- 作成日 : 2025年9月22日
田舎の飲食店に集客するのは難しい?地方でもお客様を呼び込むアイデア
「周りに人が少ないし、駅からも遠い。うちの店にお客さんを呼ぶのはやっぱり難しい…」。自然豊かな場所で飲食店を営んでいると、ふとそんな不安に駆られることはありませんか。都市部のように、黙っていても人が店の前を通りかかるわけではない田舎での集客は、確かに簡単ではありません。
しかし、田舎だからこそ提供できる価値、都会の飲食店にはない魅力も、きっとあるはずです。この記事では、「集客が難しい」という悩みを「わざわざ行きたい」という魅力に変えるための考え方や、実際の集客のアイデアを、さまざまな角度からご紹介します。
目次
田舎の飲食店はなぜ集客が難しいと感じられるのか
多くの経営者の方が「田舎での集客は難しい」と感じるのには、都市部の飲食店とは異なる、地方ならではの環境が背景にあります。まずは、その課題を一緒に整理してみましょう。悩んでいるのは、決してあなた一人ではありません。
商圏人口と交流人口が限られている
まず考えられるのは、お店の周りに住んでいる人の数、いわゆる「商圏人口」が少ないという点です。日常的に利用してくれる可能性のあるお客様の母数が少ないため、何もしなければ先細りになってしまうという不安は、常に付きまといます。
また、観光地でもない限り、ビジネスや観光で訪れる「交流人口」も都市部に比べて少なく、新しいお客様との出会いの機会が限られてしまうのが実情です。
交通の便という物理的な壁
最寄り駅から遠かったり、車がないと訪れにくかったりする「立地の悪さ」も、大きな悩みの一つではないでしょうか。とくにお酒を提供する飲食店の場合、お客様は「どうやって帰るか」を考えなくてはなりません。この来店への物理的なハードルが、お客様の足を遠のかせる一因になっているのかもしれません。
せっかくお店に興味を持ってもらっても、「行くのが大変そう」という印象が先に立ってしまうのです。
情報が自然に広まりにくい環境
都市部であれば、多くの人が店の前を通りかかり、「新しいお店ができたな」と自然に認知してもらえます。しかし、交通量の少ない田舎では、そうした偶然の発見はほとんど期待できません。
こちらから積極的に情報を発信していかない限り、お店の存在すら知ってもらえない、という状況に陥りがちです。待っているだけでは、誰の目にも留まらないのです。
田舎の飲食店に集客するための店づくり
集客が難しい環境だからこそ、お客様に「あの店に、わざわざ行きたい」と思わせるような、強い引力を持つお店づくりが求められます。立地の不利を乗り越えるほどの魅力とは何か、その考え方を探っていきましょう。
明確なコンセプトでお店の個性を打ち出す
「うちはこういうお店です」と、一言で伝えられるような明確なコンセプト(お店の基本的な考え方やテーマ)を持つことが、お店づくりの出発点になります。
たとえば、「地元のオーガニック野菜だけを使った健康イタリアン」「築100年の古民家で味わう、手打ち蕎麦」「ジャズが流れる大人の隠れ家カフェ」など、コンセプトがはっきりしていると、お店の個性が際立ちます。
その個性に共感してくれるお客様が、遠くからでも訪れてくれるでしょう。
ターゲットをあえて絞りすぎない考え方
都会の飲食店では、特定のターゲット層に深く刺さるよう、顧客を細かく絞り込む戦略が有効な場合があります。しかし、人口の少ない田舎で同じことをすると、対象となるお客様がほとんどいなくなってしまうかもしれません。
もちろん、お店のコンセプトに合わないお客様まで無理に呼び込む必要はありませんが、「ファミリー層も、カップルも、お一人様も、それぞれのシーンで楽しめる」といった、どのターゲットにも響くような戦略が、田舎の飲食店にとっては大切な視点ではないでしょうか。
「また来たい」と思わせる居心地の良い空間
わざわざ遠くから来てくれたお客様が、「来てよかった」と心から思えるような、温かいおもてなしと居心地の良い空間づくりも大切です。清潔で手入れの行き届いた店内、季節の花が飾られたテーブル、お客様一人ひとりの顔を見て交わされる挨拶。そうした細やかな心配りが、お店のファンを増やし、「またあの空間に癒されに行きたい」と思わせる力になります。
田舎の飲食店が集客に活かすべきオンラインの宣伝方法
お店の魅力を磨いたら、次はその魅力をより多くの人に知ってもらうための情報発信です。とくに商圏が限られる田舎の飲食店にとって、インターネットの力を使って全国に情報を届けることは、今や欠かせない取り組みといえるでしょう。
SNSで日々の物語を丁寧に発信する
InstagramやFacebookなどのSNSは、お店の日常やこだわりを伝え、ファンを育てるための温かいコミュニケーションの場所です。完成した料理の美しい写真だけでなく、その向こう側にある「物語」を発信してみましょう。
たとえば、窓から見える四季の風景、届いたばかりの新鮮な野菜、お店づくりの裏話など、日々の出来事を切り取って共有します。店主の想いやお店の空気感が伝わることで、見る人の心に「いつか訪れてみたい」という気持ちが育っていきます。
まずは週に2〜3回の投稿から始めてみます。毎日投稿することに追われて内容が薄くなるよりは、想いを込めた投稿を定期的に続ける方が、きっと心に響きます。
