初の顧客を作り、それを継続させるかが課題となります。また、個人事業主にとって最大のリスクは、自分自身の健康と、現場での予期せぬトラブルです。これらに対する備えを万全にすることが、長く事業を続けるための土台となります。

賠償責任保険に加入する

家事代行の現場では、高級な花瓶を割ってしまった、床に傷をつけてしまった、あるいは鍵を紛失してしまったといったトラブルが起こり得ます。

これらの事故に対して、個人の貯金で対応するのは限界があります。必ず家事代行業者向けの賠償責任保険に加入しましょう。保険に加入していることをホームページや契約書に明記することで、依頼主も安心してサービスを申し込めるようになります。

集客のために差別化を図る

大手の家事代行会社と同じ土俵で戦うのではなく、独自の売りを作りましょう。

例えば、特定の駅周辺のみに限定することで、迅速な対応が可能なことをアピールできます。

また、ペットの世話が得意、特定の言語で対応可能、整理収納に特化しているなど強みがあると大手の家事代行会社と差別化ができます。

顧客の中には、どんな人が来るかわからず不安を抱える人も少なくありません。ブログやSNSで自分の顔や仕事への想いを発信すれば、不安解消へとつながります。
ポスティングチラシは、デジタルツールと併用することで、ネットを使わない高齢者層へのアプローチとしても有効になります。

継続契約につなげる努力をする

単発のスポット利用だけでは、毎月の収入が安定しません。隔週1回・3時間といった定期契約を増やすことが、経営を安定させる秘訣です。

そのためには、初回利用時に次回以降のメリットを提示したり、定期利用者向けの割引メニューを用意したりする工夫が必要です。また、作業後の報告書を丁寧に書くなど、付加価値を提供し続けましょう。

自身の付加価値を見直し家事代行起業を成功させよう

家事代行起業を成功させるために、自分自身のスキルや提供価値を客観的に見直してみましょう。

ただの家事の代行ではなく、依頼主の時間を作り出し、心のゆとりを提供する仕事であると定義し直すことで、サービスの質は飛躍的に向上します。また、開業届の提出や保険の加入、資格の取得といった一つひとつのステップを丁寧に進めることも、プロとしての第一歩となります。あなたの手助けを待っている人は、街の中にたくさんいます。しっかりとした準備を整えて、新しい一歩を踏み出しましょう。


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