- 作成日 : 2025年9月22日
飲食店のアプリ開発をするには?サービス比較や費用、機能を解説
飲食店のアプリ開発は、顧客との関係性を深め、リピーター育成や売上向上を目指すための一つの方法です。とはいえ、どんな方法で、どれくらいの費用をかけて作ればよいのか、悩む点も多いのではないでしょうか。
アプリ開発にはいくつかの作り方があり、お店の目的や予算に合った選択が大切になります。この記事では、飲食店アプリで何ができるのかという基本から、開発方法の比較、気になる費用、おすすめのサービス、そして成功のための運用までをわかりやすく解説します。
目次
飲食店がアプリ開発で実現できること
飲食店が独自のアプリを開発すると、集客や業務の効率化など、さまざまな面で役立ちます。情報を発信するだけでなく、顧客との直接的なつながりを生み出し、お店のファンを育てる仕組みづくりにも貢献するでしょう。
顧客のリピート利用を促す
アプリのプッシュ通知やクーポン機能は、顧客に再来店してもらうきっかけになることもあります。たとえば、しばらくご来店のない顧客に限定クーポンを送ったり、雨の日に特別な割引情報を通知したりすることで、「また行ってみよう」という気持ちを後押しします。スタンプカード機能も、ゴールを目指す楽しみを提供し、継続的な来店動機につながるのではないでしょうか。
顧客単価の向上をはかる
アプリを通じて、新メニューや季節限定のコース、セットメニューなどを効果的にアピールできます。事前にアプリで魅力的なデザートセットの情報を告知しておけば、来店時の追加注文につながるかもしれません。また、モバイルオーダー機能を導入すれば、顧客はご自身のペースでじっくりとメニューを選べるため、サイドメニューやドリンクなどを頼みやすくなるケースもあります。
新規顧客の獲得につなげる
アプリの特典が魅力的であれば、既存顧客からその友人や知人へ口コミで広がることも期待できます。また、アプリストア(App StoreやGoogle Play)にアプリを掲載すること自体が、お店の認知度向上につながることもあります。エリアやジャンルで飲食店を探している人が、アプリストア経由でお店の存在を知るという新しい集客の流れが生まれるでしょう。
店舗業務の効率化を進める
アプリに予約機能やモバイルオーダー機能を組み込むことで、電話応対や注文受付、会計といった業務の負担を軽くできます。とくにピークタイムには、これらの業務がスタッフの大きな負担になりがちですが、アプリで一部を自動化できれば、スタッフは調理や接客といった、より品質の高いサービス提供に集中できるようになります。
ブランディングと顧客データの活用
アプリアイコンやデザインをお店のロゴやコンセプトに合わせることで、お店のブランドイメージを広めることにもつながります。さらに、アプリを通じて集めた顧客の年齢層、性別、利用頻度、よく注文するメニューといったデータを分析すれば、より顧客のニーズに合ったメニュー開発や販促企画の立案に活かせます。
飲食店のアプリ開発の方法
飲食店アプリを開発するには、大きく分けて3つの方法があります。それぞれに良い点や注意点、費用、開発期間が異なるため、お店の目的や予算、かけられる時間などをふまえて、最適な方法を選ぶことが大切です。
ゼロから作り上げるフルスクラッチ開発
フルスクラッチ開発は、デザインや機能をすべてオーダーメイドで、ゼロから独自に開発する方法です。お店のコンセプトを隅々まで反映した、まさに世界に一つだけのオリジナルアプリを作れるのが魅力です。
他店にはないユニークな機能や、既存のPOSレジとの緻密な連携もできます。ただし、開発費用は高額になりやすく、開発期間も半年から1年以上かかることもあります。
既存のシステムを基にするパッケージ開発
パッケージ開発は、あらかじめ用意されたアプリのひな形(パッケージ)を基に、必要な機能を追加したり、デザインを調整したりする方法です。フルスクラッチよりは費用を抑えられ、開発期間も短くできる傾向にあります。
ある程度のオリジナル性を出しつつ、コストとスピードのバランスをとりたい場合に適した方法といえるでしょう。しかし、カスタマイズできる範囲には限りがあり、ひな形の仕様に合わせる必要が出てくる部分もあります。
手軽に始められるクラウド(SaaS)型
クラウド(SaaS)型は、専門の事業者が提供するプラットフォームを利用してアプリを作成する方法です。「店舗アプリ作成サービス」とも呼ばれます。専門的な知識がなくても、管理画面から設定するだけで簡単にアプリが作れるのが大きな魅力です。
