- 作成日 : 2025年9月25日
キッチンカーはどの車種がベスト?おすすめ車両と選び方のポイントを徹底解説
キッチンカー事業を始めるにあたり、土台となる車両選びは重要な決断です。しかし、軽トラックから1tトラックまで車種はさまざまで、どの車種が自分のメニューや予算に合っているのか、悩む方も多いのではないでしょうか。
この記事では、キッチンカーで人気の車種から、メニューの種類に合わせた選び方、新車・中古の比較まで、経営者が知っておくべき車種選びのポイントを網羅的に解説します。
目次
キッチンカーで人気の車種は?サイズ別に見る特徴
キッチンカーのベースとなる車種は、大きく3つのサイズに分けられます。それぞれのサイズに特徴があり、出店場所や提供メニューの自由度に影響します。ここでは、代表的な車種をあげながら、各サイズを詳しく見ていきましょう。
【小回りが利く】軽トラック・軽バンベース
スズキの「キャリイ」やダイハツの「ハイゼット」に代表される軽自動車をベースにしたキッチンカーです。最大の魅力は、そのコンパクトさと小回りの良さです。狭い路地やイベント会場の限られたスペースにも出店しやすく、運転に不慣れな方でも扱いやすいでしょう。
車両価格や税金、保険料といった維持費が安いため、初期投資を抑えてスモールスタートしたい方に適しています。ただし、積載できる機材や作業スペースには限りがあるため、提供できるメニューはドリンクやクレープ、たこ焼きなど、比較的シンプルなものに絞られます。複数人での作業には向いていません。
- 代表的な車種: スズキ キャリイ、ダイハツ ハイゼット、日産 NT100クリッパー
- メリット: 車両価格・維持費が安い、小回りが利き運転しやすい
- デメリット: 作業スペースが狭い、積載できる機材が限られる
【人気No.1】1.0t~1.5tトラックベース
トヨタの「タウンエース」や「ライトエース」、マツダの「ボンゴ」など、通称「1tトラック」「1.5tトラック」と呼ばれる小型トラックをベースにしたキッチンカーです。現在のキッチンカー市場で最も人気のあるクラスといえるでしょう。
軽トラックよりも積載量・作業スペースともに余裕があり、複数の調理機材を設置できます。これにより、ランチボックスや丼もの、バーガーといった、ある程度の調理工程が必要なメニューにも対応可能です。普通免許(AT限定も可)で運転できる車種が多い点も、人気の理由の一つです。まさに、機動性と機能性のバランスがとれたサイズといえます。
- 代表的な車種: トヨタ タウンエース/ライトエース、マツダ ボンゴトラック(中古市場で人気)
- メリット: 作業スペースと機動性のバランスが良い、メニューの幅が広がる
- デメリット: 軽自動車に比べると車両価格や維持費は上がる
【本格調理に対応】2.0tトラックベース
いすゞの「エルフ」や三菱ふそうの「キャンター」といった2tトラックをベースにした、大型のキッチンカーです。広い厨房スペースを確保できるため、大型のピザ窯やラーメンの寸胴、複数のフライヤーなど、本格的な調理設備の設置ができます。
複数人での同時作業もスムーズに行えるため、イベントなどで大量の注文に対応する能力も高まります。その分、車両価格や維持費は高額になり、出店場所も広いスペースが必要になるなど、制約も増えます。
運転には準中型免許以上が必要となる場合があるため、注意が必要です。本格的なレストランのようなメニューを提供したい、あるいは法人で大規模な運営を考えている場合に向いています。
- 代表的な車種: いすゞ エルフ、三菱ふそう キャンター、日野 デュトロ
- メリット: 広い厨房スペース、本格的な大型機材を設置できる
- デメリット: 車両価格・維持費が高い、運転免許の要件、出店場所が限られる
提供メニューの種類で考えるキッチンカーの車種選び
「どんなメニューを売りたいか」は、車種選びの最も重要な基準です。必要な調理機材や作業スペースはメニューによってまったく異なります。ここでは、メニューのジャンル別に、それぞれに適した車種の考え方を解説します。
ドリンクやスイーツなど軽調理向けの車種
