• 作成日 : 2025年9月25日

一等米は本当においしい?お米の等級一覧と飲食店向けのお米も解説

お米の品質を示す指標として「等級」や「食味ランキング」がありますが、両者の違いを正確に理解されている方は意外と少ないかもしれません。これらは異なる基準で評価されており、お米の価値を正しく判断するためには両方の知識が求められます。

この記事では、お米の等級と食味ランキングの基本的な考え方から、最新の特Aランク一覧、飲食店経営者向けの選び方まで、専門的な内容をわかりやすく解説します。

お米の「等級」と「食味ランキング」は異なる評価基準

お米を選ぶ際によく目にする「等級」と「食味ランキング」は、それぞれ全く別のものさしで評価された指標です。等級は法律に基づいた米粒の見た目や品質の基準であり、一方の食味ランキングは専門家による食味の評価です。この違いを理解することが、お米選びの第一歩といえるでしょう。

等級は農産物検査法に基づく見た目の評価

お米の等級とは、農産物検査法に基づいて行われる「米穀検査」の結果を示すものです。これは、玄米の形が整っているか、虫食いや変色がないか、水分量は適切かといった、主に見た目の美しさや品質の均一性を評価するものです。

等級は「一等」から「三等」、そして基準に満たない「規格外」に分けられ、食味(味や香り)が評価項目に含まれていない点が大きな特徴です。

食味ランキングは専門家による食味官能試験

一方、食味ランキングは、一般財団法人日本穀物検定協会が毎年実施している、お米の味や香りに関する評価です。専門の評価員が、白飯を実際に試食して「外観・香り・味・粘り・硬さ・総合評価」の6項目で評価します。こちらは「特A」を最高ランクとして「A」「A’」「B」「B’」の5段階で格付けされ、純粋にお米のおいしさを追求した指標といえます。

出典:食味試験|一般財団法人 日本穀物検定協会

「一等米=おいしいお米」とは限らない

ここで注意したいのが、「一等米だから必ずおいしい」とは限らないという点です。前述のとおり、等級はあくまで見た目の評価です。

たとえば、栽培方法や品種の特性によって食味が非常に良くても、米粒の大きさが不揃いであるために等級が「二等」になることもあります。逆に、見た目が美しい「一等米」であっても、食味ランキングでは「A」や「B」評価になることもあります。両方の指標を正しく理解し、目的に合わせて見極めることが大切です。

見た目と品質の基準「お米の等級」一覧と検査規格

お米の等級検査は、国が定めたルールに沿って行われる厳格なものです。この検査によって、お米は4つの等級に分類されます。ここでは、それぞれの等級がどのような基準で決められているのか、その具体的な内容を解説します。業務用米の仕入れなど、品質とコストのバランスを考える上で参考になる知識です。

出典:玄米の検査規格|農林水産省

一等米

一等米は、最も厳しい基準をクリアした最高等級のお米です。整粒(形の整った米粒)が70%以上を占め、着色粒や異物などの混入がほとんどない、見た目に美しいお米です。水分量も15.0%以下と定められており、品質が安定しています。贈答用や高品質をうたう飲食店などで選ばれることが多い等級です。

二等米

二等米は、一等米の基準にはわずかに満たないものの、良好な品質を保ったお米です。整粒は60%以上と定められており、一等米に比べて着色粒などの混入が少しだけ多くなります。しかし、家庭用や多くの飲食店で日常的に使用されるお米としては十分な品質です。食味は品種や産年によるため、二等米でもおいしいお米は数多く存在します。

三等米

三等米は、整粒が45%以上のお米です。二等米よりもさらに着色粒や未熟粒の割合が多くなるため、見た目の品質は劣ります。主に加工用(味噌、米菓、日本酒など)の原料として使われることが多いですが、価格が安いため、コストを最優先する際の選択肢となることもあります。

規格外

上記の三等までの基準をいずれも満たさないお米は、規格外と分類されます。整粒が45%未満であったり、異物の混入が多かったりするものがこれにあたります。主に飼料用や工業用の原料として流通しており、一般の消費者が直接目にすることはほとんどありません。

食味の評価基準「お米の食味ランキング」とは

お米のおいしさを評価する最も代表的な指標が、日本穀物検定協会による「米の食味ランキング」です。このランキングは、消費者がお米を選ぶ際の客観的な指標となることを目的に、1971年から毎年実施されています。ここでは、その評価方法とランクについて詳しく見ていきましょう。

