- 更新日 : 2026年1月14日
ビジネスモデルの分析・構築に役立つフレームワーク一覧!無料テンプレートつき
ビジネスモデルとは、企業が商品やサービスなどの付加価値を提供し、事業として利益を生み出し続けるための仕組みのことです。企業の存続と成長には、収益性・独創性に優れたビジネスモデルの構築が欠かせません。しかし、ゼロから仕組みを考えるのは困難です。そこで役立つのがフレームワークです。
本記事では、ビジネスモデルの基礎知識から、自社の分析・構築に使える主要な5つのフレームワーク、そして事業の妥当性を確かめる診断方法まで詳しく解説します。
目次
そもそもビジネスモデルとは?
ビジネスモデルとは、誰に・何を・どのように提供し、どうやって利益を上げるかという事業の設計図のことです。
優れたビジネスモデルには、以下の6つの要素が明確に組み込まれています。
- 顧客:誰に対して価値を提供するのか
- 価値:顧客のどんな課題を解決し、どんなメリットを与えるのか
- 提供方法:どのように商品・サービスを届けるのか
- タイミング:いつ事業を行うのか
- 市場:どの市場(マーケット)で戦うのか
- 理由:なぜその事業を行う意義があるのか
ビジネスモデルとビジネスプランの違い
ビジネスモデルと混同されやすい言葉にビジネスプランがあります。
- ビジネスモデル:利益を生み出す「仕組み・構造」
- ビジネスプラン:ビジネスモデルを実現するための「行動計画・数値計画」
まずは「ビジネスモデル(仕組み)」を構築し、それを実行するための地図として「ビジネスプラン(計画)」を練り上げるようにしましょう。
参考:ビジネスプランに必要なことは何か|起業マニュアル – J-Net21
代表的なビジネスモデルの種類
ビジネスモデルを検討する際は、既存の型を知っておくとスムーズです。主な種類は以下の通りです。
- 販売モデル:自社で製品を作るまたは加工して、販売する(メーカー等)
- 小売モデル:他社から商品を仕入れ、販売する(百貨店、スーパー等)
- 広告モデル:広告を見てもらうユーザーを集め、広告枠を企業に販売する(メディア、SNS等)
- サブスクリプションモデル:一定期間で提供する商品やサービスに対して定額課金する(動画配信、SaaS等)
- マッチングモデル:売り手と買い手を仲介し、手数料を得る(人材紹介、フリマアプリ等)
- ライセンスモデル:知的財産の利用権を他社に許諾して使用料を得る(キャラクタービジネス等)
- 消耗品モデル:本体を安く売り、消耗品で稼ぐ(プリンター、カミソリ等)
- エージェンシーモデル:他社の業務を代行する(広告代理店等)
- コンサルティングモデル:専門知識やノウハウを提供する
近年では、これらを組み合わせたハイブリッドなビジネスモデルも増加しています。
ビジネスモデルの分析・構築に役立つフレームワークは?
ここからは、ビジネスモデルを可視化・分析するための主要なフレームワークを5つ紹介します。これらは、自社の新規事業立案だけでなく、競合他社の分析にも有効です。
ビジネスモデルキャンバス
ビジネスモデルキャンバスは、ビジネスモデルに不可欠な9つの要素に分解して整理することで、社内外への共有が容易になります。
- 顧客セグメント:想定される顧客は誰か
- 価値提案:顧客の課題を解決し、どのような価値(メリット)を提供するか
- チャネル:商品やサービスを届ける経路は何か
- 顧客との関係:顧客とどのような関係を構築・維持するか
- 収益の流れ:どのような方法でマネタイズ(収益化)するか
- 主なリソース:事業に必要な経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)は何か
- 主な活動:事業を回すために必要な活動は何か
- 主なパートナー:事業運営に不可欠な関係者やサプライヤー、パートナーは誰か。どのような連携を取るべきか
- コスト構造:事業運営に必要なコストの内訳は何か
- ビジネスの全体像を把握したい
- 関係者との認識を合わせたい
- 事業の改善点や可能性を新たに見つけたい
以下のリンクからビジネスモデルキャンバスのテンプレートを無料でダウンロードできます。まずは既存のフォーマットを活用し、穴埋め形式でアイデアを整理してみましょう。
ビジネスモデルツリー / ビジネスモデルマップ
ビジネスモデルツリーとビジネスモデルマップは、ビジネスモデルキャンバスをさらに発展させ、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)や、知的資本・組織資本まで分析するためのフレームワークです。例えば、他社の成功要因を分析して自社の戦略策定に役立てるなどの使い方があります。
ビジネスモデルツリーでは、経営環境を土台に、以下の4つのレイヤーに分けて分析するのが特徴です。
- 汎用
- 業種
- 個別事業
- 管理手法
ビジネスモデルマップでは、ビジネスモデルを構成する要素を以下のように分類し、それぞれ要素をマッピングします。
- 成果指標:事業価値、生産性、収益性
- バリューチェーン:消費チェーン、顧客価値提案、バリューチェーン
- 資本:金融資本、設備資本、知的資本、情報資本、人的資本、組織資本
- ステークホルダー:投資家、顧客、パートナー
ビジネスモデルツリーやビジネスモデルマップを用いて、ビジネスモデルのより深い分析を行いましょう。
ビジネスモデル・イノベーション・フレームワーク
ビジネスモデル・イノベーション・フレームワークとは、ラリー・キーリーらが提唱したフレームワークで、持続的なイノベーションを実現するために何をすべきかを見つけるのに役立ちます。以下の3カテゴリー・10要素を組み合わせて新しい価値を模索します。
- 利益モデル:どのように利益を得るか
- ネットワーク:他とどう連携するか
- 組織構造:人材や資産をどう編成・連携するか
- プロセス:独自の優れた業務手法は何か
- 製品性能:製品の独自機能・特性をどのように開発するか
- 製品システム:補完的な製品・サービスをどのように生み出すか
- サービス:価値を維持・向上させる方法は何か
- チャネル:顧客にどう届けるか
- ブランド:自社や製品をどう印象づけるか
- 顧客エンゲージメント:顧客とどう信頼関係を築くか
上記のフレームワークを組み合わせることで、持続的なイノベーションを実現するために何をするべきかが見えてきます。
9セルフレームワーク
9セルフレームワークでは、3×3のマス目(セル)を用い、誰に・何を・どうやってという視点でビジネスモデルの整合性をチェックします。ビジネスをどのように展開するかや、多角的な視点からビジネスモデルにアプローチしやすいです。
- 顧客価値について
- Who:顧客は誰か?