コーヒーやタピオカドリンク、クレープ、かき氷といった比較的調理工程がシンプルなメニューは、省スペースで運営できます。大型の調理機材を必要としないため、軽トラックや軽バンベースの車種が最適です。
これらのメニューは、オフィス街のランチタイムやイベント会場など、人の往来が多い場所での短時間営業に向いています。小回りの利く軽自動車なら、こうした都市部の狭いスペースにも対応しやすく、機動力を活かしたビジネス展開ができます。初期投資を抑えられるため、初めてキッチンカー事業に挑戦する方にもおすすめです。
ランチボックスや丼ものなど複数メニュー向けの車種
唐揚げ丼、ロコモコ、タコライス、あるいは日替わりのランチボックスなど、複数の食材を扱い、ある程度の調理スペースを必要とするメニューには、1.0t~1.5tトラックベースの車種が最も適しています。
このクラスの車種であれば、ご飯を炊く炊飯器、食材を温めるウォーマー、揚げ物用のフライヤー、複数の食材を保管する冷蔵・冷凍庫などを無理なく設置できます。作業スペースにも余裕があるため、一人でも効率的に調理と提供を進めることが可能です。
メニューの幅が広がることで、平日ランチと週末イベントで提供内容を変えるなど、柔軟な事業戦略をとることもできるでしょう。
ラーメンやピザなど大型機材が必要なメニュー向けの車種
本格的なピザ窯や、複数の寸胴を並べてスープを作るラーメン、あるいは大量の揚げ物に対応する大型フライヤーなど、専門的で重量のある機材を必要とするメニューには、2.0tトラックベースの車種が欠かせません。
これらのメニューは、しっかりとした厨房設備がなければ品質を保つのが難しく、まさに「走るレストラン」としての機能が求められます。2tトラックであれば、広いスペースと高い積載能力を活かして、店舗と遜色のない調理環境を構築できます。
複数人でのオペレーションも前提となるため、法人での事業展開や、ブランド力のあるメニューで高単価を狙う場合に適した選択といえるでしょう。
キッチンカーの車種選びで重要な比較ポイント
理想のキッチンカーを手に入れるためには、車両のサイズや見た目だけでなく、コストや運用面もふまえた多角的な視点が必要です。ここでは、車種を決定する前に必ず確認しておきたい4つの比較ポイントを解説します。
新車か中古か?価格相場とメリット・デメリット
キッチンカーの取得方法は、大きく新車と中古車に分かれます。
- 新車
- メリット: 最新の設備を導入でき、自分の理想通りのレイアウトを実現できます。故障のリスクが低く、メーカー保証も受けられるため安心感があります。
- デメリット: 価格が高く、注文から納車まで時間がかかります。価格相場は、軽トラックで250万円~、1.5tトラックで400万円~が目安です。
- 中古車
- メリット: 新車に比べて価格が安く、初期投資を大幅に抑えられます。すでに設備が整っている車両なら、すぐに営業を開始できます。
- デメリット: 車両や設備が劣化している可能性があります。とくに水回りやガス設備のトラブルは、修理に高額な費用がかかることも少なくありません。「激安」をうたう車両には注意が必要です。
中古車を選ぶ際は、信頼できる販売店から購入し、車両の状態や修復歴、設備の動作確認を徹底することが大切です。
運転に必要な免許の種類
選んだ車種によっては、普通免許では運転できない場合があります。
- 普通免許: 車両総重量3.5t未満、最大積載量2.0t未満の車両。軽トラックや1.0t~1.5tトラックの多くがこれに該当します。AT限定免許でも運転できる車種が豊富です。
- 準中型免許(5t限定): 車両総重量5.0t未満、最大積載量3.0t未満の車両。
- 準中型免許: 車両総重量7.5t未満、最大積載量4.5t未満の車両。2tトラックベースのキッチンカーは、この免許が必要になることがあります。
スタッフを雇用して運転を任せる場合は、そのスタッフが保有する免許も確認しておく必要があります。
車内での作業効率(高さや広さ)
キッチンカーは、長時間過ごす仕事場です。車内の高さや広さは、作業効率や身体的な負担に直接影響します。
とくに重要なのが、厨房内の高さです。天井が低いと、腰をかがめながら作業することになり、腰痛の原因にもなりかねません。身長の高い方は、必ず実車で内部の高さを確認しましょう。
