- 作成日 : 2025年9月22日
店舗プロモーションを運用するには?集客と売上を伸ばす実践ガイド
お店の宣伝や集客のためにプロモーションを考えたものの、「具体的に何から手をつければいいのかわからない」「一度やってみたけれど、効果があったのかはっきりしない」と感じている店舗経営者や担当者の方も多いのではないでしょうか。店舗プロモーションは、ただ実施するだけでなく、計画的に「運用」していく視点を持つことで、その成果は大きく変わってきます。
この記事では、店舗プロモーションを効果的に運用するための基本的な考え方から、オンライン・オフライン・店頭ごとの詳しい施策、そして自店の状況に合わせた進め方までを、わかりやすく解説します。計画的な宣伝活動のために、ぜひご活用ください。
目次
店舗プロモーションを効果的に運用する基本のサイクル
店舗プロモーションを成功させるには、しっかりとした計画に基づいて実行し、その結果を次に活かすような運用が欠かせません。なぜなら、やりっぱなしの宣伝では、かけた費用や時間が無駄になってしまうかもしれないからです。うまくいった理由、いかなかった理由をきちんと振り返り、次に活かしましょう。この繰り返しが、着実な成果につながっていきます。
Plan(計画)- 目的とターゲットを決める
まず、何のために、誰に情報を届けたいのかをはっきりさせましょう。「新規のお客様を増やしたいのか」「常連客にもっと来店してほしいのか」で、とるべき方法は変わってきます。たとえば、新規客向けならお店の存在を知ってもらう施策、常連客向けなら特別な感謝を伝える企画、といった具合です。
目的と届けたい相手(ターゲット)が決まれば、おのずと「何をすべきか」が見えてくるのではないでしょうか。
Do(実行)- 計画を形にする
計画が決まったら、いよいよ実行に移します。SNSで投稿したり、チラシを配ったり、店頭でイベントを開いたり。ここで少し意識しておきたいのは、後で振り返りができるよう、いつ、何を、どのように行ったかを記録しておくことです。たとえば、「〇月〇日から1週間、駅前でチラシを1000枚配った」という記録が、後の施策振り返りのデータになります。
Check(測定・評価)- 結果を振り返る
プロモーションが終わったら、結果がどうだったかを振り返ります。大切なのは、できるだけ数字で評価してみることです。「配布したチラシについていたクーポンが、何枚お店に持ち込まれたか」「SNSの投稿後、ウェブサイトへのアクセスは増えたか」など、具体的な数字を見ることで、施策の効果を客観的に判断できます。
Action(改善)- 次の一手を考える
評価の結果をふまえて、「次はどうしようか」と考えます。もしクーポン持参者が多ければ、「チラシの配布エリアやデザインは正しかったようだ。次は内容を変えてみよう」となります。逆に反応が薄ければ、「ターゲット層がチラシを見ないのかもしれない。次はSNSに力を入れてみようか」というように、次の計画に改善点を盛り込んでいくのです。このサイクルを回し運用していきましょう。
【オンライン】店舗プロモーションを運用する方法
今や、お店探しもスマートフォンが当たり前の時代です。インターネット、とくにSNSなどを活用したオンラインでの情報発信は、規模の大小を問わず、あらゆる店舗にとって欠かせないものとなりました。ここでは、オンラインでできる主なプロモーションの方法を見ていきましょう。
SNSでお店のファンとつながる
InstagramやX(旧Twitter)、LINE公式アカウントといったSNSは、今やお店を知らせるために欠かせなくなりました。無料で始められ、お客様と直接コミュニケーションがとれるため、お店のファン作りに適した宣伝方法ではないでしょうか。
写真映えする料理や商品がある飲食店やアパレル店ならInstagram、お得なキャンペーン情報を素早く届けたいスーパーや小売店ならXやLINE、といったように、お店の個性や届けたい情報に合わせて使い分けるのがおすすめです。
SNS運用の考え方
SNS運用の基本は、続けることです。すぐに売上が倍増するような即効性は期待しにくい反面、お店のこだわりや日々の様子、スタッフの人柄などを発信し続けることで、じわじわとファンが増え、長期的に安定した集客につながります。
投稿を作る手間はかかりますが、お客様からの「いいね」やコメントは、日々の励みにもなるでしょう。