費用は初期費用が数万円、月額費用が数万円からと、他の方法に比べて安価に抑えられます。短期間で導入でき、サーバー管理などの手間もかかりません。
結局どの開発方法を選べばよいのか
どの開発方法がベストかはお店の状況によります。
- ブランドイメージを徹底し、独自の機能で他店と差別化したい場合
→フルスクラッチ開発 - ある程度のオリジナル性を保ちつつ、費用と開発期間を抑えたい場合
→パッケージ開発 - まずはスピーディーかつ低コストでアプリを導入し、効果を試したい場合
→クラウド(SaaS)型
とくに中小規模の飲食店であれば、まずはクラウド(SaaS)型から始めて、アプリ運用のノウハウを蓄積するのが現実的な選択肢かもしれません。
飲食店のアプリ開発にかかる費用相場
アプリ開発を検討するうえで、やはり気になるのが費用ではないでしょうか。開発費用は、これまで見てきた開発方法によって大きく変わります。最初に支払う初期費用だけでなく、運用していくための月額費用(ランニングコスト)も忘れずに考える必要があります。
【開発方法別】初期費用と月額費用
開発方法ごとのおおよその費用相場は以下のとおりです。
開発方法 | 初期費用 | 月額費用 |
---|---|---|
フルスクラッチ開発 | 300万円~ | 数万円~(保守費用) |
パッケージ開発 | 50万~300万円程度 | 数万円~(保守費用) |
クラウド(SaaS)型 | 0~10万円程度 | 1万~5万円程度 |
クラウド(SaaS)型は費用を抑えられますが、サービスによって料金プランや含まれる機能が異なります。複数のサービスを比較検討することが大切です。
アプリ開発の費用を抑えるポイント
開発費用を適切に保つためには、アプリに搭載する機能を、本当に必要なものだけに絞り込むことです。「あれもこれも」と機能を詰め込みすぎると、その分費用は高くなりがちです。最初に「アプリで何を解決したいのか」という目的をはっきりさせ、その目的達成に必要な機能からスタートするのがよいでしょう。
また、複数の開発会社やサービス提供事業者から見積もりをとり、内容と費用を比べることも忘れないようにしましょう。
無料で店舗アプリを作成できる?
無料の店舗アプリとうたっているサービスも見かけます。しかし、無料プランの場合は、使える機能が大幅に制限されていたり、アプリ内に広告が表示されたり、困ったときのサポートが受けられなかったりといった制約がある場合があります。
お試しで使ってみるのはよいですが、ビジネスとしてしっかり活用したいなら、機能やサポートが充実している有料のサービスを検討するのがおすすめです。
飲食店のアプリ開発で搭載したい基本機能
飲食店でアプリの効果をしっかり出すには、どのような機能を搭載するかがポイントになります。ここでは、多くの飲食店アプリで採用されている基本的な機能を紹介します。お店の課題や顧客層に合わせて、必要な機能を考えてみましょう。
情報発信のためのプッシュ通知機能
プッシュ通知は、アプリをインストールしている顧客のスマートフォンに直接メッセージを送れる機能です。メールマガジンに比べて見てもらいやすいといわれ、顧客に情報を届けやすいのが特徴です。新メニューのお知らせ、キャンペーン情報、本日のおすすめなどをタイムリーに発信することで、来店のきっかけを作り出します。
来店を促すクーポン・スタンプカード機能
クーポンやスタンプカードは、リピーター育成に効果的な機能のひとつです。「アプリ会員限定」「誕生日特典」「雨の日割引」といった特別なクーポンは、顧客の満足度を高め、再来店を強力に後押しします。紙のカードと違い、顧客が忘れたりなくしたりする心配がないのも良い点です。
機会損失を防ぐ予約・順番待ち機能
アプリ上でいつでも簡単に席の予約や順番待ちの受付ができる機能は、顧客の利便性を大きく向上させます。電話がなかなかつながらない、お店に行ったら満席だった、といった顧客の不満を解消し、来店チャンスを逃すのを防ぎます。お店側も電話応対の負担が減り、予約管理がスムーズになるでしょう。
業務効率化と顧客満足度を高めるモバイルオーダー機能
顧客がご自身のスマートフォンからメニューの注文や決済を行える機能です。お店側は注文をとる手間が省け、オーダーミスも減らせます。顧客側も、スタッフを呼ぶ手間なく好きなタイミングで注文できるため、とくに混雑時の満足度向上に貢献します。テイクアウトの事前注文・決済に対応すれば、新しい収益源にもなり得ます。
飲食店のアプリ開発サービス一覧
ここでは、飲食店向けのアプリ開発でよく利用されるクラウド(SaaS)型のサービスを7つ紹介します。それぞれに特徴や料金体系が異なるため、お店に合ったサービスを選ぶ参考にしてください。
