- 作成日 : 2025年8月8日
グルメサイト離れが起きている?飲食店への影響や集客の戦略を解説
飲食店を探す手段として、Google検索やマップ、InstagramなどのSNSを活用する人が増えています。こうした動きにより、グルメサイト以外の情報源にも注目が集まり、集客手法の選択肢が広がってきました。
本記事では、調査データをもとに「グルメサイト離れ」といわれる背景を整理し、飲食店が今後どのように集客チャネルを構築していくべきか、現実的な視点から解説します。
目次
グルメサイト離れとは
グルメサイト離れとは、ユーザーが飲食店を探す際に、「食べログ」「ぐるなび」「ホットペッパーグルメ」といったグルメサイトの利用頻度が減少し、代わりにGoogle検索、Googleマップ、Instagram、TikTokなどのSNS、または店舗の公式ウェブサイトなどを情報源として利用する傾向が強まっている現象です。
調査データからグルメサイト離れの原因を読み解く
近年、飲食店を探す際の手法として、Google検索やGoogleマップの利用、Instagram(インスタグラム)があげられます。
Google検索・Googleマップの利用が急増
TableCheckが2022年に行った調査によると、飲食店を探す際に「Google」を利用する人が86.1%と、グルメサイトの61.3%を大きく上回る結果となりました。
2020年時点でGoogleの利用率は78.5%だったため、2年間でさらに利用が拡大していることがわかります。特に、20代から30代の若い世代では、グルメサイトよりもGoogleをメインに利用する傾向があります(テーブルチェック調べ)。
また、COLLINS株式会社の2025年調査でも、カジュアルな飲食シーン(家族や友人との食事)において、Google検索(49.2%)・Googleマップ(48.2%)が、食べログ(59.8%)やInstagram(52.5%)と並ぶ主要ツールとして使われていることがわかりました。
特別なシーン(記念日やデートなど)でも、Google検索は46.5%、Googleマップは23.9%と引き続き高い利用率を示しています(COLLINS株式会社調べ)。
Googleはカジュアル・特別どちらのシーンにおいても、“飲食店を探す当たり前の選択肢”として定着しています。
飲食店を知るきっかけはInstagram
同じくCOLLINSの調査によると、飲食店を知る「きっかけ」として最も多かったのは、Instagram(71.1%)で、家族や友人からの口コミ(49.2%)、グルメサイト(41.5%)、Googleマップ(37.2%)を上回っています(COLLINS株式会社調べ)。
これは、Instagramの持つ「映える」ビジュアル訴求力や、実際に来店したユーザーによるリアルな投稿が、グルメサイトよりも親しみやすく、信頼されやすいことを示しています。
COLLINS株式会社が2025年2月に発表した「飲食店の選び方」に関する調査によると、飲食店を知るきっかけとしてInstagramが71.1%と最も高く、家族や友人からの口コミ(49.2%)に次いで、Google Map (37.2%)、グルメサイト(41.5%)を上回っています 。
一方で、Instagramで興味を持ったユーザーが実際に来店する頻度は高くなく、7割以上が「月1回未満」と回答しています。
来店までには、SNSの情報だけでは不十分で、詳細情報(営業時間・場所・価格帯・予約方法など)や信頼性の高い口コミが補完されて初めて、行動につながる傾向があります。
グルメサイトの信頼性
グルメサイトの情報に対する信頼感の低下も、利用者離れの大きな要因の一つです。
TableCheckの同調査では、「グルメサイトを信頼できない」と回答した人が全体の30.4%にのぼり、2年間で約1.2倍に増加しました。理由としては、「自分好みのお店が見つからない」(28.8%)、「信頼できる情報ではない」(21.2%)といった理由が挙げられています(テーブルチェック調べ)。
グルメサイトの掲載情報に偏りがあると感じたり、口コミの信憑性に疑問を感じたりするユーザーが増えていると考えられます。
参考:【飲食店の選び方】2025年最新調査結果を発表!
