- 更新日 : 2026年4月28日
産後パパ育休(出生時育児休業)とは?育児休業との違いや申請方法を解説
2022年に育児・介護休業法が改正され、「産後パパ育休(出生時育児休業)」制度が創設されました。この制度は、男性が育児休業を取得しやすくすることで、共働き世帯を支え、男性の育児参加を促進することを目的としています。
本記事では、産後パパ育休の対象者、従来の育児休業との違いなどの基本から、出生時育児休業給付金申請方法や給付金の計算方法、社会保険料の免除、さらには2025年4月・10月の法改正の最新情報まで詳しく解説します。
人事労務担当者の方に役立つ、企業の義務や助成金(子育てパパ支援助成金など)の情報、具体的なケーススタディも盛り込んでいますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
産後パパ育休(出生時育児休業)とは?
産後パパ育休(出生時育児休業)とは、子の出生後8週間以内に、通算して4週間(28日)の休業を2回に分割して取得できる制度です。2022年10月1日に施行されたこの制度は、主に出産直後の特に大変な時期に、男性が柔軟に育児に参加できるよう設計されています。
- 対象期間:子の出生後8週間以内
- 取得可能日数:通算して4週間(28日)
- 分割取得:2回まで分割可能(初回申出時にまとめて2回分の申し出が必要)
- 申出期限:原則、休業を開始する日の2週間前まで(労使協定の締結により2週間超から1ヶ月以内で期限を定めることが可能)。なお、2025年4月の改正により、2回目以降の取得については休業開始の1週間前までに申し出ればよいこととなり、出産予定日のズレ等にも柔軟に対応できるようになりました
- 休業中の就業:労使協定を締結していれば、休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分まで就業可能
従来の育児休業よりも柔軟な取得が可能で、たとえば「出産直後に2週間取得し、一度復職し、その後、妻の体調に合わせて再度2週間取得する」といった働き方ができます。分割して取得する場合は、初回の申し出の際に、まとめて会社へ申請する必要がある点にご注意ください。
産後パパ育休に関する法改正のポイント
2025年4月1日から雇用保険法が改正・施行され、出生後休業支援給付金が創設されました。両親が共に14日以上の育休を取得するなど一定の要件を満たした場合、出生後休業支援給付金(13%)が上乗せされることにより、給付率が実質10割相当になるように引き上げられています。この改正は、子育て世帯への経済的支援を強化し、男女問わず育児と仕事の両立ができる環境を目指すものです。
また、2025年は4月と10月の2段階で育児・介護休業法が改正・施行され、男性の育児参加促進に加えて、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者の柔軟な働き方を実現する措置の義務化など、企業対応が大きく求められる年となりました。
- 2022年10月:産後パパ育休(出生時育児休業)が創設。育児休業の分割取得が可能に。賞与に係る社会保険料免除の要件として「連続1か月超の育休」が必要となる改正も同時施行。
- 2023年4月:従業員1,000人超の企業に男性の育休取得状況の公表が義務化。
- 2025年4月:両親が14日以上の育休を取得した場合の出生後休業支援給付金の創設、育児時短就業給付金の創設、産後パパ育休の2回目以降の申出期限緩和(1週間前)、子の看護等休暇の見直し(小学3年生修了まで拡大)、所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大(小学校就学前まで)、3歳未満の子を養育する労働者向けの短時間勤務代替措置にテレワークが追加、従業員300人超の企業に男性の育休取得状況の公表が義務化、介護離職防止のための個別の周知・意向確認等。
