- 更新日 : 2026年2月26日
開業届や必要書類はどこに出す?提出先は?個人事業主向けに解説
提出先は原則として個人事業主の自宅住所を所轄する税務署で、事業所を納税地とする場合は、その所在地を管轄する税務署へ提出します。
- 検索: 国税庁サイトにて郵便番号から所轄署を確認可能
- 注意: 2025年から窓口・郵送での収受印が原則廃止
- 推奨: 自宅から提出でき、証明書が残るe-Tax
紙提出では控えにハンコがもらえなくなったため、口座開設などで必要な事業証明には、e-Taxの受信通知データの保存が最も確実です。
個人事業主が事業を開始するとき、所得税法では「開業届」の提出が義務付けられています。本記事では開業届について、いつ、どこで、どこに提出すればよいのか解説します。記載から受理されるまでの流れを中心に、提出する添付資料やその他の届出書も紹介しますので、開業届で悩んでいる方は参考にしてください。
目次
開業届はどこに出す?必要なものは?
「開業届」は個人事業主が事業を開始する際、いつ、どこで、どのような事業を始めるかを届け出るために作成する書類です。
提出先は、事業主個人の「納税地」がある場所を所轄する税務署であり、提出方法は以下の3通りです。
オンラインで出す場合
国税庁が提供しているe-Taxを利用して、開業届を作成・提出する方法です。
パソコンとICカードリーダライタを使う方法のほか、現在ではマイナンバーカード読み取り対応のスマートフォンのみで完結させる方法も普及しています。 最大のメリットは、提出後に受信通知(メール詳細)が即座に発行される点です。これが紙の控え(収受印)の代わりとなるため、その後の銀行口座開設などが最もスムーズに進みます。
郵送で出す場合
税務署の窓口や国税庁HPなどから開業届の用紙を取得し、手書きで記載したものを郵送で税務署に提出する方法です。郵送で提出する場合の注意点は、開業届の控え(コピー)を必ず手元に残しておくという点です。
ただし、令和7年(2025年)以降、郵送提出の控えには税務署の収受印が押されない運用が基本となっています。銀行での事業用口座開設などで公的な受付証明が必要な場合、郵送では証明力が弱くなる可能性があるため注意が必要です。確実に証明書が欲しい場合は、e-Taxを利用するか、税務署窓口で相談することをおすすめします。
税務署に持ち込みで出す場合
自宅住所を所轄する税務署の窓口に、開業届を直接持参する方法です。届出書を手渡しで直接提出できるので、オンラインや郵送よりも確実に手続きできます。窓口提出の場合も、原則として収受印の押印は廃止傾向にあります。ただし、その場で「提出した事実」を確認してもらうことは可能です。念のため、コピーを持参し、受付印やそれに代わる対応が可能か窓口で確認すると安心です。
開業したときに、開業届以外に提出する書類と提出先は?
個人事業を開業するにあたって、開業届のほかにも提出しなければならない届出や、提出することができる届出があります。
所得税の青色申告承認申請書
所得税では「青色申告制度」と呼ばれる税法上の優遇制度があります。「青色申告特別控除(最高65万円)」「青色事業専従者給与」「貸倒引当金の計上」「純損失の繰越し(繰戻し)」などの各種特典を受けることで、納税額を抑えられる有利な制度です。
青色申告制度を受けるためには、事業開始日から2ヶ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。ただし、1月1日から1月15日までに開業した場合はその年の3月15日が提出期限になるため注意しましょう。
参考:A1-8 所得税の青色申告承認申請手続|国税庁、所得税の青色申告承認申請書
青色事業専従者給与に関する届出書
青色申告の承認を受けている個人事業主の場合、事業主の家族に対して支払った給料や賞与を事業の必要経費に算入することができます。開業と同時に給料等を必要経費に算入する場合は、事業開始日から2ヶ月以内に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出しなければなりません。
なお、青色申告承認申請書と同様に、1月1日から1月15日までに開業した場合はその年の3月15日が提出期限になるため注意しましょう。
参考:A1-11 青色事業専従者給与に関する届出手続|国税庁、青色事業専従者給与に関する届出書、変更届出書
所得税の棚卸資産の評価方法の届出書、所得税の減価償却資産の償却方法の届出書
所得税では、棚卸資産の評価方法や減価償却資産の償却方法が法律で定められています(法定評価方法、法定償却方法)。ただし「所得税の棚卸資産の評価方法の届出書、所得税の減価償却資産の償却方法の届出書」を提出することで、自社の実情に合わせた評価方法や償却方法を選択することもできます。