参考:【第3回グルメサイト意識調査】加速するグルメサイト離れ。「Google」利用率トップに。「食べログ敗訴は妥当」、飲食店で多数派|TableCheck
グルメサイト離れによる飲食店への影響
グルメサイト離れは、飲食店にどのような影響をもたらしているのでしょうか。
グルメサイトの利用が一部で減少傾向にあるとはいえ、飲食店を探す手段としてグルメサイトを活用するユーザーは依然として多く、特に比較検討や予約目的では一定の支持を保っています。実際、主要なグルメサイトは今も検索上位に表示されており、予約機能やレビューを重視する層にとっては有力なサイトとなっています。
一方で、グルメサイトに掲載しているだけでは以前ほど安定的な集客が見込めなくなることも考えられます。店舗側ではグルメサイトのプラン内容を見直したり、他の集客チャネルと併用することも必要でしょう。
特に、Google検索やGoogleマップは、飲食店探しにおけるスタート地点として定着しつつあります。ユーザーは検索から地図、店舗情報、口コミ、予約までを一連の流れで完結させることが多く、Googleでの表示内容や見せ方が来店につながる重要な要素になっています。
また、InstagramやTikTokといったSNSは、料理や空間の魅力を視覚的に伝える手段として有効で、特に若年層への認知拡大に効果を発揮しています。
ただし、来店を促すには、詳細な営業時間・価格・予約導線など、SNSだけでは補いきれない要素も多いため、ほかの情報チャネルと組み合わせて運用することが現実的です。
このような背景から、グルメサイトを引き続き活用しながらも、GoogleやSNSなど複数の手段を店舗の状況に応じて組み合わせ、集客の経路を最適化していくことが、今後の飲食店運営においてより現実的なアプローチとなっていくでしょう。
グルメサイト離れへの集客戦略
グルメサイト離れが進む中で、飲食店はGoogleマップやSNSなど、多様な集客手段を使いこなす必要があります。
GoogleマップとGoogleビジネスプロフィールの活用
Googleビジネスプロフィールは、店舗情報を無料で掲載でき、口コミ対応やユーザー行動の分析も可能な便利なツールです。
詳細なビジネスプロフィールを掲載すると、ユーザーがアクセスする見込みが70%高まり、購入を検討する見込みが50%高まるとGoogle社が発表しています。
口コミには良い悪い問わずすべて返信し、信頼関係を構築します。POPや声かけ、メール依頼で口コミを促進しましょう。店舗内外、料理、スタッフの写真・動画を定期的に更新し、新メニューやイベントも投稿機能で発信。インサイト機能でユーザー行動を分析し、集客戦略に活かします。
Googleマップは、「今すぐ行きたい」というユーザーの検索意図に直結しやすい媒体です。
Googleビジネスプロフィールを最適化することは、地域での上位表示や集客に効果的で、コストをかけずに成果が出やすい施策の一つです。
LINE公式アカウントとメルマガでリピーターを増やす
LINE公式アカウントは、顧客との直接的なコミュニケーションツールとして、リピーター育成に有効です。クーポン配信、ショップカード(ポイント付与)、メッセージ配信などで再来店を促します。
メルマガは、プッシュ型のアプローチで顧客と継続的にコミュニケーションを取り、信頼関係を築き、ファン化につなげます。
活用方法として、新メニュー、季節限定メニュー、クーポン、割引情報、誕生日・記念日キャンペーンなどをセグメント配信します。
飲食店は新規の顧客獲得と同時に、LINE公式アカウントやメルマガを活用して既存顧客を「ファン」に変える戦略が不可欠です。継続的なコミュニケーションが、顧客の来店頻度を高め、安定した売上につながります。
InstagramやTikTokで体験価値を伝える
Instagramは料理や店内の雰囲気を伝えるのに適したSNSです。ストーリーズや投稿で日々の様子を発信し、ハッシュタグ活用で認知を広げます。