- 2025年10月:3歳から小学校就学前の子を養育する労働者向けの柔軟な働き方を実現するための措置の義務化(5つの選択肢から2つ以上)、3歳未満の子を養育する労働者への個別周知・意向確認、妊娠・出産の申出時等の個別意向聴取・配慮の義務化。改正後全文の「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」が令和7年10月1日施行。
最大28日間、育児休業給付金や出生時育児休業給付金に加えて休業開始前の手取り収入の全額(10割相当)を保障することを目的とした出生後休業支援給付金(給付率13%)が創設された点は特に大きな変更です。これにより、育休取得による収入減少への不安が大幅に軽減され、男性がより積極的に「パパ休暇」を取得できるようになることが期待されています。
参考:2025年4月から「出生後休業支援給付金」を創設しました|厚生労働省
育児・介護休業法 改正ポイントのご案内|厚生労働省
2025年4月施行の主な改正項目(産後パパ育休関連以外)
産後パパ育休の制度自体に加え、2025年4月からは育児・介護休業法の関連項目について以下の改正が施行されています。
- 子の看護等休暇への名称変更・対象拡大:「子の看護休暇」が「子の看護等休暇」に名称変更。対象となる子の範囲が小学校就学前→小学3年生修了までに拡大。取得事由に感染症に伴う学級閉鎖等、入園(入学)式・卒園式が追加。勤続6か月未満の労働者の除外規定が廃止
- 所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大:3歳未満→小学校就学前までに拡大
- 短時間勤務制度の代替措置にテレワーク追加:3歳未満の子を養育する労働者を対象
- 育児のためのテレワーク導入:3歳未満の子を養育する労働者向けの努力義務
- 介護関連の改正:介護休暇を取得できる労働者の要件緩和(勤続6か月未満の除外規定廃止)、介護離職防止のための雇用環境整備、個別の周知・意向確認等の義務化
2025年10月施行の主な改正項目
2025年10月1日からは、企業に対する義務がさらに強化されました。3歳から小学校就学前の子を持つ従業員への対応が大きな焦点です。
- 対象:3歳から小学校就学前の子を養育する労働者
- 事業主の義務:以下の5つの選択肢から2つ以上を選択して措置を講じる必要あり
- 始業時刻等の変更
- テレワーク等(10日以上/月、原則時間単位で取得可)
- 保育施設の設置運営等
- 養育両立支援休暇の付与(10日以上/年、原則時間単位で取得可)
- 短時間勤務制度
- 従業員の選択:会社が定めた措置の中から1つを選んで利用可能
- 導入時の手続き:過半数組合等からの意見聴取の機会を設ける必要あり
- 対象:3歳未満の子を養育する従業員
- 時期:子が3歳になるまでの適切な時期
- 内容:会社が定めた柔軟な働き方の措置について個別周知し、利用意向を確認
- 聴取のタイミング:
- 労働者が本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出たとき
- 子が3歳の誕生日の1ヶ月前までの1年間(1歳11ヶ月に達する日の翌々日〜2歳11ヶ月に達する日の翌日)
- 聴取内容:勤務時間帯、勤務地、両立支援制度等の利用期間、業務量・労働条件の見直し等
- 聴取方法:面談(オンライン含む)または書面の交付(労働者の希望によりFAX・メール・SNS等のメッセージ送信も可)
- 配慮義務:聴取した意向について、自社の状況に応じて配慮する義務(必ず希望を叶える必要はないが、対応困難な場合は理由を説明する努力が必要)
これらの義務は全企業が対象(パートタイム・有期雇用労働者も対象)です。「制度設計→書面化→従業員周知→運用・管理」を社内ルールに落とし込む必要があります。
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産後パパ育休制度の創設で、企業が取り組むべき7つのこと
育児・介護休業法の改正により、新たに「産後パパ育休制度(出生時育児休業)」が創設されました。
この資料では、産後パパ育休制度の概要と創設される背景をふまえて、経営者や人事労務担当者が取り組むべき実務のポイントを解説します。
産後パパ育休と育児休業はどっちが得?
