• 更新日 : 2026年1月20日

時短勤務で給与はいくら減る?計算方法や2025年の新制度について解説

時短勤務(短時間勤務制度)は、育児や介護と仕事の両立を助ける大切な制度です。しかし、利用を検討する際や、企業として制度を設計・運用する際、給与に関する疑問は避けて通れません。

結論から言うと、時短勤務では働かない分の給与は減ります。ただし、社会保険料の特例や2025年4月に施行される育児時短就業給付金など、手取りの減少を緩和する仕組みも存在します。この記事では、時短勤務による給与減額の法的原則、正確な給与・賞与の計算方法、手取り額のシミュレーション、そして最新の法改正までを、実務に役立つ情報としてわかりやすく解説します。

時短勤務とは?

時短勤務とは、育児や介護を行う労働者が、これまでのフルタイム(所定労働時間)よりも短い時間で働けるようにする制度です。

法律に基づき、主に「育児短時間勤務制度」と「介護短時間勤務制度」の2種類があり、企業には導入が義務づけられています。子の養育や家族の介護と仕事を両立させるための公的な仕組みです。

関連資料|労働時間管理の基本ルール
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時短勤務の対象者と利用条件

時短勤務制度を利用できる対象者と条件は、育児と介護で異なります。

育児のための短時間勤務は、原則として子が3歳になるまでの労働者が対象です。また、企業によっては、労使協定により「勤続1年未満」や「週の所定労働日数が2日以下」の労働者など、一部を対象外とすることができます。

一方、介護のための短時間勤務は、対象家族1人につき3年以上の期間内で2回まで利用ができます。

関連資料|育児短時間勤務申出書(ワード)
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ノーワーク・ノーペイの原則と不利益取扱いの禁止

時短勤務で給料が減る基本的な理由は、労働法の根幹にある「ノーワーク・ノーペイの原則」にもとづくためです。

  • ノーワーク・ノーペイの原則
    労働者が労働しなかった時間に対して、使用者は賃金を支払う義務がないという原則です。時短勤務により所定労働時間が短くなることで、その短縮した時間分の給与が支払われなくなるのは、この原則のとおりです。
  • 不利益取扱いの禁止
    育児や介護のための時短勤務の取得を理由として、給与以外の面で不利益な扱いをすることは法律(育児・介護休業法)で禁止されています。たとえば、時短勤務を理由として不当に低い評価をつけたり、昇進・昇格の機会を奪ったりすることはできません。給与の減額はノーワーク・ノーペイの原則に基づくため不利益扱いにはあたりませんが、給与減額のルールを就業規則に明確に記載し、他の従業員との間に不均衡が生じないようにすることが大切です。

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2025年4月の法改正で何が変わる?育児時短就業給付金の概要

2025年4月からは、育児・介護休業法の改正により「育児時短就業給付金」が創設されています。

子が2歳未満の期間に、一定の要件を満たす労働者が時短勤務を利用し、給与が減少した場合に適用され、時短勤務に対して支払われた賃金額の10%がハローワークから給付されます。

この給付金により、子の育児期間中に時短勤務で働きながらも、実質的な手取りの減少を緩和できるようになります。

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時短勤務で給与が減るケース

多くの企業で採用されている時間管理制(固定時間制やフレックスタイム制)で時短勤務をする場合、給与は短縮された労働時間に比例して減ります。

たとえば、所定労働時間8時間の正社員が6時間に短縮する場合、労働時間は75%に減るため、基本給も原則として75%程度に減額されます(月給を所定労働時間で割って時間単価を出し、短縮分を差し引く計算が一般的です)。

時給制で働く場合

パートタイムやアルバイトなど時給制で働く労働者の場合、時短勤務による給与計算はシンプルです。

計算例:

時給 × 実際に働いた時間数

月々の労働時間に応じて給与が変動するため、所定労働時間が短くなった分、支払われる賃金もそれに比例して少なくなります。正社員と同様に、不利益な扱いにならないよう、時給の算定や昇給の機会は平等に扱う必要があります。

労働時間の割合に応じた「給料の減額率」の考え方

給料がどれくらい減るかを知るには、「所定労働時間の短縮割合」を理解することがわかりやすいです。

短縮前の労働時間短縮後の労働時間労働時間の割合(減額率)基本給の目安(8時間労働が基準)
8時間7時間87.5%(12.5%減)基本給の約87.5%
8時間6時間75.0%(25.0%減)基本給の約75.0%
7時間6時間85.7%(14.3%減)基本給の約85.7%

この割合は、あくまで「所定労働時間に対する基本給の減額」の目安であり、手当や賞与、社会保険料の変動は考慮されていません。

雇用形態別に見た注意点

  • 正社員
    基本給や各種手当が日割りや時給換算され、短縮時間分がカットされます。
  • パート・アルバイト(時給制)
    働いた時間に応じた給与が支払われます。
  • 契約社員
    契約で定められた労働時間に基づいて給与が計算されます。短縮する場合は、契約内容の変更や更新時の給与見直しが必要です。
  • 派遣社員
    派遣先企業の時短制度が適用される場合もありますが、多くは派遣元企業と相談し、契約時間の変更を行います。社会保険の加入条件(週の労働時間など)に影響がないか注意しましょう。