出典:ランキング試験|一般財団法人 日本穀物検定協会

専門家による食味官能試験で評価

食味ランキングの評価は、炊飯した白飯を実際に試食する「食味官能試験」によって行われます。評価員(食味評価エキスパート)は、複数産地のコシヒカリをブレンドしたものを基準米とし、これと比較する形で対象のお米を評価します。

評価項目は「外観・香り・味・粘り・硬さ・総合評価」の6項目で、それぞれの項目について基準米よりも良いか悪いかを判断します。

最高ランク「特A」を含む5段階のランク

評価結果は、以下の5段階のランクで発表されます。

  • 特A: 基準米よりも特に良好なもの
  • A: 基準米よりも良好なもの
  • A’: 基準米とおおむね同等なもの
  • B: 基準米よりやや劣るもの
  • B’: 基準米より劣るもの

「特A」はランキングの最高評価であり、これがメディアなどで「日本一おいしいお米」として取り上げられることが多く、人気の指標となっています。

【2025年最新】令和6年産米の特Aランク一覧

ここでは、2025年2月に発表された最新の「令和6年産米の食味ランキング」で、最高評価の「特A」を獲得した銘柄の一部を一覧で紹介します。

新品種や、新たに特Aにランクインした銘柄もあり、毎年注目が集まります。仕入れの際の参考にしてください。

道府県銘柄
北海道ななつぼし、ゆめぴりか
青森県はれわたり
岩手県銀河のしずく
宮城県つや姫
秋田県あきたこまち、サキホコレ
山形県つや姫、雪若丸
栃木県コシヒカリ
埼玉県彩のきずな
新潟県コシヒカリ(魚沼)
富山県コシヒカリ
福井県いちほまれ
長野県コシヒカリ
岐阜県コシヒカリ
静岡県きぬむすめ、にこまる
愛知県ミネアサヒ
三重県コシヒカリ
滋賀県みずかがみ
兵庫県コシヒカリ、きぬむすめ
鳥取県きぬむすめ
島根県きぬむすめ
岡山県きぬむすめ
山口県きぬむすめ
徳島県コシヒカリ
愛媛県にこまる
高知県にこまる
佐賀県さがびより、夢しずく
大分県ひとめぼれ
鹿児島県あきほなみ

【飲食店向け】メニュー別お米の選び方とおすすめ銘柄

飲食店でお米を選ぶ際には、単にランキングが高いだけでなく、お店のメニューとの相性を考えることが欠かせません。料理の味を引き立てるお米を選ぶことで、顧客満足度は大きく向上します。ここでは、代表的なメニューごとにおすすめのお米の特徴と銘柄の例を紹介します。

寿司・おにぎり・チャーハン向けのお米

寿司やおにぎりのように、米粒の食感を活かしたい料理には、粘りが少なく、ほぐれやすいあっさりとした味わいのお米が適しています。代表的な品種としては「ササニシキ」や「はえぬき」などが挙げられます。これらの品種は、シャリが作りやすく、ネタの味を邪魔しません。また、チャーハンにしても米がダマになりにくく、パラっと仕上がります。

丼もの・カレー向けのお米

タレやルーが濃厚な丼ものやカレーには、それに負けない存在感のあるお米が合います。一粒一粒がしっかりとしていて、粘りと甘みのバランスが良い品種が良いでしょう。たとえば、「つや姫」や「ひとめぼれ」などは、しっかりとした粒感があり、濃厚な味付けにもよく合います。お米の甘みが、料理の味を一層引き立ててくれます。

定食(白米)向けのお米

定食の主役である白米には、粘り、甘み、香りの三拍子がそろった王道のお米がおすすめです。また、冷めてもおいしさが落ちにくいことも重要なポイントです。代表格である「コシヒカリ」はもちろんのこと、冷めても硬くなりにくく、もちもちとした食感が特徴の「ミルキークイーン」なども、お弁当やテイクアウトメニューに強みを発揮します。

おいしいお米の価値を正しく理解するために

お米の品質を測る「等級」と、おいしさを評価する「食味ランキング」。この二つの指標は、それぞれ異なる役割を持っています。等級は、米の見た目や品質の安定性を示し、とくに業務用米の仕入れにおいて品質とコストを管理する上で参考になります。

一方、食味ランキングは、純粋な「おいしさ」の指標であり、お店の看板メニューとなる白米の価値を高めるための道しるべとなるでしょう。これらの違いを正しく理解し、お店のコンセプトやメニューに合わせてお米を選び抜くことが、顧客満足度の向上と、ひいては経営の安定につながるのではないでしょうか。


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