Googleマップでお店を見つけてもらう(MEO)
「近くのカフェ」「渋谷 ラーメン」のように、今いる場所の周辺でお店を探す人にとって、Googleマップの情報はとても頼りになります。この地図検索で自店が上位に表示されるように対策するのがMEO(マップエンジン最適化)です。
飲食店、美容室、クリニック、小売店など、お客様に実際に足を運んでもらうスタイルの店舗であれば、業態を問わず、効果が期待できるプロモーション手法のひとつです。
MEO運用の始め方
まずは、Googleビジネスプロフィールに、お店の住所や営業時間、電話番号といった基本情報を正確に登録します。その上で、メニューや店内の写真を充実させたり、お客様からの口コミに丁寧に返信したりといった地道な更新作業が、検索結果の上位表示につながります。
コストをかけずに始められ、来店意欲の高いお客様に直接アピールできる、費用対効果の高い方法といえるでしょう。
Web広告で届けたい人に情報を届ける
予算をかけて、狙った相手に的確に情報を届けたい場合に頼りになるのがWeb広告です。新しいお店のオープン告知や、季節限定のキャンペーンなど、短期間で多くの人に知ってもらいたい時に大きな力を発揮します。
Web広告運用の考え方
Web広告には、検索結果に表示される「リスティング広告」や、SNSの利用中に表示される「SNS広告」などがあります。どちらも年齢や地域、興味関心などでターゲットを細かく絞れるため、プロモーションに関心を持ってくれそうな人に効率よくアプローチできます。
少額の予算から試せるのも魅力ですが、効果を出すにはある程度の知識も必要です。最初は専門の広告会社に相談してみるのも一つの手かもしれません。
【オフライン】店舗プロモーションを運用する方法
デジタルの時代だからこそ、手触りのあるオフラインのプロモーションが、かえって人の心に残ることもあります。とくに地域に根ざしたお店にとって、顔の見える範囲での活動は信頼関係を築く上でとても大切です。ここでは、昔ながらでありながら今なお力を持つ、オフラインでの宣伝方法をご紹介します。
チラシやDMで直接情報を届ける
チラシやダイレクトメール(DM)は、特定のエリアに住む方々へ、直接ポストに情報を届けられるのが強みです。普段あまりインターネットを使わない層にも、お店の存在や魅力を伝えられます。
スーパーマーケットやクリーニング店、学習塾、リフォーム会社など、お客様が近隣に住んでいることが多い、地域密着型のビジネスでとくに効果を発揮しやすい方法です。
チラシ・DM運用の考え方
チラシを配る際は、やみくもに広範囲へ配布するのではなく、お店の顧客層が多く住んでいそうなエリアに絞り込むことが、費用対効果を高める上で大切です。「クーポン持参で10%オフ」といった特典をつければ、どれくらいの人がチラシを見て来店したかが分かり、次の計画に活かせます。
既存のお客様には、日頃の感謝を込めて、DMで誕生日特典や特別なセールのご案内を送ると、大変喜ばれるのではないでしょうか。
イベントを開いてお店に来るきっかけを作る
お客様がお店に足を運ぶ「きっかけ」作りとして、イベントやキャンペーンはとても有効です。お店の周年記念や季節の行事などを利用して、普段とは違う特別な体験を提供してみましょう。
イベント運用の考え方
たとえば、飲食店ならワインの試飲会、書店なら作家のサイン会、雑貨店ならオリジナルの小物を作るワークショップなど、お店の特色を活かした企画が考えられます。企画から準備、当日の運営まで手間はかかりますが、お客様の楽しそうな笑顔や活気は、お店にとって何よりの財産になります。
イベントの様子をSNSで発信すれば、オンラインでの拡散も期待でき、一石二鳥の効果も狙えます。
【店頭】来店客の心をつかむプロモーション運用
オンラインやチラシの宣伝でお客様が来店してくれても、それで終わりではありません。お店の中での最後の一押し、つまり店頭でのプロモーションが、実際の売上や次回の来店につながるかどうかを左右します。
POP(ポップ)で商品の魅力を語らせる
手書きのPOPは「物言わぬセールスパーソン」とも呼ばれます。スタッフが一人ひとりのお客様に説明しきれない商品の魅力やこだわりを、代わりに伝えてくれる心強い味方です。
「店長のおすすめ!」「〇〇県産の新鮮なトマトを使っています」といった一言があるだけで、お客様のその商品への関心はぐっと高まります。紙とペンさえあればすぐに始められる、費用のかからないプロモーションですが、その効果は決して小さくありません。