産後パパ育休と従来の育児休業は、併用することで手厚い支援を受けられます。
それぞれの制度は目的や特徴が異なるため、ご自身のライフプランや職場の状況に合わせて最適な組み合わせを選択することが重要です。
二つの制度の主な違いは以下の表の通りです。
| 産後パパ育休(出生時育児休業) | 育児休業 | |
|---|---|---|
| 目的 | 出産直後の母子を支えるための短期・柔軟な休業 | 子が安定して成長するまでを支える中・長期的な休業 |
| 対象期間 | 子の出生後8週間以内 | 原則、子が1歳になるまで(最長2歳まで延長可能) |
| 申出期限 | 原則、休業する2週間前まで(2回目以降は1週間前まで) | 原則、1ヶ月前まで |
| 分割取得 | 2回に分割して取得できる | 原則2回に分割して取得できる |
| 休業中の就業 | 労使協定の締結によって可能 | 原則、就業不可 |
産後パパ育休は「出産直後の短期間、柔軟に休みたい」場合に、育児休業は「ある程度まとまった期間、育児に専念したい」場合に適しています。男性が両方の制度を利用することで、たとえば「産後すぐは産後パパ育休で2週間休み、一度復職。妻の職場復帰のタイミングで、改めて通常の育児休業を取得する」といった柔軟な計画が可能になります。
パパ・ママ育休プラスで休業期間を延長
「パパ・ママ育休プラス」は、両親が共に育児休業を取得する場合に、原則1歳までの休業可能期間を、子が1歳2ヶ月に達するまで延長できる制度です。
産後パパ育休が「産後8週間以内」に特化した制度であるのに対し、パパ・ママ育休プラスは、夫婦が取得タイミングをずらすことで、通常の育休期間そのものを延長できる点に違いがあります。ただし、父親・母親それぞれが取得できる休業日数の上限(父親は1年、母親は産後休業と育休を合わせて1年)は変わりません。
この制度を利用するには、以下の要件を満たす必要があります。
- 子が1歳に達する日以前に、配偶者が育児休業を取得していること
- 本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前であること
- 本人の育児休業開始予定日が、配偶者が取得している育児休業(産後パパ育休を含む)の初日以降であること
産後パパ育休中の給付金はいくら?
産後パパ育休中は、雇用保険から「出生時育児休業給付金」として休業開始前賃金の67%が支給され、さらに社会保険料が免除されるため、実質的な手取り額は8割程度が目安となります。さらに、2025年4月以降は両親共に14日以上の育休取得など一定要件を満たした場合、「出生後休業支援給付金」(13%上乗せ)により、最大28日間は実質手取り10割相当の支給を受けられます。
出生時育児休業給付金の計算方法
給付金の支給額は、以下の計算式で算出されます。
「休業開始時賃金日額」とは、原則として育休開始前6ヶ月間の賃金総額を180で割った額です。
なお、育児休業給付金には、支給額に上限と下限が定められています(毎年8月1日に改定)。2025年8月1日改定後(令和8年7月31日まで適用)の主な上限額は以下のとおりです。
- 休業開始時賃金日額の上限:16,110円/日
- 育児休業給付金の月額上限(67%相当):323,811円
- 産後パパ育休(28日間)の支給上限額(67%相当):302,223円
- 育児休業給付金月額の絶対上限額(賃金日額×30日):483,300円
出生後休業支援給付金(13%上乗せ)については、67%相当部分のみが上限調整の対象となり、13%部分は減額されません。ただし、月収が46万円を超えるような高所得者の場合、上限額の影響により実質手取り10割に届かないケースもあるため注意が必要です。
出生後休業支援給付金の受給要件
「出生後休業支援給付金」は、以下の2つの要件を満たした場合に支給されます。
- 出生時育児休業等の休業日数が通算14日以上あること
- 原則として配偶者も14日以上の休業を取得していること(ひとり親家庭等の場合は配偶者要件は不要)
※ 産後パパ育休中に就業した日は、14日以上のカウントには含まれません。
参考:2025年4月から「出生後休業支援給付金」を創設しました|厚生労働省
社会保険料の免除条件
産後パパ育休期間中は、健康保険・厚生年金保険の社会保険料が本人負担分・会社負担分ともに免除されます。これにより、給付金の支給率以上に手取り額が維持されやすくなります。
免除を受けるための条件は以下の通りです。
- その月の末日が育児休業期間中であること。
- 育休開始日がある月と終了日の翌日が同一の月にある場合、同じ月内で14日以上の育児休業を取得していること(ただし、産後パパ育休中に就業した日は14日以上のカウントに含まれません)。
賞与にかかる社会保険料については、賞与を支給した月の末日を含む連続して1ヶ月を超える育児休業を取得している場合に免除されます(2022年10月改正)。
