- 作成日 : 2025年9月25日
【3坪でもできる】小さな飲食店のレイアウトづくりのコツと成功のポイント
「3坪のお店」と聞くと、とても小さいと感じるかもしれません。しかし、工夫次第で十分に魅力的な飲食店を開業できます。むしろ、そのコンパクトさがお客様との距離を縮め、アットホームな雰囲気を作ったり、お店のこだわりを伝えやすくしたりする強みにもなるのです。
この記事では、3坪という限られた空間を最大限に活かすレイアウトの考え方について、基本的なポイントから業態ごとの間取り例まで、わかりやすくお伝えしていきます。
目次
3坪飲食店のレイアウトで最も重視すべきこと
3坪飲食店のレイアウトで、おそらく最も大切になるのが、お客様とスタッフの「動線」を考えることです。スペースが限られているからこそ、人の動きがスムーズだと、お店の回転率が上がり、お客様にとっても居心地の良い空間になるでしょう。
厨房内の作業動線
厨房の中では、スタッフができるだけ動き回らなくても調理が完結するような配置が理想的です。たとえば、「冷蔵庫から食材を出す→シンクで洗う→コンロで調理する」という一連の流れがスムーズにつながるように、機器の場所を決めていきましょう。無駄な動きが減るだけでなく、料理を提供するスピードも上がります。
お客様の入店から退店までの動線
お客様がお店に入ってから出るまでの動きも、想像してみることが大切です。入口から席までスムーズに案内できるか、他のお客様とぶつからずにトイレへ行けるかなど、お客様の目線で考えてみましょう。少しの窮屈さが、お店の印象を左右することもあります。
スタッフとお客様の動線分離
できれば、スタッフの動きとお客様の動きは、あまり交差しないようにしたいところです。料理を運んでいるスタッフと、席を立とうとしたお客様がぶつかってしまう、なんてことは避けたいですよね。カウンター越しにサービスを行うなど、動線が自然と分かれるような工夫を考えてみましょう。
3坪飲食店のレイアウトを成功させる3つの原則
限られた3坪のスペースを上手に使うには、いくつか押さえておきたいポイントがあります。無駄なスペースをなくし、高さを活かし、一つのもので二役こなす家具を選ぶ。この3つを意識するだけで、お店の使いやすさが大きく変わってくるはずです。
デッドスペースを徹底的になくす
お店を見渡したとき、柱の周りや部屋の隅っこなど、なんとなく使われていない「デッドスペース」はありませんか。そういった場所に合わせて棚を作ったり、ぴったり収まるサイズの設備を探したりするだけで、貴重な収納や作業スペースが生まれます。
縦の空間を有効に活用する
床の面積が限られているなら、壁などの「高さ」を活かさない手はありません。壁に棚を取り付ければ、食器や食材をたくさん置けます。調理器具を吊るして「見せる収納」にするのも、おしゃれでスペースを有効活用できる良いアイデアではないでしょうか。ただし、棚が高すぎたり色が濃すぎたりすると圧迫感が出てしまうので、バランスも大切です。
多機能な家具や設備を選ぶ
一つの家具で二つ以上の役割をこなしてくれると、とても助かります。たとえば、座席が収納ボックスを兼ねているベンチシートや、作業台としても使える収納庫などです。厨房機器でも、焼く・蒸す・煮るといった調理が1台でできる機器を選ぶと、省スペースになり、作業もスムーズに進むでしょう。
【業態別】3坪飲食店のレイアウト事例と間取りのポイント
お店の業態によって、最適なレイアウトは変わってきます。ここでは、カフェやテイクアウト専門店などを例に、それぞれどのようなレイアウトが考えられるか見ていきましょう。
カフェ・コーヒースタンド
コーヒースタンドのように、テイクアウトがメインのお店であれば、客席は少しにするか、立ち飲みスタイルにするのが一般的です。お客様がスムーズに注文して、商品を受け取って出ていけるような、わかりやすい動線づくりがポイントになります。カウンターをL字にして、入口の近くにレジ、奥にコーヒーマシンを置くと、人の流れが整理しやすくなります。
テイクアウト・デリバリー専門店
お弁当屋さんや唐揚げ専門店のようなテイクアウトが中心のお店は、客席が必要ない分、厨房の使いやすさをとことん追求できます。調理からパック詰め、そしてお客様へお渡しするまでの一連の作業が、スムーズに進むレイアウトを考えましょう。注文が重なったときのために、出来上がった商品を一時的に置いておく保温スペースなどもあると安心です。