商品の良さを自分の言葉で伝えることが、お客様の「買ってみようかな」という気持ちを後押しします。
試食や実演で価値を体験してもらう
食品や化粧品など、実際に試してみないと良さが分かりにくい商品は、サンプリング(試食・試供品配布)や実演販売が大きな力を発揮します。
実際に商品を体験してもらうことは、お客様が購入前に抱える不安を取り除き、「これなら大丈夫」という安心感を与える上でとても効果的です。
また、実演販売などをしていると、自然とお店に活気が生まれます。その賑わいが、また新しいお客様を引き寄せるという良い循環も生まれるかもしれません。準備に人手やコストはかかりますが、それに見合うだけの価値がある方法といえるでしょう。
ポイントカードやクーポンで次につなげる
再来店を促し、お客様との長いお付き合いを育むための定番の方法が、ポイントカードやクーポンです。「また来るとお得になる」という仕組みは、お客様が再びお店を訪れる際の、分かりやすい動機になります。
最近では、紙のカードだけでなく、スマートフォンのアプリでポイントを管理するお店も増えてきています。アプリなら、ポイント付与だけでなく、お客様の誕生日に合わせてメッセージを送ったり、セール情報を届けたりといったコミュニケーションも可能です。
ただし、割引や特典の濫用は利益を圧迫することにもなりかねません。お客様に喜んでもらいつつ、お店の負担も考慮した、バランスの良い運用を心がけることが大切です。
業態別に見る店舗プロモーション運用の考え方
これまでさまざまなプロモーション方法を見てきましたが、大切なのは、これらを自店の状況に合わせて戦略的に組み合わせることです。ここでは、お店の業態別に、どのようなプロモーションの組み合わせが考えられるかを紹介します。
飲食店・カフェの場合
飲食店やカフェでは、料理の魅力やお店の心地よい雰囲気を伝えることが集客につながるでしょう。オンラインでは、Instagramで「シズル感」のある料理動画や、おしゃれな店内の写真を投稿するのが王道です。同時にMEO対策をしっかり行い、「地域名+ランチ」といった検索で確実に見つけてもらえるようにしておきましょう。
店頭では、黒板や看板でその日のおすすめメニューをアピールし、テーブルのPOPでドリンクセットをおすすめすれば、客単価アップも狙えます。
小売店・アパレル店の場合
物販が中心の小売店では、商品の価値を伝えることと、お客様に「今買う理由」を感じてもらうことがポイントになります。SNSで新商品やセール情報を発信するのはもちろん、アパレル店ならスタッフ自身がモデルとなったコーディネート例を投稿すると、お客様も着た時のイメージが湧きやすいでしょう。
オフラインでは、お得意様だけにDMでシークレットセールの案内を送ると、特別感が喜ばれます。店頭のタイムセールなどで活気を演出し、購買意欲を刺激するのも良い方法です。
美容室・サロンなどのサービス業の場合
美容室やサロンのようなサービス業では、技術力や専門性といった「信頼」をいかにして伝えるかがプロモーションの中心となります。ウェブサイトやブログで、施術のビフォーアフター事例を数多く紹介するのは、技術力をアピールする上でとても分かりやすい方法です。
また、お客様との関係を維持するために、LINE公式アカウントから髪のお手入れに関する豆知識を送ったり、予約時期が近づいた頃にお知らせを送ったりといった、きめ細やかなコミュニケーションがリピートのきっかけにつながります。
計画的なプロモーション運用でお店のファンを増やす
店舗プロモーションは、目的を定め(Plan)、施策を実行し(Do)、その結果を振り返り(Check)、次の一手を考える(Action)。このサイクルを地道に回し続ける、お客様との継続的なコミュニケーション活動です。
今回紹介したさまざまな方法の中から、まずは自店で始められそうなものを一つ、試してみてはいかがでしょうか。その小さな一歩の積み重ねが、お店の未来のファンを一人、また一人と増やしていくことにつながるはずです。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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