- 更新日 : 2025年8月25日
健康保険未加入のリスク
会社に勤めている間は、自分では何もしなくても、会社の社会保険に自動的に加入することになります。しかし、会社を退職したら自分で国民健康保険等の加入手続きを行わなくてはなりません。
転職先が決まっていれば、数週間は国民健康保険に加入しなくてもいいと思っている方もいるかもしれませんが、転職までの期間が例え1日だったとしても、また、その間に病院にかからなかったとしても、国民健康保険に加入して保険料を納めなくてはいけません。国民健康保険は任意ではないのです。加入しなければ法令違反になります。
今回は、健康保険未加入のリスクについて考えたいと思います。
病気になったときは全額負担
会社を退職すると14日以内に市町村や国民健康保険組合へ国民健康保険加入の手続きを行いますが、これを怠り、未加入のままだとどのようなリスクがあるのでしょうか。
離職して無職だったとします。国民健康保険に未加入のまま、病気やケガで病院にかかった場合、当然保険証はないので自由診療となり、全額負担しなければいけません。
また、保険診療の場合、病気ごとに診療の内容や処方できる薬などが決まっているので、どの病院へ行っても金額に大きな差がないと思っていいでしょう。しかし、公的な医療保険が適用されない自由診療は治療の内容や費用に制限がないため、医療費が高額になってしまいます。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
算定基礎届の手続き完全ガイド
算定基礎届(定時決定)の手続きは、社会保険に加入する全従業員が対象になるため作業量が多く、個別の計算や確認事項の多い業務です。
手続きの概要や間違えやすいポイントに加え、21の具体例を用いて記入方法を解説します。
社会保険・労働保険の実務完全ガイド
これ1冊でしっかり網羅!社会保険および労働保険は、従業員の生活上・労働上のリスクに備えるための公的保険制度です。
本資料では社会保険・労働保険で発生する各種手続き方法を、入社・退職時や妊娠・出産時などのシーン別にまとめました。
健康保険・厚生年金保険 実務ハンドブック
健康保険・厚生年金保険の基本ルールをはじめ、手続きの仕方やよくあるミスへの対処方法について解説した実用的なガイドです。
年間業務スケジュール一覧も掲載しているので、ぜひご活用ください。
社会保険の手続きでよくあるミス 対処方法と防止策10選
社会保険の手続きは、ひとたびミスが生じると適切な対処方法がわからず対応に苦慮するケースが多いものです。
本資料では社会保険手続きでよくあるミスをシーン別に取り上げ、対処方法をステップにわけて解説しています。
離職した翌日から保険料が発生
離職後、しばらくして国民健康保険加入の手続きに行ったとします。この場合、手続きに訪れた日からの保険料が発生するのではなく、会社を辞めた翌日に遡って保険料を徴求されます。つまり、未加入の期間を滞納期間とみなされ、支払い請求されてしまうのです。
ただし、遡れる期間には限度が決められており、国民健康保険料の場合は2年、国民健康保険税の場合は3年となっています。これは根拠となる法律が異なっているためで、国民健康保険料は「国民健康保険法」、国民健康保険税は「地方税法」によって定められているためです。
また、時効(市町村が徴求する権利の消滅)については、国民健康保険料の場合は2年、国民権法保険税の場合は5年と、それぞれ異なっています。
しかしながら、保険料の督促状などが届くと時効が中断されることもあり、2年もしくは5年を過ぎても必ずしも時効消滅とはなりません。
健康保険は日本国民の義務
では、病院に行かなければ加入しないでもいいのでしょうか。そういうわけではありません。日本は国民皆保険制度を採用しており、これは、国民全員が公的医療保険制度の下にいることを表しています。
健康保険の加入は法律で定められた義務ですから、加入するべき者が加入しなければ、義務を怠った場合の罰則があります。それぞれの市町村において条例で定めている場合には、10万円以下の過料が課される場合もあります。
それだけではありません。もしも偽りやその他不正な行為により保険料を免れていたなら、免除されていた金額の5倍を過料として科することも場合によっては認められます。
未加入者や滞納者の問題は年々深刻化しており、徐々に厳しくなっています。場合によっては保険料よりも高くなる諸々の罰則があり得るのです。
事業者が未加入の場合
