- 作成日 : 2025年8月19日
飲食店がLINEを活用するメリットデメリット!基本機能と集客活用の流れを解説
飲食店のLINE活用は、リピーター獲得に効果的な一方で、運用には手間がかかるといった側面もあります。無料で始められる手軽さから導入するお店は増えていますが、機能をうまく使いこなせず、集客につなげられていないケースも少なくありません。
この記事では、飲食店がLINEを導入するメリット・デメリットから、無料アカウントの作り方、集客を成功させるための活用の流れまで、初心者にもわかりやすく解説します。
目次
飲食店がLINE活用で得られるメリット
飲食店にとってLINE公式アカウントは、お客様との関係を築くうえで欠かせないツールになりつつあります。高い開封率でお店の情報を直接届けられ、リピーター育成につながる機能が無料で利用できる点は、大きなメリットといえるでしょう。
高い開封率でお店の情報を届けられる
LINEの大きな強みは、メッセージがお客様の目にふれやすいことです。
LINEは、国内で月間9,700万人以上(2024年12月時点)が利用するコミュニケーションアプリであり、多くの人にとって日常的に使うツールです。メールマガジンや他のSNSの投稿と比べて、LINEのメッセージはプッシュ通知で届くため、気づかれやすく、開封率が高い傾向にあります。
お店からの新しいメニューのお知らせや限定イベントの案内が、お客様の手元に直接届くため、情報を見てもらえる確率が格段に高まるでしょう。 出典:LINEヤフー for Business|LINEヤフー株式会社
無料で始められ費用対効果が高い
LINE公式アカウントは、無料で始めることができます。
無料の「コミュニケーションプラン」でも、月に200通までのメッセージ配信が可能です。小規模な飲食店や、まずは試しに始めてみたいというお店にとって、初期費用や月額費用をかけずに販促活動を始められるのは大きな魅力ではないでしょうか。
有料プランに移行すれば、より多くのメッセージを配信したり、高度な機能を使ったりすることもできますが、まずは無料プランで友だちを集め、基本的な機能を使ってみることから始められます。
クーポン機能で来店を直接促せる
お客様の来店を促す強力な機能として、クーポンがあります。
「友だち追加でデザート一品サービス」や「雨の日限定10%OFFクーポン」など、お店独自のクーポンを簡単に作成し、配信することが可能です。お客様はスマートフォンでクーポン画面を見せるだけで利用できるため、紙のクーポン券のように忘れる心配もありません。
このような魅力的なクーポンは、お客様がお店を訪れる直接的なきっかけとなり、売上向上につながります。
リピーター育成の仕組みを構築しやすい
一度来店したお客様とつながりを持ち続け、再来店を促す仕組み作りにLINEは適しています。
たとえば、来店ごとにポイントが貯まる「ショップカード」機能を使えば、紙のポイントカードを発行する手間やコストを削減できます。お客様にとっても、お財布がかさばらずスマートフォン一つで管理できるため便利です。
定期的なメッセージ配信とショップカード機能を組み合わせることで、お客様はお店のことを忘れにくくなり、「また行ってみよう」と感じる機会を増やすことができるでしょう。
飲食店のLINE運用で考えられるデメリット
LINE運用はメリットが多い反面、デメリットも存在します。とくに、友だちが増えなければ効果は出にくく、定期的な情報配信には手間がかかります。また、一方的な宣伝ばかりではお客様にブロックされるおそれがあることも、ふまえておく必要があるでしょう。
友だち集めに工夫が必要になる
LINE公式アカウントは、ただ開設しただけでは誰にも情報を届けられません。
効果を発揮するには、まずお店のアカウントを友だち登録してくれるお客様を増やす必要があります。店頭にQRコードを記載したPOPを設置したり、お会計の際にスタッフから声かけをしたりするなど、地道な案内活動が欠かせません。
友だちを増やすための特典を用意するなど、お客様が「登録したい」と思えるような工夫を考え、継続的に取り組む必要があります。
メッセージ配信などの運用に手間がかかる
お客様との関係を維持するには、定期的な情報発信が求められます。
どのような内容のメッセージを送るか企画し、文章や画像を作成し、適切なタイミングで配信するという一連の作業には、思いのほか時間と手間がかかります。とくに、日々の業務で忙しい飲食店の店長やスタッフが他の業務と兼任する場合、負担が大きくなることも考えられます。
誰が、いつ、どのような作業を担当するのか、あらかじめお店の中で体制を整えておくことが、運用を長続きさせるコツです。
ブロックされると情報が届かなくなる
お客様にとって有益でない情報ばかりを送っていると、アカウントをブロックされてしまうおそれがあります。
お客様がLINEでお店の友達登録をするのは、お得な情報や新しい情報を期待しているからです。しかし、配信頻度が多すぎたり、宣伝ばかりで内容に魅力がなかったりすると、「通知がうるさい」と感じ、ブロックにつながります。一度ブロックされてしまうと、そのお客様には二度とお店の情報を届けることができなくなってしまいます。
成果が出るまで時間がかかる場合がある
LINE運用は、始めてすぐに売上が倍増するといった即効性のある施策ではありません。
友だちの数が少しずつ増え、お客様との信頼関係が築かれ、どのような情報が喜ばれるのかといった運用のコツがつかめるまでには、ある程度の期間が必要です。数ヶ月間は成果が目に見えにくいかもしれませんが、長期的な視点でコツコツと続ける姿勢が求められます。
飲食店のLINE公式アカウントで使える基本機能
LINE公式アカウントには、飲食店の集客に役立つ機能がそろっています。トーク画面下部に固定表示されるリッチメニューや、お店の情報を送るメッセージ配信、来店ごとにポイントを貯められるショップカードなど、基本的な機能をうまく組み合わせることが活用への第一歩です。
メッセージ配信