参考:A1-18 所得税の棚卸資産の評価方法の届出手続|国税庁、所得税の棚卸資産の評価方法の届出書、所得税の減価償却資産の償却方法の届出書
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
事業開始と同時に従業員を雇用し、給料や賞与を支給する場合「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を提出しなければなりません。
参考:A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出|国税庁、給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
適格請求書発行事業者の登録申請書(インボイス登録)
原則として新規開業の場合、初年度は消費税の納税義務が免除されます。しかし、「インボイス制度」に対応する適格請求書(インボイス)を発行したい場合は、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出する必要があります。これを提出して登録を受けると、自動的に消費税の課税事業者となります。 なお、登録手続きには時間がかかる場合があるため、事業開始と同時に登録を受けたい場合は早めに提出しましょう。
参考:D1-64 適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)|国税庁
事業開始等申告書
個人事業を開始する際には、税務署(国)のほかに都道府県に対しても開業する旨の届出書である「事業開始等申告書」を提出しなければなりません。当該申告書の様式や提出期限は都道府県によって異なるため、各窓口に確認するようにしましょう。
参考:事業を始めたとき・廃止したとき|東京都主税局、事業開始等申告書(個人事業税)
開業届を作成・提出・受理されるまでの流れ
次に、「開業届」の作成から受理されるまでの流れを解説します。
事業開始日等の決定
事業を始めるにあたって、事業開始日や事業を営む場所等を決定します。なお、事業開始日がいつの日付を指すのかについては、開業準備を始めた日やお店をオープンした日など、自身が決めた日付を事業開始日として差し支えありません。
開業届の作成
オンライン申請によるデータ入力、あるいは郵送や窓口持参するための書面作成などの方法で開業届を作成します。書面で作成する場合は作成終了後の開業届を必ずコピーし、税務署に提出する届出と同じ控えが残るようにしましょう。
開業届の提出
オンライン・郵送・窓口持参のいずれかの方法により、開業届を提出します。オンライン提出の場合、正しく送信されているか必ず結果を確認するようにしましょう。郵送による提出の場合、確実に郵送されたことを確認するためにも、配達記録郵便で出すことをおすすめします。
開業届の受理
記載内容の間違いや記載漏れ等がない限り、開業届が税務署で受理されたとしても、一般的に特別な通知や連絡はありません。 かつては紙の控えに収受印をもらうのが通例でしたが、令和7年1月からは申告書や届出書への収受印の押印が見直されています。
そのため「事業を行っている公的な証明(銀行提出用など)」が必要な方は、オンライン(e-Tax)で提出し、画面上で確認できる「受信通知」を保存・印刷して利用するのが、最も確実な方法です。
開業届の提出先や作成に利用されるツールの実態
開業届の作成に利用されるツール
開業届の作成から提出までにかかる時間
開業届の作成から提出完了までにかかった時間を尋ねたところ、最も多かったのは「10分〜30分未満」で、24.0%でした。また「10分未満」と回答した15.5%を合わせると、約4割の人が30分未満で手続きを完了しています。開業届の作成や提出先への届出手続きは、自分に合った適切な方法を選ぶことで、比較的短時間で済ませられます。
出典:マネーフォワード クラウド、開業届作成時の利用ツール【開業届に関する調査】(回答者:開業届を自分で作成した、または準備中の574名、集計期間:2026年1月実施)
「開業届」の提出はお忘れなく
所得税では開業届の提出が義務ですが、罰則がないため忘れがちです。しかし開業届の控えは、個人事業主としての信用証明や口座開設に欠かせない書類です。収受印廃止に伴い、証明書となる「受信通知」が残るe-Taxなどを活用し、確実に手続きしておきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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