- 更新日 : 2026年1月29日
サブスクリプション契約とは?保守契約との違いや会計処理について解説
サブスクリプション契約とは、一定期間サービスや製品の利用権を定額で提供する契約形態です。
- 所有せずに利用権を取得
- 自動更新型が主流
- 保守契約や売買契約とは異なる
サブスクリプション契約は利用権のみを得る契約で、物の所有権は移らず、契約終了と同時に利用できなくなります。
近年普及しているサブスクリプション(サブスク)サービスを利用する際にはサブスクリプション契約を締結します。この記事では商品・サービスをサブスク形式で提供したいと考えている事業者の方向けに、サブスクリプション契約書の書き方やサブスクのメリット・デメリット、類似の契約との違いについてご紹介します。
目次
サブスクリプション契約とは?
サブスクリプション契約は、一定の期間にわたってサービスや商品の利用権を得る代わりに、定額または定期的な料金を支払う契約形態です。近年はソフトウェア、音楽配信、動画配信、クラウドサービスなど、さまざまな分野で広く用いられています。以下では、契約の内容や、他の類似契約との違いについて整理します。
サブスクリプション契約は利用権を得る契約
サブスクリプション契約は、商品やサービスそのものを「購入」するのではなく、「一定期間利用する権利」を得ることが特徴です。たとえば、サービス提供者A社と顧客Bが1か月契約を締結すれば、BはA社に料金を支払うことで、その1か月間サービスを自由に利用することができます。契約期間中に限り利用できるため、契約が終了すれば原則として利用権も失われます。
また、サブスクリプション契約は自動更新されることが多く、特に解約しない限り継続的な利用が可能となる点も特徴です。
【保守契約との違い】購入後のサポートか、期間利用か
保守契約は、すでに購入した設備やソフトウェアに対するメンテナンスやサポートを提供する契約です。たとえば企業が業務用システムを購入し、その不具合対応やアップデートのために保守契約を締結するケースがあります。
これに対し、サブスクリプション契約では最初から「利用権の提供」が目的であり、商品やサービスを所有することは前提になっていません。契約期間内でのみ利用可能であり、終了すれば使用する権利も失われます。つまり、保守契約=購入後のサポート、サブスクリプション=購入なしで一定期間使う契約という違いがあります。
【リカーリング契約との違い】購入済み商品の定期供給か、定額利用か
リカーリング契約とは、すでに購入された商品やサービスに関連する消耗品・追加機能などを、定期的に購入・供給する契約です。従業課金制で、機器本体やプラットフォームの初期契約後に、使用量や消耗品に応じて追加料金が発生するビジネスモデルです。ウォーターサーバーのボトル配送や、ゲーム本体を購入後にソフトを追加購入するケースが該当します。
一方、サブスクリプション契約は定額制で、商品やサービスの所有権は伴わず、契約期間中のみ使用可能です。クラウド型ソフトウェアを月額で利用するサービスなどがこれに当たります。
したがって、一般的に「リカーリング=購入済み商品の定期利用・補充(従業課金制)」、「サブスクリプション=未購入商品の期間限定利用(定額制)」という違いがあります。
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サブスクリプション契約を導入しているサービス例は?
サブスクリプション契約は「使いたいときに一定料金を支払って使う」という利便性の高さから、IT・エンタメ・生活用品など多くの分野で導入が進んでいます。以下では、代表的な業界ごとのサービス例を紹介し、それぞれがどのようにサブスクリプションの仕組みを活用しているかを解説します。
【エンタメ業界】NetflixやSpotifyなどの定額配信サービス
エンタメ分野では、動画配信サービス「Netflix」や音楽配信の「Spotify」などが代表的です。これらは、月額料金を支払うことで、映画・ドラマ・音楽などのコンテンツを期間中は無制限に視聴・再生できる仕組みです。利用者は、自分が見たい番組を個別に購入する必要がなく、好きなときに好きなだけ利用できる利便性があります。
コンテンツは契約中のみ視聴可能で、契約終了後はアクセスできなくなる点が典型的なサブスクリプションの特徴です。
【ソフトウェア業界】Microsoft 365やAdobe Creative Cloudなど
ソフトウェア分野では、Microsoft 365やAdobe Creative Cloudなどがサブスクリプション形式を採用しています。従来は買い切りだったOfficeソフトやデザインツールが、現在では月額や年額での利用契約に切り替わっています。この形式では、常に最新のバージョンが利用可能となり、アップデートやクラウド連携も料金内で利用できるのが利点です。
初期費用を抑えて導入できるため、個人利用から法人利用まで幅広いニーズに対応しています。
【生活・消耗品】Amazon定期おトク便や食材宅配サービス
日常生活においても、サブスクリプションの仕組みが活用されています。Amazonの「定期おトク便」では、洗剤やトイレットペーパーなどの日用品を定期的に届けてもらえるサービスがあり、まとめ買いの割引や手間の削減が魅力です。また、Oisixやヨシケイなどの食材宅配サービスも、週単位・月単位での定期契約を行い、レシピ付きの食材セットを自宅に配送します。
これにより、献立の悩みや買い物の手間が軽減される点で高く評価されています。
サブスクリプション契約を導入するメリットは?