Googleマップ(MEO)でお店を発見されやすくする
ドライブや旅行の途中で、「このあたりでランチできる良いお店はないかな?」とスマートフォンで検索する光景は、すっかりおなじみになりました。こうした「今すぐ客」に見つけてもらうために、Googleマップにお店の情報を正確に登録しておきましょう(MEO対策)。
お店の外観や内観、メニューの写真を充実させ、お客様からの口コミには一つひとつ丁寧に返信することで、「ここは信頼できそうなお店だな」という安心感を与えることができます。
グルメサイトや予約サイトを戦略的に活用する
食べログやぐるなびといったグルメサイトも、お店探しの定番ツールです。こうしたサイトに情報を掲載することで、お店の認知度を高める効果が期待できます。有料プランを利用すれば、より多くの人の目に触れる機会も増えるでしょう。ただし、掲載するだけでは埋もれてしまいます。魅力的な写真や、お店のこだわりが伝わる文章をしっかり作り込み、オンライン予約を受け付けるなど、お客様の利便性を高める工夫もあわせて行いましょう。
地域に根ざす、田舎の飲食店ならではのオフライン集客
インターネットでの情報発信と並行して、地元での地道な活動も、田舎の飲食店にとっては生命線です。顔の見える関係の中から生まれる信頼は、何物にも代えがたい財産になります。
チラシや看板で、地道にお店の存在を知らせる
お店の周りをよく通る地元の方々に向けて、チラシや看板で情報を発信するのは、基本的ですが大切な活動です。とくに、新しいメニューや季節のイベント、ランチの案内などは、直接的な来店動機につながりやすいでしょう。近隣のお店や施設にチラシを置かせてもらうなど、地域内での協力関係を築くのも良い方法です。
口コミを生む、地域イベントへの積極的な参加
地域のお祭りやマルシェ、運動会といったイベントは、お店の味や存在を知ってもらう絶好の機会です。屋台を出店して自慢のメニューを提供したり、イベントの打ち上げ会場としてお店を使ってもらったり。地域の一員としてイベントを盛り上げることで、自然と人々の間に良い評判が広まっていきます。「あそこのお店、この前の祭りで食べた唐揚げが美味しかったよ」そんな一言が、何よりの宣伝になるのです。
地元メディアとの良好な関係づくり
地域の情報を扱うフリーペーパーやケーブルテレビ、ラジオ局といった地元メディアも、お店の情報を広めてくれる心強い味方です。新メニューの発表やイベント開催の際に情報提供(プレスリリース)を行うなど、日頃から良好な関係を築いておくと、何かと取り上げてもらえる機会が増えるかもしれません。メディアに掲載されれば、お店の信頼性も高まります。
田舎の飲食店に集客につながるメニューの工夫
お店のコンセプトや空間づくり、情報発信と並んで、飲食店の根幹である「メニュー」そのものにも、お客様を引きつける工夫を凝らしましょう。とくに田舎では、その土地の恵みを活かすことが大きな武器になります。
地元の恵みを活かした、記憶に残る看板メニュー
その土地でしか手に入らない旬の食材をふんだんに使った料理は、「ここでしか食べられない」という強力な来店動機になります。たとえば、「〇〇さんが大切に育てた幻のじゃがいもを使ったポテトサラダ」「今朝、裏の畑で採れたアスパラの炭火焼き」など、メニュー名にストーリーを持たせることで、お客様は単に料理を味わうだけでなく、その土地の豊かさまで感じることができます。
生産者の顔が見えるのは、最高の安心感
食材を誰が、どんな想いで作っているのか。その「顔」が見えることは、お客様にとって最高の安心感につながります。メニューブックや店内のPOP、SNSなどで生産者の方々を写真付きで紹介してみてはいかがでしょうか。「いつも美味しい野菜をありがとう!」という感謝の言葉と共に紹介することで、お客様は食事を通じて、お店だけでなく地域全体を応援しているような温かい気持ちになれるでしょう。
付加価値でわざわざ食べたいと思わせる
健康志向の高まりをふまえ、地元の野菜をたっぷり使ったヘルシーなメニューを開発したり、希少な地酒やクラフトビールを取り揃えたりするのも、良い付加価値の付け方です。また、アレルギー対応メニューを事前に告知しておくことで、食事に制約のあるお客様も安心して来店できます。「あそこに行けば、〇〇が食べられる」という評判が、新たな顧客層を呼び込むきっかけになるかもしれません。
田舎の飲食店だからこそできる、地域の魅力を伝える集客
田舎での飲食店経営は、都市部とは違う難しさがあるのは事実です。しかし、そこには都会にはない、かけがえのない魅力や可能性があります。豊かな自然、新鮮な食材、温かい人々のつながり。これらを活かし、「ここでしかできない体験」を創り出すことができたなら、お店は「わざわざ行く価値のある場所」として、多くのお客様を引きつけるはずです。
田舎の飲食店は、食事を提供するだけの場所ではありません。その土地の魅力を一皿にのせて、訪れる人々に伝える「地域の広報担当」のような役割も担っているのではないでしょうか。そのやりがいと誇りを胸に、あなただけのお店づくりを楽しんでください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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