関連資料|非正規社員の給与を見直すときの 同一労働同一賃金 対応マニュアル
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時短勤務で給与が減らないケース

働き方によっては、時短勤務でも給与が変動しにくいケースがあります。

裁量労働制で働く場合

裁量労働制は、実際に働いた時間ではなく、あらかじめ定めた「みなし労働時間」に基づいて給与が支払われる制度です。

みなし労働時間を変更しなければ、時短勤務(例:実際の勤務時間を短縮)をしても、基本給は原則として変わりません。ただし、所定労働時間を下回るみなし労働時間を設定する場合、制度として問題がないか、就業規則や労使協定の確認が必要です。

成果主義・歩合制で働く場合

成果主義や歩合制を導入している職種では、給与が労働時間ではなく、達成した成果や売上に直接結びついています。

この場合、労働時間が短くなっても、以前と同等またはそれ以上の成果を維持できれば、給与も維持される可能性が高くなります。ただし、成果が落ちれば給与も減るため、フルタイム時よりも効率的な働き方が求められます。

給料が変わりにくい職種・職務の特徴

以下のような職種・職務では、時短勤務でも給与が下がる幅が小さくなる傾向があります。

  • 専門職・高度な知識や技術職
    そのスキルや知識に対して報酬が支払われる部分が大きく、労働時間の長さによる影響が比較的小さいことがあります。
  • 管理職
    管理職であって管理監督者の立場にある場合は、労働時間に関する規定が適用されません。そのため、時短勤務であっても求められる職務を全うできる限り、給与を減額することは適切ではありません。

時短勤務の給与・賞与・手取りの計算方法

ここでは、実務で役立つ具体的な給与・賞与の計算方法と、手取り額のイメージを解説します。

1か月の基本給から計算する方法(所定労働時間ベース)

最も一般的な時短勤務の給与計算は、短縮された時間分を基本給から差し引く方法です。

  1. 時間単価の算出:月々の基本給÷1か月の平均所定労働時間 = 時間単価
  2. 削減額の算出:時間単価 × 削減した労働時間 = 削減額
  3. 時短勤務の基本給:元の基本給 -削減額

計算例:

【基本給が300,000円、8時間→6時間勤務、1か月の平均所定労働時間が160時間の場合】

  1. 時間単価:300,000円 ÷160時間 = 1,875円<
  2. 削減する労働時間(2時間/日):2時間 ×20日 = 40時間
    削減額:1,875円 ×40時間 = 75,000円
  3. 時短勤務の基本給:300,000円 – 75,000円 = 225,000円

残業・深夜労働・休日労働がある場合は?

時短勤務中は、原則として会社は残業を命じられません。

やむを得ず残業が発生した場合や、深夜・休日に労働が発生した場合は、通常の労働者と同様に割増賃金を支払う必要があります。割増賃金の計算に用いる時間単価は、時短勤務によって減額された後の基本給に基づいて計算します。

関連資料|時短勤務中の残業チェックリスト
関連記事|時短勤務中の残業は違法?どこから残業になるのか、残業代の計算方法も紹介

時短勤務時の賞与の計算方法

賞与(ボーナス)の計算方法については、法律上の明確な規定はありませんが、不利益取扱いの禁止原則をふまえる必要があります。時短勤務を理由に賞与算定の評価を低くすることは認められません。賞与の算定方法は就業規則や賃金規程に明確に記載し、透明性を確保しましょう。

実務上は、在籍期間と労働時間(勤務日数)の割合に応じて、賞与の支給額を按分計算することが一般的です。

計算例:フルタイム時の基本給に基づく賞与額×時短勤務中の労働時間の割合(例:75%)

社会保険料・税金をふまえた「手取り金額」

給与明細で実際に手元に残る手取り金額は、基本給の減額率よりもさらに大きく減少する可能性があります。これは、給与が減っても、社会保険料や税金の計算ロジックがあるためです。

  • 社会保険料
    原則として、毎年4月〜6月の給与を基に決定される「標準報酬月額」で決まるため、時短勤務開始直後は給与が減っても社会保険料は減りません。
  • 税金
    所得税は減額後の給与に合わせて変動しますが、住民税は翌年6月までは変わりません。加えて、社会保険料の負担が変わらなければ、手取りの減少幅が大きくなります。ただし、育児休業明けの時短勤務の場合は、後述の社会保険料の特例を活用することで、この手取り減少を緩和できます。

関連記事|社会保険の扶養とは?年収の壁についても解説

給与以外で時短勤務が与える影響

時短勤務を検討する際、給与のほかに社会保険料や将来の年金、そして新しい給付金制度への影響を把握することが大切です。

育児休業による社会保険料の減額措置

育児休業から復帰し、時短勤務で給与が大幅に下がった場合、社会保険料(健康保険・厚生年金保険)の減額措置(標準報酬月額の特例)を受けることができます。この特例により、社会保険料の軽減ができます。また将来の年金額が減ることを防ぎます。

