- 作成日 : 2025年11月6日
おしゃれな居酒屋の外装にするには?集客に繋がるデザインの考え方からタイプ別のイメージまで解説
お店の前を通りかかった時、思わず「お、なんだか良さそうなお店だな」と足を止めてしまった経験はありませんか。数多くの飲食店が立ち並ぶ中で、お客様に選ばれるきっかけとなるのが、お店の「顔」ともいえる外装です。魅力的な店舗外装デザインは、お店のこだわりや雰囲気を無言で伝え、お客様の入店を後押しする力を持っています。
この記事では、なぜ外装が重要なのかという基本から、デザイン前に考えるべきこと、お店のタイプに合わせたデザインの方向性まで、分かりやすく紐解いていきたいと思います。
目次
なぜ居酒屋の「外装デザイン」は重要なのか?
お店の「顔」である外装は、お客様が最初にお店を評価する判断基準であり、入店の意思決定に直接的な影響を与える、いわば「サイレントな呼び込み」の役割を担っています。
人は未知の場所に対して、無意識に情報を集めて安心できるかどうかを判断する傾向があります。道行く人々にとって、お店の外装は中の様子をうかがい知るための最も重要な情報源です。コンセプトが伝わる魅力的な外装は、お店が提供したい価値を瞬時に伝え、お客様の期待感を高めると同時に、「入ってみようかな」と感じさせる心理的なハードルを下げてくれる効果が期待できるのです。
外装が担う3つの重要な役割
居酒屋の外装には、主に3つの大切な役割があると考えられます。
- 認知性の向上:まず、通行人に対して「ここに居酒屋がある」という存在を知らせる役割です。どんなに美味しい料理や素敵なお酒を用意していても、お店の存在に気づいてもらえなければ始まりません。遠くからでも認識できる看板や、夜の街で温かく灯る照明は、お店の認知性を高める上で非常に重要です。
- 誘導性の向上:次にお店の存在に気づいた人に「入ってみたい」と思わせ、店内に導く役割です。中の賑わいが少し見えるガラス張りの扉、食欲をそそるメニューの写真、温かみのある「営業中」の看板など、お客様を歓迎する雰囲気作りが、入店を促す鍵となります。
- コンセプトの伝達:そして、「このお店はどんなお店なのだろう?」という疑問に答える役割です。例えば、高級感のある素材を使っていれば「落ち着いた雰囲気のお店かな」、赤提灯がぶら下がっていれば「賑やかでリーズナブルなお店かな」といったように、お客様は外装から価格帯や雰囲気、料理のイメージを無意識に読み取っています。
外装デザインを考える前に、まず何をすべきか?
デザインの方向性を決めるための羅針盤となる「お店のコンセプト」と「ターゲット顧客」を明確に言語化することが、何よりも先に必要となるでしょう。
コンセプトやターゲットが曖昧なまま、「流行っているから」「おしゃれだから」という理由だけでデザインを進めてしまうと、誰の心にも響かない中途半端な外観になったり、提供している料理や内装との間にちぐはぐな印象が生まれてしまったりする可能性があるためです。
STEP1: お店の「コンセプト」を再確認する
まずは、あなたのお店の「核」となるコンセプトを改めて言葉にしてみましょう。
- 提供価値:何を専門・自慢としていますか?(例:毎朝市場で仕入れる新鮮な海鮮、希少な日本酒の品揃え、アットホームな創作料理など)
- お店の強み:他のお店にはない、独自の魅力は何でしょうか?(例:古民家を改装した趣のある空間、気さくな店主との会話、全席個室など)
- 目指す雰囲気:お客様にどんな時間を過ごしてほしいですか?(例:仲間と賑やかに楽しむ時間、デートでしっとりと過ごす時間、一人でのんびりと過ごす時間など)
STEP2: 「ターゲット顧客」を具体的にイメージする
次に、どのようなお客様に来てほしいかを具体的に思い描きます。
- 人物像:年齢層、性別、職業、ライフスタイルは?(例:近隣で働く20代の女性グループ、お酒好きな40代の男性サラリーマン、落ち着いた場所を求める50代以上の夫婦など)
- 利用シーン:どのような場面での利用を想定していますか?(例:仕事帰りの一杯、友人との食事会、記念日のディナー、接待など)
このターゲット顧客が、どのようなデザインに魅力を感じ、安心して入店できるかを考えることが、独りよがりではない、お客様目線の外装デザインに繋がります。
タイプ別に見る!おしゃれな外観デザインの方向性
目指すお店のタイプによって、効果的な外装デザインの方向性は大きく異なります。お店のタイプに合わせた世界観を一貫して演出することが、ターゲット顧客に響く鍵といえます。