TikTokは短尺動画で料理や店内の雰囲気を分かりやすく伝え、ユーザーに「店内にいるかのような体験」を提供します。レコメンド機能により拡散しやすいのが特長です。
位置情報付きでGoogleマップなどに誘導できるため、集客導線の一部としても活用可能です。
自社サイトと予約フォームの導入
店舗への関心を持ったユーザーがまず訪れる場所として、公式サイトも多く、店舗のこだわりやストーリーを伝える場として必要です。
予約も「ネットで済ませたい」というユーザーが多数を占めており、自社予約の導線を持つことで機会損失を防げます。
自社サイトでは、店舗のこだわりやスタッフ紹介などを自由に発信でき、外部媒体では伝えきれない情報も伝えられます。予約システムの導入により、予約件数の増加や業務効率の向上を実現した事例も増えており、顧客データの管理にもつながります。
グルメサイトに加えて、自社サイトでも信頼性の高い情報とスムーズな予約環境を提供することで、店舗の魅力と利便性の両方を高められます。
飲食店が集客施策を進める際の注意点
集客施策は、デジタルとアナログのバランス、ターゲット設定、そして継続的な関係構築を意識して進めましょう。
デジタルとアナログのバランス
集客はデジタル(SNS、ウェブ広告)とアナログ(新聞折り込み、チラシ)のどちらか一方に偏りすぎないことが大切です。両方を組み合わせることで、より多くの人に情報を届け、記憶に残りやすくなります。
グルメサイト離れはデジタルシフトを促しますが、だからといってアナログ集客を完全に捨てるのは得策ではないでしょう。特に地域に根ざした飲食店は、チラシや地域イベント参加と、GoogleマップやSNSといったデジタル施策を組み合わせることで、より安定した集客が期待できます。
ターゲットを絞る重要性
ターゲットを広げすぎると、販促費が無駄になる恐れがあります。例えば地域密着型の店舗が遠方までアピールする必要はありません。広告の配信エリアを店舗周辺に絞るなど、効率的な運用が求められます。
コンセプト、価格帯、メニュー内容を明確にし、競合や既存顧客の分析を通じてターゲットを設定することが効果的です。顧客ニーズが多様化するなかで、すべてに応えようとすると、かえって店舗の魅力がぼやける場合もあります。
「誰に何を伝えるか」を明確にすることで、伝える内容も集客手段の効果も高まり、費用対効果を最大化できます。
一時的な集客で終わらせない工夫
割引キャンペーンは新規客のきっかけとして有効ですが、割引時のみの来店で終わることもあります。SNSフォローやLINE登録を条件にするなど、再来店を促す仕組みづくりが重要です。新規獲得のコストは高くなりがちであり、リピーターの存在が安定した売上や口コミに貢献します。LINE公式アカウント、メルマガ、ショップカードの活用で継続的な接点を持ち、特別な体験を提供することで、長期的な顧客ロイヤルティの構築につながります。
SNS運用におけるリスク管理
SNSは高い拡散力を持ちますが、炎上リスクも伴います。不適切な投稿や対応が大きな影響を与える可能性があるため、「早期発見・事実確認・迅速対応」が基本です。SNSのモニタリングを行い、ネガティブな反応を見逃さず、事実確認のうえで誠実な対応が求められます。ガイドラインの徹底、モニタリング体制の構築、緊急時の対応準備などを行い、安全で信頼されるSNS活用を心がけましょう。
グルメサイトに加えてネット戦略を強化する
グルメサイト離れが進んでいるとはいえ、グルメサイトの有効性がなくなったわけではありません。比較検討や予約の導線としては今なお活用されており、集客チャネルのひとつとして十分に機能しています。
一方で、GoogleマップやSNS、自社サイトといった手段をあわせて活用し、情報の見せ方や予約への導線を最適化する動きも広がっています。ユーザーの検索行動が多様化するなかで、飲食店は各媒体の特性を理解し、目的やターゲットに応じて柔軟に組み合わせていくことが、安定した集客につながる現実的な戦略といえるでしょう。
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