個人が健康保険に加入する必要があるように、企業も社会保険などに加入する義務があり、これを怠るとしかるべき罰則があります。法人または常時5人以上を使用する個人事業所(一定業種を除く)は、事業主の意思に関係なく、健康保険に加入しなければなりません。
また、近年においては罰則が強化されています。
企業が健康保険に未加入だった場合には、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。ただし、以下の者は健康保険の適用外です。
- 臨時の雇用者(2カ月以内の期間で雇用された者、日々雇い入れられる者)
- 季節的業務に4カ月以内の期間を定めて雇用される者
- 臨時的事業のため6カ月以内の期間を定めて雇用される者
国民健康保険未加入のリスクは大きい
経済的な理由から国民健康保険への不加入者が増えているようです。病気にならない、なっても病院に行かないと自分が思うだけではすまない行為です。
健康保険への加入は保険料を納めるのに見合うメリットがあります。病気になってほんとうに経済的に医療費が払えないと心配するような場合でも、さまざまな制度で生活を守るように仕組みが組まれているのです。
国民の義務でもあると同時に、自分の生活を守る制度として健康保険の仕組みを知り、未加入のリスクをおかさないように注意しましょう。
よくある質問
国民健康保険に加入せず、病気になったらどうなりますか?
治療は自由診療となり、本人が治療費を全額負担しなければいけません。詳しくはこちらをご覧ください。
離職してからしばらくして、国民健康保険に加入した場合はどうなりますか?
手続きをした日からの保険料が発生するのではなく、会社を辞めた翌日からさかのぼって保険料を徴求されます。 詳しくはこちらをご覧ください。
会社が健康保険に未加入の場合はどうなりますか?
企業が健康保険に未加入だった場合は、一定の場合を除き、6 カ月以下の懲役または50 万円以下の罰金に処せられます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
労働保険の年度更新とは?時期や電子申請・申告書の作成方法、効率化を解説
労災保険や雇用保険の年度更新は、電子申請の導入により、効率的な申告が可能となっています。これにより、平日の日中に労働局や労働基準監督署に出向く必要がなく、休日や夜間でも自宅から申告できるようになりました。 本記事では、労働保険の年度更新につ…
詳しくみるスメルハラスメント(スメハラ)は労災認定される?具体的な基準や手続き、事例なども解説
職場におけるスメルハラスメント(スメハラ)は近年増加しており、深刻な社会問題になっています。自分自身が被害を受けた際にどのように対処すればよいのか、特に精神的な病気を発症した場合に労災申請が可能なのか、詳しく知りたい方も多いのではないでしょ…
詳しくみる雇用調整助成金とは?令和4年12月以降の特例措置(コロナ特例)についても解説
雇用調整助成金とは、事業主が労働者に支払う休業手当等の一部を助成する制度です。新型コロナウイルス感染症の流行に伴う特例措置として、助成率と上限額が引き上げられています。期間は令和4年11月30日まででしたが、12月以降も延長され一定の経過措…
詳しくみる引越し時のマイナ保険証の住所変更はどうする?手続きの流れや必要書類を解説
マイナ保険証とは、「マイナンバーカードの健康保険証利用」の略称です。マイナンバーカードを事前に登録することで、健康保険証として病院受付で利用できます。 政府はマイナ保険証への移行を段階的に進めており、2024年12月2日以降は原則として新た…
詳しくみる労災保険とは?補償の種類や加入条件、労災保険料の計算方法、申請手続きまで解説
労災保険とは、労災事故にあった労働者に国が治療に必要な費用を補助し、休業した際の生活費を補償するなど、被災した労働者に必要な給付を行う社会保険制度です。業務上の事故、通勤中の事故のほか、仕事が原因で発症する病気も適用されます。給付を受けるに…
詳しくみる正社員の社会保険の加入条件は?パート・アルバイトとの違いも解説!
社会保険は、企業に勤める従業員の生活の安定を図るうえで重要な公的保険制度です。企業には、従業員を雇用したら原則として健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険の4つの制度に加入する義務があります。 ここでは、各種保険制度を解説するとともに、…
詳しくみる