また、調理担当者と接客担当者など、複数人で作業する場合は、お互いがスムーズにすれ違えるだけの通路幅が確保されているかも重要なチェックポイントです。効率的な動線が確保できるレイアウトになっているか、シミュレーションしてみることをおすすめします。
維持費(燃費、税金、メンテナンス性)
キッチンカーは事業用の車両であり、ランニングコストも考慮しなくてはなりません。
- 燃費: 毎日移動することを考えると、燃費は軽視できません。一般的に、車両が大きくなるほど燃費は悪化します。
- 税金・保険料: 自動車税や重量税、自賠責保険料は、車両のサイズやナンバー(4ナンバー、8ナンバーなど)によって変わります。
- メンテナンス性: ベース車両が広く普及している人気車種であれば、修理が必要になった際に部品が手に入りやすく、対応できる整備工場も見つけやすいという利点があります。特殊な車両は、修理費用が高くなったり、時間がかかったりするリスクがあります。
初期投資だけでなく、長期的な視点で維持費を計算し、事業計画に組み込むことが大切です。
中古キッチンカーの探し方と「譲ります」情報の注意点
初期費用を抑えるために中古キッチンカーを検討する方は少なくありません。しかし、安易な選択は後々のトラブルにつながるおそれもあります。ここでは、信頼できる中古車両の見つけ方と、個人間の取引に潜むリスクについて解説します。
信頼できる中古車販売店の見つけ方
中古キッチンカーを探す際は、キッチンカーの製作・販売を専門に扱っている業者に相談するのが最も安全です。専門業者は、ベース車両の状態だけでなく、厨房設備の動作や衛生基準への適合性についても詳しい知識を持っています。
購入後のメンテナンスや、追加のカスタマイズにも対応してくれるでしょう。複数の業者を比較検討し、保証内容やアフターサポートが充実しているかを確認することが重要です。
「激安」車両で確認すべきチェックリスト
インターネットなどで相場より著しく安い「激安」の中古キッチンカーを見かけることがあります。しかし、価格の安さだけで飛びつくのは危険です。購入を検討する際は、最低でも以下の点を確認しましょう。
- 車両の修復歴: 事故による骨格部分の修復歴はないか。
- 厨房設備の動作: 冷蔵庫、コンロ、換気扇などが正常に動くか。
- 給排水設備の確認: タンクの容量は保健所の基準を満たしているか。水漏れはないか。
- 車検証の確認: 8ナンバー(加工車)として正規に登録されているか。
- 雨漏りの有無: シェル(箱部分)のつなぎ目などから雨漏りがないか。
可能な限り現車を確認し、専門家の意見を聞きながら慎重に判断することが求められます。
個人間の「譲ります」で潜むリスクとは
廃業した知人から「譲ります」と声をかけられたり、SNSなどで個人売買の情報を見つけたりすることもあるかもしれません。格安で手に入る魅力はありますが、個人間の取引には大きなリスクが伴います。
最大の懸念は、契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)が曖昧になることです。購入後に重大な欠陥が見つかっても、保証がなく、修理費用はすべて自己負担になるおそれがあります。また、名義変更などの手続きを自分で行う手間も発生します。安さに惹かれて安易に手を出すと、結果的に高くつく「安物買いの銭失い」になりかねないことを、経営者として理解しておくべきです。
事業計画に合った車種選びが、キッチンカー成功の土台になる
キッチンカーの車種を選ぶ際は、初期費用だけでなく、日々の作業のしやすさや、将来の展開まで見すえた総合的な判断が大切です。提供するメニューや出店先の条件、予算とのバランス、そして作業環境の快適さなど、さまざまな要素を踏まえて、自分の事業に合った車両を選ぶことが、成功への確かな土台になります。
見た目や価格だけで決めてしまわず、長く使えるかどうかという視点で、慎重に検討することが重要です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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