- 作成日 : 2025年9月25日
業務用製氷機で氷ができない!まず試すべき原因別の対処法を解説
飲食店の運営に欠かせない業務用製氷機で、ある日突然氷ができなくなると営業に大きな支障をきたします。高額な修理を依頼する前に、まずはご自身で確認できる点がいくつかあります。
故障を疑う前に簡単なチェックを行うことで、問題が解決するケースも少なくありません。この記事では、業務用製氷機で氷ができない場合に考えられる原因から、自分でできる対処法、日頃のメンテナンス、専門業者に依頼するタイミングまでをわかりやすく解説します。
目次
業務用製氷機で氷ができない時にまず確認すべきこと
業務用製氷機で氷ができない場合、本体の故障とは限らない単純な原因も考えられます。専門業者を呼ぶ前に、まずは基本的な項目をチェックしてみましょう。これらの確認だけで復旧することも珍しくありません。
電源や設定は正しいか
意外と見落としがちなのが電源まわりのトラブルです。
- 電源プラグはコンセントにしっかり差し込まれているか
- ブレーカーが落ちていないか
- 製氷運転のスイッチが「切」や「洗浄」になっていないか
ホシザキなどのメーカーでは、エラー表示が出ている場合もあります。取扱説明書を確認し、エラー内容に応じた対処を行いましょう。
給水は正常に行われているか
氷の原料である水が供給されていなければ、当然氷は作られません。給水栓(蛇口)が閉まっていないか、断水していないかを確認します。また、給水ホースが折れ曲がって水の通り道を塞いでいないかも見ておくとよいでしょう。
周囲の環境に問題はないか
業務用製氷機は、周囲の温度や環境によって性能が大きく左右されます。
- 周囲温度が高すぎる:夏場など、厨房の温度が著しく高いと、製氷機が熱をうまく放出できずに製氷能力が落ちることがあります。エアコンをつけたり、換気を行ったりして、周囲の温度を下げてみましょう。
- 吸気口・排気口が塞がれている:本体背面や側面にあるフィルターや通気口が、物や壁で塞がれていないか確認します。熱がこもり、氷ができない原因になります。
業務用製氷機で氷ができない主な原因
基本的な確認をしても状況が改善しない場合、内部の部品に何らかの問題が生じていることが考えられます。ここでは、業務用製氷機で氷ができなくなる主な原因をいくつか紹介します。
フィルター類の目詰まり
業務用製氷機には、ごみやホコリの侵入を防ぐためのフィルターが複数あります。これらのフィルターが目詰まりを起こすと、さまざまな不具合の原因となります。
- エアフィルター:空気中のホコリをキャッチするフィルターです。ここにホコリが溜まると、冷却に必要な空気を取り込めなくなり、冷却効率が低下して氷ができにくくなります。
- 給水フィルター(ストレーナー):水道水に含まれる砂やごみを取り除くフィルターです。これが詰まると、製氷に必要な水量が供給されず、氷が小さくなったり、できなくなったりします。
コンデンサーの汚れ
コンデンサーは、製氷サイクルで発生した熱を外部に放出するための部品です。エアフィルターを通り抜けた油分やホコリがコンデンサーのフィン(薄い金属板)に付着すると、放熱がうまくいかなくなります。その結果、冷却能力が低下し、製氷時間が長くなったり、最終的に氷ができなくなったりするのです。
センサーや制御部品の不具合
現代の業務用製氷機は、多くのセンサーによって運転が制御されています。
- 水位センサー:タンク内の水位を検知し、給水をコントロールします。このセンサーが汚れて誤作動すると、水が供給されなくなります。
- 氷検知センサー(サーミスタ):氷の厚みや温度を検知し、製氷完了を判断するセンサーです。この部品が故障すると、氷ができていても検知できず、延々と製氷運転を続けてしまったり、逆にすぐに運転を止めてしまったりします。
冷媒ガス漏れや圧縮機の故障
エアコンと同じように、業務用製氷機も冷媒ガスを循環させて冷却しています。配管の劣化や損傷によってガスが漏れてしまうと、冷却能力が著しく低下し、氷を作れなくなります。また、ガスを圧縮する心臓部である「圧縮機(コンプレッサー)」が故障した場合も同様です。これらの不具合は専門的な知識と技術が必要なため、ユーザー自身での修理はできません。