友だち登録してくれたお客様全員に、お店の情報を一斉に送る機能です。新メニューの紹介、季節限定のイベント告知、キャンペーンの案内など、さまざまなお知らせに活用できます。画像や動画を添えることで、より魅力的なメッセージを作成することも可能です。
LINEチャット
お客様と1対1で、個別にメッセージのやりとりができる機能です。予約の問い合わせや、アレルギーに関する質問、貸し切り利用の相談など、お客様からの細かな要望に丁寧に対応できます。お客様の不安や疑問を解消することで、お店への信頼感を高めることにつながるでしょう。
リッチメニュー
トーク画面の下部に、タイル状のメニューを固定で表示できる機能です。たとえば、「今月のメニュー」「テイクアウト予約」「お店の場所」「予約サイト」といったボタンを設置することで、お客様が必要な情報へすぐにアクセスできるようになります。
お店のホームページのような役割を果たし、お客様の利便性を大きく向上させます。
ショップカード
紙のポイントカードをLINE上で再現できる機能です。お客様は来店時に店頭のQRコードを読み取るだけでポイントを貯められます。
一定のポイントが貯まると、割引や特典と交換できる「特典チケット」を発行できます。カードを忘れたり失くしたりする心配がなく、再来店を自然に促すことができます。
クーポン
割引やプレゼントなどの特典をつけられる電子クーポンを作成・配信できる機能です。友だち追加時のお礼として、あるいは誕生日を迎えたお客様への特別なプレゼントとして活用できます。使用されたクーポンの数などを分析することもできるため、販促効果の測定にも役立ちます。
飲食店LINEの始め方から集客活用の流れ
飲食店のLINE活用は、アカウント作成から始まります。その後、友だちを集め、定期的にお店の情報を配信するという流れが基本です。それぞれの段階でポイントを押さえることで、スムーズに運用を軌道に乗せることができるでしょう。
手順1:LINE公式アカウントを作成する
まず、LINE公式アカウントの公式サイトからアカウントを開設します。個人のLINEアカウントまたはメールアドレスで登録が可能です。
お店の名前、業種、プロフィール写真などを設定し、審査が完了すれば運用を始められます。お店の基本情報や魅力が伝わるように、プロフィールをしっかり作り込みましょう。
手順2:友だちを増やす施策を行う
アカウントができたら、お客様に友だち登録をしてもらうための活動を始めます。レジ横や各テーブルに、アカウントのQRコードを載せたPOPを設置するのが基本です。
その際、「友だち登録でドリンク1杯サービス」のような特典を用意すると、登録率が高まります。お会計時などに、スタッフから直接お客様へ声かけするのも効果的です。
手順3:メッセージを定期的に配信する
友だちが集まってきたら、メッセージを配信していきます。ただし、配信のしすぎはブロックの原因になるため、週に1回程度を目安に、お客様にとって価値のある情報を送りましょう。
新メニューや割引情報だけでなく、食材へのこだわりやスタッフの紹介など、お店の裏側が見えるような内容も、親近感を持ってもらうのに役立ちます。
手順4:効果を分析して改善する
LINE公式アカウントには、配信したメッセージが何人に届き、何人が開封したかなどを確認できる分析機能があります。どのような内容のメッセージがお客様の反応が良いのか、どのようなクーポンがよく使われるのかをデータで確認しましょう。
その結果をふまえて、次回の配信内容を改善していく、というサイクルを回すことが、LINE運用を成功させるうえで欠かせません。
飲食店のLINE活用が向いている店舗・そうでない店舗の違い
LINEは便利なツールですが、どの飲食店にも同じように合うわけではありません。お店の営業スタイルや客層によって、向き・不向きがあります。
まずは無料プランで試してみて、お客様の反応や社内の負担感を見ながら、活用の範囲を調整していくのがおすすめです。向いているかどうかは「やってみて気づく」ことも少なくありません。
LINE活用が向いている飲食店の特徴
LINEの活用が向いているのは、リピーターを増やしたい店舗や定期的に情報を発信できる体制がある店舗です。
たとえば、ランチやディナーの時間帯に常連客が多く訪れるカフェや居酒屋、地域密着型の個人店では、LINEでのクーポン配信やお知らせが来店動機につながりやすい傾向があります。定期的に新メニューを出したり、イベントや限定サービスを実施したりするお店も、LINEで告知することで集客効果を高められるでしょう。
また、少人数でも運用の時間を確保できるお店や、SNSなどで情報発信に慣れている店舗は、継続的にLINEを活用しやすいといえます。
LINE活用が難しい飲食店の傾向
一方で、LINEの運用が難しいのは、配信する情報が少ない、または単発利用の多い業態です。
観光地の飲食店や、立地的にリピーターが少ないお店、期間限定営業の店舗などでは、友だち登録してもらっても再来店のきっかけがつくりにくくなります。また、配信の企画や実務をこなす余裕がない、スタッフが限られている場合も、続けるのが難しく感じるかもしれません。
さらに、客層の年齢が高く、LINEでのやりとりに抵抗を持つ人が多い場合も、効果が出にくくなることがあります。そうした場合は、チラシや電話といった手段の方が合っているケースもあります。
LINE活用で築く飲食店とお客様の新たな関係
飲食店がLINEを活用することで、情報発信や再来店促進など、継続的な関係づくりがしやすくなります。リッチメニューやショップカード、クーポンといった基本機能を組み合わせれば、費用をかけずにお客様との接点を増やせます。
ただし、成果が出るまでには一定の時間がかかり、友だち集めや配信設計には工夫が必要です。LINEの機能を活かすためには、無理なく続けられる運用体制を整え、配信内容を見直しながら少しずつ改善を重ねていく視点が欠かせません。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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