参考:従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が育児休業等を取得・延長したときの手続き|日本年金機構
【従業員向け】産後パパ育休を取得する手続き・流れ
産後パパ育休の取得を希望する従業員は、原則として休業開始予定日の2週間前までに、会社へ「(出生時)育児休業申出書」を提出する必要があります。2025年4月の改正により、2回目以降の取得については1週間前まででよいこととなりました。円滑に手続きを進めるため、妊娠の報告と同時に、できるだけ早く上司や人事部に相談を開始しましょう。
基本的な手続きの流れ
- 上司・人事部への相談
配偶者の出産予定日がわかった段階で、取得を検討している旨を伝える。 - 申出書の提出
会社の指定する書式で、希望する休業期間などを記載し、休業開始の2週間前まで(2回目以降は1週間前まで)に提出する。 - 会社からの説明
会社から制度の詳細や給付金、社会保険料に関する説明を受ける。 - 業務の引き継ぎ
休業期間中の業務に支障が出ないよう、後任者や同僚へ丁寧に引き継ぎを行う。 - 休業開始
分割して取得する場合は、初回の申し出の際に、まとめて2回分の期間を申請する必要があります。初回申請時にまとめて申し出なかった場合の都度申請については、会社側が2回目の申請を拒否できる規定となっているため、注意が必要です。また、休業期間中に就業を希望する場合は、その条件についても申し出る必要があります。ただし、就業できる日数や時間には上限(休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分まで、かつ就業日数が最大10日/10日を超える場合は就業時間が80時間以下)が定められています。
育児休業申出書の無料テンプレート
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【人事労務担当者向け】産後パパ育休の実務対応
企業は、従業員が産後パパ育休を円滑に取得できるよう、就業規則の改定、個別の周知・意向確認、相談窓口の設置といった環境整備を行う法的義務があります。これは企業の魅力向上や人材定着にも繋がる重要な取り組みです。
1. 就業規則の改定
まず重要なのが、産後パパ育休制度に対応した就業規則の改定です。育児・介護休業規程などに、以下の内容を明記する必要があります。
- 育児休業を取得できる対象者の範囲や要件
- 育児休業の期間
- 育児休業の申し出や延長・撤回の手続きなどの方法
- 育児休業中の就業について
- 育児休業期間中の賃金の支払いの有無
- 育児休業期間中に通常とは異なる賃金が支払われる場合には、その決定、計算および支払い方法など
- 2025年10月施行の柔軟な働き方の措置(5つの選択肢から2つ以上)に関する規定
2. 従業員への個別周知と取得意向の確認
従業員が本人またはその配偶者の妊娠・出産について申し出た場合、育児休業(産後パパ育休を含む)の制度を従業員に説明し、取得意向の確認をすることが大切です。意向確認は、以下の4つの全てを行う必要があります。
- 育児休業や産後パパ育休の制度に関すること
- 育児休業や産後パパ育休の申し出先
- 育児休業給付や出生後休業支援給付に関すること
- 育児休業や産後パパ育休の休業期間中の従業員が負担すべき社会保険料の取り扱い
さらに、2025年10月施行の改正により、3歳未満の子を養育する従業員に対しては、子が3歳になるまでの適切な時期に、自社で定めた柔軟な働き方の措置の周知と利用意向の確認を個別に行う必要があります。
3. 妊娠・出産時等の個別意向聴取・配慮(2025年10月〜)
2025年10月から、事業主は以下の2つのタイミングで、労働者の意向を個別に聴取し、自社の状況に応じて配慮する義務を負います。
- 労働者が本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た時
- 子が3歳の誕生日の1ヶ月前までの1年間
聴取する内容は、勤務時間帯、勤務地、両立支援制度等の利用期間、業務量・労働条件の見直し等です。聴取方法は面談(オンライン含む)または書面の交付が原則で、労働者の希望があればFAXやメール・SNSメッセージ等の送信も可能です。
聴取した意向を必ず叶える必要はありませんが、対応困難な場合は理由を説明し、理解を得る努力が求められます。
4. 育休を取得しやすい環境整備
企業には、研修の実施や相談窓口の設置など、従業員が育児休業を申し出やすく、取得しやすい環境を整備する義務があります。具体的には、以下のうちのいずれかの措置を講じる必要があります。
- 育児休業や産後パパ育休に関する研修を実施する
- 育児休業や産後パパ育休に関する相談体制を整備する
- 実際に自社で育児休業や産後パパ育休を取得した従業員の事例収集や提供行う
- 従業員に育児休業や産後パパ育休の制度に関することや育児休業取得促進に関する方針を周知する