サブスクリプション契約は、定額・定期課金によってサービスを提供する仕組みです。一時的な売上ではなく、継続的な顧客関係を築ける点で、企業にも利用者にも多くの利点があります。ここでは、事業者側と利用者側の双方の観点から、メリットを紹介します。
【事業者側のメリット】継続的な収益と顧客データの蓄積
サブスクリプションモデルを導入する最大のメリットは、安定的かつ予測可能な収益が得られることです。毎月・毎年の定期課金により、売上が一過性にならず、長期的な収益基盤を構築できます。これにより、経営計画や投資の見通しも立てやすくなります。
さらに、継続的な契約関係により、顧客の利用履歴や嗜好データを蓄積・分析できることも大きな利点です。これを活用することで、パーソナライズされたサービスの提供や、解約率(チャーンレート)を下げる施策の立案も可能になります。
また、新規顧客獲得の初期コストを抑えられるほか、既存顧客との関係強化にリソースを集中できる点も大きな強みです。
【利用者側のメリット】低コスト・柔軟性・常に最新のサービス
利用者にとっての最大の利点は、高額な初期費用が不要で、月額や年額で手軽にサービスを使える点です。ソフトウェアやクラウドサービスでは、数十万円かかる買い切り版ではなく、数千円で始められるため、導入のハードルが大きく下がります。
また、いつでも契約を見直せる柔軟性があるため、自分のライフスタイルや業務状況に合わせて最適なサービスを選び続けることが可能です。さらに、サブスクリプション型のサービスでは、アップデートや新機能が自動的に提供されるケースが多く、常に最新の状態で利用できる点もメリットです。
サブスクリプション契約を導入するデメリットは?
サブスクリプション契約は多くのメリットがありますが、事業者・利用者ともに注意すべきデメリットも存在します。以下では、それぞれの立場からデメリットを整理します。
【事業者側のデメリット】初期収益が少なく、継続利用に依存する
サブスクリプション契約では、一度の売上額が少ないため、従来の買い切りモデルと比較して初期の収益が伸びにくいというデメリットがあります。特に立ち上げ直後のビジネスでは、ユーザー数が少ないうちは収入が安定せず、投資回収までに時間がかかる傾向があります。
また、契約が継続されるかどうかは顧客の満足度や利用頻度に強く左右されるため、サービス品質やサポート体制を常に維持・改善する必要があります。顧客が簡単に解約できる仕組みである反面、チャーン率(解約率)を下げる努力が不可欠であり、リテンション施策に継続的なリソースが求められます。
さらに、価格設定が難しいのも事業者の課題です。高すぎると新規獲得が困難になり、安すぎると利益が出にくくなります。
【利用者側のデメリット】継続課金によるコスト増と利用管理の負担
利用者側の主なデメリットは、継続的な支払いが積み重なり、結果としてコストが高くなる可能性があることです。一度に支払う金額は少なくても、1年・2年と使い続ければ、買い切り型よりも支払総額が上回るケースもあります。
また、複数のサブスクリプションを利用していると、どのサービスにいくら支払っているのか把握しにくくなるという問題もあります。利用しなくなったサービスを解約せずに放置してしまい、「無駄な支出」が発生するリスクもあります。
さらに、契約期間が終了すれば利用できなくなるため、自分のペースで使いたい人にとっては不便と感じることもあります。特にソフトウェア系では、契約を切るとファイルや機能へのアクセスができなくなる場合があるため、注意が必要です。
サブスクリプション契約で定める事項は?
サブスクリプション契約は、一定期間にわたる継続的なサービス提供を前提とするため、契約内容を明確に定めておくことが重要です。ここでは、契約書や利用規約において定めるべき項目を解説します。
利用期間・更新条件
まず重要なのは、契約の有効期間です。月額契約なのか年額契約なのか、開始日と終了日を明記します。多くのサブスクリプションは自動更新が基本となるため、更新のタイミングと、更新を止めたい場合の手続き(例:更新前日までに通知など)を具体的に定めておく必要があります。
また、無料トライアルを設ける場合は、試用期間の長さと終了後の自動課金の有無についても明記することが望まれます。
利用料金・支払い方法
利用者がどのように支払いを行うかについても明示が必要です。月額/年額料金の設定、分割・一括払いの可否、支払い方法(クレジットカード、銀行振込など)に加え、消費税の扱いや価格改定の可能性についても明記しておくと安心です。
特に注意すべきなのは、課金タイミングと返金条件です。たとえば「初回支払いは申込時に即時発生」「途中解約でも残期間の返金は不可」といった内容は、後のトラブル防止に直結します。
解約・停止条件
サブスクリプション契約では、いつでも解約可能な「柔軟さ」が魅力の一方、解約手続きの分かりやすさや、解約後のサービス終了タイミングを明確にすることが重要です。「解約申請は次回請求日の3日前までに必要」「解約後は即時サービス停止」など、ユーザーが誤解しないように設定すべきです。
また、事業者側が利用者の違反行為などによって契約を停止・解除できる条件(例:不正利用、支払い遅延など)も定めておくことで、リスク管理にもなります。
サブスクリプション契約の自動更新に関する法的リスクは?
