- 作成日 : 2026年2月10日
ワードの履歴機能を使いこなすには?変更履歴の記録・表示方法から削除して保存する手順まで徹底解説
Word(ワード)で契約書の確認やマニュアルの推敲、チームでの資料作成を行う際、「誰が・いつ・どこを」修正したかが一目でわかる「変更履歴の記録(トラックチェンジ)」機能は、業務効率化において極めて重要なツールです。しかし、修正した箇所が赤字で表示されなかったり、提出用のファイルから履歴をきれいに削除する方法がわからなかったりと、操作に迷う場面も少なくありません。
この記事では、ワードの変更履歴機能の基本的な使い方から、履歴が表示されないトラブルの解決策、そして履歴を完全に削除(反映)して保存する手順まで、初心者にもわかりやすく解説します。
目次
ワードの変更履歴機能(トラックチェンジ)とはどのようなものか?
変更履歴機能とは、文書に対して行った「挿入」「削除」「移動」「書式変更」などの編集操作をすべて記録し、可視化する機能のことです。
この機能を使用することで、修正前の文章と修正後の文章を比較しながら確認できるため、意図しない変更を見逃すリスクを減らし、複数人での共同編集作業をスムーズに進めることができます。通常、修正箇所は赤字や下線、取り消し線などで表示され、右側の余白(吹き出し)や行内にその詳細が示されます。
変更履歴を活用するメリットと重要性
ビジネス文書において変更履歴を活用する最大のメリットは、情報の透明性と信頼性の確保です。
契約書や規定集などの重要書類では、一文字の違いが大きな意味を持つことがあります。手作業で修正箇所を探すと見落としが発生しますが、変更履歴機能を使えばシステムが自動的に変更点をハイライトしてくれるため、確認漏れを防げます。
また、修正の経緯(なぜその変更を行ったか)をコメント機能と併用して残すことで、後から文書を見返した際にも意図を汲み取りやすくなります。
校閲タブの基本的な見方と操作場所
変更履歴に関する操作は、すべて画面上部のリボンメニューにある「校閲」タブに集約されています。
主に操作するのは以下のグループです。
- トラッキング:履歴の記録開始、表示モードの切り替え、吹き出しの設定など。
- 変更箇所:変更内容を一つずつ確認し、承諾(反映)または元に戻す(拒否)操作を行う場所。
- コメント:修正に対するメモや質問を追加・削除する場所。
- 保護:編集の制限などを行い、他者が履歴をオフにできないようにする機能。
これらの場所を把握しておくことで、迷わずに操作ができるようになるでしょう。
変更履歴の記録を開始(オン)するには?
「校閲」タブにある「変更履歴の記録」ボタンをクリックし、アイコンがグレーの網掛け状態(オン)になっていることを確認します。
記録をオンにした瞬間から、文書に対するあらゆる編集操作が履歴として蓄積されます。逆に、このボタンがオフの状態で行った編集は記録されず、通常の文書作成と同じ扱いになります。
ボタン一つで記録モードにする手順
具体的な操作手順は以下の通りです。
- ワード画面上部の「校閲」タブをクリックします。
- 「トラッキング」グループ内にある「変更履歴の記録」というアイコン(紙と鉛筆のマーク)をクリックします。
- アイコンの背景色が濃いグレーなどに変わり、押された状態になれば記録モードが有効です。
- この状態で文字を入力すると赤字や下線で表示され、文字を削除すると取り消し線が引かれます。
記録を停止したい場合は、再度同じボタンをクリックしてオフの状態に戻します。ただし、オフにしてもそれまでに記録された履歴が消えるわけではありません。記録が一時停止するだけである点に注意が必要です。
ショートカットキーを活用した効率化
頻繁に記録のオン・オフを切り替える場合、ショートカットキーを覚えると作業が早くなります。
- Windowsの場合:Ctrl + Shift + E
- Macの場合:Command + Shift + E
このショートカットキーを押すだけで、マウスを使わずに素早く変更履歴の記録モードを切り替えることが可能です。編集中に「ここからの修正は記録に残したい」と思った瞬間に切り替えられるため、非常に便利といえるでしょう。
記録された履歴の表示方法や見方はどうすればよいか?