Restaurant Star(レストランスター)
飲食店に特化した予約・顧客管理システムです。予約管理を中心に、顧客情報や食事の好みなどを記録・活用することで、質の高いおもてなしにつなげることを目指します。アプリ機能は、このシステムの一部として提供される形になります。
店舗アプリ
飲食店や美容、小売全般など様々な業種で活用されているアプリです。簡単なPC操作でアプリの作成・運用が可能であり、プログラミング知識やサーバー知識は必要ありません。誕生日クーポンの配信をしたり、イベントやお知らせのプッシュ通知をすることもできます。
GMOおみせアプリ
多くの導入実績を持つサービスです。クーポンやスタンプといった基本機能はもちろん、POSシステムや予約システムとの連携など、柔軟に対応できるのが特徴です。専任の担当者による手厚いサポート体制も整っており、初めてアプリを導入するお店でも心強いでしょう。
UPLINK(アプリンク)
比較的安い価格ながら、プッシュ通知やクーポン、顧客管理機能など、お店の運営に必要な機能がそろっています。とくに美容室やサロンでの導入が多いですが、飲食店向けの機能も充実しており、コストパフォーマンスを重視するお店におすすめです。
みせプリ
シンプルな操作性とわかりやすい管理画面が特徴で、ITに不慣れなスタッフでも簡単に運用を始められます。スタンプカードやミニゲームなど、顧客が楽しめる販促機能も用意されています。
アプスタ
お知らせ配信やクーポン機能といった基本的な機能に絞られており、まずはシンプルにアプリ運用を始めてみたいというお店に適しています。必要に応じて機能を追加することもできます。
CROSS POINT(クロスポイント)
POSシステムとの連携に強みを持つサービスです。実店舗とECサイトのポイントや顧客情報をまとめて管理できるため、お店とネット販売の両方に力を入れたい飲食店に向いています。購買データに基づいた、より細やかな販促ができるようになります。
飲食店のアプリ開発後に成功させる運用のコツ
アプリは、開発して公開すれば自動的にうまくいくわけではありません。多くの顧客に利用してもらい、お店の売上につなげるためには、地道な運用が欠かせません。ここでは、アプリ開発後の運用で失敗しないためのコツを紹介します。
アプリの存在を知ってもらう(ダウンロード促進)
まずは、顧客にアプリの存在を知ってもらい、ダウンロードしてもらう必要があります。店内のPOPやポスター、テーブルのステッカー、レジでの声かけなど、あらゆる場面でアプリの案内をしましょう。「今ダウンロードすれば、その場で使える100円引きクーポンプレゼント」のように、その場でダウンロードするメリットを伝えるのがポイントです。
定期的な情報発信で継続利用を促す
アプリをダウンロードしてもらっても、使われなければ意味がありません。クーポンや新メニュー情報など、顧客にとってうれしい情報を定期的にプッシュ通知で配信し、アプリを起動する習慣をつけてもらうことが大切です。ただし、通知が頻繁すぎると嫌がられることもあるので、週に1〜2回程度など、適切な頻度を見極めましょう。
データを分析して改善を続ける
アプリ運用の大きな利点は、顧客の利用データを取得できることです。どのクーポンが多く使われているか、どの時間帯にアクセスが多いか、どのメニューがよく見られているかといったデータを分析し、次の企画に活かします。データに基づいた改善を繰り返すことで、より顧客に喜ばれるアプリへと育てていくことができるでしょう。
飲食店アプリ開発を検討し自店の課題解決につなげよう
飲食店のアプリ開発は、リピーターの育成や業務効率化など、お店が抱えるさまざまな課題を解決するきっかけになります。開発にはフルスクラッチからSaaS型まで複数の方法があり、費用や機能もさまざまです。大切なのは、お店の目的や規模、予算をはっきりさせ、それに合った開発方法やサービスを選ぶことではないでしょうか。
クーポンやスタンプカードから、モバイルオーダーや予約機能まで、搭載できる機能は多岐にわたります。アプリは作って終わりではなく、ダウンロードを促す工夫や継続的な情報発信といった運用が成果を左右します。この記事で解説した内容をふまえ、お店にとってアプリ開発が良い選択肢になるか、検討してみてはいかがでしょうか。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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