相談体制整備の方法としては、社内に相談窓口や相談対応者を設置するなどがあり、窓口は形式的なものではなく実質的な対応が可能である必要があります。自社の育休事例については、従業員が閲覧できるよう書類配布やイントラネットへ掲載が必要です。また、自社の方針を周知するためにポスターなどを社内に掲示したり、イントラネットへ掲載したりするのも有効でしょう。
5. 育休取得状況の公表(従業員300人超の企業)
従業員が300人を超える企業は、2025年4月から男性労働者の育児休業取得率等の公表が義務付けられました。具体的には以下の2つのうちのいずれかを公表する必要があります。
- 育児休業等の取得割合
- 育児休業等と育児目的休暇の取得割合
これらの割合を求めるためには以下の①〜③の人数を把握する必要があります。
① 配偶者が出産した男性従業員数
② 育児休業等をした男性従業員数
③ 小学校就学前の子の育児のための休暇を取得した男性従業員数
育児休業等の取得割合は「② ÷ ①」で求め、育児休業等と育児目的休暇の取得割合は「(②+③)÷ ①」で求めます。育休取得状況は、年1回、公表前事業年度終了後おおむね3か月以内に、インターネットなど一般の方が閲覧できる方法で公表する必要があります。
6. 柔軟な働き方を実現するための措置(2025年10月〜)
3歳から小学校就学前の子を養育する労働者を対象に、柔軟な働き方を実現するための措置を講じることが義務化されています。事業主は以下の5つの選択肢から2つ以上を選択して講じる必要があります。
- 始業時刻等の変更
- テレワーク等(10日以上/月)
- 保育施設の設置運営等
- 養育両立支援休暇の付与(10日以上/年)
- 短時間勤務制度
(2)と(4)は、原則時間単位で取得可とする必要があります。導入にあたっては、過半数組合などからの意見聴取の機会を設ける必要があります。労働者は、会社が定めた措置の中から1つを選んで利用可能です。
男性の育休を推進する企業が活用できる両立支援等助成金
男性従業員の育休取得を推進する企業は、国からの助成金を受けられる場合があります。これにより、代替要員の確保などにかかるコスト負担を軽減できます。
両立支援等助成金(出生時両立支援コース)は、男性労働者が子の出生後8週間以内に開始する育児休業を取得した場合や、育児目的休暇制度を導入し利用があった場合に、中小企業事業主に支給される助成金です。「子育てパパ支援助成金」とも呼ばれ、企業の取り組みを金銭面でサポートします。
産後パパ育休に関してよくある質問
最後に、産後パパ育休に関して特に多く寄せられる質問にお答えします。
有期契約社員(契約社員)も取得できますか?
はい、取得できます。 ただし、「8週間を経過する日(子の出生日または出産予定日の遅い方から起算)の翌日から6ヶ月が経過する日までに、労働契約が満了することが明らかでないこと」という条件があります。
申請後に休業期間を変更することはできますか?
原則として変更はできません。 ただし、産休の開始が早まるなど、やむを得ない事情がある場合は1回に限り変更が認められることがあります。詳細は会社の担当部署にご確認ください。
産後パパ育休と、通常の育児休業を同時に取得できますか?
いいえ、同時に取得することはできません。 産後パパ育休は子の出生後8週間以内の制度で、通常の育児休業とは別の制度です。両方の期間をずらして取得(併用)することは可能です。
会社が産後パパ育休の取得を拒否することはできますか?
いいえ、できません。 従業員からの適法な申し出を事業主が拒否することは、育児・介護休業法で禁止されています。また、取得を理由とした解雇や降格などの不利益な取り扱い(いわゆるパタハラ)も禁じられています。
男性の育休を促し、ワークライフバランスを実現しよう
育児・介護休業法の改正によって創設された産後パパ育休は、男性の育児参加を促進し、共働き世帯を支えるための重要な制度です。特に2025年4月および10月には、出生後休業支援給付金の創設、申出期限の緩和、子の看護等休暇の拡充、所定外労働の制限の対象拡大、柔軟な働き方を実現するための措置の義務化、個別意向聴取・配慮の義務化など、企業対応が大きく求められる改正が施行されています。
企業にとっては、就業規則の改定や環境整備、個別意向聴取・配慮、助成金の活用など、取り組むべきことは多岐にわたります。しかし、従業員一人ひとりが育児と仕事のワークライフバランスを実現できる企業風土を醸成することは、従業員のエンゲージメントを高め、企業の持続的な成長に不可欠な投資と言えます。
この記事が、産後パパ育休の取得を検討している方、そしてそれを支える企業担当者の方双方にとって、理解を深める一助となれば幸いです。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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