「校閲」タブの「変更内容の表示」プルダウンメニューから、目的に合わせて「すべての変更履歴」や「シンプルな変更履歴」などを選択して表示を切り替えます。
履歴が記録されていても、表示設定が適切でないと、修正箇所が見えなかったり、逆に画面がごちゃごちゃして読みにくかったりします。状況に応じた表示モードの使い分けが重要です。
「すべての変更履歴」と「変更履歴/コメントなし」の使い分け
ワードには主に4つの表示モードがあります。それぞれの特徴を理解して使い分けます。
- すべての変更履歴:削除線、追加線、コメントなど、記録されたすべての情報が表示されます。修正箇所を詳細に確認したい場合に使用します。
- シンプルな変更履歴:行の左端に赤い縦線が表示されるだけで、本文は修正後のきれいな状態で表示されます。修正箇所があることだけを把握しつつ、文章全体を読み進めたい場合に適しています。
- 変更履歴/コメントなし:履歴データは保持したまま、修正後の完成形だけを表示します。最終的な仕上がりイメージを確認したい場合に使用します。
- 初版:修正前の元の文章を表示します。どこをどう変えたか、原型を確認したい場合に便利です。
「変更履歴が表示されない」と悩むケースの多くは、この設定が「変更履歴/コメントなし」や「シンプルな変更履歴」になっていることが原因です。
履歴を右側の吹き出しに表示させる設定
修正内容が行の中に混ざると読みにくい場合、右側の余白(マージン)に吹き出しとして表示させることができます。
- 「校閲」タブの「変更履歴とコメントの表示」ボタンをクリックします。
- 「吹き出し」メニューにカーソルを合わせます。
- 「変更履歴を吹き出しに表示」または「書式変更のみ吹き出しに表示」を選択します。
「変更履歴を吹き出しに表示」を選ぶと、削除した文字やコメントが右側に移動し、本文のレイアウトが崩れにくくなります。逆に、本文中に直接取り消し線を表示させたい場合は、「すべての変更履歴を本文中に表示」を選択してください。
特定の校閲者のみを表示・非表示にする方法
複数人でファイルを回覧して修正した場合、特定の人の修正だけを確認したいことがあります。
- 「校閲」タブの「変更履歴とコメントの表示」をクリックします。
- 「特定のユーザー」を選択します。
- 表示させたいユーザー名だけにチェックを入れ、不要なユーザーのチェックを外します。
これにより、上司の修正だけを表示したり、自分の修正だけを確認したりすることが可能です。複雑化した履歴を整理して見るための有効な手段といえるでしょう。
変更履歴が表示されない、または記録できない原因は何か?
表示モードの設定が非表示になっているか、文書自体に保護(編集の制限)がかかっていることが主な原因です。
機能自体は動作していても、設定によって「見えなくなっている」か、権限によって「機能を制限されている」状態です。それぞれの解除方法を知っておく必要があります。
表示モードが「変更履歴/コメントなし」になっているケース
前述の通り、「トラッキング」グループの表示設定が「変更履歴/コメントなし」になっていると、いくら修正しても赤字になりません。
これはバグではなく仕様です。まずは「すべての変更履歴」に切り替えて、過去の修正履歴が浮き上がってくるか確認してください。もし切り替えても何も表示されない場合は、そもそも「変更履歴の記録」ボタンがオフのまま作業していた可能性があります。その場合、後から履歴を復元することはできません。
「編集の制限」や「保護ビュー」がかかっているケース
インターネットからダウンロードしたファイルや、メールの添付ファイルを開いた直後は「保護ビュー」というモードになっており、編集や履歴の記録ができません。画面上部の黄色い帯にある「編集を有効にする」をクリックすることで解除されます。
また、作成者が意図的に「変更履歴の記録を強制する」などの制限をかけている場合もあります。
- 「校閲」タブの「保護」グループにある「編集の制限」をクリックします。
- 画面右側に表示される作業ウィンドウの下部にある「保護の中止」ボタンをクリックします。
- パスワードが設定されている場合は、作成者に問い合わせてパスワードを入力する必要があります。
変更履歴がオンにできない(グレーアウト)時の対処法
「変更履歴の記録」ボタンがグレー色になっていてクリックできない場合、以下の原因が考えられます。
- 旧バージョンの互換モードで開いている場合、一度「ファイル」→「情報」→「変換」で最新の形式(.docx)に変換してみる。
- 「グループ化」などのオブジェクト操作中は履歴機能が制限されることがあるため、グループ化を解除する。
特に「編集の制限」がかかっていると、履歴のオン・オフを切り替える権限がないため、ボタンがロックされます。まずは保護の状態を確認するのが解決への近道といえるでしょう。
変更履歴を削除(反映)してきれいな文書にするには?