サブスクリプション契約では「自動更新」が一般的ですが、消費者に誤認や不利益を与えた場合、法的責任が問われることがあります。消費者向けサービスにおいては、契約更新に関する情報の提示が不十分だと法令違反になるおそれがあります。ここでは、法令とリスク回避のための対応策を解説します。
特定商取引法に基づき、自動更新の明示が義務付けられている
サブスクリプション契約の自動更新に関連しては、特定商取引法(特商法)第11条・第12条の6が重要です。とくに「通信販売」に該当するサービスでは、以下を「申込前に、最終確認画面等で明確に表示する」ことが義務付けられています。
- 契約の更新が自動で行われること
- 解約の条件と方法
- 初回無料や割引後に課金される旨
これを怠った場合、消費者庁による行政指導や業務停止命令が下される可能性があります。
解約手続きのわかりやすさと適切な表示でトラブル回避
事業者は、契約内容・更新条件・解約手続きについて簡潔かつ明確に表示する必要があります。スマートフォンから申し込むケースでは、ボタンの配置や文言が誤解を招かないよう注意が必要です。また、更新前にリマインドメールを送ることも望ましく、ユーザーの「意図しない継続利用」を防ぐ手段となります。
サブスクリプション契約を管理する事業者側の注意点は?
サブスクリプション契約は、継続的な収益を得られる有効なビジネスモデルですが、運用を誤ると顧客とのトラブルや法令違反に発展するリスクもあります。契約の安定的な維持と信頼構築のために、事業者が押さえておくべき管理上のポイントを解説します。
解約対応をスムーズかつ透明にする
契約更新や解約に関する問い合わせは、サブスクリプションサービスで頻発する問題です。利用者がストレスなく解約できるよう、マイページなどから簡単に手続きできる仕組みを用意することが重要です。 また、「解約したと思っていたのに課金された」といったクレームを防ぐために、解約完了の通知や手続き履歴をメールなどで明確に残すことが望まれます。電話対応やメール申請のみの解約方法はトラブルのもととなりやすいため、極力避けるべきです。
ユーザーの利用状況を定期的に分析する
契約継続率(リテンション)を維持・向上させるには、顧客の利用状況や満足度を定期的に確認・分析する体制が不可欠です。ログイン頻度が下がっているユーザーに対しては、活用方法を案内するメールを送る、コンテンツを推薦するなど、離脱予防のためのアクションを自動化しておくと効果的です。
また、解約者の声や解約理由を収集・分類することで、サービス改善につながる重要なヒントを得られます。
課金エラーや請求トラブルへの備えを徹底する
クレジットカードの有効期限切れや決済エラーが発生すると、サービス提供の継続可否や未収金の対応が問題となります。そこで、決済前にリマインドを送る仕組みや、失敗時に複数回自動でリトライする設定を導入することが望まれます。また、請求内容に関する問い合わせに迅速に対応できるよう、社内のサポート体制やFAQの整備も欠かせません。
契約内容や規約のアップデートを明確に通知する
サービスの内容や価格が変更になる場合、既存ユーザーへの影響が大きくなることがあります。特に利用規約の変更は、消費者契約法の観点も踏まえて慎重に設計するとともに、オンラインで同意を取得する場合には、申込内容の確認・訂正の機会を設けるなど(電子消費者契約に関する民法の特例の趣旨)、誤認や操作ミスを招かない運用を心がけましょう。
サブスクリプション契約にはメリットも多いが注意点もある
ネットの普及にともなってサブスクリプション契約によって商品・サービスを提供する会社も増えてきました。安定的な収入が得やすい、新規顧客を獲得しやすいなどのメリットも多くあり、ビジネスを拡大できる可能性を秘めている一方で、デメリットや注意点も多数あります。
特にサブスクリプション契約を締結した場合、ユーザーと継続的な取引関係が生じるため、契約期間や料金に関するトラブルが発生しやすくなります。今回ご紹介した内容も参考に、抜け・漏れがない契約書を作成してユーザーと契約を締結しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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