故障を防ぐ業務用製氷機の掃除とメンテナンス
業務用製氷機で氷ができないトラブルの多くは、日頃のメンテナンスで予防できます。清潔な氷を安定して供給するためにも、定期的な清掃を習慣づけることが大切です。
自分で行う日常的な清掃
専門業者に依頼しなくても、日常的にできる清掃があります。とくにフィルター類の清掃は効果的です(お使いの機器の取扱説明書等に従って清掃してください)。
- エアフィルターの清掃(月に1~2回):電源を切り、フィルターを取り外します。掃除機でホコリを吸い取るか、中性洗剤を溶かしたぬるま湯でやさしく洗い、よく乾かしてから元に戻します。ホシザキやフクシマガリレイなど、多くのメーカーで簡単に着脱できるようになっています。
- 製氷機庫内の清掃(週に1回):貯氷庫内の氷をすべて取り出し、柔らかい布やスポンジに中性洗剤をつけて拭き上げます。その後、洗剤が残らないように固く絞った布で水拭きし、最後に乾拭きします。
専門業者による定期的な分解洗浄
日常清掃では手の届かない内部の汚れは、専門業者による分解洗浄が必要です。給水回路やコンデンサーの洗浄を1年に1回程度おこなうことで、故障リスクを大幅に低減できます。清潔な状態を保つことは、衛生管理の観点からも望ましいでしょう。
業務用製氷機の水漏れと「氷ができない」トラブルの関係
「氷ができない」という問題と同時に「水漏れ」が発生している場合、より深刻な原因が隠れていることがあります。水漏れに気づいたら、床が濡れて滑りやすくなる危険もあるため、迅速な対応が求められます。
給排水系のトラブル
給水弁が劣化して完全に閉まらなくなると、水が流れ続けて溢れ、水漏れの原因になります。また、排水ホースの詰まりや破損によって、製氷後の水や庫内の結露水がうまく排出されずに漏れ出すことも考えられます。これらのトラブルは、結果として正常な製氷サイクルを妨げ、「氷ができない」という症状につながる場合があります。
内部部品の劣化や破損
製氷皿や散水パイプといった内部の部品が経年劣化でひび割れたり、破損したりすると、そこから水が漏れ出すことがあります。水が本来のルートを通らないため、正常に氷が作られなくなります。このようなケースでは、部品の交換が必要になるでしょう。
自分で対処できない時に修理業者へ依頼する判断基準
簡単なチェックや清掃をしても改善しない場合は、専門の修理業者に依頼することを検討します。無理に自分で分解しようとすると、かえって状態を悪化させることになりかねません。
業者に依頼すべき症状
以下のような症状が見られる場合は、早めに専門業者に連絡しましょう。
- 電源を入れても運転音がまったくしない
- 異音や異臭がする
- エラー表示が消えない、またはリセットしても再発する
- 本体内部から水漏れしている
- 氷が極端に小さい、または形が異常
修理と買い替えの判断
業務用製氷機の寿命は、一般的に6~10年程度とされています。使用年数が長く、修理費用が高額になる場合は、新しい機種への買い替えを検討するのも一つの選択肢です。最新の機種は省エネ性能が向上していることも多く、長期的に見ると電気代の節約につながる可能性があります。修理の見積もりを取ったうえで、費用対効果を考えて判断するとよいでしょう。
業務用製氷機の安定した稼働は日々の確認から
業務用製氷機で氷ができないというトラブルは、飲食店の運営において大きな痛手となります。しかし、その原因の多くは、フィルターの目詰まりや周囲の環境など、日々の少しの注意で防げるものです。
定期的な清掃とメンテナンスを習慣づけることが、機械を長持ちさせ、安定した製氷を維持することにつながります。万が一のトラブル時にも、慌てずに本記事で解説したポイントを確認し、冷静に対処していくことが大切です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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