「承諾」操作を行って変更内容を確定させるか、「元に戻す」操作で変更を破棄することで、履歴データを削除します。
単に「変更履歴/コメントなし」の表示モードにして保存しただけでは、履歴データはファイル内に残ったままです。この状態で取引先に送ると、相手が設定を変えれば修正過程が丸見えになってしまいます。提出用の「きれいな文書」を作るには、履歴というデータを「処理(削除)」する必要があります。
「承諾」機能を使って変更を確定する手順
修正内容を確認し、その変更を採用する場合の手順です。
- 文章の先頭にカーソルを置きます。
- 「校閲」タブの「変更箇所」グループにある「次へ」をクリックし、最初の変更箇所に移動します。
- 内容に問題がなければ「承諾」ボタンをクリックします。
- 変更内容(文字の追加や削除)が確定され、赤字や取り消し線が消えて通常の文字になります。
- 自動的に次の変更箇所へ移動するので、順次確認していきます。
一括ですべての変更を反映する方法
すべての修正内容を一括で採用し、手っ取り早く履歴のない完成版を作る方法です。
- 「校閲」タブの「承諾」ボタンの下にある小さな矢印(▼)をクリックします。
- メニューから「すべての変更を反映し、変更の記録を停止」を選択します。
- 文書内のすべての履歴が一括で承諾され、同時に記録モードもオフになります。
これで、誰が開いても履歴が表示されない、クリーンなワードファイルが完成します。社外への提出前には必ずこの操作を行うべきといえるでしょう。
変更を元に戻す(拒否する)場合の手順
修正案を採用せず、元の文章のままにしたい場合は「元に戻す」を使用します。
- 対象の変更箇所を選択(または「次へ」で移動)します。
- 「変更箇所」グループにある「元に戻す」ボタン(×マーク)をクリックします。
- 修正案が却下され、元の文章に戻ると同時に、履歴データも削除されます。
一括で拒否したい場合は、「元に戻す」の矢印から「すべての変更を元に戻し、変更の記録を停止」を選択します。
コメントも同時に削除する方法
「承諾」や「元に戻す」の操作を行っても、コメント(吹き出しのメモ)は残ります。コメントも削除する必要があります。
- コメントを選択します。
- 「校閲」タブの「コメント」グループにある「削除」ボタンをクリックします。
- すべてのコメントを一括削除したい場合は、「削除」ボタンの下の矢印から「ドキュメント内のすべてのコメントを削除」を選択します。
修正が2回目以降の場合や複雑な履歴の扱いは?
2回目以降の修正も続けて記録されますが、校閲者名や日時によって色が自動的に分けられるため、誰がいつ修正したかを区別できます。
修正の往復(キャッチボール)が続くと、履歴が重なって見にくくなることがあります。ワードは校閲者ごとに異なる色を割り当てる機能を持っています。
複数の校閲者がいる場合の色分けと管理
Aさんが修正した箇所は「赤」、Bさんが修正した箇所は「青」といったように、ワードは自動的に色分けを行います。
「変更履歴とコメントの表示」オプションから、特定の色を固定することも可能ですが、基本的には「校閲者別」の設定にしておくのが無難です。
色が多すぎて見にくい場合は、前述した「特定のユーザー」の表示切り替えを使い、確認したい人の履歴だけを表示させて整理しましょう。
版管理(バージョン履歴)との違い
「変更履歴」は一つのファイル内での修正差分を記録するものですが、修正の段階ごとにファイルを別名保存(例:v1.0, v2.0)している場合もあります。
もし、変更履歴をつけ忘れて修正してしまった場合でも、修正前と修正後の2つのファイルがあれば、ワードの「比較」機能を使うことで、後から変更履歴として差分を抽出することができます。
- 「校閲」タブの「比較」をクリックします。
- 「元の文書」と「変更された文書」を選択してOKを押します。
- 2つのファイルの違いが、変更履歴として記録された新規ファイルが作成されます。
この機能を知っていれば、記録忘れのミスもリカバリーできるといえるでしょう。
参考:Word での変更履歴の記録|Microsoft サポート
ワードの変更履歴機能を活用して正確な文書作成を行う
本記事では、ワードの変更履歴機能について、記録のオン・オフといった基本操作から、表示方法の切り替え、トラブル時の対処法、そして最終的な履歴の削除手順までを解説しました。
変更履歴機能は、ビジネス文書の信頼性を担保し、共同作業を効率化するための強力なツールです。しかし、正しく理解していないと、意図せず修正箇所が相手に伝わらなかったり、逆に隠すべき修正過程や内部コメントが社外に流出してしまったりするリスクも孕んでいます。
特に重要なのは、「表示しない設定」と「履歴データを削除(承諾)する操作」は全く別物であるという点です。社外にファイルを提出する際は、必ず「すべての変更を反映」と「コメントの削除」を行い、クリーンな状態にすることを習慣づけてください。これらの機能を適切に使い分けることで、ミスのない質の高い文書作成が可能になるでしょう。
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