例えば、気軽さを求めて大衆酒場を探しているお客様が期待する外観と、特別な時間を過ごしたくて和モダンな居酒屋を探しているお客様が期待する外観は、全く違うはずです。お店のタイプ(業態)と外観のイメージを一致させることで、お客様は安心して入店でき、入店後の満足度とのギャップも少なくなるでしょう。
1. 大衆酒場・赤提灯系
このタイプの魅力は、何といっても「親しみやすさ」「活気」「気軽さ」です。外装では、中の賑わいや楽しそうな雰囲気が外に伝わるような工夫が効果的です。
- 演出のポイント:ガラス張りの面積を広く取って中の様子を見せる、店先にビールケースを積んで椅子にする、赤提灯や手書きのメニューを掲示して人間味を出す、など。
2. 和モダン・割烹系
このタイプでは、「上質さ」「落ち着き」「特別感」が求められます。派手さよりも、素材の良さや洗練されたデザインで「隠れ家」のような雰囲気を演出するのが良いでしょう。
- 演出のポイント:木や石、和紙といった自然素材を活かす、直線を基調とした格子デザインを取り入れる、間接照明で柔らかく上品な光を灯す、など。
3. バル・洋風系
「開放感」と「おしゃれさ」で、女性や若い世代が気軽に入りやすい雰囲気作りがポイントになります。
- 演出のポイント:気候の良い日には開放できる大きな窓やテラス席を設ける、レンガやタイル、アイアンといった素材を使う、手書きの黒板(ブラックボード)やスタイリッシュなロゴの看板を設置する、など。
4. 専門性特化型(焼き鳥、海鮮、もつ鍋など)
何を専門にしているのかが「一目見てわかる」ことが何より重要です。お店のこだわりと専門性を外観で表現しましょう。
- 演出のポイント:焼き鳥店なら食欲をそそる炭火の煙や香りが感じられる演出、海鮮居酒屋なら魚市場を思わせる木箱や大漁旗、日本酒専門なら杉玉(酒林)を吊るす、など。
集客効果を高める外装のポイントは何か?
「看板」「照明」「入口」といった主要なパーツそれぞれに役割があり、それらがお店のコンセプトに沿って調和することで、外装全体の魅力と集客力が高まると考えられます。
例えば、看板だけが立派でも、入口が暗くて入りにくければお客様は躊躇してしまいます。どれか一つだけを頑張るのではなく、外装全体を一つの舞台と捉え、各要素の役割を理解しながらトータルまで見据えて考える視点が不可欠でしょう。
『お店の顔』を構成する!パーツ別デザインのコツ
- 看板(サイン):お店の顔であり、店名やロゴを伝える最重要パーツです。ターゲット顧客が読みやすいフォントを選び、遠くからでも視認できる大きさやデザインを意識しましょう。夜間の営業がメインとなる居酒屋では、内側から光る内照式の看板や、スポットライトで照らすといった工夫も考えられます。
- 照明(ライティング):照明は、お店の雰囲気を劇的に変化させる魔法のような要素です。暖色系の温かい光は、親しみやすさや料理の美味しさを演出し、お客様を惹きつけます。ただ明るいだけでなく、看板やメニューボードをスポットライトで照らすなど、光の陰影をコントロールすることで、外観に奥行きと表情が生まれます。
- 入口(エントランス):お客様が最も心理的なハードルを感じる場所といえます。ガラス面を大きく取ったり、のれんを掛けたりして、中の様子が少しでもうかがえると、お客様は安心して扉を開けることができます。入口周りを清潔に保つことは、言うまでもなく基本中の基本です。
- 外壁・素材感:外壁に使う素材は、お店のタイプやイメージを大きく左右します。木材は温かみや和の雰囲気を、コンクリート打ちっぱなしはモダンでスタイリッシュな印象を、レトロなタイルは懐かしさや個性を演出するなど、コンセプトに合った素材を選びましょう。
- 装飾(のれん、提灯、植栽など):のれんや提灯は、日本的な居酒屋らしさを演出するのに効果的なアイテムです。また、入口脇に植栽を置くだけでも、外観に彩りと生命感が加わります。季節ごとに植栽を入れ替えるといった細やかな配慮は、お店の質の高さを物語るかもしれません。
お店の物語を語る外装で、お客様を迎え入れる
今回は、居酒屋の外装の重要性から、デザインの考え方、そして具体的なパーツごとのポイントまでを見てきました。お店の外装は単なる飾りではなく、お店のコンセプトやこだわりを伝え、お客様を温かく迎え入れるための「サイレントな呼び込み」です。あなたのお店のイメージが、お客様に正しく伝わっているでしょうか。
まずは自分のお店の「顔」が、伝えたい魅力をしっかりと語れているか、お客様の視点に立って見直してみてはいかがでしょうか。その小さな一歩が、新しいお客様との出会いに繋がるかもしれません。
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