この特例措置を受けるためには、会社を通して年金事務所に届出を行う必要があります。

  • 提出書類
    「育児休業等終了時報酬月額変更届」および「養育期間の従前標準報酬月額算定申出書」
  • 手続き時期
    育児休業が終了した日の翌日が属する月以降3か月間の平均給与が、従前の標準報酬月額より1等級以上下がった場合に行います。

上記の特例措置を活用すれば、育児時短勤務で給与が下がり、それに伴い社会保険料が下がっても、将来受け取る厚生年金の額は原則として減りません。これは、年金額の算定時に「養育期間の従前標準報酬月額算定特例」が適用されるためです。

関連記事|育休中は社会保険料が免除に?手続きの流れや計算方法を解説
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介護による時短勤務に減額措置はない

介護短時間勤務の場合、育児時短勤務のような社会保険料の減額措置(特例)は存在しません。

そのため、給与が下がったとしても、原則として社会保険料の改定は次回の定時決定(4月〜6月の給与に基づく9月以降の改定)まで待つことになります。このため、介護時短勤務開始直後は、手取りの減少幅がより大きくなる点に注意が必要です。

企業で時短勤務制度を実施する場合の注意点

人事労務の担当者は、時短勤務の給与を巡るトラブルを防ぐため、就業規則の整備と従業員への丁寧な説明が欠かせません。

時短勤務の給料減額は就業規則に明記する

時短勤務によって給与が減額されることは、労働条件の変更にあたります。そのため、給与の計算方法や減額に関する事項は、必ず就業規則または賃金規程に明確に記載しておく必要があり、明記がないまま減額を行うと、違法な賃金カットと見なされる恐れがあります。

就業規則には、以下の点を具体的に記載しましょう。

  • 給与の計算方法
    短縮された労働時間に応じて、基本給をどのように計算し、減額するかを定めます。
  • 対象となる手当
    通勤手当など、時短勤務に関わらず全額支給する手当と、減額の対象となる手当を区別して明記します。
  • 賞与の算定
    賞与の査定・算定において、労働時間の短縮をどのように考慮するかを明記します。

就業規則の文例(賃金規程)

育児・介護短時間勤務制度を利用する社員の賃金は、所定労働時間の短縮に応じて、所定労働時間に基づき算定した時間単価に乗じた額を基本給から減額する。

他の従業員が不公平感を抱かないようにする

時短勤務を利用していない他の従業員が「自分たちばかり業務負担が増えている」と感じ、不公平感を抱くことは、職場環境の悪化につながりかねません。

会社は、時短勤務の従業員への配慮だけでなく、他の従業員に対しても制度の必要性、業務分担の再構築、不利益取扱いの禁止原則などを丁寧に説明する説明責任があります。必要に応じて、業務負担が増えた従業員に対して、評価や報酬で適切に報いる仕組みも検討すると良いでしょう。

休憩時間の扱いに気を付ける

時短勤務においても、労働基準法に基づき休憩時間を与える必要があります。

労働時間と休憩時間
  • 労働時間が6時間を超える:最低45分の休憩
  • 労働時間が8時間を超える:最低1時間の休憩

時短勤務で労働時間が6時間以下の場合は、休憩時間の付与は不要となります。休憩時間を含めた正確な勤怠管理と給与計算のために、勤怠管理システムを活用して、出退勤の時間や短縮時間を正確に記録・管理しましょう。

関連資料|労働時間別休憩義務かんたん早見表

給与計算ソフトを使い時短勤務の計算ミスを防止する

時短勤務者が増えると、短縮時間、時間単価、社会保険料の特例適用など、給与計算が複雑になり、計算ミスが生じやすくなります。

給与計算ソフトを活用すれば、短縮された労働時間に応じた基本給の自動計算、残業代・割増賃金の正確な算出、そして社会保険料の特例の適用などを自動化でき、ミスを防ぎ、実務の負荷を大きく減らすことができます。

関連資料|勤怠控除 かんたん計算マニュアル
関連資料|転記ミスをゼロに近づける 給与・勤怠の手作業チェックリスト

時短勤務の給与計算を正しく理解し、制度設計を進めよう

時短勤務による給与の変動は、従業員の生活設計に直結する重要な問題です。給料が減るのは、働かない時間に対する賃金を支払う必要がないという「ノーワーク・ノーペイの原則」に基づくためです。

時短勤務による給与計算を正確に行い、賞与や手取りへの影響、社会保険料の特例、そして2025年4月の育児時短就業給付金といった周辺情報まで含めて従業員に丁寧に説明することで、会社への信頼感が向上し、優秀な人材の定着につながります。給与計算ソフトや勤怠管理システムを活用し、正確で透明性のある制度運用を進めましょう。


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