- What:顧客に何を提供するのか?
- How:どのように提供するのか?
- 利益について
- Who:誰から利益を得るのか?
- What:何によって(対価として)利益を得るのか?
- How:どのように利益を得るのか?
- プロセスについて
- Who:誰(パートナー)と組むのか?
- What:自社の強み(経営資源)は何か?
- How:どのような業務プロセスで行うのか?
上記の9つに回答してセルを埋めることで、ビジネス展開を模索するのに役立ちます。
ピクト図解
ピクト図解は、文字ではなく、シンプルな記号を使ってビジネスモデルを描く方法です。専門知識がない人でも理解しやすく、直感的に誰が誰に何をいくらで提供しているかの全体像をつかめます。
- エレメント
- 企業
- 個人
- 製品・サービス
- カネ
- コネクタ
- モノやカネの流れ、関係性を矢印でつなぐ。
- オプション
- 時間軸や補足情報を書き加える。
ピクト図解では、ヒト・モノ・カネといった要素をピクトグラムで表します。例えば、個人であれば人間の形のマーク、企業であれば建物のマークを用いましょう。商品やサービスなどのモノは丸で表し、カネは¥マークを用いると、ビジネスモデルをシンプルにまとめられます。
そして、モノやカネの流れ、要素同士の関係性などを矢印で表してください。モノとカネの流れを分けられるよう、矢印の種類を変えましょう。さらに、時間の流れや情報のまとめなど、図解がわかりやすくなるよう適宜補足を加えましょう。
ピクト図解は専門知識や事前準備がなくてもすぐに作成できるのがメリットです。
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合わせて使いたいマーケティング・フレームワークは?
ビジネスモデルを構築する前後には、以下のマーケティング・フレームワークを組み合わせることで、より精度の高い戦略が立てられます。
3C分析(業界環境の分析)
ビジネスモデルを構築する前段階で、市場のニーズや競合の動きを把握するために使います。
- Customer(市場・顧客):市場規模、成長性、顧客ニーズ
- Competitor(競合):競合のシェア、特徴、強み・弱み
- Company(自社):自社のリソース、強み・弱み
SWOT分析(戦略の方向性決定)
自社の内部要因と外部要因を分析し、それぞれの要素を掛け合わせ、どこで勝負するかというビジネスモデルの核(コンセプト)を固めるのに役立ちます。
- Strength(強み) × Opportunity(機会) = さらなる成長を目指す戦略
- Weakness(弱み) × Threat(脅威) = 撤退や縮小の戦略
4P分析(マーケティングミックス)
構築したビジネスモデルを、実際に顧客へ届けるための実行戦術(マーケティング)を考える際に使います。
- Product(製品・サービス):品質や強み、弱み
- Price(価格):いくらで売るか
- Place(流通):販売チャネル
- Promotion(販促):宣伝、広告
ビジネスモデルを事業計画書へ落とし込むポイントは?
ビジネスモデルのフレームワークは、あくまで事業の仕組みを整理・可視化するためのツールです。実際に事業をスタートさせ、軌道に乗せるためには、そこからさらに具体的な行動計画や数値目標を定めた事業計画書の作成が不可欠です。
事業計画書には以下の要素を追加で盛り込んでいきましょう。
- 具体的な数値計画:売上予測、必要運転資金や予算、キャッシュフロー計算書など
- 客観的な裏付けデータ:市場調査アンケートの結果、官公庁の統計データなど
- リスク分析と対策:想定されるトラブル(競合の参入、法改正など)とその対応策
まずは確固たるビジネスモデルをフレームワークで構築し、それを実行に移すための地図としてビジネスプランを練り上げるというステップを踏んでください。
参考:事業計画書の作成例|起業マニュアル| J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]
ビジネスモデルの分析にフレームワークを活用しよう
ビジネスモデルとは、企業が利益を生み出すための仕組みそのものです。 思いつきで事業を始めるのではなく、適切なフレームワークを用いて分析・構築を行うことが、企業の存続と成長には重要です。
- 全体像を整理・共有したいなら「ビジネスモデルキャンバス」
- 詳細な分析をしたいなら「ビジネスモデルツリー」
- 持続的なイノベーションを実現していきたいなら「イノベーション・フレームワーク」
- ビジネスモデルの整合性を確認したいなら「9セルフレームワーク」
- 直感的に理解・説明したいなら「ピクト図解」
自社のフェーズや目的に合わせてこれらを使い分け、強固なビジネスモデルを構築しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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