立ち飲みバー・バル
立ち飲みのお店では、3坪という狭さが、逆にお客様同士やスタッフとの一体感を生む良い雰囲気につながることもあります。主役となるカウンターは、お客様が肘を置きやすく、お酒や料理を楽しめるちょうど良い高さと奥行きを考えましょう。カウンターの下に荷物用のフックや棚があると、お客様に喜ばれる心遣いになります。
3坪の飲食店レイアウトで失敗しないための厨房設計
3坪のお店にとって、厨房はまさに心臓部です。ここの使い勝手が悪いと、日々の営業がとても大変になってしまいます。サイズの合う機器を選び、ルールを守って配置することが大切です。
厨房機器はコンパクトで多機能なものを選ぶ
厨房に入れる機器は、まずサイズをしっかり測ることから始めましょう。とくに冷蔵庫やシンクのような大きなものは、数センチの違いで計画通りに収まらなくなることもあります。
省スペースで性能の良い業務用の機器の中から、自分のお店に必要なものを選んでいくのが良いでしょう。天板が作業台になっているタイプの冷蔵庫なども、スペースの有効活用につながります。
保健所の営業許可基準をクリアする
飲食店を開業するには、保健所の営業許可をもらう必要があります。たとえば、「シンクは2つ以上」「スタッフ用の手洗い場が必要」といったルールが決まっています。こうした基準は自治体によって少しずつ違うため、設計を始める段階で、一度自分の地域の保健所に図面を持って相談に行くと安心です。
効率性を追求した厨房機器の配置
厨房機器は、調理の一連の流れに沿って並べると、ぐっと作業がしやすくなります。「食材を保管する場所(冷蔵庫)→洗ったり切ったりする場所(シンク)→火を使って調理する場所(コンロ)→盛り付ける場所(作業台)」という流れを意識して配置を考えてみましょう。安全のために、コンロの隣にすぐ冷蔵庫を置かない、といった配慮も忘れないようにしたいところです。
坪数別レイアウトの考え方
3坪のお店で経験を積んで、将来的にはもっと広いお店を持ちたい、と考える方もいるかもしれません。3坪、7坪、10坪と、広さが変わるとレイアウトの考え方もどう変わるのかを知っておくと、将来の計画も立てやすくなります。
3坪:テイクアウトや専門特化型
3坪のお店は、イートインの席をたくさん作るのは難しいため、テイクアウト専門店にしたり、コーヒーやスイーツなどメニューを一つに絞った専門店にしたりするのに向いています。少ない資金で始めやすいのも嬉しいポイントです。いかに効率よく商品を作ってお渡しできるか、という点に集中してレイアウトを考えます。
7坪~8坪:カウンター席が中心
7坪や8坪ほどの広さがあれば、カウンター席をいくつか作ることができます。ラーメン屋さんやバーのように、お店の人と会話を楽しみながら過ごすスタイルのお店にぴったりです。
お客様から厨房が見えるオープンキッチンにすると、調理のライブ感も楽しんでもらえるかもしれません。「7坪 飲食店 レイアウト」や「8坪 飲食店 レイアウト」では、このカウンターの作り方がお店の顔になります。
10坪~12坪:テーブル席の導入も視野に
10坪や12坪になると、カウンター席だけでなく、テーブル席も置けるようになります。カップルやグループなど、より多くのお客様に来てもらえるようになります。レイアウトの自由度が上がる分、どんなお客様に来てほしいかをはっきりさせてから、客席と厨房のバランスを考えることが、お店の成功につながるでしょう。
レイアウト次第で、3坪でもいいお店は作れる
3坪飲食店のレイアウトを考えることは、ただ狭い場所に設備を置くパズルではありません。どんなお店にしたいかという想いを形にし、スタッフが働きやすく、お客様が気持ちよく過ごせる空間を作り上げる、大切な計画です。
動線を細かく考え、空間を上手に使う工夫を重ねることで、3坪という小さな場所は、大きな可能性を秘めたお店に変わります。この記事でお伝えしたポイントが、あなたの理想のお店作りを前に進める、一つのヒントになれば幸いです。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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